化学療法の副作用
妊孕性障害
アルキル化薬の影響が最も大きく、用量依存性である。
男性 | 精祖細胞の障害が軽度であれば生殖機能は1~3年かけて回復する。しかし、高用量のアルキル化薬を含むレジメンでは無精子症のまま改善しない場合もある。そのため、比較的簡便な精子保存を化学療法開始前、あるいは化学療法開始後早期に実施することが推奨される。 |
女性 | 短期的には月経の休止、長期的には早期閉経をきたし、治療時の年齢が高いほど妊孕性障害の可能性が高くなる。不妊治療の技術を応用した悪性腫瘍患者に対する未授精卵子凍結保存が学会からも承認され、日常診療として行われるようになっている。 |
アルキル化薬
DNAをアルキル化してDNA複製を阻害する。
ナイトロジェン・マスタード類
一般名 | 先発名 | 特徴 |
シクロホスファミド(CPA) | ||
イホスファミド(IFM) | ||
ブスルファン(BSF) | ||
メルファラン(L-PAM) | ||
ベンダムスチン |
ニトロソウレア類
一般名 | 先発名 | 特徴 |
ラニムスチン(MCNU) | ||
ニムスチン(ACNU) | ||
カルムスチン | ||
ストレプトゾシン(STZ) |
トリアゼン類
一般名 | 先発名 | 特徴 |
テモゾロミド(TMZ) | ||
プロカルバジン(PCZ) | ||
ダカルバジン(DTIC) |
プラチナ製剤
DNA鎖間・鎖内で架橋形成してDNA合成を阻害する。
一般名 | 先発名 | 特徴 |
シスプラチン(CDDP) | 聴神経障害を起こすため定期的に聴力検査を行うこと。 | |
カルボプラチン(CBDCA) | ||
オキサリプラチン(L-OHP) | ||
ネダプラチン(254-S) |
代謝拮抗薬
核酸代謝を阻害しDNA合成を低下させる。主としてS期に作用する。
葉酸代謝拮抗薬
一般名 | 先発名 | 特徴 |
メトトレキサート(MTX) | ||
ペメトレキセド(PEM) |
ピリミジン代謝拮抗薬
一般名 | 先発名 | 特徴 |
シタラビン(Ara-C) | ||
エノシタビン(BH-AC) | ||
ゲムシタビン(GEM) | ||
フルオロウラシル(5-FU) | ||
テガフール+ウラシル(UFT) | ||
テガフール+ギメラシル+オテラシル(S-1) | ||
トリフルリジン+チピラシル(TAS-102) |
プリン代謝拮抗薬
一般名 | 先発名 | 特徴 |
メルカプトプリン(6-MP) | ||
ペントスタチン(DCF) | ||
クラドリビン(2-CdA) |
微小管阻害薬
ビンカアルカドイド
チュブリンの重合を阻害する。
一般名 | 先発名 | 特徴 |
ビンクリスチン(VCR) | ||
ビンブラスチン(VLB) | ||
ビンデシン(VDS) | ||
ビノレルビン(VNR) |
タキサン類
チュブリンの脱重合を阻害する。
一般名 | 先発名 | 特徴 |
パクリタキセル(PTX) | ||
ドキタキセル(DOC) | ||
ネブパクリタキセル(nabPTX) | ||
カバジタキセル |
その他の微小管阻害薬
一般名 | 先発名 | 特徴 |
エリブリン |
トポイソメラーゼ阻害薬
DNAのねじれを直す酵素を阻害して、S期に作用する。
トポイソメラーゼⅠ阻害薬(カンプトテシン類)
DNA鎖を1本のみ切断する酵素を阻害する。
・イリノテカン(CPT-11)
・ノギテカン(NGT)
トポイソメラーゼⅡ阻害薬
DNA鎖を2本切断する酵素を阻害する。
・エトポシド(ETP)
・ソブゾキサン
抗腫瘍性抗生物質
アントラサイクリン系
DNAポリメラーゼ阻害、RNAポリメラーゼ阻害、トポイソメラーゼⅡ阻害作用を併せ持つ。
・ドキソルビシン(DXR)
・ダウノルビシン(DNR)
・アムルビシン(AMR)
・エピルビシン(EPI)
・イダルビシン(IDR)
・ミトキサントロン
その他の抗生物質
・ブレオマイシン(BLM)
・マイトマイシン(MMC)
・アクチノマイシンD(ACT-D)
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