角化症

皮膚科

先天性角化症

魚鱗癬

尋常性魚鱗癬(さめ肌)

病態 常染色体優性遺伝で、魚鱗癬で最多。乳幼児期に発症し、思春期以降に軽快する。 角層の水分保持に関わるフィラグリン遺伝子異常により皮膚の乾燥・鱗屑が生じる疾患。
症状 ①四肢伸側・体幹に乾燥と鱗屑(夏に軽快、冬に悪化)
検査 【皮膚生検】角層の肥厚、顆粒層の減少・消失
治療 角質溶解薬

X連鎖性魚鱗癬

道化師様魚鱗癬

葉状魚鱗癬

先天性魚鱗癬様紅皮症

表皮融解性魚鱗癬

表在性表皮融解性魚鱗癬

ロリクリン角皮症

魚鱗癬症候群

掌蹠角化症

病態 手掌と足底の過角化をきたす疾患の総称。一般的には遺伝性のものを指す。
症状 ときに知的能力障害、悪性腫瘍を合併することがある。
検査
治療 レチノイド内服、角質溶解薬外用

その他の遺伝性角化症

Darier病

病態 CaポンプをコードするATP2A2遺伝子異常(染色体性遺伝)により、細胞内Ca濃度が異常となり、細胞間結合と表皮細胞の分化障害が生じ、角化性丘疹が多発する疾患。思春期前後に発症し、難治性で慢性に経過する。
症状 ①腋窩、鼠蹊部など脂漏部位に米粒大の褐色調の角化性丘疹が多発し癒合(夏の発汗、日光暴露で悪化し、湿潤して悪臭を伴う)アトピー性皮膚炎と異なり瘙痒を伴わない! 【合併症】 Kaposi水痘様発疹症:表皮のバリア機能が低下する部位で生じる
検査 【皮膚生検】 円形体・顆粒体など異常角化細胞、棘融解(表皮細胞がばらばらになっている状態)による間隙形成
治療 レチノイド内服、角質溶解薬外用、日光暴露を避ける

紅斑角皮症

後天性角化症(炎症性角化症)

尋常性乾癬

疫学 有病率0.1%、30歳代以降に好発、男性に多い(2:1)
病態 乾癬の約9割を占める。表皮のTurn overが短縮する炎症性角化症。
症状 銀白色の鱗屑を伴う境界明瞭な紅斑が頭皮、肘、膝、腰部など機械的刺激が多い部分に多発、痒み(+) ②爪に点状陥凹、粗造化などの変化あり ③指の関節痛:乾癬性関節炎
検査 ケブネル現象+、アウスピッツ現象+ 【皮膚生検】 不全角化(錯角化)を伴う角質肥厚、真皮乳頭の延長、顆粒層の消失、角質直下に好中球浸潤による無菌性膿瘍(Munro微小膿瘍)などの特徴があれば確定診断!
治療 外用:ステロイド外用(内服は膿疱性乾癬を誘発するため禁忌)、活性化ビタミンD3 全身:レチノイド、シクロスポリン・メトトレキサートなどの免疫抑制剤、アプレミラスト(PDE4阻害)、抗TNF-α製剤、抗IL-17製剤、抗IL-23製剤などの生物学的製剤 紫外線療法:PUVA療法、ナローバンドUVB

尋常性乾癬に合併する疾患

乾癬性関節炎 乾癬を伴う非対称性少関節型関節炎で、乾癬の約50%に関節炎を伴う。RAと異なりDIP関節も侵される。また、仙腸関節炎、脊椎炎を伴うこともあるので腰痛に注意。関節外障害として、爪変形(爪の点状陥凹)や爪周囲皮膚炎、乾燥性角結膜炎や虹彩炎などの眼病変、アキレス腱付着部炎、大動脈弁閉鎖不全症を伴うことも多い。 血清反応陰性関節炎の一つで、RF陰性、HLA-B27陽性(20%)、X線でえんぴつとキャップ像 治療はメトトレキサート、TNFやIL-17に対する生物学的製剤など
膿疱性乾癬 (乾癬の亜型) 急激な発熱、全身に潮紅と無菌性小膿疱が多発する乾癬の亜型。乾癬のステロイド内服治療を行なった場合などに生じ、HLA-A2陽性で高頻度に認められる。 皮膚生検でKogoj海綿状膿疱が特徴。低蛋白血症、地図状舌も特徴。

