局所麻酔薬の概要
局所麻酔薬の種類
| 作用発現 | 排泄 | アレルギー反応 | |
| アミド型 | 早い:pKaが低く非イオン型の割合が多くなるため | エステル型より遅い:肝臓(CYP)で分解されるため | エステル型と比べ稀 |
| エステル型 | 遅い:pKaが高くイオン型の割合が多いため | 早い:大部分は血中エステラーゼによって分解される | 血中の偽ChEによって分解され、分解産物によるアレルギー反応を起こしやすい |
代表的局所麻酔薬
| アミド型 | |
| リドカイン(キシロカイン®) | 表面麻酔・浸潤麻酔・硬膜外麻酔によく使用される |
| 作用発現まで1分、作用時間は約1時間 | |
| E入りで作用時間が延長&出血抑える(禁忌:指、陰茎) | |
| ブピバカイン(マーカイン®) | 表面麻酔以外は使用可能 |
| 作用発現まで1分、作用時間は3時間 | |
| レボブピバカイン(ポプスカイン®) | 浸潤麻酔・伝達麻酔・硬膜外麻酔のみに使用 |
| 作用発現まで1分、作用時間は3時間 | |
| ※ブピバカインより心毒性・CNSへの副作用低い | |
| ロピバカイン(アナペイン®) | 浸潤麻酔・伝達麻酔・硬膜外麻酔のみに使用 |
| 作用発現まで1分、作用時間は2.5時間 | |
| ※ブピバカインより心毒性低い | |
| エステル型 | |
| テトラカイン(テトカイン®) | 脊麻のみに使用 |
| 作用発現まで1分、作用時間2.5時間 |
局所麻酔の極量と中毒症状
| 中毒症状 | 局所麻酔薬中毒は投与5分以内に75%が発症し、血中濃度が上昇するに従い、めまい、耳鳴り、舌や唇の痺れ、金属様の味覚から始まり、徐々に多弁や興奮症状になり、その後意識消失、痙攣が生じる。さらに上昇すると昏睡、呼吸停止に陥る。重症な場合は心毒性(血圧低下、徐脈や頻脈、心室性不整脈、心停止)も生じる。 |
| 中毒の治療 | ①局所麻酔薬の投与を中止し、気道確保+酸素投与、ルート確保! |
| ②痙攣があればミダゾラムなどBZ系投与 | |
| ③イントラリポス®(20%脂肪乳剤製剤):1.5mL/kgを初回ボーラス投与し(初回投与の上限100mL)、続けて0.25 mL/kg/分で持続投与する | |
| 極量 | 1%キシロカイン®の極量:0.4mL/kg(浸潤麻酔では最大200mg) |
| 1%E入りキシロカイン®の極量:0.7mL/kg(最大500mg) | |
| 0.5%E入りキシロカイン®の極量:1.4mL/kg |

局所麻酔薬の副作用
局所麻酔薬アレルギー確認:歯の麻酔で気分が悪くなったことある?家族にもいる?
