輸血の適応と処方

血液内科

①輸血の適応

赤血球製剤
予測上昇Hb
目標Hb値:7〜9g/dL
注意点 ・輸血以外で治療できる病態は輸血すべきでない(鉄欠乏、VB12欠乏など)
・希釈する場合は生理食塩水で希釈する
・K含有があるため腎機能障害や透析患者では高K血症に注意する
・慢性的にRBC輸血を繰り返すと鉄過剰になる場合もある
濃厚血小板製剤
 
予測上昇PLT
目標PLT値:5万/μL(外傷性頭蓋内出血では10万)
禁忌 TTP・HIT:血栓症増悪のリスクのため
注意点 ・ITPの場合は血小板輸血の効果が乏しい
抗血小板薬投与中の非外傷性頭蓋内出血に投与すると予後悪化の可能性
・頻回に血小板輸血を繰り返すと抗体が誘導され輸血不応になる場合あり
・免疫性血小板輸血不応が疑われる場合、HLA抗体を調べる
新鮮凍結血漿
予測上昇凝固活性
注意点 ・出血を伴わない凝固異常の場合、予防投与は推奨されない
・循環血漿量を確保するためにFFPを輸血することはしない
・融解後3時間以内に投与する

②輸血の処方

採血オーダー

血液型 ・患者の血液型を調べる試験 (ABO血液型検査)
オモテ試験:患者の血球と抗A/B抗体を反応させる。
ウラ試験:患者の血清抗体とA/B血球を反応させる。
  ・患者がD抗原(Rh+)を持つか調べる試験 (Rh血液型検査)
患者の血球と抗D抗体を反応させ、凝集すればRh+である。
不規則抗体 ・抗A/B抗体以外の抗体の有無を調べる試験
(※規則抗体:抗A/B抗体のこと)
クロスマッチ
(交差適合試験)
・輸血製剤を患者に投与して問題ないか調べる試験
主試験:患者の血清輸血製剤の血球を反応させ、凝集しなければ輸血可能。もし患者が不規則抗体を保有していれば輸血製剤は凝固する。
※ABO血液型検査とは別の時点で採取された検体を使用!(検体取り違えによるABO不適合輸血を防止するため)検体は原則輸血前3日以内のもの!
※緊急時 院内で血液型ダブルチェック(確定)が済むまで、
赤血球製剤はO型血球
濃厚血小板と新鮮凍結血漿はAB型血清を使用する。
クロスマッチは省略可能、Rh不一致は輸血不可
輸血拒否時の対応
(宗教的輸血拒否に関するガイドラインより)
・患者が18歳以上で本人が輸血を拒否する場合は輸血できない。この場合は免責証明書を作成するか、転院を勧告する。
・患者が15歳以上、18歳未満の場合は親権者、本人いずれかが輸血に同意すれば輸血可能。
・患者が15歳未満、または医療の判断能力がない場合は親権者が輸血を拒否しても輸血を行うことは可能。

輸血オーダー

血液製剤依頼指示  
クロスマッチ  

③輸血の点滴

①輸血用ルート確保 輸血のみにルート使用(20G使用)
②点滴速度 輸血開始から15分間は1mL/分、輸血開始15分後からは最速5mL/分で投与する。
③患者観察 5分後、15分後、以降30分毎に状態確認

④輸血の副作用

即時型副作用

輸血中に発熱、発疹、呼吸困難など出現したら、まず輸血を中止しアセスメントを行う。

発熱時 体温1℃未満の上昇で、他の症状がなければ発熱性非溶血性副作用として経過観察し、その後も安定していれば輸血を再開することも可能。
  体温1℃以上の上昇で、悪寒、低血圧、悪心嘔吐など伴う場合、溶血性副作用(ABO式不適合輸血)や細菌感染症の合併として輸血を中止する。また、輸血製剤のIDをカルテに必ず控えておく。
蕁麻疹 軽度の蕁麻疹・掻痒のみであれば、輸液と抗ヒスタミン薬投与で対応する。症状が改善すれば再度輸血を再開することも考慮する。症状が改善しない場合は輸血を再開しない。
  中等度以上の蕁麻疹、掻痒、皮疹、咽頭・眼・舌など他症状があれば輸液と抗ヒスタミン薬の投与を行い、アナフィラキシーショックがあればアドレナリン筋注やステロイドの投与も考慮する。輸血は再開せず、輸血製剤のIDをカルテに必ず控えておく。
呼吸器
症状
アナフィラキシー、TACO(過量の輸血による心不全)、TRALI(輸血中/後6時間以内に起こる非心原性肺水腫)、細菌感染症が鑑別となる。輸血は再開せず、輸血製剤のIDをカルテに必ず控えておく。
低血圧 輸血開始後15分以内にsBPが30mmHg以上低下し、輸血中止後10分以内に改善する場合は低血圧性輸血副作用とする。輸血は再開しない。

