めまい・難聴

症候学

めまい&難聴

浮動性めまい 回転性めまい めまいなし
伝音性難聴 中耳炎
耳硬化症
耳小骨離断
耳小骨低形成
外耳道閉鎖
感音性難聴 Alport症候群
薬剤性
聴神経鞘腫
メニエール病
突発性難聴
外リンパ瘻
VKH病
老人性難聴
騒音性難聴
MELAS
難聴なし 大脳・小脳病変(脳梗塞や変性疾患など) 前庭神経炎
BPPV

めまいの概要

めまいの種類

採血、心電図を行い、前失神を確認

前失神 貧血、低血圧、不整脈、感染症などの炎症反応上昇(いずれも眼振なし
中枢性めまい 脳卒中など(凝視・注視による眼振の抑制なし垂直性眼振が特徴)
末梢性めまい 下記参照(凝視・注視による眼振の抑制あり、めまいの程度が強い傾向)

中枢性と末梢性の違い

末梢性(内耳、前庭神経) 中枢性(脳幹、小脳)
垂直眼振 ×
水平眼振
回旋眼振 ○(小脳)
症状 回転性めまい:ぐるぐる 浮動性めまい:ふわふわ、ぐらぐら
持続時間 徐々に改善する 改善しない
閉眼による増悪 増悪する 増悪しない
耳鳴・難聴 ある場合がある ない
Romberg徴候 陽性 陰性

末梢性めまい

疾患 めまい持続時間 めまいの誘因 蝸牛症状
(起立性低血圧) 数秒(眼振なし) 起立・立位 なし
良性発作性頭位めまい症 数秒(眼振あり) 頭位変換 なし
突発性難聴 数時間(1回のみ) めまいを伴わないこともある→ あり
メニエール病 数時間(反復性) ストレスで悪化 あり
前庭神経炎 数日〜数ヶ月 先行感染あり なし
薬剤性 持続性 アミノグリコシド系、ループ利尿薬、シスプラチン投与 あり
聴神経腫瘍 持続性 めまいを伴わないことが多い あり

めまいの鑑別診断

緊急に処置を要する疾患

問診、身体診察 検査
中枢性 脳出血(特に小脳・脳幹) 頭部CT
脳梗塞(特に小脳・脳幹) 頭部MRI
椎骨脳底動脈解離 頭部MRI
末梢性 外傷性内耳障害 側頭骨骨折症状 頭部CT
外リンパ瘻 パチッという音の後にめまい・難聴の出現
突発性難聴 突然の難聴症状
急性中耳炎→内耳炎 発熱、耳痛
耳性帯状疱疹 ピリピリ感
前失神 不整脈 眼前暗黒感 心電図、心エコー
肺血栓塞栓症 眼前暗黒感
ACS 眼前暗黒感 心電図、心エコー
急性大動脈解離 眼前暗黒感
起立性低血圧(失血) 眼前暗黒感
その他 低血糖 デキスター
細菌性髄膜炎
副腎不全
CO中毒
アルコール禁断症状
電解質異常

その他のめまい

問診、身体診察 検査
中枢性 椎骨脳底動脈循環不全(TIAなど) 数分で症状改善 頭部MRI
てんかん
多発性硬化症
変性疾患(PD、SCDなど)
正常圧水頭症
慢性期脳梗塞後後遺症
脳腫瘍(特に小脳・脳幹) 頭部MRI
末梢性 BPPV BPPVの既往、特定の頭位で眼振出現
メニエール病 数時間持続、発作中に眼振出現
前庭神経炎 前庭神経炎の既往、一方向性の眼振、悪心嘔吐
聴神経腫瘍
前失神 起立性低血圧(脱水、自律N) 眼前暗黒感
心不全 眼前暗黒感
迷走神経反射性失神
複合型感覚障害
前庭性片頭痛
PPPD
薬剤性 抗けいれん薬、向精神薬など
頸性 頸性めまい
心因性 精神疾患 うつ病、パニック障害、過換気症候群の有無

めまい診察の流れ

①バイタルサイン 低血圧の場合はACS、出血を
②前失神の除外 眼前暗黒感の有無を確認
③麻痺を確認 麻痺があればABC確認後に頭部CT
④眼振 垂直方向、純回旋性、注視方向性は中枢性の可能性
⑤持続時間 1回あたりのめまい持続時間を確認
⑥初発か 初回か、再発なのか

難聴

難聴:30dB以上の音が聞こえない状態。

めまいを起こすものは太字で示す。
耳毒性物質による難聴は不可逆性なので、薬剤使用中(アミノグリコシド系、バンコマイシン、シスプラチンなど)は定期的に聴力検査を実施し、早期発見が重要である。

伝音難聴 外耳性 【片側が多い】耳垢塞栓、鼓膜穿孔
中耳性 【片側が多い】中耳炎【両側が多い】耳硬化症などの耳小骨疾患
感音難聴 内耳性 【片側が多い】メニエール病突発性難聴外リンパ瘻、ムンプス性内耳炎、Ramsay Hunt症候群(耳帯状疱疹)など
【両側が多い】老人性難聴、騒音性難聴、耳毒性物質、Treacher Collins症候群、風疹やCMVなどのウイルスによる内耳炎など
※内耳性は聴覚補充現象が陽性
後迷路性 【片側が多い】聴神経腫瘍(ABRの潜時が延長)、老人性難聴

難聴の鑑別

伝音難聴 感音難聴(内耳性)
Weber法 患側へ偏位 健側へ偏位
Rinne法 陰性(気導<骨導) 陽性(気導>骨導)
気導骨導差(A-B gap)
聴覚補充現象※
疾患例
<鼓膜・外耳・中耳の疾患>
耳垢塞栓、外耳道閉鎖
中耳炎
耳硬化症
外傷性耳小骨離断
耳小骨奇形
老人性難聴、騒音性難聴
薬物性難聴
メニエール病(片側)
突発性難聴(片側)
耳毒性薬物による難聴(両側)
内耳梅毒(両側)

※聴覚補充現象(リクルートメント現象):聴力閾値を超えた途端、急激に大きい音に感じる現象。内耳有毛細胞の障害と言われており、内耳性難聴では陽性となる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました