新生児
【定義】
新生児 | 出生後28日未満の児 |
早産児 | 在胎期間が37週未満の児 |
巨大児 | 4000g以上の児 |
低出生体重児 | 2500g未満の児 |
極低出生体重児 | 1500g未満の児 |
超低出生体重児 | 1000g未満の児 |
【低出生体重児の合併症】
頭蓋内出血、RDS(在胎週数32週未満の時)、敗血症、肺出血、無呼吸発作、その他(Wilson-Mikity症候群、気管支肺異形成症、未熟児網膜症)を合併しやすい。また、低体温、低血糖、高ビリルビン血症、多血症、電解質異常(低Ca血症)がみられやすい。
出産直後(新生児仮死、Apgarスコア)
羊水や粘液の除去、保温を行いながら1分・5分時にApgerスコアを計算して新生児仮死や神経学的予後を評価する。(1分値:新生児仮死の指標、5分値:神経学的予後の指標)
Apgarスコア(10点満点):出生直後の児の状態
正常:7点以上、軽症新生児仮死:6点以下(蘇生の処置などが必要)、重症新生児仮死:3点以下
0点 | 1点 | 2点 | |
皮膚色(Appearance) | 蒼白・チアノーゼ | 四肢末端チアノーゼ | 全身ピンク色 |
心拍数(Palse) | なし | 100回未満 | 100回以上 |
刺激に対する反射(Grimace) | なし | 顔をしかめる | 咳・くしゃみ |
筋緊張(Activity) | 四肢弛緩 | やや屈曲 | 活発に動かす |
呼吸(Respiration) | 無呼吸 | 緩徐・不規則 | 強く泣く |
新生児仮死は、出生時の呼吸・循環不全による低酸素血症が持続することによって多臓器不全や後遺症(脳性麻痺、知的障害、てんかんなど)が生じることである。
【新生児蘇生法アルゴリズム】
出生直後に60秒以内で実施 | A:気道開通(気道吸引) B:皮膚乾燥と刺激(呼吸促進) C:心拍数確認 その他:保温、体位保持 |
呼吸と心拍を確認 | 自発呼吸なし or 心拍数100未満の場合、段階的に処置する |
①人工呼吸 | まず、バックバルブマスクで心拍数100以上になるまで換気 (蘇生するとまず心拍から回復するため) |
②胸骨圧迫+人工呼吸(3:1) | ①を行なっても心拍数60未満なら行う 1分間なら胸骨圧迫90回+人工呼吸30回 |
③アドレナリン静注 | ②を行なっても無効な場合行う |
新生児仮死で蘇生を開始し、蘇生が奏功した場合、心拍→呼吸→その他の順に回復する。
出生当日〜退院
出生当日 | 出生後に児の状態が安定したら全身の診察を行う。 視診では、呼吸状態や皮膚所見などを確認する。呼吸状態は鼻呼吸で腹式呼吸を行い、呼吸数は30〜50、心拍数は130前後、血圧は60/40mmHg程度(7〜8歳)。皮膚所見で、成熟児では皮膚や耳介軟骨が厚く、足底のしわも多いのに対して、未熟児では産毛が多い(未熟児はウブ)。 出生に伴い母体からの糖の供給が途絶えて新生児低血糖症を生じることがある。特に、胎児発育不全があると肝でのグリコーゲン蓄積が少ないため生じやすい。 |
2日目 | 生後48時間以内に胎便(暗緑色・無菌)を確認 |
3日目 | 生後2〜3日から生理的黄疸が出現(4〜5日がピーク)するが、病的黄疸との鑑別が重要である。新生児はグルクロン酸抱合が未熟なため間接Bil優位となる。 |
4〜7日目 | 新生児マススクリーニング、聴覚スクリーニングを実施。 出生後4日間の生理的体重減少は約10%以内(1〜2週間で出生時レベルに回復)。 新生児メレナ:生後1週間以内に生じるビタミンK不足が原因の吐血・下血(黒色便)。頭蓋内出血を生じると生命・神経学的予後を著しく悪化させる。 |
退院 | ビタミンKシロップ投与(出生当日、1ヶ月後健診時も投与) |
★新生児マススクリーニング
新生児マススクリーニングは発症前に診断と加療をすることで障害発生を予防する重要な検査。通常日齢5前後で検査を施行する。
