効果発現は静脈内投与>直腸内投与>筋肉内投与>皮下投与>経口投与の順
用語
有害事象 | 患者に生じたあらゆる好ましくない事象で、因果関係は問わない。 |
有害反応(ADR:Adverse drug reaction) | 副作用のこと。治療投与量で起こる好ましくない反応であり、かつ因果関係のあるもの。ほとんどの有害反応は用量依存性である。 |
用量反応性の有害反応 | 毒性反応のこと。 |
特異体質性の有害反応 | アレルギー反応のこと。 |
薬物動態学(Pharmacokinetics) | 薬物の体内での挙動を量的に表現する学問 |
薬力学(Pharmacodynamics) | 薬物が標的部位で用量依存的に薬効を示す |
プロドラッグ | 代謝されてはじめて活性を示す薬物 |
アンテドラッグ | 局所で活性を示し、代謝されると活性を失う薬物 |
薬物動態に関する用語
最高血中濃度(Cmax) | 薬物投与後の最高血中濃度。 |
最高血中濃度到達時間(Tmax) | Cmaxに到達するまでの時間。 |
生物学的利用能(BA) | 投与された薬物がどれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標。 相対的BA=経口投与AUC/静脈投与AUC×100 絶対的BA=静脈内投与時のAUCを投与量とみなしたもの |
血中濃度曲線下面積(AUC) | 体内に取り込まれた薬の量を表す指標。 |
血中濃度半減期(T1/2) | 血中薬物濃度が半分になるまでに要する時間。 |
吸収(Absorption)
薬は胃でほぼ吸収されず、小腸で吸収される。吸収された薬物は小腸上皮や肝臓で代謝される(初回通過効果)。
初回通過効果
静脈内投与(注射) | 受けない | |
筋肉内投与(注射) | 受けない | |
経皮投与(全身作用型) | 受けない | |
経肺投与(吸入) | 受けない | |
口腔内投与(舌下錠) | 受けない | |
直腸内投与(坐剤) | ほとんど受けない | 直腸静脈叢→内腸骨V→下大V |
腹腔内投与(注射) | 受ける | |
経口投与 | 受ける |
分布(Distribution)
血中の薬物は組織に分布する(組織の薬物濃度は不明)。そこで、薬物が組織中にどのくらい存在するかを表す指標として分布容積Vdで表す。Vdが大きい薬物ほど血液より組織に分布しやすく、半減期も長い。
Vd=体内薬物総量/血中薬物濃度(L/kg)
【分布に影響する因子】
蛋白結合率 | 血漿タンパク質であるアルブミンは酸性薬物と結合し、α1酸性糖タンパク質(AGP)は塩基性薬物と結合する。血漿タンパク質と結合した薬物は薬理作用を示さない。 |
代謝(Metabolism)
第一相
グレープフルーツに含まれる6′,7′-ジヒドロビルガモチンは小腸上皮細胞のCYP3A4を選択的に阻害する。
第二相
排泄(Excretion)
半減期=0.693×分布容積÷クリアランス
胆汁中排泄
尿中排泄
TDM
TDMとは治療効果や副作用に関する様々な因子をモニタリングしながら、個々の患者に個別化した薬物投与を行うこと。薬物に期待する効果と起こりうる副作用が血中濃度と相関する場合に、有効血中濃度となるよう血中濃度を測定・調整する。
抗菌薬 | グリコペプチド系抗菌薬:バンコマイシン、テイコプラニン アミノ配糖体系抗菌薬:アルベカシン、アミカシン、ゲンタマイシン |
強心薬 | ジゴキシン、ジギトキシン |
抗てんかん薬 | バルプロ酸、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール |
抗不整脈薬 | アミオダロン、フレカイニド、キニジン、リドカイン、プロカインアミド |
免疫抑制薬 | シクロスポリン、タクロリムス |
その他 | ハロペリドール、テオフィリン、サリチル酸塩、リチウム、メトトレキサート |
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