カルテの記載法

症候学

カルテ記載方法

カルテ記載の原則

フォントは統一する。
英数字は半角とする。かっこは全角。
検査値に単位を記載する。
体言止めは禁止。助詞を入れる。
菌名は斜体にする。

カルテの略語

点滴 q24hr(1回/日)、q12hr(2回/日)、q8hr(3回/日)、q48hr(1回/2日)
方法 IV(静注)、CIV(持続静注)、DIV(点滴静注)、IM(筋注)、SC(皮下注)
  PO(経口)、SP(坐薬)

問題志向型医療記録(POMR)

POMRとは、患者の抱える問題を中心に行う医療(POM;problem oriented medical)の考え方に合わせた記録方法のことである。
①基礎情報(基礎データ)から問題を明らかにする。
②問題リストを作成する。
③問題ごとに初期計画を立案する。
④解決すべき個々の問題別に、SOAP形式で患者の経過記録を記載する。

①基礎データ
(data base)
①主訴、現病歴、家族歴など
②生活歴
③診察所見
④検査成績
②問題リスト
(problem list)
①ナンバーとタイトルをつける
activeとinactiveの区別をつける
問題リストは診断名だけではなく、患者を診察していく上で問題となる項目のリストである。よって、初診時に得られる医療面接での問題点、臨床症状、診察所見、検査値の異常などから問題点を抽出し、列挙する。
③初期計画
(initial plan)
①診断的計画(diagnostic plan)
②治療的計画(therapeutic plan)
③教育的計画(educational plan)
④経過記録
(progress note)
①叙述的記録(narrative note)
S(subjective data)− 自覚症状
O(objective data)− 他覚症状(診察所見、検査所見)
A(assessment)− 評価、考察
P(plan)− 検査・治療・患者教育の計画
②経過一覧表(flow sheets)
⑤退院時要約
(discharge summary)

SOAP形式

S 過去から現在に至るまでの、患者・家族・前医などの他人を通して収集し、間接的に得られた情報。Sの主語は患者、時制は過去形で記載する。
O 現時点で医師自身や同僚が入手した直接観察による所見=診察時の身体所見と検査所見。
A
P

入院時記録(Admission note)

要約Short summary)】
主訴に関連する既往歴→ADL→年齢・性別→現病歴→入院目的の順で全体像を要約する。
S 主訴CC:Chief Complaint)】
主訴が明白な場合は医学用語で、はっきりしない場合は患者の言葉で記載する。
現病歴HPI:History of Present Illness)】
主訴に関連する病歴聴取:いつまで元気だったか無症状だったか、症状が出現してから現在(受診)に至るまでの時間経過を明確に記載し、痛みならOPQRST等も記載。
例:来院○日前から〜出現した。
②診断の鑑別疾患を意識した関連症状:
ROS+(陽性所見:pertinent positive):
ROSー(陰性所見:pertinent negative):
解釈モデル(か・き・か・え)】
解釈モデルを記載