| アレルギー症状 | 発疹、蕁麻疹、全身性浮腫、呼吸困難、血圧低下 |
| 対処法 | アドレナリン皮下投与、ステロイド投与 |
表面麻酔
表面麻酔の概要
| 表面麻酔とは | 皮膚や粘膜表面などに直接塗布し、皮下や粘膜下へ麻酔薬を浸透させて除痛する方法。針刺入の疼痛を軽減するなどに用いられる。 |
| テープ剤 | ①ペンレステープ18mg®(リドカインテープ) |
| 患部の大きさに合わせてテープを切り、約30〜60分間貼付する。約1〜2時間効果持続する。 | |
| クリーム剤 | ①エムラクリーム®(リドカイン・プロピトカイン配合クリーム) |
| 皮膚の色が透けない程度の厚さに塗り約60分間ラップをする(ODT)、塗布時間は120分を超えないこと。約1〜2時間効果持続する。損傷皮膚、性器、粘膜には使用しない。 | |
| 点眼剤 | ①ベノキシール点眼0.4%®(オキシブプロカイン点眼) |
| 点眼後、約16秒で麻酔効果があらわれ、約14分間効果持続する。 | |
| スプレー剤 | ①キシロカインポンプスプレー8%®(キシロカインスプレー) |
| スプレー後、約15分で麻酔効果があらわれ、約1〜2時間効果持続する。 通常、20万倍ボスミンを添加し、鼻粘膜の表面麻酔に使用する。 |
LET
| 概要 | リドカイン(L)・エピネフリン(E)・テトラカイン(T)の合剤で、顔面・頭部は血流が豊富で麻酔効果が得られやすい。 |
| 禁忌 | 指、つま先、耳、鼻など、欠点:口や口唇など粘膜には使いにくい |
| 方法 | ①綿球やガーゼにLETを数mL滴下する |
| ②創部に綿球を置いた後、テガダーム®などの防水素材で被覆する | |
| ③30分程度待つ(保護者などに押さえてもらうと良い) |
局所浸潤麻酔
麻酔前に、創より遠位の関節運動・感覚・血行が問題ないか確認
(※痛くて動かせない場合は伝達麻酔をして再評価)
| 創部直接浸潤法 | 創縁から針を刺入し薬液を注入する方法 |
| 利点:刺入時痛が少ない | |
| 欠点:創の汚染が強い場合は汚染を押し込む可能性 | |
| 創縁から針を刺入し、吸引試験をしつつ、直径1cmの丘疹をつくり、そこから皮下組織に薬液をゆっくり注入していく | |
| フィールドブロック法 | 創傷の周囲に局所麻酔する方法 |
| 利点:創の汚染が強い場合でも可能 | |
| 欠点:刺入時痛がある | |
| 創の端から創に平行になるように針を刺入し、吸引試験をしつつ、直径1cmの丘疹をつくり、そこから皮下組織に薬液をゆっくり注入しながら針を進めて縦長の膨疹をつくる |
伝達麻酔
眼窩上神経ブロック
| 解剖 | 上眼窩裂から出た眼神経(V1)は眼窩上神経と滑車上神経に分岐する。眼窩上神経は眼窩上壁に沿って走り、内側枝と外側枝に分かれる。外側枝は眼窩上孔を通り眼窩上切痕から出て、内側枝はその約1cm内側の前頭切痕から出てくる。内側枝のすぐ内側には滑車上神経が走行する。眼窩上神経は前頭筋の下を上方に走行する前に、下方に枝を出し、上眼瞼や結膜に枝を出す。 |
| 範囲 | 眼窩上孔から内側の部分でブロックすることにより、頭皮、上眼瞼、鼻背の一部の麻酔が得られる。![]() |
| 注入法 | 正中から2.5cm外側の眼窩上縁に眼窩上切痕があるので触診で探し、眉毛の下方から針を刺入し、その切痕まで針を進める。吸引テスト後、1%リドカインを約2mL注入する。その後、針を内側に向けて内側枝や滑車上神経周囲に約1mL注入する。![]() |
| 眼窩上切痕がわからない場合は、眼窩上縁中央部の眉に沿って骨の表面近くに上記の方法で注入していく。 | |
| 合併症 | 合併症は少ないが、眼窩内に刺入した際に球後出血や外眼筋麻痺の可能性があり、麻酔後に複視がないことを確認するのが良い。 |
眼窩下神経ブロック
| 解剖 | 下眼窩裂から出て眼窩内に入った上顎神経(V2)は眼窩下神経と呼ばれ、眼窩下神経は眼窩下溝から眼窩下管を通り、眼窩下孔より皮下に出て、鼻翼、下眼瞼、頬、上口唇に枝を出す。 |
| 範囲 | 眼窩下孔をブロックすることにより、鼻翼、下眼瞼、頬、上口唇の麻酔が得られる。![]() |
| 注入法 | 経皮的:正中から2.5cm〜3cm外側、眼窩下縁の中点から1〜1.5cm下方に眼窩下神経孔があるので触診で探し、その孔に吸引テスト後、1%リドカインを約2mL注入する。![]() |
経口的:左指で眼窩下孔を触れながら、歯槽部から針を刺入し、指で針先を感じたところで薬液を注入する。![]() |
