大球性貧血

血液内科

大球性貧血の大別

①DNA合成障害により発症する巨赤芽球性貧血 治療が遅れると神経系合併症など
②DNA合成障害以外の原因による非巨赤芽球性貧血 ほとんど経過観察でよい

巨赤芽球性貧血の検索

問診

症状 暗いところでふらつく、摂食時の舌痛、手足のしびれや脱力、腹痛、下痢、血便
食事歴 極端な偏食、厳格な菜食主義、長期の非経口栄養療法(数週間で葉酸低下)
生活歴 アルコール摂取量
手術歴 胃切除(全摘か、部分切除か)、小腸の手術
薬剤歴 メトトレキサートなどの葉酸代謝拮抗薬など

身体所見

視診 舌表面が平滑、歩行障害、年齢に不相応な白髪
触診 Romberg徴候、Babinski反射、深部腱反射、下肢の振動覚低下

大球性貧血の追加検査

MCV110fL以上の場合 ビタミンB12、葉酸(110未満なら測定不要)
その他の血液検査 TSH・T4、T-Bil・D-Bil(間接ビリルビン算出)
血液像 過分葉好中球、大卵形赤血球、赤血球大小不同
VB12不足の場合 抗壁細胞抗体、抗内因子抗体、血中ピロリ菌抗体(B型胃炎否定)
葉酸不足の場合
上部消化管内視鏡検査 胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)、胃癌
下部消化管内視鏡検査 回盲部の障害

巨赤芽球性貧血 MA:Megaloblastic Anemia

病態 DNA合成障害が起こり(RNA合成障害はないため細胞質は成長)、巨赤芽球、過分葉好中球など異常な血球が生じる貧血。その結果、無効造血が起こり汎血球減少が起こる。
VB12不足の場合は、神経症状を伴い、不可逆的な亜急性脊髄連合変性症を合併することがある(VB12不足は側索と後索の髄鞘の維持ができなくなるらしい)。
原因 ①VB12不足:胃切除5年以降、悪性貧血、回盲部の障害
②葉酸不足:慢性アルコール中毒(ほぼ食事していない)、消耗性疾患など需要量増大
症状 ①貧血共通症状、易感染性、出血傾向
②年齢に不相応な白髪
Hunter舌炎:舌乳頭萎縮で舌がツルツルになり、摂食時に舌の痛みあり
亜急性脊髄連合変性症(VB12不足のみ):暗いところでふらつく=Romberg徴候(後索障害)、Babinski反射陽性(側索障害)、手袋靴下型の灼熱感を伴う手足のしびれ(末梢神経障害)
検査 【血液検査】
汎血球減少、無効造血による髄内溶血により網赤血球↓LDH↑間接Bil↑ハプトグロビン↓
【末梢血塗抹標本】
過分葉好中球、赤血球にHowell-Jolly小体が見られる
【画像検査】
MRI:T2で左右対称性に高信号を呈する「ハの字形」の病変=脊髄後索病変に一致
治療 【VB12欠乏】(造血再開に伴うFe不足に注意)
VB12吸収障害(胃全摘、悪性貧血)の場合は原則VB12筋注
【葉酸欠乏】(葉酸欠乏の原因が除去できれば終生の維持療法は不要)

悪性貧血

疫学 50歳以上の高齢者に発症(90%弱)
病態 抗壁細胞抗体や抗内因子抗体などの自己抗体が産生されるA型胃炎(自己免疫性胃炎)により壁細胞が減少し、内因子が欠乏する(壁細胞が減少するため胃液無酸症となり、代償的に高ガストリン血症となる)。その結果、VB12吸収障害が生じる。胃癌、甲状腺疾患、その他の自己免疫疾患を合併しやすい。
症状 巨赤芽球貧血と同じ
検査 血液検査:抗壁細胞抗体や抗内因子抗体などの自己抗体、高ガストリン血症
上部消化管内視鏡:A型胃炎は逆萎縮(胃体部が萎縮し、前庭部が正常)が特徴
治療 VB12筋注(巨赤芽球性貧血を参照)

非巨赤芽球性貧血

アルコール多飲 アルコールが造血に影響すると考えられている
肝疾患 肝硬変や慢性肝障害に合併することが多い
甲状腺機能低下症 EPO産生低下により赤血球産生が抑制されると考えられている
MDS 血液内科へ紹介
原因不明の大赤血球症 適切な検索を行っても原因が見つからないもの

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