アレルギー歴Allergy)】
①薬剤アレルギー:
②食物アレルギー:
NKFDA(No Known Food Drug Allergies:既知の食物薬物アレルギーなし)
既往歴PMH:Past Medical History)】
生まれてから現在に至るまでの、既に確定している疾患を時系列に記載する。
①併存症:今も活動性のある疾患。病状、治療内容、かかりつけ医など
②既往症:過去に治癒した疾患。発症〜治癒時期、手術歴、輸血歴、妊娠・出産歴
内服薬Medication:Meds)】
他科・他院などに分け、使用している薬剤の用量用法を記載
OTC薬やサプリメントもあれば記載
家族歴FH:Family History)】
血縁者の既往歴
生活歴
飲酒歴:●〜●歳、酒の種類、●mL/日(離脱予防のため聴取)
喫煙歴:●pack-years(●〜●歳、●本/日)
入院前ADL:更衣、食事、移動、トイレ、清潔
食事歴:主食(米飯/お粥/ペースト状/その他)、副食(常菜/一口大/刻み/ミキサー、ムース)、とろみの有無、食事回数
社会歴(SH:Social History)】
職業歴:
居住:自宅 or 施設名、●人暮らし(同居者:●)、非同居者:●
KP:キーパーソンの関係と連絡先
介護保険:デイサービス月火水、ヘルパー金、ケアマネ山田さん
急変時コード
Full code、DNR(No CPR)、DNIなど
O 【身体所見】
General appearance:車椅子で入室、苦悶様表情
来院時バイタル:血圧BP、脈拍HR、呼吸数RR、SpO2、体温BT、GCS
<頭頸部>
<胸部>
<背部>
<腹部>
<腰部>
<四肢>
<神経系・筋骨格>
【検査所見】
血液検査:血算・生化学・凝固→血液ガス
尿検査:
微生物検査:血液培養、尿培養、髄液培養
心電図:
心エコー:
胸部X線(座位、A→P):
胸部CT:
A 【プロブレムリスト】
・自身の意見・診断・治療方針。Aの主語は自分、時制は現在形。
・プロブレムリスト=現時点で健康管理上、分析や介入する必要ありと判断した事項
・プロブレムを重要度順に記載し、アセスメント&プランする
・鑑別診断と根拠:症候なら鑑別診断を、診断ならその根拠を記載。
#腹痛
DDx(鑑別):虚血性腸炎、憩室炎
P 方針:いつ退院するかなど、今後の大まかな見通しを共有できるよう簡潔に記載。

入院時経過記録

【Short summary】
既往に〜があり〜を服用しているADL〜の〜歳男性、〜の診断で入院となり〜の治療を開始した。
【Problem】:重篤・重要なものから順に並べる
#Ⅰ型呼吸不全
 鑑別:#市中肺炎(CAP)→4/7抗菌薬終了
25/04/01 発熱、湿性咳嗽、胸部CTで右葉にすりガラス影を認め、CAPと診断。A-DROP4点でHCUに入院。CCr60、CTRXで治療開始。
25/04/02 喀痰グラム染色よりGPC確認
25/04/03 喀痰培養より肺炎球菌4/4で陽性、ABPCへde-escalation
25/04/05 血液培養は陰性確認、一般病床へ転棟
25/04/07 抗生剤治療終了
治療:
・CTRX点滴2g/q24hr 4/1-2
・ABPC錠 分3 4/3-4/7
【inactive】
【入院前 / 入院後内服薬】
S problemに対する患者や家族に対する問診(陰性症状も記載)
O バイタル(3回):WNL or 異常値を記載
食事(きざみ):?/10、目標1800kcal/日
排泄:排便、排尿
睡眠:眠れている
In-Out:
モニター(BP/HR/ECG/SpO2):PVC run 2回
リハビリ:PT 11/25-、OT 未、ST 依頼済
ケア:褥瘡(ー)、喀痰吸引(ー)
【身体所見】
呼吸音:wheezes(ー)、cracles(ー)
心音:整、心雑音(ー)
デバイス:ルート刺入部の発赤腫脹なし、尿カテ(ー)
【検査所見】
血液検査・尿検査:必要なデータ貼り付け
CXR、AXR、CT、心電図:所見を記載
A 咳嗽・喀痰が減少し、SpO2も85→95%と正常化し、改善傾向のため週末退院予定。
(SとOを元に病状が改善・悪化しているか記載)
P 【To Do List】
□overnight event→検査→処方→入院注射→経過表→指示簿変更の順に確認
□4/10 STによる嚥下機能評価(今後の計画を記載)
□4/10 血液培養・外注検査:結果待ち
□退院後にワクチン検討(入院中には行わず退院後に引き継ぐ計画を記載)
【Disposition】:予想される転帰
〜に在住、独居、〜クリニックがかかりつけ。〜週間の抗菌薬投与が終了したら、〜月〜日に自宅に退院し、その後後かかりつけに通院予定。

退院時要約(退院時サマリー)