毛孔性紅色粃糠疹

類乾癬

病態 鱗屑を伴う紅斑を主症状とする乾癬類似の炎症性角化症 局面状類乾癬、苔癬状粃糠疹に大別され、どちらも一部菌状息肉症に移行するため注意。
症状 局面状類乾癬:体幹・四肢に明瞭な紅斑 苔癬状粃糠疹:体幹・四肢近位に紅色小丘疹が出現し、新旧の皮疹が混在する。
検査
治療 ステロイド外用、PUVA療法

扁平苔癬

病態 薬剤、HCVなどのウイルス、歯科金属、カラーフィルムの現像液、糖尿病、慢性GVHDなどにより皮疹が生じる疾患(原因の多くは不明)。
症状 口腔粘膜にレース模様の線状白斑(初発)白色線条を伴う角化性紅斑、激しい痒み(+)
検査 ケブネル現象+、オリーブ油を滴下すると灰白色の細い線(Wickham線条) 【皮膚生検】 不全角化を伴わない角質肥厚、顆粒層の肥厚、基底層の液状変性(水疱+)、真皮上層にリンパ球帯状浸潤、表皮突起の不規則な延長などの特徴があれば確定診断!
治療 原因の除去+ステロイド外用・内服、免疫抑制薬、PUVA療法

線状苔癬

光沢苔癬

Gibertばら色粃糠疹

疫学 10〜30歳代に好発。春、秋に多い。
病態 体幹に粃糠様鱗屑を伴う紅斑が多発する急性の炎症性角化症。原因不明だが、HHV-7などのウイルス感染の関与が考えられている。初発疹の出現後、1〜2週間で二次疹が増えるが、1〜2ヶ月で自然治癒する。
症状 ①初発疹:突然、粃糠様鱗屑を伴う1〜数cmの紅斑が体幹に1〜2個出現 ②二次疹:背中の皮疹の長軸は皮膚割線方向に一致し、クリスマスツリー様配列の紅斑(初発疹より小型の紅斑)
検査
治療 対症療法(掻痒が強い場合は抗ヒスタミン薬内服)

後天性角化症(非炎症性角化症)

鶏眼(うおのめ) clavus/corn

病態 慢性的な物理的圧迫によって、限局性の過角化をきたしたもの。足底に好発。
症状 圧痛
検査 【身体検査】
視診:肥厚した角層の中心が芯のように真皮に侵入して魚の目状に見える
治療 ①原因となる刺激を避ける:一定部位に体重がかからないよう立ち方を工夫する
適切な靴を選択:靴底が薄い×(中敷きを入れる)、ハイヒール×
③厚くなった角質を削る:DMやRAがある場合は削りすぎによる二次感染に注意
④サリチル酸外用、保湿剤外用

胼胝(たこ) callus/tylosis

病態 慢性的な物理的圧迫によって、限局性の過角化をきたしたもの。骨突起部に好発。
症状 圧痛(ー)
検査 【身体検査】
視診:角層が一様に肥厚(持続すると真皮の線維化を生じる)
治療 鶏眼と同じ

毛孔性角化症(毛孔性苔癬) keratosis pikaris

病態 常染色体優性遺伝と考えられている。
小児期に発症、思春期に著名となり、加齢とともに軽快する。
症状 無症状
検査 【身体検査】
視診:上腕や大腿伸側・殿部に、毛孔に一致した角化性の小丘疹が多発
治療 サリチル酸外用

顔面毛孔性紅斑黒皮症

棘状苔癬

黒色表皮腫 AN:acanthosis nigricans

病態 擦過部に黒褐色の色素沈着や乳頭状隆起が生じる疾患。 悪性型、症候型、肥満関連型の3つに分類される。肥満関連型が最多。
①悪性型:内臓悪性腫瘍(胃癌が最多)に合併、口周囲に出現しやすい
②症候型:若年者に発症し、糖尿病、高インスリン血症、SLEなどに合併
③肥満関連型:思春期の肥満に生じる(肥満が改善すると症状も軽快)
症状 擦過部(頸部、腋窩、乳輪、陰股部)に黒褐色の進行性の色素沈着
②乳頭状隆起(表面がざらざら)と角質増殖に伴う皮野形成の著明化
検査 【皮膚生検】
過角化(基本的に表皮肥厚はない)、真皮乳頭の延長(乳頭腫)、基底層の色素沈着
治療 基礎疾患の治療すると軽快する

融合性細網状乳頭腫症

腫瘍随伴性先端角化症

鱗状毛包性角化症

連圏状粃糠疹

固定性扁豆状角化症

後天性魚鱗癬

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