皮膚腫瘍

皮膚科
  1. 良性腫瘍
    1. 脂漏性角化症(イボ、老人性疣贅)
    2. 澄明細胞性棘細胞腫
    3. 疣贅状異常角化腫
    4. 汗孔角化症
    5. 毛包腫
    6. 毛包腺腫
    7. 毛包上皮腫
    8. 毛芽腫
    9. 毛母腫
    10. 外毛根鞘腫
    11. 増殖性外毛根鞘性嚢腫
    12. 脂腺増殖症
    13. 脂腺腺腫
    14. 脂腺腫(脂腺上皮腫)
    15. エクリン汗嚢腫
    16. 汗管腫
    17. エクリン汗孔腫
    18. らせん腺腫
    19. 乳頭状エクリン腺腫
    20. 結節性汗腺腫
    21. 皮膚混合腫瘍
    22. アポクリン汗嚢腫
    23. 円柱腫
    24. 乳頭状汗腺腫
    25. 乳頭状汗管嚢胞腺腫
    26. 管状アポクリン腺腫
    27. 乳頭部腺腫
    28. 類表皮嚢腫(表皮嚢腫、粉瘤、アテローマ) epidermoid cyst
    29. 稗粒腫 milium
    30. 皮様嚢腫
    31. 外毛根鞘嚢腫
    32. 多発性脂腺嚢腫
    33. 発疹性毳毛嚢腫
    34. 毛巣洞
    35. 鰓性嚢胞
    36. 中央縫線嚢胞
    37. 耳介偽嚢腫
    38. 神経線維腫
    39. 神経鞘腫
    40. 外傷性神経腫
    41. 瘢痕的多指症
    42. 顆粒細胞腫
    43. 乳児血管腫
    44. 老人性血管腫(チェリースポット、赤ほくろ)
    45. 化膿性肉芽腫(毛細血管拡張性肉芽腫)
    46. 糸球体様血管腫
    47. Kasabach-Merritt症候群
    48. 房状血管腫
    49. 血管内乳頭状内皮細胞増殖症
    50. グロムス腫瘍
    51. 毛細血管奇形
    52. 静脈奇形
    53. 静脈湖
    54. クモ状血管拡張
    55. リンパ管奇形
    56. 被角血管腫
    57. 皮膚動静脈奇形
    58. 軟性線維腫
    59. 皮膚線維腫
    60. 肥厚性瘢痕・ケロイド
    61. 手掌足底線維腫症
    62. 真珠様陰茎小丘疹
    63. 鼻部線維性丘疹
    64. 後天性指趾被角線維腫
    65. 弾性線維腫
    66. 硬化性線維腫
    67. 結節性筋膜炎
    68. 腱鞘巨細胞腫
    69. デスモイド腫瘍
    70. 皮膚粘液腫
    71. 指趾粘液嚢腫・ガングリオン
    72. 口腔粘膜粘液嚢腫
    73. 黄色肉芽腫
    74. 多中心性細網組織球症
    75. 良性頭部組織球症
    76. Rosai-Dorfman病
    77. 脂肪腫
    78. 平滑筋腫
    79. 皮膚骨腫
    80. 爪下外骨腫
    81. 皮膚リンパ球腫
    82. 木村病
    83. 好酸球性血管リンパ球増殖症
    84. 肥満細胞症
    85. 形質細胞増多症
  2. 悪性腫瘍
    1. 基底細胞癌 BCC
    2. 有棘細胞癌 SCC
    3. 日光角化症
    4. Bowen病
    5. 白板症
    6. ケラトアカントーマ
    7. 脂腺癌
    8. 乳房Paget病
    9. 乳房外Paget病
    10. エクリン汗孔癌
    11. 微小嚢胞性付属器癌
    12. 皮膚粘液癌
    13. Merkel細胞癌
    14. 悪性末梢神経鞘腫瘍
    15. 隆起性皮膚線維肉腫
    16. 孤立性線維性腫瘍
    17. 脂肪肉腫
    18. 血管肉腫
    19. Kaposi肉腫
    20. 紡錘細胞血管内皮腫
    21. 異型線維黄色腫
    22. 類上皮肉腫
    23. 滑膜肉腫
    24. 未分化多形細胞肉腫
    25. 菌状息肉症、セザリー症候群
    26. 成人T細胞白血病
    27. 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫
    28. リンパ腫様丘疹症
    29. 節外性NK/T細胞リンパ腫
    30. 種痘様水疱症様リンパ腫
    31. 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
    32. 原発性皮膚辺縁帯B細胞リンパ腫
    33. 原発性皮膚濾胞中心リンパ腫
    34. 原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    35. Langerhans細胞組織球症
    36. 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
    37. 皮膚白血病
    38. 多発性骨髄腫
  3. 神経堤由来悪性腫瘍(悪性黒色腫、メラノーマ)

