神経診察のルール
必ず患者の右側に立ち(右利きの場合)、以下の順に行うこと!
| ①病巣診断 | 大脳→脳幹→脊髄→末梢N(→筋)のどこが障害されているのか同定する ※慢性経過の場合はどの部分から障害されたか確認する |
| ②機序診断 | ①突然発症(何時何分何秒):血管障害、圧迫性病変、てんかん発作・心因性 ②急性〜亜急性発症(数日〜週単位):炎症、中毒、腫瘍、圧迫、代謝 ③慢性発症(月〜年単位):変性疾患、遺伝性 ④進行 or 停止:具体的な増悪エピソード(自立歩行から杖歩行になったなど) |
| ③臨床診断 | ①+②から臨床診断を行う |
| ④検査 | 血液検査、CT、MRI |
ルーチンの脳神経系の診察
視野異常(Ⅱ)
| 経路 | 視N→視交差→視索→後頭葉 |
| 方法 | 周辺視野「片目を手で覆って、私の額を見たままで動いた指を差して」 中心視野「片目を手で覆って、この文字読んで」 |
| 視野欠損 | ①片側半盲:視神経炎、一過性黒内障、海綿静脈洞病変、網膜疾患 ②両耳側半盲:下垂体病変、頭蓋咽頭腫 ③同名半盲:脳血管障害など ※視野障害がある場合は以下の図を書いて鑑別を行うこと! ![]() |
眼瞼下垂・眼瞼狭小化(Ⅲ)
| 方法 | 「私の鼻を見てください」両眼前方50cmからライトで照らす |
| 眼瞼下垂 | ●片側の上眼瞼挙筋障害 ①動眼神経麻痺:動脈瘤(内頸動脈-後交通動脈分岐部、脳底動脈-上小脳動脈分岐部)、Weber症候群、糖尿病、海綿静脈洞病変 |
| ●両側の上眼瞼挙筋障害 ②挙筋自体の異常:先天性、眼筋ミオパチー、ミトコンドリア脳筋症 ③挙筋腱の伸展:加齢性、コンタクトレンズ ④神経筋接合部異常:重症筋無力症、ボツリヌス中毒、Lambert-Eaton症候群 |
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| 眼瞼狭小化 | ●ミュラー筋障害 ⑤交感神経麻痺:Horner症候群(めまいが併存する場合は後方循環系障害の可能性) |
眼位・眼球運動・複視(Ⅲ/Ⅳ/Ⅵ)
| 経路 | Ⅲ:動眼神経核→髄内神経根→くも膜下腔→海綿静脈洞→上眼窩裂→眼窩内![]() |
| Ⅵ:橋前槽を上行→Dorello管通過→海綿静脈洞→上眼窩裂→眼窩内 | |
| 方法 | 「顔を動かさず、目だけでペンを追って」「ペンは何本に見える」 ※眼球運動障害が軽微な場合は「二重」ではなく「物の輪郭がぼやける」と訴える |
| 記載 | 眼位(正常/斜視)、眼球運動(正常/*)、複視(なし/●方向注視で複視、遠/近方視で複視増悪、日内変動●) |
| 異常 | ●両眼の眼位異常(共同偏視など) 原因:脳出血、脳梗塞、てんかん発作 ![]() |
| ①病側への共同偏視:被殻出血や中大脳動脈領域の前頭葉における注視中枢が麻痺されるとPPRFに伝わる神経線維が障害され、交差前の障害のため病側への共同偏視となる。 ②健側への共同偏視:小脳出血などでPPRF(橋)が圧迫され、交差後の障害のため健側への共同偏視となる。 ③鼻先凝視:視床出血により中脳のriMLFを圧迫し、上方視が障害され内下方の鼻先凝視となる。 ④正中位固定:橋出血により両側の神経線維が障害され正中位となる。 |
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●片眼の眼位異常(複視)![]() |
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| ①複視が単眼性なら眼科疾患、両眼性なら眼球運動評価へ | |
②眼球運動障害パターンから障害されている脳神経を同定する ●正面位で下向き外転位→動眼N麻痺●正面位で上斜位、下方視と障害側に頭を傾けると複視増悪→滑車N麻痺 ●正面位で内転位、障害側注視と遠方視で複視増悪→外転N麻痺 |
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| ※どのパターンにも当てはまらない場合は複数の脳神経障害、MLF症候群、重症筋無力症、甲状腺眼症などを考慮 | |
