インスリン製剤

薬理学

インスリン製剤

ヒトインスリン製剤 遺伝子工学により合成されたヒトと同じタンパク質
インスリンアナログ製剤 より効果を出すために人工的に改変したタンパク質
絶対的適応 (インスリン依存状態:空腹時血中Cペプチド0.6ng/mL未満) ①1型糖尿病
②糖尿病生昏睡(DKA昏睡、高血糖高浸透圧症候群)
③糖尿病合併症妊娠
④全身管理が必要な外科手術、重篤な感染症、静脈栄養時など
作用時間 追加分泌を補う:超速効型・速効型(食後高血糖↓)
基礎分泌を補う:中間型・持効型溶解(空腹時高血糖↓)
追加分泌と基礎分泌の両方を補う:混合型・二相性・配合溶解
剤形 バイアル製剤:病院で静注、持続注、筋注時に使用
カートリッジ製剤:ペン型注射器にセットして使用
プレフィルド製剤:カートリッジと注入器が一体化した使い捨てキット
注射部位 腹壁>上腕>臀部>大腿の順で吸収が早い!
<吸収に影響する他の因子>
①温度(気温や体温が高い方が速く吸収される)
②血流 (血流が多い方が速く吸収される)
③深さ(深く注射した方が速く吸収される)
④濃度と量(低濃度の方が速く吸収され、量が多いと遅くなる)
⑤種差(動物由来インスリンよりヒトインスリンの方が速い)
注射単位 インスリン1単位は0.01mL
インスリン効果値:ISF(1単位でBSがどれくらい低下するか)
超速攻型1単位で補正できる血糖=1700÷1日の総インスリン単位
例)朝6、昼6、夜6、就寝前12→1700÷30=約50
つまり、インスリン1単位で約50低下(4〜5時間後)する。例えば、血糖値200の人に2単位打つと4時間後に100前後に低下する。
カーボ/インスリン比:CIR(食事後に、追加インスリン1単位投与でBSがどれくらい低下するかの指標) 超速攻型1単位で補正できる血糖=300÷1日の総インスリン単位
例)朝6、昼6、夜6、就寝前12→300÷30=約10 つまり、1単位で10gの糖質が処理できる。例えば、糖質50gを含むおやつを食べた場合、5単位の超速攻型インスリンを打てば良い。
スライディングスケール BS200以上の高血糖患者、2型DM患者、周産期、ステロイド療法時、高カロリー輸液時に血糖コントロールのため一時的に使用する(できるだけ短時間に留める)。
<スライディングスケールの種類>
①スケール A:一番血糖値が高くない患者
②スケール B:中程度の血糖値の患者
③スケール X:スケール A・B でもコントロールできない重症患者
GI療法
(高K血症治療)
超速攻型インスリンとブドウ糖を、インスリン1単位に対してブドウ糖5gをゆっくり静脈注射することで、細胞外にあるカリウムを細胞内に戻す方法。

超速効型(食直後に注射)

インスリン分子会合による6量体形成を抑制し、皮下中後に速やかに血中に吸収される。

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●ルムジェブ注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
・ミリオペンHD:3mL/キット
(インスリン リスプロ)
10分未満 1〜3時間 約4時間
●ヒューマログ注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
・ミリオペンHD:3mL/キット
(インスリン リスプロ)
15分未満 1〜3時間 約5時間
●アピドラ注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ソロスター:3mL/キット
(インスリン グルリジン)
15分未満 1〜3時間 約5時間
●フィアスプ注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・ペンフィル:3mL/カートリッジ
・フレックスタッチ:3mL/キット
(インスリン アスパルト)
15分未満 1〜3時間 4〜5時間
●ノボラピッド注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・ペンフィル:3mL/カートリッジ
・フレックスペン:3mL/キット
・イノレット:3mL/キット
・フレックスタッチ:3mL/キット
(インスリン アスパルト)
10〜20分 1〜3時間 4〜5時間

速効型(食事30分前に注射)

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●ノボリンR注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・フレックスペン:3mL/キット
(インスリン ヒト)
約30分 1〜3時間 約8時間
●ヒューマリンR注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
(インスリン ヒト)
30分〜1時間 1〜3時間 5〜7時間

中間型(空腹時血糖を低下)

懸濁液のため、使用前に十分に撹拌させる必要がある。

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●ヒューマリンN注
・フレックスペン:3mL/キット
(ヒトイソフェン インスリン水性懸濁)
1〜3時間 8〜10時間 18〜24時間
●ノボリンN注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
(ヒトイソフェン インスリン水性懸濁)
約1.5時間 4〜12時間 約24時間

持効型溶解(空腹時血糖を低下)

作用持続時間が長いため、基礎インスリン分泌を補充する目的で投与される。混和不要。

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●レベミル注
・ペンフィル:3mL/カートリッジ
・フレックスペン:3mL/キット
・イノレット:3mL/キット
(インスリン デテミル)
約1時間 3〜14時間 約24時間
●トレシーバ注
・ペンフィル:3mL/カートリッジ
・フレックスタッチ:3mL/キット
(インスリン デグルデク)
ピークなし 42時間以上
●ランタス注
・100単位/mL:10mL/バイアル
・カート:3mL/カートリッジ
・ソロスター:3mL/キット
●ランタスXR注
・ソロスター:1.5mL/キット
(インスリン グラルギン)
1〜2時間 ピークなし 約24時間
XRは24時間以上

混合型

速攻型と中間型を混合した製剤。単独で食後追加分泌と基礎分泌の両方を補充できる。

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●ヒューマログミックス25注
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
●ヒューマログミックス50注
・カート:3mL/カートリッジ
・ミリオペン:3mL/キット
(インスリン リスプロ混合製剤)
15分未満 1〜6時間 18〜24時間
●ヒューマリン3/7注
・100単位/mL:10mL/バイアル
(ヒト二相性イソフェン インスリン水性懸濁剤)
30分〜1時間 2〜12時間 18〜24時間
●ノボラピッド30ミックス注
・ペンフィル:3mL/カートリッジ
・フレックスペン:3mL/キット
●ノボラピッド50ミックス注
・フレックスペン:3mL/キット
(インスリン アスパルト二相性製剤)
10〜20分 1〜4時間 約24時間
●ノボリン30R注
・フレックスペン:3mL/キット
(ヒト二相性イソフェン インスリン)
約30分 2〜8時間 約24時間
●イノレット30R注
・フレックスペン:3mL/キット
(ヒト二相性イソフェン インスリン)
約30分 2〜8時間 約24時間

配合溶解

超速攻型と持効型の3:7で、単独で食後追加分泌と基礎分泌の両方を補充できる。

商品名(一般名) 発現時間 最大作用時間 持続時間
●ライゾデグ配合注
・フレックスタッチ:3mL/キット
(インスリンデグルデク+インスリンアスパルト)
10〜20分 1〜3時間 42時間以上

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