メラノサイト系母斑の分類

母斑細胞母斑(色素性母斑) NCN:nevus cell nevus
疾患の概要
| 概要 | 小型のものは黒子(ほくろ)と言われ、大部分は後天性。 |
| 病態 | 神経堤由来の母斑細胞(=メラノサイトとシュワン細胞のどちらにも分化しきれず中途半端な状態の細胞)が異常に増殖することにより生じる黒褐色の色素斑(ただし、メラニン欠乏している母斑細胞もある)。増殖している母斑細胞の存在部位から境界母斑、複合母斑、真皮内母斑の3つに分類される。![]() |
| 分類 | ①黒子(1.5cm未満):生下時には存在せず、3〜4歳頃から生じて次第に増加し、20〜30歳代をピークとして以後は退色し、脂肪組織や線維性組織で置き換わる。 |
| ②黒あざ(1.5cm〜20cm):頭頸部に好発し、多くは先天性で生下時から存在し、成長とともに拡大、明瞭化する。 | |
| ③巨大先天性色素性母斑(20cm以上):生下時から存在する。有毛性のものは獣皮様母斑と呼ばれ、悪性黒色腫を発生しやすい。稀に中枢神経症状を伴う(神経皮膚黒色症)。 | |
| 症状 | なし |
NCNと類似した良性病変
| ①脂漏性角化症 | NCNはドーム状に隆起するが、SKは扁平に隆起する![]() |
| ②老人性色素斑 | 小斑で茶褐色の場合は初期のNCNと類似する |
| ③後天性真皮メラノサイトーシス | 青色が加わるためNCNと鑑別しにくい![]() |
| ④青色母斑 | NCNは皮内だが、青色母斑は脂肪層まで達する![]() |
黒子と名前がつくが母斑細胞の増加を認めないもの
以下は紫外線の影響下にメラノサイトの限局的な増加をきたし、平坦な黒褐色病変を生じたもの
| ①単純黒子 | 生下時〜幼少時に出現し、直径1.5cm未満の一部不整形な黒褐色斑 |
| ②日光黒子 | 老人性色素斑、中年以降の露光部に出現 |
| ③悪性黒子 | 悪性黒色腫の表皮内病変 |
| ④黒子を多発する疾患群 | 色素性乾皮症、Peutz-Jeghers症候群、Cronkhite-canada症候群 |
通常型NCN