ABO式不適合輸血の対応

ただちに輸血を中止。
患者の血液型、交差試験を再度確認する。
溶血に対してはハプトグロビンを投与。
DICに対して、メチル酸ガベキサートなどを投与する。
腎不全に対して透析。
その他、血漿交換などを行うこともある。

遅発型副作用

溶血性副作用 ABO式血液型以外の血液型に対する赤血球抗体(Rh式不適合など)
非溶血性副作用 GVHD:製剤中のリンパ球が、宿主の免疫に異物として駆逐されずに増殖し、患者の体組織を攻撃・障害する。
※輸血製剤への放射線照射によってほぼ完全に予防できる!
感染性副作用 肝炎(B型・C型・E型肝炎ウイルス)、HIV感染、HTLV-1感染 ※ウィンドウ期があるため副作用を0%にできない
輸血後紫斑病 輸血後5〜12日で生じる血小板減少が起こり、24時間以内に血小板が急速に正常範囲から1万/μL以下に低下する。

血液製剤

特定生物由来製品には輸血用血液製剤や血液凝固因子,ヒト血清アルブミン,ヒト免疫グロブリン,ヒト胎盤抽出物などがあり,感染の危険を常に念頭に置く必要がある.感染症の発症までに長い時間経過がある場合もあるので,長期間(20年間)の記録保管が求められている.

血液製剤の種類

全血製剤 (ほぼ使うことがない)
RBC 血漿の95%を除いたもの。洗浄RBC、凍結RBC、合成血がある。
濃厚血小板  
FFP 採血後6時間以内に血漿成分を分離採取し、-20度以下に凍結保存したもの
血漿分画製剤 アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、凝固因子製剤

献血時の検査項目

一般的検査 ・血液型検査(ABO型、Rh型、不規則抗体)
・血算検査、生化学検査
抗原抗体検査 ・梅毒抗体
・HBs抗原、抗HBs抗体、抗HBc抗体、抗HCV抗体
・抗HTLV-1抗体、抗HIV抗体
・ヒトパルボウイルスB19抗原
核酸増幅検査(NAT) ・HIV、HBV、HCV、HEV

全血製剤

一般名 先発名 特徴
ヒト全血液 人全血液LR「日赤」
照射人全血液LR「日赤」
全血輸血は新生児の交換輸血など特殊な場合を除いて適応がない。採血後4℃で保存し、4〜21日の間で使用しなければならない(血液を分離せずに保存すると保存期間が極端に短くなるため)。

※LRは放射線照射により白血球除去を行なっているという意味。

血液成分製剤

  赤血球製剤(RBC) 新鮮凍結血漿(FFP) 血小板製剤(PC)
保存方法 2~6℃ -20℃以下 20~24℃振盪
有効期限 採血後21日間 採血後1年間 採血後4日間
包装 血液400mL由来
(280mL:2単位)
血液400mL由来
(240mL:2単位)
10単位
(約200mL:10単位)
期待される効果
(体重50㎏)
MAP2単位投与するとHb値は約1g/dL上昇※ 2本輸血で凝固因子活性は
20~30%上昇
血小板10単位投与で約3〜4万/μL上昇
トリガー値 Hb値が7〜8g/dL以下に低下 フィブリノゲン値が150mg/dL以下 PLT数が1〜2万/μL未満に低下
適応 出血、貧血の急速な補正に使用。白血球や血漿成分を除去し放射線照射を行って使用。 アルブミン(血管内浸透圧維持)+グロブリン(免疫能改善)+凝固因子が不足する出血(希釈性の凝固障害)に使用。 血小板が5万/μL以下で止血困難や大量出血の場合に使用

血漿分画製剤

【免疫グロブリン製剤】

【アルブミン製剤】

慢性的な低タンパク血症に対して一時的な改善を図り使用する。また、循環血漿量増加のため使用する。詳細は輸液製剤を参照。

【凝固因子製剤】

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