| ③突然発症の複視・頭痛の場合、脳動脈瘤切迫破裂を必ず緊急で除外すること | |
④他の脳神経麻痺合併がないか確認(脳幹や海綿静脈洞などで複数の脳神経が障害)![]() |
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⑤鑑別 ●動眼N麻痺→脳動脈瘤、鉤ヘルニア、糖尿病などの微小血管障害●滑車N麻痺→外傷性、特発性 ●外転N麻痺→頭蓋内圧亢進、脳幹内病変、Wernicke脳症、フィッシャー症候群など |
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| ⑥画像検査:MRA、複視の精査のためHessチャート(眼科) | |
| ⑥血液検査:ビタミンB1(Wernicke脳症)、抗AChR抗体、甲状腺機能 |
対光反射(Ⅱ/Ⅲ)
| 経路 | 視N→中脳(EW核)→動眼N→瞳孔括約筋収縮により縮瞳 |
| 方法 | 「遠くの方を見ていて、目に光が入るよ」側面からライトを入れる |
| 記載 | 対光反射(●mm -or+ / ●mm -or+) |
| 異常 | ●瞳孔径変化しない:視N→中脳→動眼Nの病変 ①直接対光反射(ー)間接対光反射(+):視N障害、網膜疾患 ②直接対光反射(ー)間接対光反射(ー):動眼N障害 |
| ●両側縮瞳(2mm以下):脳幹の血管障害(橋出血など)、BZ系中毒、有機リン・カーバメイト系農薬中毒、CO2ナルコーシス、急性オピオイド中毒 ※高齢になると生理的に瞳孔は小さくなる点に注意 |
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| ●両側散瞳(5mm以上):てんかん発作、低血糖、アルコール離脱、交感神経賦活薬、セロトニン作動薬、三環系抗うつ薬中毒、抗コリン薬中毒 |
瞳孔不同(交感神経/Ⅲ)

| 経路 | 交感神経の経路により散瞳、副交感神経(動眼神経)の経路により縮瞳 |
| 方法 | 対光反射と同様 |
| 評価 | 1mm以上の左右差あれば瞳孔不同(明暗に対応できない瞳孔が異常) |
| 異常 | 交感神経の経路または副交感神経(動眼神経)の経路の障害により瞳孔不同が生じる |
| 救急で瞳孔不同を見たら、脳出血、脳梗塞を疑う | |
| 【交感神経の経路の異常】 ●瞳孔不同(患側縮瞳)+患側の眼瞼狭小化+患側顔面発汗低下:Horner症候群(C8~T2の交感神経障害:内頸動脈閉塞や解離、Wallenberg症候群、Pancoast症候群、大動脈瘤、後方循環系の脳卒中などが原因) |
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| 【副交感神経の経路の異常】 ●瞳孔不同(患側散瞳)+複視+患側の眼瞼下垂+対光反射消失(糖尿病性では生じない):動眼神経麻痺(脳ヘルニア、糖尿病などの微小血管障害、脳動脈瘤など) ※上記の瞳孔不同+頭痛・嘔吐・意識障害:脳ヘルニアによる動眼神経麻痺を疑う ●瞳孔不同(患側散瞳)+対光反射消失:慢性経過で、多くは無症候性。眼球運動障害や眼瞼下垂はない場合、Adie症候群(瞳孔緊張症)を疑う |
眼振(Ⅷ)
| 経路 | 橋→内耳神経→(蝸牛神経→蝸牛管) or (前庭神経→半規管) |
| 記載 | 眼振(なし/*) |
| 方法 | ①Frenzel眼鏡なし「(左右上下に)このペンを目だけで追って(止めて眼振確認)」 |
| ②Frenzel眼鏡あり「前を見て、左を見て、右を見て、上を見て、下を見て(眼振確認)」 ※内耳平衡器官による眼振は注視により抑制されるが、Frenzel眼鏡を使用すると注視を取り除くことができる | |
| 異常 | 眼振あり:中枢、小脳、前庭性の病変 |
顔面感覚(V:三叉神経)
| 経路 | (触覚)顔面感覚→橋の三叉神経核→(交差)→視床→大脳皮質の一次感覚野 (温痛覚)顔面感覚→橋の三叉神経核→延髄→(交差)→以降同上 ![]() |