良性腫瘍

脂漏性角化症(イボ、老人性疣贅)

疫学 20歳代から発症し、中高年以降ほぼ全ての人に見られる
病態 加齢とともに顔面などの日光露出部にできる褐色の良性腫瘍(皮膚の老化現象)。老人性色素斑より隆起してくることが多い。掌蹠には生じない。
症状 ①茶褐色で境界明瞭なやや隆起する表面角化性腫瘤(表面はザラザラ) 
②数ヶ月のうちに病変が急増する(掻痒を伴うこともある)場合は、内臓悪性腫瘍(特に胃癌)を疑う(レゼル・トレラー徴候)。
検査 【皮膚生検】
角質肥厚、真皮乳頭の延長(乳頭腫)、表皮内の玉ねぎ状の偽角化嚢腫
治療 経過観察、凍結療法で角化した部分を平にする

澄明細胞性棘細胞腫

疣贅状異常角化腫

汗孔角化症

病態 常染色体優性遺伝。
症状 褐色調で辺縁の隆起した環状の角化性皮疹が四肢伸側、外陰部、顔面に好発。
自覚症状なし。まれにBowen病や有棘細胞癌が発生する。
検査 【皮膚生検】病変の辺縁部に柱状の不全角化が見られる
治療 外科的切除

毛包腫

毛包腺腫

毛包上皮腫

毛芽腫

毛母腫

外毛根鞘腫

増殖性外毛根鞘性嚢腫

脂腺増殖症

脂腺腺腫

脂腺腫(脂腺上皮腫)

エクリン汗嚢腫

汗管腫

エクリン汗孔腫

らせん腺腫

乳頭状エクリン腺腫

結節性汗腺腫

皮膚混合腫瘍

アポクリン汗嚢腫

円柱腫

乳頭状汗腺腫

乳頭状汗管嚢胞腺腫

管状アポクリン腺腫

乳頭部腺腫

類表皮嚢腫(表皮嚢腫、粉瘤、アテローマ) epidermoid cyst

病態 毛嚢の下部が袋状となった嚢腫。毛包漏斗部の上皮成分が真皮内に陥入し、それが増殖して内部に角質の塊を入れた嚢腫を形成する。
症状 無症状。頭部、頸部、体幹上部、腰臀部に好発する。
大きさは1〜2cm(ときに10cm)で、ときに頂点に開口部が黒点として見られる。
二次感染により発赤・腫脹・疼痛をきたす(炎症性粉瘤)。
検査 【身体検査】
視診:ドーム状に隆起した径2cm程度の常色で境界明瞭な結節、表皮との連続性がある
触診:弾性硬、腫瘤は周辺組織に対して可動性あり
治療 粉瘤:必要に応じて嚢腫壁を残さず完全に摘出(内容物は腐臭を伴う白色粥状物質)
炎症性粉瘤:抗菌薬内服、切開排膿+嚢胞内洗浄+短冊状ガーゼ留置交換を数日
※炎症があるうちは粉瘤摘出は行わず感染が落ち着いたら摘出を検討

稗粒腫 milium

病態 表皮直下に出現する白〜黄白色の硬い直径1〜2mmの小丘疹。
原発性:眼瞼部、頬部、陰茎、陰唇に好発
続発性:水疱症、熱傷瘢痕、放射線皮膚炎に続発する
症状 無症状
検査 【身体検査】視診
治療 注射針やメスで小切開し、白色球状内容物を排出する

皮様嚢腫

外毛根鞘嚢腫

頭部の粉瘤

多発性脂腺嚢腫

発疹性毳毛嚢腫

毛巣洞

鰓性嚢胞

中央縫線嚢胞

耳介偽嚢腫

神経線維腫

神経鞘腫

外傷性神経腫

瘢痕的多指症

顆粒細胞腫

乳児血管腫

老人性血管腫(チェリースポット、赤ほくろ)

化膿性肉芽腫(毛細血管拡張性肉芽腫)

病態 外傷などによる反応性の良性血管増生。
症状 紅色の柔軟な有茎〜広基性の腫瘤、易出血性、表面に光沢あり
検査
治療 凍結療法、炭酸ガスレーザー、外科的切除

糸球体様血管腫

Kasabach-Merritt症候群

消化器(肝胆膵)の肝血管腫を参照

房状血管腫

血管内乳頭状内皮細胞増殖症

グロムス腫瘍

病態 皮膚の小動静脈吻合部に存在するグロムス細胞由来の良性腫瘍。
症状 ①指趾の爪の下に好発する硬い腫瘤で、青く見えることが多い ②強い疼痛発作(夜間・寒冷曝露時に悪化)
検査
治療 外科的切除

