ヒトコロナウイルス（Human coronavirus）

微生物学

2023.12.31 2020.08.16

ヒト呼吸器コロナウイルス感染症

冬～初春にかけて流行するかぜ症候群の原因ウイルスの1つ（10～20％を占める）で、多くが6歳以下で初感染するため成人の約80％が中和抗体を持つ。

飛沫感染によって鼻咽頭粘膜上皮で増殖し、3～4日の潜伏期間の後、感冒を引き起こし1週間程度続く。感染後も防御免疫は成立しにくく、再感染を繰り返す。

2類感染症。

コロナウイルスが変異したSARSウイルス。

2類感染症。

コロナウイルスが変異したMARSウイルス。

学校感染症：発症してから5日経過し、かつ、症状が軽快して1日経過するまで。

疫学	3割程度は無症状。高齢者では死亡率高い。
病態	飛沫＋接触感染後、平均5日間（1〜14日間）の潜伏期間の後に発症する。
症状	①感冒様症状：発熱、乾性咳嗽、倦怠感など ②味覚障害： 80％は軽症のまま治癒するが、20％は呼吸困難、咳、痰などの肺炎症状が増悪し入院が必要となる。5％は集中治療室へ行き、2％が死亡する。
検査	RT-PCR、抗原検査（ウイルス量が少ないと検出されにくい）【血液検査】D-dimer↑（抗血栓薬を使用）
治療	【薬物療法】 ①抗ウイルス薬：モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビル、レムデシビル ②抗体薬：カシリビマブ/イムデビマブ（オミクロン株に無効）、ソトロビマブ ③抗炎症薬：バリシチニブ、トシリズマブ、デキサメタゾン（SpO2が93％以下で酸素療法が必要な場合に投与。軽症で投与すると悪化する）
予防	ワクチン接種【手指消毒が重要】プラスチック上では3日間、スチール上では2日間、段ボール上では1日間感染性を有する。手指にウイルスが付着しただけでは感染しない。汚染された手指で目、鼻、口などに触れて感染が成立する。【マスク着用・換気が重要】会話、咳、くしゃみでウイルスは少なくとも８分間浮遊し、15分後に消失する。