| 方法 | 「額・頬・顎で感覚は同じ?(ティッシュ、アル綿の角)」なければintact |
| 記載 | 顔面感覚(正常/*) |
| 異常 | ①3領域すべてに感覚障害(その他の神経学的異常を合併している可能性あり) 中枢性:橋→視床→対側の一次感覚野に病変がある 例)脳血管障害:特にワレンベルグ症候群では片側の眼窩痛や顔面痛を呈する場合に疑い、また、片側口周囲と上肢遠位に限局した感覚障害を呈する場合は手口症候群を疑う 例)多発性硬化症:三叉神経痛など様々な症状を呈する |
| ②3領域いずれかに感覚障害 末梢性:三叉N一枝→橋に病変がある ●V1(眼神経)障害 ※V1は角膜や強膜の感覚も担う(遠心路は顔面N支配) 例)帯状疱疹の好発部位:鼻先に皮疹がある場合は角膜障害リスクあり眼科コンサルト ●V2(上顎神経)・V3(下顎神経)障害 ※V3は咀嚼運動や舌前2/3の感覚も司る 例)三叉神経痛:V2V3に血管による圧迫が加わり神経細胞が脱分極する、その結果、数秒のピリッと電気が走る感覚が片側性に生じる(歯の問題と勘違いしやすい) 例)numb chin症候群:V3のオトガイ神経が下顎骨内のオトガイ孔通過部で障害される(悪性腫瘍が多い)、その結果、下口唇や下顎部に片側性の感覚障害を呈する 例)ACS:V3領域というわけではないが放散痛として呈することがある |
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| ③触覚と温痛覚で乖離がある(触覚はあるが温痛覚なし) 中枢性:三叉神経脊髄路核の高さの脳幹(延髄)障害 ※必ずしもV1〜V3の分布と合致せず、たまねぎ型の感覚障害の場合あり! ![]() |
前頭筋・眼輪筋・口輪筋(Ⅶ:顔面神経)
| 経路 | 詳細は図を参照![]() |
| 方法 | 「上見て眉を挙げて額にシワを作って」(前頭筋運動) 「目をギュッと閉じて」(眼輪筋運動:まつげ長さの左右差を確認) 「歯を見せながらイーってして」(口輪筋運動:口角下垂の左右差を確認) ※口輪筋運動障害によりパ行(口唇音)が言いにくい |
| 記載 | 前頭筋(左右差なし/*)、眼輪筋(左右差なし/*)、鼻唇溝(左右差なし/*) |
| 異常 | ①片方の口角のみ上がらない(額のしわ寄せは可能) 中枢性:運動野→橋に病変がある 例)脳血管障害:突発〜急性発症の場合に疑う ![]() |
| ②片方の額のしわ寄せできない、まつ毛の睫毛の隠れ方に左右差あり(重度は兎眼)、片方の口角が上がらない(味覚障害やあぶみ骨筋の聴覚調節障害も末梢性の特徴) 末梢性:橋→顔面Nに病変がある 例)Bell麻痺、Ramsay Hunt症候群:Bell麻痺は1〜3日単位で急性進行性に顔面麻痺となる、Ramsay Hunt症候群は耳介部や軟口蓋に皮疹がないか確認する ![]() |
耳鳴り・難聴(Ⅷ)
| 方法 | 耳から15cm付近で指こすり/指パッチンをして「聞こえますか?」 |
| 記載 | 聴覚指こすり音(正常/*) |
| 異常 | ●耳鳴り、難聴あり→難聴の鑑別(Weber試験) 【Weber試験】 振動させた音叉を前頭部にあて、どちら側の音が大きいか確認。正常なら正中だが、一側のみ大きく聞こえる場合を偏位ありとし、指こすり音で聞こえる健側なら感音難聴、聞こえにくい患側なら伝音難聴を疑う。 【Rinne試験(伝音難聴疑いの場合に追加で行う)】 振動させた音叉を乳様突起にあて、骨伝導で音が聴こえなくなったらすぐに外耳孔付近に移す。聴こえた場合はRinne陽性で正常(or 感音難聴)、聴こえない場合はRinne陰性で伝音難聴疑い。 |
口蓋垂偏位・構音障害(Ⅸ/Ⅹ)
| 方法 | 「口を開けてアーって言って」 |
| 記載 | 口蓋垂(偏位なし/*)、構音障害(なし/*) |