毛細血管奇形

静脈奇形

静脈湖

クモ状血管拡張

消化器(肝胆膵)の肝硬変を参照

リンパ管奇形

被角血管腫

皮膚動静脈奇形

軟性線維腫

皮膚線維腫

病態 真皮内での光源線維、線維芽細胞、組織球の増殖により生じる良性腫瘍。外傷などに対する反応性病変との考え方もある。
症状 直径1cm程度で表面が褐色調の硬結で四肢に好発する
検査 黒色の強いもの、出血を伴い急激に大きくなるものは悪性黒色腫との鑑別
治療 外科的切除、悪性腫瘍と鑑別が必要のないものは経過観察

肥厚性瘢痕・ケロイド

  肥厚性瘢痕 ケロイド
病態 外傷・手術後などの創傷治癒過程にて膠原線維が過剰に増生する疾患。 可逆性で数年以内に消退→萎縮性瘢痕 発生機序は左に同じ。 長期にわたり増大し、難治性である。 胸や耳たぶにできやすい。
症状 赤み・痒み(活動期) 側圧痛(ー) 赤み・痒み(活動期) 側圧痛+(側方から摘んだ時の痛み)
検査    
治療 経過観察 圧迫固定、ステロイド局注・外用 ※安易な単純切除は禁忌

手掌足底線維腫症

真珠様陰茎小丘疹

鼻部線維性丘疹

後天性指趾被角線維腫

弾性線維腫

硬化性線維腫

結節性筋膜炎

腱鞘巨細胞腫

デスモイド腫瘍

皮膚粘液腫

指趾粘液嚢腫・ガングリオン

口腔粘膜粘液嚢腫

黄色肉芽腫

多中心性細網組織球症

良性頭部組織球症

Rosai-Dorfman病

脂肪腫

平滑筋腫

皮膚骨腫

爪下外骨腫

皮膚リンパ球腫

木村病

好酸球性血管リンパ球増殖症

肥満細胞症

形質細胞増多症

悪性腫瘍

基底細胞癌 BCC

病態 毛包由来の悪性腫瘍。紫外線、放射線皮膚障害、脂腺母斑、日光色素性乾皮症などが誘因。皮膚癌で最多。リンパ行性転移しにくい=予後良好
症状 顔面の正中部(鼻周囲など)に好発 結節潰瘍型が最多
検査 病理では最外層は柵状配列・腫瘍と正常部の境界に裂隙形成→遠隔転移しにくい構造
治療 辺縁から5mm離して切除、放射線治療

有棘細胞癌 SCC

※白板症、色素性乾皮症、尋常性狼瘡、放射線皮膚障害、Bowen病、瘢痕(熱傷・膿皮症)

病態 光線角化症(紫外線)、白板症、色素性乾皮症、尋常性狼瘡、放射線皮膚障害、Bowen病、熱傷や膿皮症などの瘢痕などが誘因(※白色の狼放って防犯)。角化傾向が少ないほど未分化で悪性度高い。リンパ行性転移しやすい
症状 角化とびらんを伴う紅色結節 露光部に好発
検査 病理では癌真珠、個細胞角化
治療 辺縁から5mm離して切除、放射線治療

日光角化症

病態 高齢者の露光部(特に顔面・手背)に好発し、約1割が有棘細胞癌に移行。真皮に浸潤すると有棘細胞癌となる。
症状 顔面・手背などに境界不明瞭な鱗屑や痂疲を伴う紅斑・角化性病変
検査 病理で表皮基底層に異型細胞があり、毛嚢を避けて進展
治療 外科切除、凍結療法

Bowen病

病態 露光部では紫外線、非露光部ではHPV、慢性ヒ素中毒などが関与かも。真皮に浸潤すると有棘細胞癌となる。
症状 境界明瞭な不整円の紅褐色調局面(慢性湿疹と誤診されやすい)
検査 病理で表皮全層に異型多核巨細胞、個細胞角化
治療 外科切除、凍結療法

白板症

ケラトアカントーマ

疫学 中年男性の顔面に好発
病態 急速に増大し、数ヶ月で自然消退して瘢痕となる皮膚良性腫瘍。
症状 ①顔面・手背など露光部に急速に増大するドーム状〜半球状に隆起する左右対称の結節 ②中央が噴火口状に陥凹し、内部に角栓を有する
検査 【皮膚生検】 有棘細胞癌と鑑別を兼ねて可能であれば全摘する
治療 数ヶ月で自然消退し、瘢痕化する。