入院時カルテと経過カルテをコピペできるように日々作っておく。

要約 基本的にshort summaryをコピペ
入院目的 〜の精査・治療
主訴 医学用語が端的に記載
例)倦怠感、めまい、労作時息切れ、黒色便
現病歴 入院時記録より引用
例)7日前から倦怠感、めまい、息切れの症状が出現し、昨日の夕食後に黒色便を認めたため当院内科外来を受診。上部消化管内視鏡検査にて胃潰瘍の疑いと診断されて入院となった。
陽性症状:体重減少-2kg/月、倦怠感、めまい、労作時息切れ
陰性症状:心窩部痛、悪心嘔吐、下痢
既往歴 入院時記録より引用
内服薬 入院時記録より引用
家族歴 入院時記録より引用
生活歴 入院時記録より引用
入院時身体所見 入院時記録より引用
入院時検査所見 入院時記録より引用
例)上部消化管内視鏡検査にて胃大弯部に潰瘍形成を認める。
入院時問題リスト #プロブレム名(日付)→(転帰を記載)
例)#1 胃潰瘍(4/1)→胃癌(4/3)→(4/20)転院
例)#2 貧血(4/1)→鉄欠乏性貧血(4/2)→(4/15)軽快
入院後経過 ①初期評価と計画→②計画をどう実行し、その具体的経過→③その結果生じた症状・所見などの変化を再評価→④適切に更新されたプロブレムに合わせて改めて計画→②へ戻る・・・を繰り返して記載。再評価の結果、入院の必要性がなくなれば退院が確定する。
例)
①内視鏡所見から胃潰瘍と診断し、○○病棟入院し絶食補液・PPI静注での治療を開始した。
②入院後は心窩部痛なく経過し、経口摂取も再開でき早期退院可能と考えていたが、
③入院後の内視鏡検査で胃癌が検出され、#1を胃癌と診断修正し、本人への告知と進展度・耐術能評価のため検査を追加した。
④後述する諸検査の結果、Stage2の胃癌と診断し、手術目的で他院外科へ転院となった。
入院後検査結果 経過記録より引用
退院時病状 退院が決まった時点ですぐに記載する。具体的には退院時最終診断名(病期、重症度、併存症も記載)、病状、退院時処方、退院後方針を明記する。
例)
胃癌Stage2:疼痛・倦怠感なし、経口摂取可能、体重+1kg
鉄欠乏性貧血:鉄剤内服によりHb11まで回復
退院時処方:オメプラゾール20mg1日1回1錠夕食後
退院後方針:〜病院消化器外科にて手術・化学療法予定。別紙紹介状あり。

初診外来

医療面接の3つの役割

①良好な患者医師関係の構築とその維持 感情領域のフォーカスする
②患者の健康問題の評価 効果的な情報収集
③患者の健康問題のマネジメント 動機づけ、教育、行動変容

短時間でできる傾聴法(場末:BATHE法)

Background 生活面でお変わりはないですか?
Affect (そのことについて)気分はどうですか?
Trouble 1番困っていることは何ですか?
Handling どのように対応されていますか?
Empathy それは大変でしたね、それでいいと思いますよ

診療で毎回意識すべき4-point framework

①急性の問題 =受診動機となった問題(風邪、疼痛発症など)
②慢性の問題 =併存している問題(生活習慣病など長期継続してみているもの)
③予防的医療介入 ワクチン接種、禁煙、節酒、食事制限など
④受療行動指導 有事再診の基準、次回の外来につなげるための動機づけ

健診・がん検診

対象者 目的 その他
定期健診 労働者(年1回) 労働者の健康管理 事業者の義務で実施
特定健診 40〜74歳 高齢期の医療確保 保険者の義務で実施
一般健診 35歳以上 生活習慣病の発症予防と早期発見 保険者の努力義務
人間ドッグ なし(任意) 任意で行われる定期検診 病院によって様々な項目
がん検診 様々 二次予防(早期発見・早期治療) 便潜血検査は推奨レベルA