早産児や病児で出生後に母乳や人工乳が摂取でき場合は、生後5日前後で採血し哺乳が十分確立してから再度採血する。2000g未満で出生した場合は生後5日前後で採血し、①生後1ヵ月時、②2500gに達したとき、③医療施設退院時のいずれか早い時期に再度採血することが推奨され、偽陰性による発症見逃しが生じないように工夫されている。
ガメラ、ほふく前進:ガラクトース血症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、フェニルケトン尿症、クレチン症、先天性副腎過形成症
検査方法 | 標的物質 | 発見率 | |
フェニルケトン尿症 | タンデムマス法 | フェニルアラニン | 1/6 万 |
ホモシスチン尿症 | タンデムマス法 | メチオニン | 1/80万 |
メープルシロップ尿症 | タンデムマス法 | 分岐鎖アミノ酸 | 1/50万 |
ガラクトース血症 | Paigen法 | ガラクトース | 1/3万 |
先天性副腎皮質過形成症 | ELISA | 17-水酸化プロゲステロン | 1/2万 |
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症) | ELISA | TSH | 1/3000(最多) |
退院〜1ヶ月
<新生児の身体所見で経過観察としてよい所見>
所見 | 詳細 | |
皮膚 | 新生児中毒性紅斑 | 生後数日でみられる丘疹・水疱を伴う紅斑 |
蒙古斑 | 臀部,背部にみられる境界明瞭な青灰色の色素沈着 | |
サーモンパッチ | 前額正中・上眼瞼の境界不明瞭な紅斑。通常生後1〜2年のうちに自然消退する | |
チアノーゼ | 出生直後や啼泣時に生じる末梢性(四肢末端)のチアノーゼ ただし、生後の口唇・体幹のチアノーゼは低O2血症を示し、呼吸器疾患・先天性心疾患が疑われる(中心性チアノーゼ) |
|
生理的黄疸 | 生後2~3日から始まる皮膚の黄染(約90%にみられる) | |
頭部 | 産瘤 | 産道通過時の圧迫により先進部に生じる浮腫.骨縫合を越える |
頭血腫 | 狭骨盤,鉗子・吸引分娩による骨膜下出血.骨縫合を越えない | |
上皮真珠腫 | 主に歯茎に生じる光沢のある白色腫瘤(上皮組織の迷入) | |
胸部 | 軽度心雑音 | 生理的範囲内の動脈管開存,肺動脈の比較的狭窄などによる |
鎖骨骨折 | 肩甲難産に合併する | |
腹部 | 肝触知 | 乳幼児までは通常,肝臓を2~3cm触知可能 |
外陰部 | 処女膜ポリープ | 母体からのエストロゲン移行による腟入口部の突起物 |
新生児月経 | 母体からのエストロゲン・プロゲステロン消退による性器出血 | |
陰囊水腫 | 疼痛(-)透光性(+) | |
停留精巣 | 1歳までに自然下降がなければ精巣固定術 |
★新生児黄疸の鑑別
黄疸を参照
新生児けいれん
低血糖症 | 低Ca血症 | |
原因 | 母体が糖尿病 | 母体からのCa供給の途絶 |
検査値 | 血糖値50mg/dL以下 | 8mg/dL未満(正期産児) |
治療 | ブドウ糖液静注 | グルコン酸Ca静注 |
★★新生児の呼吸障害
胎便吸引症候群(MAS) | 【病態】胎便による末梢気道の閉塞 【症状】出生後に呼吸促迫症状 【検査】気管から胎便の吹き出し、羊水混濁、X線で無気肺像・気腫像を確認 【治療】気道洗浄、サーファクタント補充、人工呼吸管理 |
★呼吸窮迫症候群(RDS) | 【疫学】RDSは25週で約90%、30週で約50%が合併する 【病態】肺サーファクタントの産生不良による肺胞虚脱 【症状】出生後に呼吸促迫症状 【検査】胃液や羊水のマイクロバブルテスト陰性、X線にてすりガラス陰影やair bronchogram 【治療】挿管+肺サーファクタントの気管内投与 |
