抗癌薬・抗癌剤

薬理学

抗がん剤の治療効果判定

【固形癌の場合】

完全奏効
CR:complete response
腫瘍が消失した状態が4週間以上続いた状態。リンパ節病変は10mm未満に縮小。
部分奏効
PR:partial response
腫瘍の長さの合計が30%以上減少し、それが4週間以上続いた状態。
安定
(SD:stable disease)
PRおよびPDの基準にどちらにも当てはまらない状態。
進行
(PD:progressive disease)
腫瘍の長さの合計が20%増加し、かつ5mm以上増加した状態。

アルキル化薬

DNAをアルキル化して、DNA複製を阻害する。

ナイトロジェンマスタード類

一般名 略語 先発名 特徴
シクロホスファミド CPA エンドキサン 【欠点】出血性膀胱炎 
イホスファミド IFM イホマイド 【欠点】出血性膀胱炎
ブスルファン BUS マブリン散
ブスルフェクス点滴静注
【欠点】悪心嘔吐、痙攣の副作用
メルファラン L-PAM アルケラン錠/静注 【欠点】口内炎、悪心嘔吐の副作用
ベンダムスチン トレアキシン点滴静注 アルキル化+代謝拮抗作用
チオテパ リサイオ点滴静注 造血幹細胞移植の前処置に使用

ニトロソウレア類

一般名 略語 先発名 特徴
ニムスチン ACNU ニドラン注 BBBを通過するため脳腫瘍に使用
ラニムスチン MCNU サイメリン注  
カルムスチン BCNU ギリアデル脳内留置用剤 脳腫瘍切除時の切除腔に留置する徐放性製剤
ストレプトゾシン STZ ザノサー点滴静注 膵β細胞への選択毒性を持つ

トリアゼン類

一般名 略語 先発名 特徴
ダカルバジン DTIC ダカルバジン注  
プロカルバジン PCZ  
テモゾロミド TMZ テモダールCP/点滴静注 BBBを通過するため脳腫瘍に使用
【欠点】

代謝拮抗薬

葉酸、ピリミジン、プリンなどの核酸合成過程で生成される代謝物の構造類似物質を作用させることで、正常の核酸代謝を阻害してDNA合成を阻害する。時間依存的に抗腫瘍活性が増強する。

葉酸代謝拮抗薬

メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD):MTX投与後約5年で発症する。約半数にEBウイルス感染が確認されている。診断後はMTXを中止し、経過観察を行う。

MTXの用量依存性副作用
→葉酸を補充!
消化器症状:口内炎,悪心,胃部不快感
肝機能障害
骨髄抑制:血球減少
MTXの用量非依存性副作用 薬疹
間質性肺炎
リンパ腫
一般名 略語 先発名 特徴
メトトレキサート MTX メソトレキセート 【欠点】骨髄抑制、口内炎、下痢→レボホリナートNa併用により有害反応低下
ペメトレキセド PEM アムリタ注 複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害
【欠点】骨髄抑制、間質性肺炎、下痢、腎機能低下→ビタミンB2併用で有害反応低下
プララトレキサート ジフォルタ注  

ピリミジン代謝拮抗薬

一般名 略語 先発名 特徴
フルオロウラシル 5-FU 5-FU注/軟膏  
ドキシフルリジン 5-DFUR フルツロンCP 5-FUのプロドラッグ
カペシタビン ゼローダ錠 5-DFURのプロドラッグ
デガフール FT フトラフールCP/注/坐剤 5-FUのプロドラッグ
テガフール+
ウラシル(1:4)
UFT ユーエフティー配合CP T 5-FUの分解阻害薬としてウラシルを配合
テガフール+
ギメラシル+
オテラシルK(1:0.4:1)
TS-1 ティーエスワン 5-FUの分解阻害薬としてギメラシル、
消化器毒性軽減のためオテラシルを配合
シタラビン Ara-C キロサイド注
キロサイドN注
 
シタラビン オクホスファート SPAC スタラシドCP シタラビンのプロドラッグ
エノシタビン BH-AC サンラビン点滴静注 シタラビンの誘導体で、短時間の点滴で効果が持続する
ゲムシタビン GEM ジェムザール注  

プリン代謝拮抗薬

一般名 略語 先発名 特徴
メルカプトプリン 6-MP ロイケリン散  
フルダラビン フルダラ錠/静注 細胞性免疫低下が強い
ネララビン アラノンジー静注  
ペントスタチン DCF コホリン静注 アデノシンデアミナーゼ阻害
クラドリビン 2-CdA ロイスタチン注  
クロファラビン エボルトラ点滴静注  
フォロデシン ムンデシンCP プリンヌクレオシトホスホリラーゼ阻害。