病因から鑑別する方法(VINDICATE+P)

V Vascular 血管
I Inflammatory 炎症
N Neoplasm 腫瘍
D Degeneration、Deficiency 変性疾患 欠乏
I Intoxication、Idiopathic 中毒 特発性
C Congenital 先天性
A Autoimmune、Allergy 自己免疫性 アレルギー
T Trauma 外傷
E Endocrine、Metabolic 内分泌代謝
P Psychiatry 精神疾患

初診カルテ

【Problem(=主訴を医療ワードに変換
#1 咳
#2 不眠
【受診理由】
例:肺癌を心配して受診
S 【現病歴】
4/1- 咳が出始めた
4/4- 夜も眠れない咳が続く
4/5- 血痰が出た
【Criticalなものを除外する問診(オフト)】
O(Onset):突然発症は危険(どんな風に始まったか)
F(First episode):これまで経験したことのない症状は危険
T(Time course):増悪傾向は危険(昨日と比較して悪化など)
【解釈モデル】→医師は患者の病いの体験を理解する
か(解釈):病気の発症や理由、症状の持つ意味に関する自分自身の捉え方
医師)「ご自身ではどうして咳が続くと思っていますか?」
患者)「咳が続くのは実は癌が隠れているからなのではないかと思っています」
き(期待):医療機関を受診することの直接的な理由、今後の見通しに関する希望
医師)「治療において何か希望はありますか?」
患者)「CTを撮ってくれたら安心です」
か(感情):現在の気持ち、症状によって引き起こされた心配事
医師)「咳が続くことによって何か不安なお気持ちはありますか?」
患者)「最近、疲れやすくなっているし、何か病気が隠れていないか心配です」
え(影響):病気の発症、医療機関の受診によって生じた、身体や日常生活への影響
医師)「咳が続くことによって何か日常生活でお困りのことはありますか?」
患者)「夜も咳が続くので眠りにくいです」
【既往歴】
虫垂炎 10歳 A病院で手術
昨年の検診でも異常なし
【内服薬】
▼B整形外科
ロキソプロフェン頓服 左第4指ばね指
【家族歴】
例:夫が肺癌、祖父が大腸癌
【アレルギー歴】
NKFDA
【生活歴】
飲酒:機械飲酒
喫煙:current / past smoker、20本/日(30 pack year)
職業:事務パート、デスクワーク中心
生活:長女と次女と3人暮らし
O 【全身状態】
例:重篤感なく、会話内容も明確だが、不安そうな表情で話している。るいそうなし。
【バイタルサイン】
BP 140/90、HR80整、RR18、SpO2 97%(RA)、BT. 36.6、GCS15(E4V5M6)
【身体所見】
例:結膜充血・貧血・黄疸なし、咽頭発赤、後頭部リンパ節触知、肺胞呼吸音左右差なし、wheezes/cracklesなし
【検査所見】
除外診断や確定診断、変化を見るためのベースラインの検査に該当する場合に実施
例:血液検査、胸部X線、心電図、エコー、CT
A 【仮プロブレム】
#咳
red flag:喀血、体重減少(red flagがなければ、入院や精密検査をせず帰宅させる方針としても問題ないと考える)
【鑑別】
Common(頻度が高い):急性上気道炎
Critical(緊急度が高い):肺癌
Curable(確実な治療法がある):抗酸菌感染症
DDx:抗酸菌感染症>肺癌>急性上気道炎
発熱のない●歳女性、急性発症であり否定的ではあるが、血痰があるため痰培養を行なって抗酸菌感染症か判断する。肺癌としては経過が急性であり、経過・検診結果から可能性は低いと考える。
※確定診断がつかない場合、次回受診フォローとして未来に時間軸を伸ばす、または暫定診断として治療薬を処方して効いたかどうかを再診で確認する。
#不眠
夜間咳嗽に伴う不眠と考えられ、咳嗽軽快により不眠も改善すると考える。
P Tx)鎮咳薬での対症療法。
Px)まずは1週間の禁煙を提案→前向きに同意された。
NP=次回受診時に行う計画)咳の改善、禁煙の成否を確認。

