形成外科 Common diseases(口唇口蓋裂)

皮膚科

口唇口蓋裂の概要

口周囲の解剖

表面 赤唇以外の口唇を白唇という。
筋肉 口唇とその周囲は、口輪筋と9個の表情筋で構成される。口輪筋は浅層と深層に分けられ、白唇部の上部は主に浅層から、赤唇部は深層から構成されている。浅層は正中部にて交叉し、真皮に侵入して人中を形成する。
口腔 口蓋帆挙筋(はんきょきん)は軟口蓋を後上方に挙上する。口蓋帆張筋(はんちょうきん)は耳管軟骨から起始しており、筋が収縮すると耳管が開放する。

治療別の口唇口蓋裂の分類

①片側唇顎裂 唇裂:裂が上顎まで及ばないもの。非常に軽度な痕跡唇裂から鼻の変形を伴ったものまであるが、基本的に矯正歯科治療を必要としない。
唇顎裂:裂が上顎まで及ぶが、切歯孔を越えないもの。白唇部における裂の程度は様々であり、不全唇裂から完全唇裂まで存在する。皮膚・筋など軟部組織および歯・骨などの硬組織の低形成・欠損例が見られ治療に難渋することもある。矯正歯科治療を必要とする。
②口蓋裂 口蓋裂:裂は上顎にはないが、切歯孔より舌側に裂が存在するもの。裂の存在部位により主に硬軟口蓋裂、軟口蓋裂に分類される。
③片側唇顎口蓋裂 唇顎口蓋裂:裂が上顎から切歯孔を越え口蓋垂に至るもの。片側唇顎裂と同様、白唇部における裂の程度は様々であり、不全唇裂から完全唇裂まで存在する。皮膚・筋など軟部組織および歯・骨などの硬組織の低形成・欠損例が見られ治療に難渋することもある。矯正歯科治療を必要とする。
④両側唇顎裂 唇顎裂が両側のもの
両側唇顎口蓋裂 唇顎口蓋裂が両側のもの
補足用語
痕跡唇裂 裂が皮膚表面の線上陥没に留まるもの
不全唇裂 裂が口唇に留まり鼻孔まで達しないもの
完全唇裂 裂が鼻孔まで達するもの

発生機序

口唇裂と口蓋裂の発生機序は異なるもののため、別々に認めることもある。

頻度 口唇口蓋裂の発生頻度は、日本では約1/600出生である
左右差 口唇裂は左側に多い
口唇裂 胎生期7〜10週に何らかの異常が生じることで口唇裂が発生する。
口蓋裂 口蓋は一次口蓋と二次口蓋からなり、一次口蓋は第7週ごろまでに、二次口蓋は第12週ごろまでに完成する。一次口蓋と二次口蓋のY字型癒合部の一次口蓋最後部を切歯孔という。第9〜12週に両側の外側口蓋突起同士や鼻中隔の癒合が不完全な場合に口蓋裂が発生する。

診断

出生前 胎児超音波顔面スクリーニング検査
口唇裂 片側唇裂の特徴:口輪筋を主体とする軟部組織の連続性が断たれている。顎裂や口蓋裂を伴うと、健側の上顎歯槽部は前方に転位して、①②鼻尖・鼻柱基部は健側に偏位し、③患側鼻翼の扁平化や④患側鼻翼基部の外下方偏位、⑤キューピッド弓患側頂点の著しい上方偏位が生じる。これらが治療の対象となる。
両側唇裂の特徴:骨性の連続性が失われ、中間顎(上顎骨の最も前方にある部分)は上前方に突出し中間顎の口腔前庭も浅くなっている。その結果、①〜③鼻尖や鼻翼が扁平化し、鼻柱が短くなり、④外鼻孔は形成されず、⑤キューピッド弓患側頂点の著しい上方偏位が生じる。これらが治療の対象となる。

治療目的

口唇裂 審美再建が主体(口唇裂が摂食障害の原因とはならない)
口蓋裂 機能再建が主体(軟口蓋の粘膜下に筋組織が発達し、発声や嚥下機能に関連する)

術前管理

①哺乳問題 完全口蓋裂や硬軟口蓋裂では口腔内を陰圧にしにくいため、哺乳が難しい。そのため、出産早期に人工口蓋床(Hotz床など)を作製・装用し、同時に術前顎矯正を進める。人工口蓋床を装着して、直接授乳できると哺乳に関する筋肉の発達が良くなり、顎発達も良く将来の口腔機能の成熟が期待できる。
②術前顎矯正 術前顎矯正により口蓋板の平坦化やGPPを低侵襲で行うために矯正する。
③歯並び 永久歯が生え始める5歳以降から矯正歯科治療
④手術時期 ①プライマリー:3ヶ月で口唇形成術、1歳半で口蓋形成術+チュービング
※口蓋形成術:早期に軟口蓋を閉鎖することで鼻咽頭閉鎖機能を獲得し、「タ」「パ」などの発音を可能にする。
※チュービング:口蓋裂患者は耳管機能が未熟で滲出性中耳炎や難聴を伴うことがある。そのため、鼓膜に小さな穴を開けて換気用のチューブを留置する 。
②二次手術:6〜8歳で顎裂骨移植、12歳以上で口唇鼻形成術
⑤発音問題 言語訓練

術後管理

①口腔内診査 口蓋創部や骨露出部の被覆剤および保護床の状態を確認
②飲食確認 水分摂取や食事内容(3分粥、5分粥)を確認
③口腔内衛生 口腔内の汚れを確認、血液など汚れがある場合はきれいにする
④抑制帯 口腔内に手指を入れたりするのを防止するため肘関節抑制帯など用いる

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