その他の代謝拮抗薬

一般名 略語 先発名 特徴
リボホリナートCa l-LV アイソボリン点滴静注  
ホリナートCa LV ロイコボリン錠/注
ユーゼル錠
 
ヒドロキシカルバミド
(ヒドロキシウレア)
HU ハイドレアCP  
アナグレリド アグリリンCP  
L-アスパラギナーゼ L-ASP ロイナーゼ注  
アザシチジン ビダーザ注  
トリフルリジン
+チピラシル
ロンサーフ配合錠  

抗腫瘍性抗生物質

一般名 略語 先発名 特徴
マイトマイシンC MMC マイトマイシン注  
アクチノマイシンD ACT-D コスメゲン静注  
ブレオマイシン BLM ブレオ注 【欠点】肺線維症の副作用
ペプロマイシン PEP ペプレオ注  

微小管阻害薬

ビンカアルカロイド系

一般名 略語 先発名 特徴
ビンクリスチン VCR オンコビン注  
ビンブラスチン VLB エクザール注  
ビンデシン VDS フィルデシン注  
ビノレルビン VNR ナベルビン注  

タキサン系

一般名 略語 先発名 特徴
パクリタキセル PTX タキソール注  
パクリタキセル
+Alb懸濁型
nab-PTX アブラキサン点滴静注  
ドキタキセル DTX タキソテール点滴静注
ワンタキソテール点滴静注
 
カバジタキセル ジェブダナ点滴静注  

その他の微小管阻害薬

一般名 先発名 特徴
エリブリン ハラヴェン静注  

白金製剤

一般名 略語 先発名 特徴
シスプラチン CDDP ランダ注
アイエーコール動注
 
ミリプラチン ミリプラ動注  
カルボプラチン CBDCA パラプラチン注  
ネダプラチン アクプラ静注  
オキサリプラチン エルプラット点滴静注  

トポイソメラーゼ阻害薬

トポイソメラーゼⅠ阻害薬

一般名 略語 先発名 特徴
イリノテカン CPT-11 トポテシン点滴静注
カンプト点滴静注
 
イリノテカン
+リポソーム製剤
オニバイド点滴静注  
ノギテカン ハイカムチン注  

トポイソメラーゼⅡ阻害薬(アントラサイクリン系)

一般名 略語 先発名 詳細
ドキソルビシン
(アドリアマイシン)
DXR アドリアシン注 【欠点】薬剤性心筋症の副作用
ドキソルビシン
+リポソーム製剤
ドキシル注  
ダウノルビシン DNR ダウノマイシン静注  
ピラルビシン THP テラルビシン注
ピノルビン注
 
エピルビシン EPI ファモルビシン注  
イダルビシン IDR イダマイシン静注  
アクラルビシン ACR アクラシノン注  
アムルビシン AMR カルセド注  
ミトキサン MIT ノバントロン注  

その他のトポイソメラーゼⅡ阻害薬

一般名 略語 先発名 詳細
エトポシド VP-16 ラステット
ベプシドCP/注
 
ソブゾキサン ペラゾリン細粒  

サイトカイン

一般名 先発名 特徴
IFNγ-1a イムノマックスγ注 抗ウイルス作用、細胞増殖抑制作用
テセロイキン イムネース注 IL-2
デニロイキン レミトロ点滴静注 IL-2+ジフテリア毒素融合蛋白

ホルモン製剤

アロマターゼ阻害薬

一般名 先発名 特徴
アナストロゾール アリミデックス錠  
エキセメスタン アロマシン錠  
レトロゾール フェマーラ錠  

抗エストロゲン薬

一般名 先発名 特徴
タモキシフェン ノルバデックス錠 タモキシフェンは,第一世代の選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である.乳腺組織に対しては抗エストロゲン作用を示し,増殖抑制に働くが,更年期以降の低エストロゲン状態におかれた子宮内膜に対しては弱いエストロゲン様作用を示すため子宮体癌の発症リスクとなる
【副作用】抑うつ状態や不眠を起こしやすい
トレミフェン フェアストン錠  
フルベストラント フェソロデックス筋注  

抗アンドロゲン薬

一般名 先発名 特徴
フルタミド オダイン錠 前立腺癌
ビカルタミド カソデックス錠 前立腺癌
エンザルタミド イクスタンジ錠  
アパルタミド アーリーダ錠  
ダロルタミド ニュベクオ錠  
クロルマジノン プロスタール錠  
アビラテロン ザイティガ錠  

プロゲステロン

一般名 先発名 特徴
メドロキシプロゲステロン ヒスロンH錠  

エストラジオール

一般名 先発名 特徴
エストラムスチン エストラサイトCP エストラジオール+ナイトロジェンマスタードの化合物。
エチニルエストラジオール プロセキソール錠  

GnRHアゴニスト&アンタゴニスト

一般名 先発名 特徴
ゴセレリン ゾラデックスデポ  
リュープロレリン リュープリン注 アゴニスト
デガレリクス ゴナックス皮下注 アンタゴニスト

 

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