血中K濃度の異常
| A | 平均約100mEq/日摂取 |
| D | 細胞外:約60mEq、細胞内:約3000〜4000mEq(細胞外<<<<細胞内) |
| M | 腎尿細管の集合管までに100%再吸収される |
| E | 集合管でアルドステロン濃度、血中K濃度、distal flow rate、Na再吸収によって尿中へのK排泄が調節される |
低K血症 hypokalemia
| 病態 | 血清K3.5mEq/L以下のものを低K血症と定義する。明かな臨床症状が出現するのは2.5mEq/L以下の場合が多い。慢性に経過している場合は症状が出にくい。 Kは細胞内に多く存在するため、K摂取不足単独で低K血症になることは稀で、細胞内取り込み亢進を合併している場合が多い。 【分類】 ①腎性K排泄亢進:低K血症にもかかわらず、尿中K 20mEq/L以上と排泄増加 ②腎外性K排泄亢進:尿中K排泄減少(尿中K 20mEq/L未満) ③細胞内へのK移動:インスリン、β刺激、代謝性アルカローシス |
| ①腎性 | 【原因】 ・Ald作用の過剰:原発性Ald症、Cushing症候群、腎動脈狭窄、レニン産生腫瘍 ・尿細管機能異常:尿細管性アシドーシス、Bartter症候群、Gitelman症候群、Liddle症候群、間質性腎炎 ・薬剤性:利尿薬(サイアザイド、ループ利尿薬)、抗菌薬(ペニシリンG、アミノグリコシド系、アムホテリシンB)、甘草、副腎皮質ステロイド、シスプラチン ・低Mg血症 ・多尿 ・嘔吐など胃液の喪失 |
| ②腎外性 | 【原因】 ・消化管からの喪失(下痢、下剤の長期乱用など) ・多量の発汗 |
| ③細胞内シフト↑ | 【原因】 ・インスリン、β刺激薬、α遮断薬、甲状腺ホルモンの投与 ・代謝性アルカローシス ・低K血症性周期性四肢麻痺 |
| ④Kの摂取不足 | 【原因】 ・高度の飢餓 ・神経性食欲不振症(体液量減少による二次性アルドステロン症も加わる) |
| 検査 | ①血ガス:代謝性アルカローシス、AG正常代謝性アシドーシス(下痢とRTAのみ) ②血液検査:CK、Mg、TSH、T4 ③尿検査:尿中K/Cl/Cre濃度 ④心電図:T波の平坦化(QT延長)、U波出現 |
| 神経・筋 | 軽症:疲労感、筋力低下 重症:脱力、呼吸筋麻痺、腸管運動低下、麻痺 ※細胞外Kの低下により、静止膜電位が低下して脱分極しにくくなるため |
| 心 | 不整脈・期外収縮: 血清Kが低下すると細胞外にKが流出しやすくなり静止膜電位が深くなる。深い分、再分極が起こりにくくなるためT波の平坦化(重症の場合はT波陰転化)して、見えにくかったU波が出現する。T波が低下しU波が現れるためQT延長しているようにみえる。再分極が起こりにくいためAPDは延長するが、細胞内Ca濃度が上昇するため心室性頻拍などの重篤な不整脈が起こりやすくなる。 |
| 腎 | 多尿→脱水:尿濃縮障害のため(腎性尿崩症) |
| 静注補正 | 血中K 3.5mEq/L以上に補正(心疾患患者では 4.0mEq/L以上) ●末梢静脈より投与 例)KCl 20mEq+生食500mL(40mEq/L以内)→10mEq/hr以内で投与 ●中心静脈より投与 例)KCl 10mEq+生食100mL(100mEq/L以内)→40mEq/hr以内で投与 ※K静注を行う場合は、投与速度に注意(急速静注すると致死的不整脈、心停止を誘発するため) |
| 経口補正 | 基本、緊急時以外は経口補正の方が安全で優先すべき 例)KCl 例)グルコン酸K 例)アスパラギン酸K300mg 1回2錠 1日3回 腎性K排泄亢進の場合はスピロノラクトン併用 |
| その他 | ①細胞内シフトの要素を排除 ・長期絶食中患者ではrefeeding症候群になるため急に食事を開始しない ・インスリン開始による低K血症に注意 ②薬剤の調整 ・利尿薬、甘草を含む漢方薬などは変更中止が望ましい ③低Mg血症 例)硫酸Mg 20mL 1A(1mEq/mL)+生食100mL点滴静注、Mgが2mg/dLに到達するまで繰り返し投与 |
高K血症の診察
高K血症の病態と症状
| 病態 | ①細胞内シフト低下、②腎臓排泄低下によって引き起こされる。![]() |
| ①細胞内シフトの低下 ●アシデミア:AG非開大性代謝性アシドーシスでは、Na-K交換系の機能が低下し、ATPポンプを通じたKの細胞内移動が行われにくくなる。 ●細胞崩壊、点滴や薬剤でのK投与:血中のK濃度が上昇する。 ●β遮断薬・インスリン欠乏:β刺激、インスリン、甲状腺ホルモンはATPポンプを活性化させる作用があるため、これらの刺激が減少する状態ではATPポンプを通じたK細胞内移動が行われにくくなる。 |
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| ②腎臓排泄低下 腎機能障害単独では通常GFR15mL/min未満になると血中Kが上昇する。しかし、実臨床では軽度の腎機能障害にその他の要素(薬剤性が多い)が組み合わさり生じることが多い。 |
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| 症状 | 息切れ、脱力、意識変容、失神、無反応など |
①偽性高K血症の確認
| 偽性高K血症の原因 | ・採血時に過度の陰圧による溶血(LDH↑AST↑伴う) ・長時間の駆血 ・採血後検体の長時間の留置 ・輸液下流での採血 ・著名な白血球や血小板増加を伴う血液疾患 |
| 対応 | ・採血者に手技の確認 ・検査室に溶血(赤みがかっている)がないか確認 ・動脈血ガスを含めた血液検査の再検 |
②12誘導心電図を実施