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| 合併症 | 麻酔薬の注入は神経孔内では行わない(神経損傷や神経の虚血を起こす可能性があるため)、よって、頬骨や上顎骨前面に一度針先を当てて針の長さを確認する。 |
オトガイ神経ブロック
| 解剖 | 下顎神経(V3)から分岐した下歯槽神経は下顎孔から下顎管に入り込み、前方に進んでオトガイ孔から皮下に出てオトガイ部の皮膚と下口唇の粘膜・皮膚に達する。 |
| 範囲 | オトガイ孔をブロックすることにより、オトガイ部の皮膚と下口唇の粘膜・皮膚の麻酔が得られる。![]() |
| 注入法 | 下顎骨正中から2.5cm外側の第1か2小臼歯歯肉縁の1cm下方にオトガイ神経孔を触診で探し、その孔に吸引テスト後、1%E入りキシロカインを1〜2mL注入する。![]() |
| 合併症 | 麻酔薬の注入は神経孔内では行わない(神経損傷や神経の虚血を起こす可能性があるため)、よって、下顎骨前面に一度針先を当てて針の長さを確認する。 |
後頭神経ブロック
滑車下神経ブロック
| 解剖 | 眼神経(V1)の分枝である鼻毛様体神経から分岐し、内側直筋の上縁に沿って前方に進み、上斜筋の滑車の下を通過して眼窩の外へ出る。 |
| 範囲 | 滑車下神経ブロックすることにより、上下眼瞼の内側の麻酔が得られる。![]() |
| 適応 | 鼻骨骨折整復術、涙管ブジー挿入術、涙嚢鼻腔吻合術 |
| 注入法 | 鼻根部外側に、吸引テスト後、1%キシロカインを1〜2mL注入する![]() |
腕神経叢ブロック(腋窩アプローチ)
| 解剖 | 腋窩部近位で腕神経叢は外側、内側、後神経束になり、腋窩血管周囲鞘の中を走行し、腋窩遠位で正中神経、橈骨神経、尺骨神経、筋皮神経になるが、筋皮神経はすぐに血管鞘から烏口腕筋に入る。![]() |
| 範囲 | 肋間神経支配域の腋窩上腕は麻酔されない。また、麻酔薬が少なく腕神経束レベルまで浸潤していない場合には、筋皮神経と腋窩神経はブロックされない。![]() |
| 注入法 | ①まず、肩を外転、肘を90度屈曲させて前腕を頭側におく。 |
②大胸筋の外側縁で上腕Aの拍動を触れ、そのすぐ外側を穿刺し血管神経鞘内に中枢に向けて1%E入りキシロカイン®を吸引テストした後に20mL注入する。放散痛を得る必要はないが、放散痛があった場合には針をその場で止めて注入する。![]() |
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| ※動脈穿刺した場合には、動脈壁を貫いたところで注入する。上腕A穿刺による血腫の可能性があるため、なるべく細い針(通常25G)を用い、出血傾向のある場合は避けるのが望ましい。 |
手関節部掌側でのブロック
腕神経叢ブロックの補助にも有用である
| 解剖 | ![]() |
| ①正中Nは、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間を走行する。 | |
| ②尺骨Nは、尺側手根屈筋腱の橈側を走行する。 | |
| ③橈骨Nは、橈骨Aから橈骨手根伸筋腱までの浅筋膜内を通過する。 | |
| 範囲 | ![]() |
| 注入法 | いずれも、放散痛を得たところで、吸引テスト後、2〜3mLの1%キシロカイン®を注入する。 |
①正中神経ブロック![]() |
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②尺骨神経ブロック![]() |
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③橈骨神経ブロック![]() |
足関節でのブロック
指神経ブロック
| 解剖 | 指節骨の2時と10時方向に2本の背側指神経(橈骨神経と尺側神経の枝)、4時と8時方向に掌側指神経(正中神経と尺側神経の枝)がある。掌側指神経は掌側の指動静脈が併走している。![]() |
| 注入法 | 23G針+10mLシリンジを用意、神経1本に対して2mLずつ、4か所に計8mL使用(①左背側指神経、②左掌側指神経、③右背側指神経、④右掌側指神経) ①指の付け根に斜めに針を入れて骨に当て、吸引テスト後、2mL注入 ②針を戻して手掌側に方向を変え、少し進めて吸引テスト後、2mL注入 ③④対側も①②と同様に行い、10分後に疼痛を確認 |




















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