老年医学

生理学

高齢者総合機能評価(CGA)

高齢者を身体的、精神的、社会的に総合評価してリスクマネジメントを講じるための指標。

CGA7 評価方法 異常の際に行う二次検査
意欲 挨拶の可否 Vitality Index
認知機能(復唱) 3つの言葉を繰り返してもらう MMSE、長谷川式
IADL 外来まで付き添いなしで来たか 他のIADLについても評価
認知機能(遅延再生) ②で覚えた言葉の復唱 MMSE、長谷川式
ADL(入浴) 介助なしで入浴可能か Barthel Index
ADL(排泄) 介助なしで排泄可能か Barthel Index
情緒・気分 自分が無力だと思うか GDS15項目版

FIM(機能的自立度評価表)

FIMはADLの介助量を評価するための方法で、126点満点で評価する。

評価項目 点数(各1〜7点の7段階)
運動項目 セルフケア 食事
整容
清拭
更衣上半身
更衣下半身
トイレ動作
排泄コントロール 排尿管理
排便管理
移乗 ベッド・椅子・車椅子移乗
トイレ移乗
浴槽・シャワー移乗
移動 歩行・車椅子
階段
認知項目 コミュニケーション 理解
表出
社会的認知 社会的交流
問題解決
記憶

ADL・IADL

Death(できないと死ぬ) Shaftと覚える!

ADL(日常生活動作) IADL(手段的日常生活動作)
独立して生活するために必要な身体動作 ADLよりも複雑で高度な動作
Dressing:着替え Shopping:買い物
Eating:食事(炊事ではない!) House-keeping:清掃・選択
Ambulation:移動(公共交通手段ではない!) Account:お金・薬の管理
Toilet:排泄 Food preparation:料理
Hygiene:入浴・整髪 Transport:公共交通手段

日常生活動作 ADL:Activities of Daily Life

【基本的ADLの評価尺度】

ADLの評価法
Barthel Index
自立の点数
10項目(できるADL)を100点満点で評価する。
①食事、②ベッドから車椅子への移動、③整容、④トイレ、⑤入浴、
⑥歩行、⑦階段昇降、⑧着替え、⑨排便、⑩排尿
機能的自立度評価法(FIM)
介助の点数
18項目(しているADL)を各項目7段階、合計126点満点で評価する。
①運動13項目、②認知5項目
7~6点:介助者・手出しが共に不要。6点の場合は時間要したり補助具が必要。
5点:介助者は必要だが、手出しは不要。介助者は監視や促しのみを行う。
4~1点:介助者・手出し共に必要。3点は50%以上自分で行う。

手段的日常生活動作 IADL

【IADLの機能的評価方法】

評価項目 電話、買い物、食事の準備、家事、洗濯、交通機関の利用、服薬管理、金銭管理(8項目)
解釈 8点満点で評価。男性の場合は食事の準備、家事、洗濯が除外されて5点満点で評価される。

全身状態の評価

PS:Performance Status(パフォーマンスステイタス)

化学療法に代表される全身治療は、期待される効果>予想される副作用の時行われる。

一般的にPS3以上の場合は、PSが回復するまで全身治療を行わないことが推奨される。ただし、悪性腫瘍そのものが原因でPSが低下しており、全身治療によって悪性腫瘍の高い治療効果が期待できる場合はPS3以上でも全身治療を考慮すべき。

歩行可、問題なく行動できる 化学療法OK
歩行可、家事などの軽作業ができる 化学療法OK
歩行可、作業できない、日中の50%以上をベット外で生活 グレーゾーン
日中の50%以上を椅子 or ベット上で生活 化学療法×
全く動けず、椅子 or ベット上で生活 化学療法×

【全身療法開始前に行うこと】

問診 既往歴、内服歴、PS、ADL、IADL、Timed UP&Go test
血液検査 白血球数、赤血球数、血小板数、腎機能、肝機能、耐糖能
心機能 心毒性の強い使用する場合
高齢者 CGA(治療適応の参考にする)
歯科受診 ①齲歯・歯周病治療:化学療法で骨髄抑制が起こると、重篤な感染症のリスクとなる。
②顎骨壊死予防:ビスホスホネートやデノスマブを使用する可能性がある場合には、あらかじめ歯科医により判断してもらう。