継続外来

慢性疾患のマネジメント

目標値の達成度合い
増悪のサインの有無
生活リズム 1日の平均的なスケジュール、食事間食、運動量、服薬状況

継続外来のカルテ

#耐糖能異常
#脂質異常症
S
O
A
P 次回受診:3/10 赤ひげ先生

救急外来

病棟・一般外来 ゆっくり時間をかけて病歴聴取・身体診察・臨床検査→カルテ記載
救急外来 診察しながら緊急度の評価・安定化処置→診断と治療→カルテ記載

救急車到着前

患者の受診歴があれば必ずカルテを参照する!

S ※外傷の場合はMISTを聴取
Mechanism:受傷機転(外傷がどのように生じたか)
Injury:損傷部位
Sign:症候
Treatment:処置→Oに記載
【救急隊からの電話で聴取した主訴、経過】
例:4日前から発熱と咳で、今は動けないため家族が救急コール
O 【救急隊からの電話で聴取したバイタル、処置】
例:JCS20、BP 80/40、HR 132整、RR 30、SpO2 96%(6L)、BT 37.5
心電図モニターでSTーT異常なし、最終食事1日前
【受診歴のある患者】
・既往歴
・薬剤歴
・アレルギー歴
・最近の検査結果
・本人のADL、キーパーソンなどの社会的背景
A 【鑑別診断】
most likely:肺炎、敗血症
less likely:COVID19、市中肺炎
P 【到着時処置予定】
Tx)O2継続、生食でルート2本確保
Dx)ABCDEFG(Step1参照)

患者来院時

住所:浦安市/旅行者(いつ〜いつまで滞在)
来院方法:徒歩/タクシー/バス/電車/自家用車
同伴者:なし/妻/パートナーなど(来院方法も記載)
S 【主訴:CC】
呼吸困難
【現病歴:HPI】
25/03/25 湿性咳嗽出現した。
25/03/26 発熱、体動困難となり本人が救急要請した。
ROS(+):
ROS(ー):
【既往症:PMH / 手術歴:PSH】
・2型糖尿病 東京医科大学病院で診断
・虫垂炎 20歳のとき手術
【内服薬:Med or DH】
▼東京医科大学病院 糖尿病内科
・トラゼンタ
【家族歴:FH】
父:胃癌、母:大動脈解離
【アレルギー】
・薬:ピリン系で小学生の時に蕁麻疹が出た
・食物:キウイを食べると口の周りが痒くなる
【Last meal(最後の食事)】
・今日の昼に蕎麦
【生活歴:SH】
ADL:
喫煙:pack year
飲酒:
職業:無職、60歳まで大工
居住:独居/〜と●人暮らし
介護保険:
O 【General appearance(直感での重症感評価)】
悶絶様/腹部をかばうように側臥位など
【ABCDアプローチ】
A:発話(+/-)→(-)の場合:stridor(+/-)
B:努力様呼吸(+/-)
C:橈骨A触知(+/-)、末梢冷感(+/-)、CRT(2秒以内/3秒以上)
D:GCS●(EVM)→GCS14以下の場合:瞳孔(3+/3+)、眼位(正常/共同偏視)
【Vital signs(機器でのバイタルサイン評価)】
BP/、HR 整/不整、RR、SpO2 %(RA)、BT ℃
【身体所見】
頭部:
胸部:
腹部:
背部:
四肢:
【神経診察所見】
<脳神経>
Ⅱ/Ⅲ:対光反射(●mm+orー/●mm+orー)
Ⅲ/Ⅳ/Ⅵ:眼位(正常/斜位)、眼球運動(正常/)、複視(-/)、眼振(-/)
Ⅴ:顔面の触覚(正常/)
Ⅶ:額しわよせ左右差(-/)、まつげ徴候左右差(-/)、口角下垂左右差(-/)
Ⅷ:指こすり音の聴取(正常/正常)、めまい(-/)
Ⅸ/Ⅹ:口蓋垂偏位(-/)
Ⅻ:舌偏位(-/)、パカタパカタの復唱(smooth/)
<上肢>
上肢バレー徴候(陰性/陰性):上肢の麻痺筋の確認
上肢の振戦(-/+):上肢を前に伸展させ手首を背屈させて観察
上肢トーヌス(正常/固縮/痙縮)
長母指外転筋MMT(5/5):上肢遠位筋の指標
上腕二頭筋MMT(5/5):上肢近位筋の指標
回内回外(smooth/)、指鼻指試験(smooth/)
<下肢>
Mingazzini徴候(陰性/陰性):下肢の麻痺筋の確認
Babinski徴候(陰性/陰性):錐体路障害の確認
膝踵試験(smooth/)
前脛骨筋MMT(5/5):下肢遠位筋の指標
大腿四頭筋MMT(5/5):下肢近位筋の指標
<立位>
歩行(正常/)、つぎ足歩行(正常/)、Romberg徴候(-/+)
【検査所見】
例:血液:WBC 14000など
血ガス:pH 7.24など
A 【最終診断】
#発熱
#湿性咳嗽
#肺炎疑い
【最終診断がつかない場合】Criticalな疾患を除外した旨を記載
#発熱
#湿性咳嗽
#鑑別診断(DDx):結核、NMT
※鑑別診断を考える優先順位としてCritical(見逃すと危険)→Curable(治療が遅れると予後悪化)→Common(高頻度だが後で対応しても問題ないもの)
P 【転帰(Disposition)】
本人と妻に検査結果を共有し、冷静に状況を理解された。●●の症状が出現したら再診、●日以上症状が続いたら再診するようお伝えし、帰宅の方針とした。