脂腺癌

乳房Paget病

乳房外Paget病

病態 アポクリン腺由来の表皮内癌で、高齢者に多い。真皮に浸潤するとPaget癌となる。
症状 外陰部・腋窩・肛囲に好発 比較的境界明瞭な湿疹様紅斑
検査 病理で表皮内に大型で明るいPaget細胞
治療 外科切除

エクリン汗孔癌

微小嚢胞性付属器癌

皮膚粘液癌

Merkel細胞癌

悪性末梢神経鞘腫瘍

隆起性皮膚線維肉腫

孤立性線維性腫瘍

脂肪肉腫

血管肉腫

病態 血管内皮細胞から発生するまれな悪性腫瘍。高齢者の頭部・顔面に好発する。外傷の既往部位、慢性リンパ浮腫部が誘因となり発症することもある。
症状 ①数日~数週の単位で急速に拡大していく紫斑 ②易出血性の隆起性局面(血管内皮由来のため) ③肺転移して血気胸
検査 病理では異型内皮細胞が管腔構造を形成しつつ増殖
治療 広範囲切除、ケモラジ、斑状病変にIL-2局所投与
予後 早期に血行性転移(特に)するため、5年生存率は約10%と極めて予後不良(肺転移からの血胸や気胸が死因の90%を占める)

Kaposi肉腫

HHV-8を参照。

紡錘細胞血管内皮腫

異型線維黄色腫

類上皮肉腫

滑膜肉腫

未分化多形細胞肉腫

菌状息肉症、セザリー症候群

  菌状息肉症 セザリー症候群
病態 CD4陽性T細胞由来の悪性リンパ腫。紅斑期から20年ほどの長い経過で扁平浸潤期を経て腫瘍期に進展する。 CD4陽性T細胞由来の悪性リンパ腫。
症状 紅斑期:四肢・体幹に鱗屑を伴う紅斑 扁平浸潤期:紅斑が扁平隆起化 腫瘍期:結節や腫瘤が出現 内臓浸潤期 強い掻痒を伴う全身の紅皮症 表在リンパ節腫大
検査 病理で表皮内に異型リンパ球の集簇(Pautrier微小膿瘍 病理で異型リンパ球(セザリー細胞)陽性 末梢血にもセザリー細胞が出現
治療 紅斑期〜扁平浸潤期:ステロイド外用、PUVA療法、IFNγ静注 腫瘍期以降:化学療法、電子線照射 左とほぼ同様

成人T細胞白血病

HTLV-1を参照。

原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫

リンパ腫様丘疹症

節外性NK/T細胞リンパ腫

種痘様水疱症様リンパ腫

皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫

原発性皮膚辺縁帯B細胞リンパ腫

原発性皮膚濾胞中心リンパ腫

原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

Langerhans細胞組織球症

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍

皮膚白血病

多発性骨髄腫

血液内科を参照。

神経堤由来悪性腫瘍(悪性黒色腫、メラノーマ)

病態 メラノサイト由来の悪性腫瘍。
【分類】
末端ほくろ型(最多)
②結節型(2番目に多い)
③表在拡大型(白人に多い)
④悪性黒子型 
【発生母地】
色素性乾皮症、巨大先天性色素性母斑(ほくろ)、青色母斑など
症状 斑状の色素性病変が徐々に拡大し、後に結節→びらん・潰瘍となる
皮膚:足底、爪の肉(指蹠爪=しせきつめ)に多い
皮膚以外:口腔、脈絡膜、粘膜などメラノサイトがある場所に発生する
検査 【ダーモスコピー】
<色素性母斑(ほくろ)との鑑別点>
Asymmetrical(非対称性)
Border(辺縁不整、ギザギザ)
Color(色むら、色調の不均一、黒褐色、紅色、青色など)
Diameter(直径6mm以上)
Evolving(大きさや高さが1〜2年で増加)
【皮膚生検】
腫瘍細胞は散布されやすいため部分生検禁止(早期に拡大切除はOK)。センチネルリンパ節生検し(リンパ節郭清の適応決定に用いる)S-100、HMB-45などの免疫染色 。
【尿検査】
5-S-CD↑:メラニン生成の中間代謝物
治療 広範囲切除(全切除生検)、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(放射線感受性悪い)
予後 早期にリンパ性に転移し遠隔転移するため極めて予後不良(深達度が予後に影響)

 

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