| 高K血症性の心電図変化を確認(前回心電図も確認) | |
| K:6〜7mEq/L | テント状T(初期変化) |
| K:7〜8mEq/L | P波の平坦化、PQ間隔延長、ST低下 |
| K:8〜9mEq/L | QRS幅増大 |
| K:9〜mEq/L | サインカーブ様パターン、VT、VF |
| 不整脈の発生機序 | 血清Kが上昇すると細胞外にKが流出しにくくなり静止膜電位が浅くなる。そのためNaチャネルが不活性化され、Ca流入によって脱分極がゆっくり起こり、Wide QRSとなる。Na流入が少ないため心筋の収縮力が低下し、心房筋が麻痺するとP波が消失する。また、Na流入が少ないため再分極が勢いよく起こりT波が増高し、早く再分極が起こるため活動電位持続時間が短縮する。APDが短縮するため心室性頻拍などの重篤な不整脈が起こりやすくなる。 |
③緊急治療(K6.0以上)

| 緊急治療の 開始基準 |
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| 治療の目標 | ![]() |
| 超緊急的処置 | ●不整脈予防![]() 例)グルコン酸Ca(カルチコール®)10mL/1Aを2分かけて緩徐に静注 ※急速静注すると心停止の危険があるため必ずモニター装着 ・3〜5分毎に心電図再検し、改善なければ再度投与検討 ・30分〜1時間で効果消失するため、血中K改善なければ再投与 |
| 緊急的処置 | ●GI療法(K細胞内シフト)![]() 例)速効型インスリン(ヒューマリン®)4単位+50%ブドウ糖液20mLを2A(合計40mL)1〜2分かけてゆっくり静注 ※投与前に低血糖がないか確認 ※高血糖(300mg/dL以上)+インスリン欠乏の場合:インスリン単独 ・30分〜1時間後に再検(血清Kと低血糖の有無を確認) ・押し込んだKが4〜6時間後に出るため4時間を目安に再検 |
| 緊急的処置 | ●SABA吸入(K細胞内シフト)※GI療法と併用で行う![]() 例)サルブタモール(ベネトリン®吸入液0.5%)0.3mL+生食5〜10mL ※頻脈がある場合や心不全患者では注意 ・押し込んだKが数時間後に出るため4時間を目安に再検 |
④緊急透析の必要性
⑤準緊急治療(K5.0〜5.9/緊急治療の後)

| 緊急治療後 | 細胞内シフトは一時的な効果なため、Kの体外排泄を行う![]() |
| 準緊急的処置 | ●利尿薬(腎からK排泄)![]() 例)フロセミド(ラシックス®)20mg静注 ※血管内volumeがない場合、利尿薬単独投与はしない ※投与前に尿道Baを留置する |
| 準緊急的処置 | ●吸着陽イオン交換樹脂(腸管からK排泄)![]() 例)アーガメート®ゼリー20% 分包25g 3個分3 毎食後 例)ケイキサレート® 15〜30g/日 分3 |
| 準緊急的処置 | ●吸着陽イオン交換樹脂(腸管からK排泄)![]() |
⑥高K血症の原因検索

| ①細胞内シフトの低下 | 細胞崩壊 | 腫瘍検索、横紋筋融解、溶血 |
| 輸血や輸液 | ||
| 食事K摂取増加 | ||
| アシドーシス | ||
| 薬剤性 | 原因薬剤の中止 | |
| ②腎臓排泄低下 | AKI | |
| CKD | ||
| 薬剤性 | 原因薬剤の中止 |











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