新生児一過性多呼吸(TTN) | 【疫学】帝王切開分娩に多い 【病態】肺液の吸収遅延による1回換気量減少 【症状】出生後に呼吸促迫症状 【治療】多くが酸素投与のみで、2〜3日で自然軽快 |
気管支肺異形性(BPD) | 【病態】RDS発症後の人工呼吸による圧損傷や酸素毒性による慢性肺疾患 |
Wilson-Mikity症候群 | 【病態】絨毛膜羊膜炎を基盤に、胎児IgMが上昇して生じる慢性肺疾患 |
早産で出生した場合の合併症
自発運動の低下 | |
低体温・低血糖 | 肝でのグリコーゲン貯蔵が少なく新生児低血糖症になりやすい。 |
低Ca血症、高Bil血症 | 肝機能が低下しており高Bil血症になりやすい。 |
動脈管開存症 | PG代謝が未熟のため生じやすい。 |
呼吸窮迫症候群(RDS) | 34週未満は肺サーファクタントが産生されていない。 |
脳室内出血、脳性麻痺 | 脳室周囲の血管が脆く脳室内出血を起こしやすい。出血の範囲が広いと脳性麻痺を起こす。将来的に知的障害を起こす可能性も高い。 |
未熟児網膜症 | 母胎内の低酸素状態では網膜の血管が広がるが、出生後は高酸素状態となるため血管新生が止まり早産であるほど網膜の無血管な部分が存在する。 |
壊死性腸炎 |
★網膜芽細胞腫
疫学 | 1/15000で発症。 |
病態 | がん抑制遺伝子であるRb遺伝子変異によって網膜など全身に悪性腫瘍が多発する疾患。約40%は常染色体優性遺伝。放置すると数年で死亡する。 |
症状 | 一般的に2歳までに発症し、白色瞳孔が見られる(遺伝性の場合は両眼性が多い) |
検査 | X線・CT:眼球内に高吸収域および石灰化 生検:腫瘍細胞のロゼット形成が特徴 |
治療 | 片眼:眼球摘出 両眼:重症眼を摘出、他眼は保存的治療(光凝固、温熱化学療法、放射線療法)を行う |
未熟児網膜症 ROP:Retionopathy of prematurity
疫学 | 先進国小児失明原因1位 |
病態 | 超早期産で出生時に網膜血管の発育不良がある疾患。 高濃度酸素を持続供給した結果、患児は網膜血管が鋸状縁まで伸展しておらず、鋸状縁までの間に無血管帯が生じる。出生後にこの網膜の無血管帯の酸素不足が起こり、硝子体への新生血管や滲出が生じる。その結果、新生血管周囲に線維性増殖膜が形成され、次第に瘢痕収縮して牽引性網膜剥離(特に耳側周辺部に好発)に至り失明する。 |
症状 | 白色瞳孔 |
検査 | ? |
治療 | 未熟児に対しては酸素投与濃度を低く&期間を短くする! 網膜光凝固術、抗VEGF薬硝子体内注射:新生血管を抑えるため 硝子体手術:網膜剥離に対して行う |
先天異常
★★Down症候群
疫学 | 染色体異常で最多。 母体40歳以上の出産では1/100で発症(全体では約1/1000):過剰21番染色体の約90%は母親由来で、発生頻度は母親の年齢に依存して増加する。 |
病態 | 主に染色体不分離による常染色体の数的異常(47,XX/XY+21=21トリソミー:約90%)が生じるが、構造異常(Robertson転座:約5%)、モザイク(数%)によって生じる場合もある。Robertson転座では同胞発生の危険度が高くなる。 |
症状 | ①特徴的顔貌:つり上がった眼裂、内眼角贅皮、鼻根部平坦、耳介低位、巨舌など ②大泉門・小泉門の開大 ③精神発達遅滞 ④外見:低身長 ⑤筋緊張低下(floppy infant) 【合併症】 心血管系(約50%):心奇形(心内膜床欠損症、VSD)、肺動脈性高血圧 消化器系(約10%):消化管奇形(十二指腸閉鎖、鎖肛)、胃食道逆流症、慢性便秘 骨格系(約10%):環軸椎亜脱臼、低身長(最終身長は140〜145cm) 造血系:一過性骨髄異常増殖症(TAM)、白血病(M7、ALL) 神経系:てんかん(約10%)、運動発達の遅れ 眼系:白内障、屈折異常(就学前から眼鏡が必要なことが多い)など 耳鼻系:滲出性中耳炎、難聴、閉鎖性無呼吸 内分泌(約30%):甲状腺機能低下症(クレチン病)など |