| 異常 | ●軟口蓋が挙上せず健側へ口蓋垂の偏位あり ●後咽頭壁にヒダが健側へ偏位あり(カーテン徴候) 延髄→舌咽N・迷走Nのどこかが片側性に障害され、障害側の軟口蓋は挙上せず、健側に偏位 ※舌咽N障害の場合は舌後1/3の感覚も確認する 例)右側に偏位があれば、延髄→左舌咽N・左迷走Nのどこかに障害あり (支配筋は両側支配のため中枢の運動野→延髄までの病変はないと考えて良い) |
| ●本人・家族より呂律が回っていないとの主訴 構音障害と判断する前に、失語とGeneral weeknessを除外する ※構音障害によりガ行(喉音)が言いにくい ![]() |
舌偏位(XⅡ)
| 方法 | 「舌を前に突き出して、左右に動かして」 ※線維束性収縮は舌を出す前に確認する |
| 異常 | ※構音障害によりラ行(舌音)が言いにくい ①舌偏位あり、舌萎縮・線維束性収縮がない 中枢性:運動野→延髄が片側性に障害され、障害部位と反対方向に偏位する 例)左側に偏位があれば、右脳の運動野→延髄のどこかに障害あり ②舌偏位あり、舌萎縮・線維束性収縮がある 末梢性:延髄→舌下Nが片側性に障害され、障害部位と同方向に偏位する 例)左側に偏位があれば、延髄→左舌下Nのどこかに障害あり ③舌が出ない 運動野→延髄→舌下Nまでが両側性に障害され生じる |
錐体路系&錐体外路(上肢)・小脳の診察
| わかること | |
| ①不随意運動 | 「手を前に出して背屈してキープ」 ●不随意運動が生じる:錐体外路障害など ●安静時振戦:大脳基底核に障害があると静止時に振戦が生じる |
| ②バレー徴候 | 座位「指を閉じて手のひらを上にして。目をつぶってキープ」 ●回内しながら落下:MMTでは捉えることの難しい軽微な筋力低下 |
| ③筋トーヌス | 「力を抜いて、私が腕を動かすよ(肘関節・手関節・回内回外)」 ●屈曲・伸展どちらも抵抗あり(固縮):錐体外路障害 →Myerson徴候を確認し、10回刺激して10回瞬目あれば陽性 ●肘の屈伸を素早くすると伸展時に抵抗あり(痙縮):錐体路障害 |
| ④鼻指鼻試験 | ●企図振戦(目標に近づいた時急に震えが増大):小脳協調運動障害 |
| ⑤回内・回外試験 | 「このようにキラキラ星を作るようにしてみて」 ●運動が遅い・回転軸が一定しない:小脳協調運動障害(反復拮抗運動×) |
| ⑥上肢MMT | 三角筋「手を横に広げてキープ」:C5→腋窩N 上腕二頭筋「力こぶ作って」:C5/6→筋皮N 腕橈骨筋「腕相撲の形で手を前に」:C5/6→橈骨N 上腕三頭筋「手をまっすぐ伸ばしてキープ」:C7→橈骨N 手根伸筋群「グーを上にしてキープ」:C6→橈骨N 手根屈筋群「グーを下にしてキープ」:C7→正中N・尺骨N ![]() |
錐体路系&錐体外路(下肢)・小脳の診察
| わかること | |
| ①下肢バレー徴候 ①ミンガツィーニ徴候 |
「うつ伏せで両膝を45°曲げてキープ」:中枢性の筋力低下 「仰向けで両膝を90°曲げて目をつぶってキープ」:同上 |
| ②膝踵膝試験 | 「踵を反対の足の膝にトントン蹴って、踵を脛の上で滑らせて」 ●足の揺れ、不器用な感じ:小脳協調運動障害 |
| ③筋トーヌス | 「力を抜いて、私が足を動かすから」 ●歯車現象や鉛管現象あり(固縮):小脳協調運動障害 |
| ④下肢MMT | 腸腰筋「ももを挙げてキープ」:L3-4→大腿N 大腿四頭筋「脚を伸ばしてキープ」:L3-4→大腿N 大腿屈筋群「脚を曲げて(踵を下に引く)」:L5-S1→脛骨N・総腓骨N 前脛骨筋「つま先を挙げてキープ」:L5→深腓骨N 下腿三頭筋「つま先を下に伸ばして」:S1→脛骨N ![]() |
| ⑤Babinski徴候 | 何度か行い1度でも母趾の背屈を認めたら病的(陽性)と判断する![]() |
起立・歩行の観察(位置覚・関節覚)
| わかること | |
| ①歩行 | 「普通に歩いて」「つま先と踵をくっつけて歩いて(つぎ足歩行)」 錐体路障害:はさみ歩行、ぶん回し歩行 錐体外路障害:小刻み歩行 小脳障害・前庭N障害:酩酊様歩行 腓骨N麻痺:鶏歩 |
| ②Romberg試験 | 「足を揃えて、目を閉じて」 ●脊髄後索障害:転倒(暗闇で倒れやすいと訴える) |
