細菌総論

微生物学

病原細菌の体内での分布パターンは上半身にグラム陽性球菌が多く、下半身にグラム陰性桿菌が多い傾向がある。

耐性菌についての対策はこちらを参照。

真核細胞と原核細胞の違い

真核細胞 原核細胞
核あり 核なし
核膜付随器官あり
(小胞体、ゴルジ体など)
核膜付随器官ない
線状DNA 環状DNA
ミトコンドリアあり ミトコンドリアなし
リボソーム80s(40s+60s) リボソーム70s(30s+50s)

細菌の構造

細胞壁の構造

  グラム陽性菌 グラム陰性菌
ペプチドグリカン +(厚い) +(薄い)
外膜(リピドA+O抗原) +
リポ多糖 +(外膜に含まれる)
タイコ酸 +(ペプチドグリカン層に含まれる)

細菌が発育するための酸素の条件

種類 酸素の条件 代表細菌
偏性好気性菌 空気中でしか発育できない 結核菌、緑膿菌
微好気性菌 少量の酸素が必要 カンピロバクター属、ヘリコバクター属
通性嫌気性菌 空気がなくても発育可
酸素があるほうが発育が良い!!
腸内細菌、ブドウ球菌、連鎖球菌など多くの細菌
偏性嫌気性菌 酸素があると死滅する
(H2O2など過酸化物の処理×)
クロストリジウム属

内毒素と外毒素の違い

  外毒素 内毒素(エンドトキシン)
毒素本体 菌体内で産生される毒素(蛋白質 グラム陰性菌のLPSのリピドA
熱処理 熱で失活(蛋白質だから) 耐熱性
ホルマリン処理 無毒化するが抗原性はある
=トキソイド
無毒化しない
(抗原性も高くない)
免疫原性 強い抗原性を示し、
抗毒素抗体ができる
リピドAに対する抗体ができないため、
毒性を中和できない
毒性 毒性は強力!
黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン)
A群連鎖球菌
赤痢菌・腸管出血性大腸菌(ベロ毒素)
ボツリヌス菌・破傷風菌・ジフテリア菌
毒性は抗原が菌体内に留まるため弱い。
菌体が破壊されてリピドAが血中に放出されると、視床下部に作用し発熱、免疫細胞を活性化しサイトカインを放出し、IL-1・IL-6・TNF-αによってCRP産生。凝固系が亢進し、重症の場合は敗血症性ショックを起こす。

グラム染色

貪食細胞に貪食されている菌が感染症の起因菌と考えられる。常在菌の混入に注意。

喀痰検体

唾液ではなく喀痰を出すよう患者に伝える。喀痰採取前に義歯を外し、うがいをして唾液を流す。喀痰が出ない場合は高張食塩水をネブライザーで吸入し喀痰を誘発する。喀痰採取後は検体を直ちに4℃の冷蔵庫で保管する。爪楊枝を使用してスライドガラスにできるだけ薄く検体を伸ばす。

  Miller & Jones 分類 Geckler分類
検査法 肉眼的 顕微鏡的(塗抹検査)
結論 M1〜2はほぼ唾液のため不適 白血球が多く、扁平上皮が少ない検体が良い検体
詳細 M1:唾液、完全な粘性痰
M2:粘性痰の中に膿性痰を少量含む
P1:膿性部分が1/3以下の痰
P2:膿性部分が1/3~2/3の痰
P3:膿性部分が2/3以上の痰
1群〜6群あり、6群に行くほど良い検体
詳細割愛

尿検体

尿道カテーテル留置の場合、必ず尿道カテーテルを新しいものと入れ替えてから検体を採取する。スライドガラスへの固定をしっかり時間をかけて行う。

髄液検体

必ず遠心機にかけて、底に溜まった部分をグラム染色する。

便検体

スライドガラスに薄く検体を伸ばす。

染色方法

染色方法  
①塗抹 検体をスライドガラスに薄く塗る
②乾燥 ドライヤーを裏から当てる
③固定 アルコールで固定する(省略可)
④クリスタル紫で染色 裏からできるだけゆっくり水を流す
⑤ルゴール液でヨード化 裏からできるだけゆっくり水を流す
⑥エタノールで脱色 裏からできるだけゆっくり水を流す
⑦サフラニン液で対比染色 裏からできるだけゆっくり水を流す
⑧乾燥  

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