頸部痛の診察
頸部痛のred flag sign

S
| O | 突発性(数分)、急性(1週間) |
| P | 頭頸部の動きに無関係:椎骨動脈解離 |
| Q | これまでに経験のない痛み:椎骨動脈解離 |
| R | 一側の後頸部痛 or 側頭部痛:椎骨動脈解離 前頸部痛:亜急性甲状腺炎 |
| S | 外傷:軽い外傷→椎骨動脈解離→脳梗塞・SAH 発熱:細菌性脊椎炎、細菌性椎間板炎、硬膜外膿瘍など 抗凝固薬・抗血小板薬・出血傾向:急性脊髄硬膜外血腫 ひどい肩こり:ACS 咽頭痛・嚥下痛:咽頭後壁膿瘍、急性喉頭蓋炎 |
| T |
O
| 頚椎棘突起の圧痛 | C7から触診可能? 化膿性脊椎炎で重要 |
| 頸椎ROM (前後側屈・回旋) |
前屈制限:細菌性髄膜炎 回旋制限:crowned dens syndrome(回旋時に激痛が多い) |
| 脊髄/神経根圧迫 | Babinski反射、深部腱反射、膀胱直腸障害、感覚障害のレベル確認 |
| 疼痛誘発試験 | Jackson法:後屈して圧迫すると上肢に放散痛が誘発される Spurling法:頭部を患側へ傾け、圧迫すると上肢に放散痛が誘発される |
| CT | 歯突起周辺の石灰化:crowned dens syndrome C1・C2前方に石灰化:石灰沈着性頸長筋腱炎 |
頸部痛の鑑別
| 血管 | SAH、急性脊髄硬膜外血腫、椎骨動脈解離、ACS、脊髄梗塞 |
| 感染症 | 細菌性髄膜炎、硬膜外膿瘍、感染性心内膜炎 |
| 化膿性脊椎炎:安静時も持続する頸部痛、発熱を認めない場合もある | |
| 咽後膿瘍:咽頭痛が主、嚥下障害、呼吸困難がある | |
| 腫瘍 | 骨転移、転移性硬膜外腫瘍:癌の既往、手足のしびれ |
| 筋骨 | 頚椎症性神経根症:頸部痛+腕に放散痛、手のしびれ |
| 環軸椎亜脱臼(関節リウマチ):起床時に頸部の張りが強い、活動で改善する | |
| リウマチ性多発金通商(PMR):急激な頸部痛や肩周囲疼痛、特に朝方に顕著 | |
| crowned dens syndrome(偽痛風):首を動かせない、頚椎可動域制限 | |
| 石灰沈着性頸長筋炎:急性〜亜急性発症、発熱、咽頭痛、嚥下痛、頚椎可動域制限 | |
| 打撲:転落やスポーツ外傷の場合は圧迫骨折を除外する | |
| 筋膜性疼痛症候群:局所の筋肉内に圧痛点とトリガーポイントがある | |
| リンパ節 | 菊池病、伝染性単核球症、結核性リンパ節炎など |
| 化膿性リンパ節炎:上中咽頭炎→化膿性リンパ節炎→咽後膿瘍 |
首が痛い
頸椎症
| 疫学 | 中年以降に好発 |
| 病態 | 頚椎症とは頚椎の変形全般を指す病態で、加齢などで生じる頚椎の骨棘形成・椎間板変形(ヘルニア)・後縦靱帯硬化症が原因となる。この頚椎の異常により脊髄圧迫を合併したものを頚椎症性脊髄症(頸髄症)、神経根圧迫を合併したものを頚椎症性神経根症という。![]() |
| 症状 | 【頚椎症の局所症状】 反復性の後頸部・肩・背中の凝りや疼痛 |
| 【頚椎症性神経根症の症状】放散痛→感覚障害の順に発症 ①神経根圧迫による放散痛:片側性の後頭部〜肩甲骨周囲の疼痛(初発症状) ②髄節障害:放散痛発症から0〜180日後に片側性の上肢痛や手指のしびれ C5〜T1障害の高位診断:障害部分より1つ下の椎間孔から出る神経痕が障害 ![]() ![]() |
|
| 【頚椎症性脊髄症の症状】外側の灰白質の障害→内側の白質の障害の順に発症 ①灰白質の障害(髄節障害):疼痛を伴わず、片側の指のしびれから発症 ②白質の障害(索路障害):両側性の障害レベル以下の感覚・運動・膀胱直腸障害(具体的には手足のしびれ、ボタンをとめれないなど細かい動作ができない、悪化すると足を引きずるなど) ![]() |
|
| 検査 | 【頚椎症性神経根症の検査(疼痛誘発試験)】 ①Jacksonテスト:頸部を後屈したまま頭部を下方にじわっと圧迫すると、患側上肢に放散痛や痺れが誘発される。 ②Spurlingテスト:頸部を後屈したまま、頭部を患側に側屈させてじわっと圧迫を加えると、患側上肢に放散痛や痺れが誘発される。 ![]() |
| 【頚椎症性脊髄症の検査】 ①grip and release test:素早くグーパーを行い、20回以下/10秒なら陽性 ②finger escape sign:手のひらを下に向けて両手を前に出し、全ての指を揃えて30秒伸ばした状態を保たせる。小指が薬指から離れたら陽性。 |
|
| 【画像検査】 X線:側面像で後縦靱帯の骨化像を確認 頸部CT:MRIでは描出できない頚椎の骨棘、後縦靱帯の骨化像を確認 MRI:椎間板ヘルニアを確認 |
|
| 治療 | 【頚椎症性神経根症】6ヶ月で症状の70%が自然消失するため保存加療 ①除痛:NSAIDs、プレガバリン、トラムセットなど ②頸椎カラー装着:姿勢の悪さを改善 |
| 【頚椎症性脊髄症】手術となる場合が多く、整形外科にコンサルト |
頸椎後縦靱帯骨化症 OPLL
| 疫学 | 40〜50歳代の男性に好発。糖尿病との合併多い。家族集積性あり。 |
| 病態 | 後縦靱帯の肥厚、骨化により脊柱管が狭小化し、脊髄を圧迫する疾患。原因不明。頸椎骨軟骨症を伴うことが多い。C4〜C6に好発する。 |
| 症状 | 【脊髄圧迫症状】 下肢の痙性麻痺、巧緻運動障害、四肢のしびれ、項部痛、腱反射亢進、Babinski徴候陽性 【神経根圧迫症状】 |
| 検査 | 【画像検査】 単純X線・CT:後縦靱帯の骨化像 MRI・脊髄造影:骨化巣による脊髄圧迫を確認 |
| 治療 | 【保存療法】頸椎カラーによる頸椎安静 【手術】重要例では手術による脊髄の除圧 |
黄色靱帯骨化症 OYL
省略
環軸関節亜脱臼
| 病態 | 環軸関節に緩みが生じ、頸椎の前屈時に亜脱臼が起こり頸椎を圧迫する疾患。本症では、軽微な外傷により、四肢麻痺とともに、呼吸筋麻痺を引き起こして突然死の原因ともなる。 関節リウマチやDown症に合併することがある。 関節リウマチでは、環軸関節の滑膜炎により軸椎が破壊され、環椎横靱帯が弛緩し、環軸関節前方亜脱臼が発症する。 |
| 症状 | ①頸部痛 ②頸髄圧迫症状:両手のしびれ、手指の巧緻運動障害 |
| 検査 | 【画像検査】 X線:環椎歯突起間距離(ADI)の増加=環椎が前方へ移動していることを確認 |
| 治療 | 原則手術(突然死の原因を防ぐため) |







コメント