血管腫(乳児血管腫、老人性血管腫、血管拡張性肉芽腫、グロムス腫瘍)

皮膚科

血管腫の分類

乳児血管腫(旧 苺状血管腫)infantile hemangioma

疫学 乳児の約1〜2%
病態 血管内皮細胞が増殖し、その後扁平化して退縮する疾患。眼瞼、口唇、鼻腔、外耳道に生じるものは視力、哺乳、呼吸、聴力などの機能障害となる可能性がある。飲部や肛門周囲に生じるものはおむつかぶれにより潰瘍を形成して問題となる。
分類 ①局面型:隆起は軽度で鮮紅色でイチゴ状の外観を呈する
②腫瘤型:表在の赤色斑だけでなく皮下に腫瘤を認めるため大きく隆起する
③皮下型:濃青色を呈した腫瘤を形成するが皮膚表面には赤みがない
症状 生後3〜4週から鮮紅色かつ隆起性の病変が見られ、1歳程度まで増大する(増殖期)。それ以降は徐々に退縮し(退縮期)、数年で軟らかい瘢痕を残して自然消退する(消退期)。
検査 【画像所見】
①エコー:境界明瞭で内部が不均一な低エコー充実性病変、増殖期には拍動性の血管を多数認め、退縮期になると血管数が減少して脂肪変性するため高エコーに変化する。
②造影MRI:体表に血管腫が多発する場合に検討
診断 特徴的な隆起性病変と病歴、軟、硝子圧により退色・縮小
治療 【色素レーザー療法】
レーザーは局面型の表面病変が適応となる。従来は経過観察が主流だったが、自然消退した後にしわ、たるみ、色素脱失、瘢痕などの整容面に問題があることから、発生直後から積極的に治療を行う。治療開始は早ければ早いほど後遺症が少ないとされる。レーザーは増殖期に行い、赤みが遷延する場合は退縮期に行うこともある。基本的に3ヶ月間隔で照射を行う。
●照射設定
乳児血管腫は増殖した毛細血管が皮膚表層に達していることが多く、表皮損傷を回避するような設定とするため、平坦なものに対してはパルス幅を短く、隆起したものには10msec以上で設定することが多い、フルーエンスは11J/cm2程度、スポットサイズ7mmから始めることが多い。照射時は、スポットがあまり重ならない程度に、紫斑を形成しない程度に照射する。
●アフターケア
レーザー照射後はワセリン基材の軟膏(リンデロンVG軟膏など)で3日〜1週間ほど保湿を行い、びらんや潰瘍形成を予防する。炎症後の色素沈着を予防する目的で照射後3〜6ヶ月は遮光を勧める(顔面はサージカルテープ、それ以外は洋服などで被覆)。
●治療中止のタイミング
ある程度赤みが薄くなったとき(無理に照射を続けると色素脱失や瘢痕となる)
【薬物療法】
プロプラノロール(ヘマンジオル®シロップ):腫瘤型や皮下型のようなレーザーが届かない場合は内服を併用すると良い。小児科を受診させ、入院しながら適応を確認する。
【手術療法】
増殖期を過ぎても乳児血管腫が残存する場合は就学前に切除することもできる

老人性血管腫(ルビースポット) senile angioma

病態 反応性の血管増殖が原因と考えられている。20代から見られ、加齢とともに増加する。
症状 体幹に多発する鮮紅色の光沢のある点状の紅色丘疹で赤いほくろに見える
治療 経過観察、または色素レーザー療法
●照射設定
パルス幅20〜40msec、フルーエンス11J/cm2程度、スポットサイズ7mmから始める

毛細血管拡張性肉芽腫(化膿性肉芽腫)

病態 外傷などが誘因となって生じた毛細血管の増殖と血管腔の拡張を主体とした血管腫の一種。新生児の場合は臍部に生じることが多い。小児の場合は顔面に、成人では体幹や四肢に好発する。急速に出現してびらんを形成して出血するので、無色素性悪性黒色腫などの悪性腫瘍との鑑別を要する。
症状 外傷により容易に出血し、潰瘍を形成する
所見 φ数mm〜2cmの半球状に隆起した有茎性で鮮紅色の軟らかい腫瘤
治療 ①外科的切除
②CO2レーザー
③凍結療法

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