反射の診察(神経障害部位の診断)
左右差を見ることが大切(反射の程度は個人差が大きく、健常者でも反射の亢進・低下はある)
| 確認する神経 | 正常反射の反応(病的反射は病的反応) | |
| 上腕二頭筋反射 | C5→筋皮N | 上腕二頭筋収縮により前腕が屈曲する |
| 上腕三頭筋反射 | C7→橈骨N | 上腕三頭筋収縮により前腕が伸展する |
| 橈骨反射 | C6→橈骨N | 腕橈骨筋収縮により肘関節が屈曲し、前腕が回外する |
| 膝蓋腱反射 | L3-4→大腿N | 大腿四頭筋収縮により下腿が伸展する |
| アキレス腱反射 | S1-2→脛骨N | 下腿三頭筋収縮により足が屈曲する |
| バビンスキー反射 | 錐体路 | 母趾は背屈し、その他の指は全て扇状に開く |
| チャドック反射 | 錐体路 | 同上 |
| ホフマン反射 | C8以上の錐体路障害 | 手関節を軽度背屈位とし、患者の中指の爪の部分を掌側へと弾いたときに母指が内転すれば病的反射陽性。健常者にも認められることがあるので、片側に確認された時には診断に有用。 |
| トレムナー反射 | C8以上の錐体路 | 同上 |
| 口尖らし反射 | 橋以上の錐体路 | 上口唇の真上の正中部を軽く叩くと口を尖らす |
感覚系の診察
神経根障害ではデルマトームに一致した感覚障害がみられる。
| わかること | |
| 触覚 | 「ティッシュで触って左右差、腕と脚の差はあるか?」 病巣:一次Nから後角→同レベルで交差して脊髄前索を上行して視床へ→対側の感覚野 病巣:脊髄後索を上行→延髄で交差して視床へ(内側毛帯)→対側の感覚野 触覚は2つの経路があるため |
| 温痛覚 | 「アルコール綿ケースの角で突いて左右差、腕と脚の差はあるか?」 病巣:一次Nから後角→同レベルで交差して脊髄側索を上行して視床へ→対側の感覚野 |
| 振動覚 (深部覚) |
「(尺側茎状突起、外果・内果に数秒当て)左右差はある?」 病巣:脊髄後索を上行→延髄で交差して視床へ(内側毛帯)→対側の感覚野 脊髄後索や糖尿病などの末梢神経障害で振動覚障害を生じる。 |
| 位置覚 | 「足元を見ずに、足の親指が上向きか下向きか教えて」 病巣:脊髄後索を上行→延髄で交差して視床へ(内側毛帯)→対側の感覚野 脊髄後索や糖尿病などの末梢神経障害で振動覚障害を生じる。 |
自律神経系の診察(問診)
| 問診 | |
| 起立性低血圧 | 「立ちくらみはないか?」 |
| 発汗障害 | 「汗のかき方に変化はないか?」 |
| 排尿障害 | 「おしっこが出にくいか?」:S2-4からの副交感神経障害 |
| 蓄尿障害 | 「おしっこの回数は?失禁は?」:交感神経障害 |
| 排便障害 | 「下痢・便秘はあるか?」 |
| 性機能障害 | 「勃起不全はあるか?」 |
認知機能の診察(大脳レベル)
| わかること | |
| 見当識 | 時間・場所・人を認識できない場合は前頭葉障害が疑われる。 |
| 常識 | 「今の総理大臣は?」など常識が回答できない場合は前頭葉障害が疑われる。 |
| 計算 | 「100ー7は?」計算ができない場合は頭頂葉障害が疑われる。 |
| 近時記憶 | 「朝何食べた?」を回答できない場合は側頭葉障害が疑われる。 |
| 遠隔記憶 | 「卒業学校は?」を回答できない場合は大脳連合野の障害が疑われる。 |
しびれ(感覚障害)
しびれの概要
| 定義 | しびれ=感覚障害である。他覚的に感覚が低下している感覚低下(感覚鈍麻)、低下していない異常感覚がある。感覚低下の場合は神経支配領域と合致するが、異常感覚は必ずしも神経支配領域と合致しない場合がある。感覚低下は病巣診断に最も寄与する。![]() |
| 解剖 | 温痛覚障害と深部感覚障害を主訴に受診することは稀で、めまいや歩行障害に随伴して身体所見をとると判明することが多い![]() |