検査 | 【羊水検査】 出生前診断にて染色体分析 【染色体検査】 Gバンド法:21番染色体全体の過剰を認める |
治療 | 合併症に対する治療(平均寿命は50歳以上) |
★18トリソミー(Edwars症候群)
疫学 | やや女児に多い(約60%) |
病態 | 常染色体の数的異常(47,XX/XY+18=18トリソミー)によって様々な症状を呈する疾患。大多数が1年以内に死亡する。 |
症状 | ①特徴的顔貌:小顎症、眼裂狭小、小さな口、耳介低位など ②外見:手指の屈曲拘縮・重なり、揺り椅子状足底など ③低出生体重:胎児発育不全 ④心奇形(約90%):心室中隔欠損、心房中隔欠損など ⑤消化器奇形:食道閉鎖など ⑥脳奇形:小脳低形成 ⑦精神発達遅滞 ⑧筋緊張亢進(floppy infant) |
検査 | 【羊水検査】 出生前診断にて染色体分析 |
治療 | なし |
13トリソミー(Patau症候群)
病態 | 常染色体の数的異常(47,XX/XY+13=13トリソミー)によって様々な症状を呈する疾患。大多数が1ヶ月以内に死亡する。 |
症状 | ①全前脳胞症:右脳と左脳が癒合したような中枢神経系奇形 ②特徴的顔貌:小頭症・小眼球症、口唇・口蓋裂、耳介形態異常・耳介低位 ③外見:多指症 【18トリソミーとの共通点】 手指の重なり、揺り椅子状足底、心奇形や腎奇形、重度の精神発達遅滞など |
検査 | 【羊水検査】 出生前診断にて染色体分析 |
治療 | なし |
Prader-Willi症候群
病態 | 15番染色体長腕(15q)に欠失等を認める隣接遺伝子症候群。 父性発現遺伝子の働きが失われるメカニズムは微細欠失(70%)、15番染色体母性片親性ダイソミー(20%)、インプリンティング障害である刷りこみ変異(5%)である。 ※隣接遺伝子症候群とは、染色体上の小さな領域で隣接する複数の遺伝子が同時に欠失あるいは重複したために発症する症候群 |
症状 | ①筋緊張低下:弛緩性麻痺による哺乳力低下など ②性腺機能不全:外性器の低形成(矮小陰茎)、停留精巣、原発無月経など ③精神発達障害:怒りっぽい性格、頑固な性格 ④特徴的外見:色白(色素低下)、肥満(2歳頃から過食)、低身長 |
検査 | FISH法:15番染色体長腕(15q)に欠失を認める |
治療 | ヌシネルセンNa:完全に機能するSMN蛋白質の産生を増やすことで筋萎縮などの症状を抑える |
Turner症候群
疫学 | 女児1/1000-2500人に発症 |
病態 | 減数分裂時のX染色体不分離によって、性染色体の数的異常(45,X0)が生じる疾患。卵巣機能不全により第二次性徴が不完全で小児様の体型や外性器となる。 |
症状 | 【身体的特徴】 低身長、翼状頸、幅広い胸、外反肘、小児様外性器、乳房発育不全、肥満体型 【症状・合併症】 原発無月経・不妊:卵巣機能不全のため 骨粗鬆症:エストロゲン不足のため 耐糖能異常:内臓脂肪蓄積型の肥満をきたしやすく、高血圧や糖尿病の原因となる 心奇形:大動脈縮窄症、ARなど |
検査 | 【画像検査】 腹部エコー:卵巣確認できない(索状性腺) 心エコー:心奇形 【血液検査】 エストロゲン↓、代償的にLH↑FSH↑、GnRH負荷でLH↑↑FSH↑↑ 【染色体検査】 45,X(確定診断) |
治療 | 思春期以前:低身長に対して成長ホルモン補充 思春期以降:原発無月経に対してE・P投与して月経発来させ女性らしさを維持 |
Klinefelter症候群
疫学 | 男児1/1000に発症 |
病態 | 減数分裂時のX染色体不分離によって、性染色体の数的異常(47,XXY)が生じる疾患。精巣形成不全によるアンドロゲン不足により、様々な症状を呈する。 |