小児の場合

親に挨拶した後、目を見ながら「●●ちゃん、こんにちは。●●と言います。名前を教えて?今いくつ?」と話しかけながらPATを行う。5歳くらいから主訴に信憑性があると言われている。

住所:●●市/旅行者(いつ〜いつまで滞在)
来院方法:徒歩/タクシー/バス/電車/自家用車
同伴者:母、父
S (お名前は?)
(何歳?)
【主訴】
【現病歴】
【既往歴】
【内服薬】
【アレルギー】
【成長】身長、体重
【直近の食事】
O 【PAT:小児評価のトライアングル】
PATで蘇生・緊急・準緊急を評価し、蘇生・緊急の場合は問診より先にABCの評価を行う
①Appearance(外観)
・疎通性のレベル、筋緊張、言語反応または啼泣
②Breathing(呼吸)
・三脚姿勢、Sniffing position、陥没呼吸、聞き取れる呼吸音
③Circulation of skin(循環・皮膚色)
・蒼白、まだら模様、チアノーゼ
A
P 【転帰(Disposition)】
例:5階南病棟へ入院。

手技のカルテ記載

記載例
手技名 腰椎穿刺
日時 2025年1月1日 12時15分〜13時00分 所要時間45分
適応 髄膜炎疑い
禁忌 穿刺部に感染徴候なし、貧血や凝固異常なし(代表的な禁忌がないことを記載)
実施者 ●●、介助●●先生、指導医●●先生
同意 患者より口頭で取得
処置内容 患者は左側臥位。ヤコビー線を確認し、L4以下からアプローチを行った。脊椎の触診を行い、穿刺部位を同定した。26G針を使用して1%キシロカインを5cc使用して浸潤麻酔を行った。続いて22G針での本穿刺を施行。穿刺針を進めている際に抵抗感が消失したところを確認し、内筒を抜去。脊髄液の流出を確認した上で、同部位で穿刺針を固定した。初圧25cmH2Oを確認後、精査目的の髄液を合計10cc採取した。採取後に終圧20cmH2Oを確認し、内筒を挿入のうえ、穿刺針を抜去した。その後、1〜2分穿刺部位をガーゼで圧迫し、絆創膏貼付のうえ手技を終了した。手技中、明らかな下肢の疼痛、痺れ、筋力低下は認めていない。
合併症 なし(下半身の麻痺や痺れ、穿刺部の血腫)
出血量 0cc
処置後 手技終了から1時間はベット上で安静を指示した。