| 神経長 | 神経長の長い神経から左右対称に障害されることを長さ依存性の感覚障害と言い、糖尿病性ニューロパチーやアルコール性ニューロパチーなどのポリニューロパチーで生じる![]() |
①病巣診断
| ①大脳 | 対側半身や感覚野の領域のしびれ |
| ②脳幹 | 障害側顔面と対側頸部以下のしびれ |
| ③脊髄 | 障害レベル以下の両側のしびれ |
| ④神経根 | デルマトームに一致したしびれ |
| ⑤神経絞扼 | 単神経障害によるしびれ |
| ⑥末梢神経 | 手袋靴下型 |
②機序診断
突然発症なら血管障害で緊急疾患、数日〜1週間の発症なら炎症代謝、慢性なら変性疾患。
急性期に患者が温痛覚障害や自発的な異常感覚(ピリピリしますなど)を訴えないことは多い。
Raynaud現象
基礎疾患がない場合をRaynaud病、基礎疾患がある場合をRaynaud症候群という。
| ①膠原病 | 強皮症、SLEなど(※リウマチ熱や関節リウマチは来しにくい) |
| ②外傷性 | 振動工具使用者など |
| ③閉塞性動脈疾患 | 閉塞性動脈硬化症、Buerger病など |
| ④その他 | クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症、胸郭出口症候群、甲状腺機能低下症、β遮断薬内服など |
しびれの診察
| ABC | 血圧左右差 |
| S | 突然発症か否か |
| ①半身のしびれ:低血糖を除外した後、大脳病変か脳幹病変(脳卒中)を考慮 ②片側の口のしびれ:視床のラクナ梗塞など ③片側の口+同側の上肢のしびれ:橋>視床>大脳皮質の梗塞(手口症候群) ④片側顔面+対側半身のしびれ:延髄梗塞を考慮 ⑤AFの既往がある患者の突然の痛みを伴うしびれ:急性動脈閉塞症 ⑥手や上肢のしびれ:頸椎の神経根病変(頸椎症性神経根症、頸椎症性脊髄症)か神経絞扼障害(手根管症候群)を考慮 ・頸椎症性神経根症:初発は頸部痛が先行しその後上肢痛やしびれが生じる ・頸椎症性脊髄症:初期症状は両手指のしびれと歩行障害が多い ⑦足のみのしびれ:脊髄の神経根病変 ⑧四肢優位のしびれ(手袋靴下型):糖尿病、尿毒症、VB12欠乏などによる多発神経炎。初期は下肢だけが多い |
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| O | 神経診察 |
筋力低下(運動障害)
筋力低下の概要
| 定義 | 筋力低下とは客観的に低下した状態(MMTなどで評価)、脱力(感)とは力が入らない感覚主観的な訴えである。 |
| 解剖 | 上位運動ニューロン:中心前回→放線冠→内包後脚→大脳脚→橋→錐体交叉→側索 下位運動ニューロン:前角→神経根→神経叢→末梢神経(→神経筋接合部→筋肉) ![]() |
| 原因 | 筋力低下は上位運動ニューロン〜下位運動ニューロンのいずれかが障害されると生じる |
①病巣診断

| 6つの評価項目 | 左記から病巣を推定する |
| ①病歴聴取 | 病巣を意識した問診から病巣を絞り込む |
| ・下肢近位筋力↓:階段の上り、風呂で浴槽をまたぐ動作が大変 ・上肢近位筋力↓:頭を洗う動作、重いものを持ち上げる動作が大変 ・上肢遠位筋力↓:ボタン締めずらい、ペットボトル蓋を開けられない ・小脳失調:コップに水を注ぐときにこぼれる、字を書くのが汚い |
|
| ②筋力の評価 | 軽微な筋力低下の有無、筋ごとの筋力低下の差(MMT)を確認 |
| ③腱反射・病的反射 | 特にBabinski徴候があれば上位運動ニューロン障害を疑う |
| ④感覚障害の評価 | 感覚障害を伴う場合は神経筋接合部〜筋病変は否定的だとわかる |
| ⑤障害の分布パターン | 脳では広範囲、脊髄では髄節単位、末梢神経なら一部が障害される |
| ⑥膀胱直腸障害の評価 | 脊髄病変では膀胱直腸障害を伴うことが多い |




●正面位で
●動眼N麻痺→脳動脈瘤、鉤ヘルニア、糖尿病などの微小血管障害














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