基底細胞癌 BCC:basal cell carcinoma

皮膚科

BCCの診察

病態・症状

疫学 40歳以上に好発、皮膚癌で最多
概要 毛包由来の癌と言われており、転移しにくいため基本的には予後良好と言われている
病態 毛芽を構成する細胞由来の悪性腫瘍と考えられており、局所破壊性を持つが、リンパ行性転移しにくいため予後良好のことが多い(ときに神経や骨へも浸潤・進展し、局所制御不能になることもある)。紫外線、外傷、放射線、瘢痕などと関連性がある。また、慢性放射線皮膚炎、脂腺母斑、色素性乾皮症、母斑性基底細胞癌症候群などの基礎疾患から発症することもあり、この場合は若年者にも生じ、多発する。結節潰瘍型(80%以上を占める)、表在型、破壊型、斑状強皮症型、ピンカス型に分類される。
部位 顔面に好発(特に鼻周囲など正中部)
症状 無症状のことが多い

身体所見

視診 本邦では約90%が有色素性の病変である(無色性は皮膚色となる)
●結節潰瘍型BCC

硬い黒褐色蝋様の光沢性小結節で、しばしば中央が潰瘍化し、拡張血管が透見できる
●表在型BCC

体幹に好発、紅色〜黒褐色の扁平隆起性浸潤局面を形成し、徐々に外側へ拡大する
●破壊型BCC

結節潰瘍型が進行したもの
斑状強皮症型(モルフェア型)BCC

楕円形の浸潤局面で中央がやや萎縮するもの

ダーモスコピー

BCCの診断

生検・病理結果

確定診断 浸潤傾向の強い部分を部分生検する。
病理結果 様々な分類があるが、治療においてモルフェア型以外あまり意味がない。モルフェア型では周囲への浸潤傾向が強い。神経浸潤が1〜10%に認められる。
●浸潤の高い組織型(aggressive型)
①浸潤型(infiltrating):神経浸潤を起こしやすく、モルフェア型と重複しやすい
②硬化/モルフェア型(sclerosing/morpheic):深くまで浸潤する
③微小結節型(micronodular):神経浸潤を起こしうる
④基底有棘細胞癌:有棘細胞癌への分化を伴う基底細胞癌→リンパ管や神経浸潤
●浸潤の低い組織型(非aggressive型)
①結節型(nodular):最も頻度が高い
②表在型(superficial):
③線維上皮型/ピンカスの線維上皮腫

画像検査

固有筋膜、筋層、太い神経や血管、骨への浸潤が疑われる場合に行う

エコー
造影CT
造影MRI

鑑別診断

ダーモスコピーが有用とされている

毛芽腫 毛芽細胞に由来する良性腫瘍
母斑細胞母斑
青色母斑
Spitz母斑
脂漏性角化症
悪性黒色腫
尋常性疣贅
壊疽性膿皮症

BCCの治療

外科的切除

切除範囲 低リスクBCC:4mmマージン(推奨度A)
高リスクBCC:5〜10mmマージン(推奨度B)
※高リスク
↑高リスクBCCに対しては、永久標本により断端陰性を確認した上で再建する二期的手術は勧められる(推奨度B)。
切除深度 多くの場合、皮下脂肪織を十分含めて切除することが勧められるが、組織型が高リスク(斑状強皮症型/浸潤型/微小結節型)もしくは腫瘍径が大きい場合にはより深部の脂肪織全層または下部組織も含めた切除を要することがある(推奨度B)。
鼻部 外鼻は部位により構造が異なるため、部位別に切除深度を検討する。病理結果で筋肉への浸潤傾向が強い

手術で切除断端陽性の場合

手術で切除断端陽性の場合、高リスクBCCは断端陰性になるように再切除を行うことが勧められる。不完全切除例で手術が困難かもしくは希望しない患者に対しては放射線治療を考慮してもよい(推奨度B)。

鼻部再建術

放射線療法

機能や整容性を考慮した場合、放射線療法は基底細胞癌の根治治療の一つとして勧められる(推奨度B)。放射線療法では90%以上の症例で局所制御が得られるが、頻回の通院や二次発がんなどの問題もあり、遅発性有害事象を考慮し60 歳以上(または70 歳以上)の症例を中心に行うべきと考えられている。

局所化学療法

低リスク部位の表在型基底細胞癌に対しては5-FU 軟膏が高い奏効率を示す。適応症例を厳選すれば、治療法として考慮してもよい(推奨度C1)。一般には5-FU 局所投与は、5%製剤を1 日2 回、少なくとも3~6 週間(臨床的反応によっては10 週間以上)継続する。

凍結療法

結節型や表在型基底細胞癌に対しては凍結療法が再発率はやや高いものの高い奏効率を示す。適応症例を厳選すれば、治療法として考慮してもよい(推奨度C1)。

光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy)

表在型/結節型BCC 再発率はやや高いものの高い奏効率を示す。適応症例を厳選すれば、治療法として考慮してもよい(推奨度C1)
高リスクBCC PDT は勧められない(推奨度C2)

イミキモド外用

表在型基底細胞癌に対しては5%イミキモドクリームが再発率はやや高いものの、高い奏効率を示す。適応症例を厳選すれば、治療法として考慮してもよい(推奨度C1)。

BCCの術後

術後フォロー

定期的な経過観察を考慮してもよいが、その頻度や期間についての基準は示されていない(推奨度C1)。高リスクBCCでは従来通り5 年間の経過観察が勧められている。

再発例

再発した基底細胞癌に対しては、外科的切除が強く推奨される(推奨度A)。

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