病状説明の記録

悪いせ情報を共有する(SPIKESモデル)

患者に対する悪い知らせ(bad news telling)の伝え方の方法の一つにSPIKESモデルがある。

S :Setting
チュエーションを設定
プライバシーに配慮した適切な面談環境を設定する。
P :Perception
ーソナルな受け止め方を知る
患者が自分の状態や、これからのことをどのように考え、理解しているのかを探る。
I :Invitation
ろいろ知りたい程度を把握
患者が自分自身の健康状態をどのレベルまで知りたいかを把握する。悪い情報を聞きたいか確認する
K :Knowledge
立した情報を共有
(患者の知りたい度合いに合わせて)少しずつ、気を配りながら医学的な診療情報を伝える。
E :Empathy
モーションに対応
患者の気持ちに共感しながら、一方で客観的に、患者の様子を観察、評価する。
S :Strategy & Summary
トラテジーを立てマリーする
最後に話したことをまとめ、これからの方針を共有する。

説明の記録

説明相手 ●●さん、妻、長男
参加者 主治医、看護師●●さん、MSW●●さん
場所 5病棟面談室
内容 肺炎治療の入院経過について
主治医より)要点のみを記載する
・中等症の肺炎のため入院し、アンピシリンという抗菌薬の点滴を1日4回行い、2日目で発熱と呼吸状態は改善し食欲も戻ってきました。喀痰検査からはペニシリンという抗菌薬で治療可能であったので、トータル5日間で治療を行い昨日点滴を終了しました。
・入院時に説明していた状態悪化も起こすことはなかったので、事前に説明していたCT検査や集中治療室への移動もしておりません。
・現在は少し咳がありますが、退院可能な状態になりました。退院後は可能でしたら1週間後に外来においでください。妻より)
ありがとうございます、退院後に気をつけることはありますか。・数日間ベッドの上で過ごす時間も増えたため軽度の筋力低下を認めております。ふらつきや転倒にご注意ください。また、咳嗽により寝れない場合や嘔吐してしまうなどお困りの場合はご連絡ください。上記内容を説明した。
本人、妻、長男共に頷きながら、穏やかにお話を聞かれていた。妻から本人、長男に質問事項の有無を尋ねられていたが、特に質問はなかった。

問診時の注意

うつ病を疑う場合の問診

【PHQ-2:2質問法】

①気分 この1ヶ月間、気分が沈んだり、憂鬱な気持ちになったりすることがよくあった?
②楽しみ この1ヶ月間、物事に対して興味がわかない or 心から楽しめない感じがよくあった?
各回答 全くない:0点、数日あった:1点、半分以上:2点、ほぼ毎日:3点
結果 6点満点中、合計0点なら、90%以上の感度でうつ病を除外できる

性に関する問診

問診すべき事項
腹痛・性器出血 月経歴、性交歴(異所性妊娠、性感染症の可能性)
胃腸炎・尿路感染症の疑い 月経歴(妊娠初期の可能性)
画像検査や妊娠禁忌の薬の処方 最終月経日+妊娠反応検査
帯下異常・尿路感染症の疑い 性交歴
原因不明な発熱・咽頭痛・腹痛 性感染症の5P

【性感染症の5P】

①性行為の相手
Partners
・現在、性行為(夫婦生活)をされていますか?
・性行為の相手は性別はどちらですか?
②性行為の内容
Practices
「性感染症のリスクを知るために詳しく問診させてください」
・アナルセックスはしたことがありますか?
・オーラルセックスはしたことがありますか?
③性感染症の予防
Protection
・コンドームはどのような時に使用しますか?
・性感染症の検査を受けていますか?
④性感染症の既往歴
Past history
・過去に性感染症にかかったことはありますか?
・パートナーが性感染症にかかったことはありますか?
⑤妊娠希望
Pregnancy intention
・現在、避妊をされていますか?どのような避妊法ですか?
・現在、妊娠希望がありますか?