症状 | ①外見:高身長、長い手足、女性化乳房、腋毛・恥毛・ひげの減毛 ②男性不妊:精巣の萎縮、無精子症 ③軽度の精神運動発達遅滞 ④耐糖能異常 【合併症】 乳癌などの悪性腫瘍が通常の男性と比べて多い |
検査 | 【血液検査】 テストステロン↓、代償的にFSH↑LH↑ 【染色体検査】 47,XXY(確定診断) |
治療 | テストステロン補充:男性化を促す |
先天代謝異常
★Fabry病(脂質代謝異常の一つ)
病態 | αガラクトシダーゼ欠損により、セラミドトリヘキソシドが蓄積するX連鎖遺伝(ヘテロ接合体の女性にも発症する)。 <FABRY’C> F:ファブリー病 A:αガラクトシダーゼ欠損、汗の低下 B:Burning pain(四肢末端痛) R:Renal failure(腎機能障害) Y:Youth death C:角膜混濁 |
症状 | 主に幼児期以降に、 ①四肢末端痛 ②低〜無汗症 ③皮膚の被角血管腫 学童期以降に、 ④角膜混濁 ⑤血管内皮細胞障害による腎機能障害 |
検査 | 【腎生検】 光顕:糸球体上皮細胞に泡沫状変化、電顕:ゼブラ小体(+) |
治療 | 酵素補充療法 |
Wilson病(銅代謝異常の一つ)
疫学 | 20歳代までの若年層に好発、1/3~4万人に発症 |
病態 | 銅輸送蛋白をコードするATP7B遺伝子異常により、肝臓でのCuとセルロプラスミンの結合が障害され、Cuの胆汁への排泄が障害される。その結果、肝臓、脳、腎臓、眼などにCuの沈着が生じる(常染色体劣性遺伝疾患)。 【Menkes病】 銅輸送ATPase(ATP7A)遺伝子以上により銅が欠乏して発症する。X染色体劣性遺伝。母体からの銅がなくなる、生後2~3ヵ月ごろに発症するのがWilson病との鑑別ポイント。kinky hair(ケラチン異常による縮れ毛)も特徴。予後不良で小児期に死亡する。 |
症状 | 乳幼児期は無症状で、5歳くらいに肝障害、8歳くらいに神経症状が出現する。 脳:レンズ核の障害により振戦・動作緩慢・筋緊張亢進などの錐体外路障害、構音障害、歩行障害が生じる 肝:肝硬変(腹水、黄疸、肝脾腫、羽ばたき振戦)、溶血性貧血 眼:Kayser-Fleischer角膜輪(角膜デスメ膜への帯状Cu沈着により角膜周囲が緑色を呈する)、水晶体にも沈着してひまわり白内障と呼ばれる 腎:近位尿細管障害による糖尿・アミノ酸尿 |
検査 | 【血液検査】 セルロプラスミン↓、Cu↓、尿酸値↓ 【尿検査】 尿中Cu排泄率↑ |
治療 | 銅排泄促進薬:D-ペニシラミン(キレート剤) 銅吸収阻害薬:亜鉛(腸管からのCu吸収阻害) |
Marfan症候群(コラーゲン代謝異常の一つ)
疫学 | 1/15000人、男性に多い |
病態 | 多くはフィブリリンⅠ遺伝子変異によりフィブリリンの合成異常が生じ、全身の結合組織が脆弱となる常染色体優性遺伝の疾患(25%は家族歴のない突然変異)。 主に骨格異常、心血管病変、眼症状を呈する。 |
症状 | 【骨の変化】 漏斗胸、痩せ型高身長、クモ状指、高口蓋、気胸を合併しやすい 【眼球症状】 水晶体上方脱臼、青色強膜 【心血管病変】 大動脈弁輪拡張症:嚢胞性中膜壊死によりARや大動脈解離を合併する 僧帽弁逸脱症:MRを合併する ※精神発達遅滞はない! |
検査 | 【身体検査】 親指徴候(サムサイン):正常では親指を中にして手を握った際、親指の爪は小指の外側を超えない。Marfan症候群では小指の側から親指の爪がすべて出る。 手首徴候(リストサイン):正常では手首を反対側の手で握った際、親指と小指が接触しない。Marfan症候群では親指が小指の第一関節を超える。 |
治療 | 大動脈病変の進行防止:β遮断薬、Ca拮抗薬、ARB・ACE阻害薬 |
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