| ①境界母斑 | 真皮表皮接合部に限局し、メラニン産生能が高い。 |
| ②複合母斑 | 境界母斑と真皮内母斑の混合型で、小型の母斑細胞母斑が多い。 |
| ③真皮内母斑 | 真皮内に限局し、深部に行くほどメラニン産生能が低下する。頸部や体幹に生じた有茎性・乳頭状表面のものをウンナ色素性母斑、顔面に好発し半ドーム状・軟毛を伴うものをミーシャー母斑という。 |
特殊型NCN
| ①巨大先天性色素性母斑 | 分類を参照 |
| ②分離母斑 | 主に眼瞼の上下に分布する中型のNCN。ほとんどが生下時から存在し、黒褐色を呈する。 |
| ③⽖甲黒色線条型母斑 | ⽖甲に縦走する黒色線条をきたす。大部分は爪母に生じたNCNであるが、線条が爪の外にまで及ぶ場合は悪性黒色腫の可能性が高い。![]() |
| ④Spitz母斑 | 小児〜50歳代に発症、主に頭頸部に突然出現して比較的急速に直径1cm程度まで拡大し、周囲が紅色調を呈する場合もある。悪性黒色腫のとの鑑別が困難なことがあり外科的切除する。![]() |
| ⑤Clark母斑 | 思春期前後から生じる、直径5mm以上の斑状ないし扁平にわずかに隆起したNCNであるが、①不整形、②境界不明瞭、③濃淡差のある色調のうち2つ以上の特徴を有するものをいう。加齢とともに消退する。 |
NCNの診断
悪性黒色腫との鑑別が重要!
ダーモスコピー
基本的に周囲の皮膚との境界が明瞭な茶褐色から黒色、形状が円か楕円のものはNCN。境界が不整で色調に濃淡があり、潰瘍や出血を認める場合は悪性の可能性を考える。
生検
NCNの治療
| ①経過観察 | ダーモスコピーや皮膚生検で良性と考えられる場合 |
| ②外科的切除 | 直径6mmを超える掌蹠病変や比較的大きなものは悪性化リスクや整容的に切除 |
| ③レーザー | 悪性腫瘍を否定し、かつ、顔面は5mm未満、その他は3mm未満の場合 |
| ※これ以上の大きさをレーザーで切除すると陥凹瘢痕になる可能性が高い | |
| ただし、眼瞼部や鼻部など切縫術により変形を生じる場合は行う場合がある |
外科的切除
| 切除縫縮術 | 0.5〜1mmマージンで切除(メラニン欠乏型NCNは色素を認める範囲が母斑の範囲と一致しないため、手術用ルーペなどで皮膚性状を観察して切除範囲を決定する) |
| くり抜き切除術 | 鼻尖部や鼻翼部にある直径5mm以下の母斑はデルモパンチやメスによるくり抜き切除。2ヶ月程度で平坦化し、1年以内に目立たなくなることが多い。 |
| 皮弁形成術 | 単純縫縮は難しいが、植皮やエキスパンダーを使うほど大きくない場合に行う。 |
| 植皮術 | 大きな母斑で、切除後に局所皮弁で創閉鎖できないものに行う。ただし、植皮瘢痕が目立つことが多い。 |
| 連続縫縮術 | 1回の手術で切除縫縮が困難な場合に行う。ただし、回数を重ねるほど切除縫縮できる幅が少なくなるため、初回手術でできるだけ大きく切除する。回数を重ねるほど手術の間隔をあける必要がある。 |
| TE法 | 母斑周囲に1〜数個のエキスパンダーを挿入し、皮膚伸展後に母斑を切除する。2回の手術で完結するようTEの大きさや埋入部位を検討する。 |
レーザー治療
| 使用機器 | CO2レーザー |
| 事前説明 | ①治療後の創部の紅斑:紅斑が落ち着くまで約6ヶ月かかる→化粧でカバー ②治療後の陥凹瘢痕(顔以外は肥厚性瘢痕):ニキビ痕の窪みになる可能性あり→陥凹瘢痕した場合、半年は経過観察し、その後再度レーザーを検討 ③再発の可能性:切縫術より再発率は高い(多くは数ヶ月以内)→再度レーザー |
| 適応なし | 青色母斑は脂肪層まで達しており病変が残存する可能性ありレーザー適応でない![]() |
| 注意点 | 原則、黒色病変が完全に消失するまで切除する。そのため、NCNの立体構造を理解し、どの深さまで病変を切除するか事前に判断する。![]() |
| 術後 | レーザー後は潰瘍が形成されるため、潰瘍が埋まるまで2週間の抗菌薬入りの軟膏を塗布し、マイクロポアなどのテープで保護する。また、術後1ヶ月程度は治療部の紅斑が濃くなる。術後1〜2週間で上皮化するため、その頃に再受診してもらい創部の陥凹や隆起の程度、紅斑の色調を確認する。術後1ヶ月後の再受診で創部など陥凹など問題ない場合は色素沈着予防のため日焼け対策を促しておく。 |
| 照射方式 | ①focused beam、②defocused beamの2つの形式があり、大きさと深さに応じてスポットサイズは0.6mm径 or 0.9mm径、出力は8〜20Wの範囲で行う。![]() |
| 【扁平なNCNの切除方法】 ①E入りキシロカインで局所麻酔する。 ②NCNの辺縁から照射を開始し、辺縁が全て除去されたら中央部を照射する。 ※適宜生食ガーゼで焼痂を除去し、NCNが残存しないよう注意する |
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| 【隆起したNCNの切除方法】 ①E入りキシロカインで局所麻酔する。 ②NCNの辺縁から照射を開始し、辺縁が全て除去されたら中央部をセッシで持ち上げながらやや水平に照射して底面部を蒸散させる。 ③数方向から施行することでNCNが一塊に切除され、最後に創面を確認して残存している可能性がある部分に追加照射する。出血があればレーザー凝固する(生食ガーゼで擦らない)。 ![]() |










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