記載時の注意

【動詞】

話し言葉 書き言葉(カルテ記載)
〜です、〜ます 〜だ、〜である
〜かもしれない 〜の可能性がある
〜した方がいい 〜する必要がある
〜と言う、〜と書いてある 〜と述べている、〜と述べられている
わからない 不明である、まだ解明されていない
〜と思う 〜と考える、〜と考えられる
〜できる 〜が可能である
〜と感じる 〜と推測される、〜と思われる
〜は間違いだ 〜という事実は確認できない
〜しない方がいい 〜すべきでない
〜しなくてもいい 〜する必要はない
みんなが〜と言っている 一般的に〜と言われている

【副詞】

話し言葉 書き言葉(カルテ記載)
全然 全く
全部、みんな すべて
一番 最も
やっぱり やはり
絶対に 必ず
とても、すごく 非常に、大変
だんだん 次第に、徐々に
多分 おそらく
もっと さらに、より
だいたい 約、およそ
はっきりと 明確に
しっかりと 十分に
今まで 従来、これまで
わりと 比較的

【形容詞】

話し言葉 書き言葉(カルテ記載)
いろいろな 様々な
大切な 重要な
たくさんの 多くの
面白い 興味深い
いい 良い
すごい 素晴らしい
大丈夫 問題ない

【接続詞】

話し言葉 書き言葉(カルテ記載)
だけど、でも しかし、ところが
だから したがって、それゆえ
〜なので 〜のため、〜の理由で
〜なのに 〜にもかかわらず
〜けど 〜が
〜したら 〜すれば、〜すると
〜していて 〜しており

医療用語

エンゼルケア 人が亡くなった後に行う処理(死化粧など)
ポイントオブノーリターン それ以上治療が見込めない状態、回帰不能点
ムンテラ 医師が患者に対して病状や治療などに関する説明をすること
ラポール 患者との信頼関係
コントラバーシャル 議論を引き起こす、論争の的になる
デコる 急性非代償性心不全
ディスポジション 患者処遇(入院が必要、または帰宅可能と判断する行為)
アンビューバッグ バックバルブマスクのこと
摘便 自然排泄ができない人に便を用手的に排出するケア
オカルト癌 原発不明癌
レスパイト入院 在宅介護を受けている方や家族の休養を目的とした短期入院
バクテリアルトランスロケーション 腸内細菌が腸管以外の臓器に移行する現象
カーネット徴候 臥位で疼痛部位を押しながら腹壁を緊張させると疼痛が悪化する
アニソコ 瞳孔不同
ワゴる 迷走神経反射を起こす

略語

A
B BSC best supportive care=CMO 緩和治療のみ
C CLTI Chronic Limb-Threatening Ischemia 包括的高度慢性下肢虚血
CPA cardio pulmonary arrest 心肺停止
CPR cardio-pulmonary resuscitation 心肺蘇生
D
E
F
G GIM general internal medicine 総合内科
H
I ILD interstitial lung disease 間質性肺疾患
IPC intermittent pneumatic compression 間欠的空気圧迫療法
J
K
L
M
N NKFDA no known food drug allergies アレルギーなし
NCSE non-convulsive status epilepticus 非痙攣性てんかん重積
NAC NeoAdjuvant Chemotherapy 術前補助化学療法
O OMI old myocardial infarction 陳旧性心筋梗塞
P PO per os 経口投与
Q
R ROSC return of spontaneous circulation 自己心拍再開
RASS Richmond Agitation- Sedation Scale 鎮静スケール
S SSI surgical site infection 手術部位感染
T
U
V VSS vital sign stable バイタルサイン安定
Y
W
X
Z

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