Hugh-Johes分類

症候学の呼吸困難を参照

mMRCスケール

症候学の呼吸困難を参照

寝たきり度判定基準

【障害高齢者の日常生活自立度判定基準】

詳細は公衆衛生を参照。

フレイル・ロコモティブS・サルコペニア

骨折・転倒予防にビタミンD&Kなどがある。

フレイル ロコモ サルコペニア
様々な要因で弱っている 運動器の障害で弱っている 筋肉量低下で弱っている

フレイル

フレイル(虚弱状態)とは、加齢とともに心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態を指し、身体的フレイル・精神神経的フレイル・社会的フレイルがある。多くの高齢者は中間的な段階であるフレイルを経て徐々に介護状態に陥る。

ロコモティブシンドローム

病態 運動器の障害によって移動能力の低下を来たした状態で、進行すると介護が必要になるリスクが高くなる。バランス能力および移動歩行能力の低下から閉じこもり・転倒リスクが高まった状態を特に運動器不安定症という。
原因 要因となる3大疾病は、変形性関節症>>骨粗鬆症>脊柱管狭窄症
診断 <ロコモ度テスト>
①立ち上がりテスト:40cmの台から片足で立ち上がれるか
②2ステップテスト:最大2歩幅を身長で割った値が1.3を超えているか
<運動器不安定症>
①開眼片脚起立時間15秒未満で陽性

サルコペニア

病態 筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群のこと。
診断 65歳以上、握力が26㎏以下(女性は18㎏以下)、歩行速度が0.8m/秒以下、体組成計で筋量が少ないとサルコペニアと診断される。

DALY、PYLL

DALY(Disability Adjusted Life Year:障害調整生命年) 疾病や障害による早死によって失われた年数を意味した疾病負荷を総合的に示す指標。
PYLL(Potential Years of Life Lost:損失生存年数) 疾病や障害により寿命を全うできなかった年数を示す指標。
DALY=PYLL+障害生存年数。

加齢による各臓器の変化

消化器系 唾液分泌↓、嚥下機能↓ 誤嚥性肺炎↑
LES圧↓、亀背(きはい) 逆流性食道炎↑
蠕動運動↓、排便反射↓、肛門括約筋↓ 便秘↑
肝機能↓ 薬物感受性↑
胆汁酸分泌量↓、乳頭括約筋機能↓ 胆石↑・胆道感染↑
内分泌系 エストロゲン↓、アンドロゲン↓(ACTHは不変) FSH↑・LH↑
GH↓ IGF-1↓
インスリン抵抗性↑ 血糖値↑
腎臓系 糸球体機能↓ 腎血流量↓・GFR↓
尿細管機能↓(尿細管内腔の拡大、嚢胞形成) 尿濃縮力↓・低Na血症
EPO↓ 腎性貧血
活性型ビタミンD↓ 骨粗鬆症
血液系 造血能↓ 脂肪髄↑
免疫系 胸腺萎縮 細胞性免疫↓(=ツ反↓)
神経系 徐波睡眠(深い眠り)↓、中途覚醒、早朝覚醒 睡眠障害
呼吸器系 肺コンプライアンス↓(肺弾性収縮力↓) 吐き出す能力↓して(機能的)残気量↑
拡散能↓ PaO2↓・AaDO2開大
感覚器系 瞳孔系↓ 老人性縮瞳
味蕾の数↓ 濃い味付け
コラーゲン↓ 皮膚乾燥
循環器系 動脈硬化による末梢血管抵抗↑ 収縮期血圧↑(脈圧↑)
動脈硬化による大動脈弾力性の低下により伸展性↓
拡張期血圧↓
圧受容体機能↓ 起立性低血圧、食後血圧↓
刺激伝導系の障害 心房細動
弁の石灰化、弁輪径↑ 弁膜症
左室壁肥厚、心筋細胞↓ うっ血性心不全

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