三大栄養素、ビタミン、ミネラル

生化学

三大栄養素

炭水化物・タンパク質・脂質

炭水化物 【過剰】肥満、脂肪肝、高尿酸血症、高TG血症
食物繊維 【不足】心筋梗塞
タンパク質 【過剰】血中BUN上昇
【不足】成長障害、フレイル・サルコペニア
飽和脂肪酸 【過剰】冠動脈疾患、肥満、DM、血中LDL上昇
【不足】脳出血のリスク上昇
ω-6系脂肪酸 リノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸
【過剰】喘息気味
ω-3系脂肪酸 αリノレン酸、EPA、DPA、DHA
【不足】皮膚炎、冠動脈疾患

ビタミン

菜食主義者では特にビタミンB12・ビタミンD・鉄・カルシウム・亜鉛の欠乏が問題となりやすい。

ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸、βカロテン)

作用  
過剰 脳脊髄液圧上昇(急性)、頭蓋内圧亢進・皮膚の落屑・脱毛(慢性)、破骨細胞が増加し骨吸収が亢進
不足 夜盲症、毛孔性角化症、眼球結膜乾燥症、皮膚や粘膜の乾燥→易感染性、骨の長軸方向への成長阻害
食材 レバー、鰻

ビタミンD(コレカルシフェロール)

活性型ビタミンDは半減期が1日未満のため、25水酸化ビタミンD(半減期3週間)を測定する。

作用 骨芽細胞に作用し、コラーゲン以外の細胞外蛋白質合成を促進する。
過剰 高Ca血症、石灰沈着、腎障害
不足 くる病(小児)、骨軟化症(成人)、骨粗鬆症骨折、テタニー
食材 アンコウの肝、鮭、白キクラゲ

ビタミンE(トコフェロール)

作用  
過剰 基本的にない
不足 溶血性貧血
食材 魚、緑黄色野菜、食用油

ビタミンK(凝固因子)

作用 【肝臓】
①血液凝固:2、9、7、10因子の合成促進
②血液凝固抑制:プロテインC、プロテインSの合成促進(①の凝固カスケードにnegative feedbackをかける)
【骨】
③骨形成促進:オステオカルシンの産生を促進
過剰 新生児溶血性貧血
不足 頭蓋内出血・新生児メレナなど出血傾向
食材 緑黄色野菜、腸内細菌が産生(抗菌薬の長期投与により腸内細菌数が減少し欠乏症となる

ビタミンK欠乏症

病態 VK欠乏により、VK依存性の凝固因子(2、9、7、10)の活性低下をきたし、出血傾向を呈する病態。VK欠乏では半減期の短い7因子から低下するため、まずPTが延長し、進行するとAPTTが延長する。
<原因>
①経口摂取不良・絶食:VK摂取↓
②閉塞性黄疸などの脂肪吸収障害:胆汁が分泌されずVKの吸収↓
③広域抗菌薬長期使用者
④その他:ワルファリンなどビタミンK拮抗薬内服者、母乳栄養児など
症状 ①出血傾向
②新生児では消化管出血、頭蓋内出血
検査 【血液検査】
PIVKA-Ⅱ↑、PT・APTT延長(PTL数・出血時間は正常)、ヘパプラスチンテスト↓(PTの亜系の検査:2・7・10因子欠損で低下)
※半減期の短い第7因子が最初に低下するために、まずPTが延長する。進行すると、APTTも延長する。
治療 ビタミンK投与

ビタミンB1(チアミン)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 脚気(多発性神経炎)、Wernicke-Korsakoff症候群(中枢神経障害)、乳酸アシドーシス
食材 豚肉、鰻

ビタミンB2(リボフラビン)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 口角炎、脂漏性皮膚炎
食材 レバー、鰻、牛乳

ナイアシン(ニコチン酸)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 ペラグラ(皮膚炎・神経障害・下痢)
食材 魚肉

ビタミンB6(ピリドキサール)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 ①末梢神経障害:イソニアジド、ヒドララジン、D-ペニシラミン内服時には、体内のビタミンB6を消費するため、欠乏症のリスクとなる。
②新生児けいれん、皮膚炎、口内炎、貧血
食材 魚肉

ビタミンB12(シアノコバラミンなど)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 巨赤芽球性貧血、不足で神経細胞の髄鞘が障害→大脳白質の髄鞘が障害されると認知障害を,脊髄が障害されると亜急性脊髄連合性変性症を,末梢神経が障害されると多発ニューロパチーをきたす
食材 魚介、レバー

【ADME】

吸収 壁細胞が産生する内因子と結合して回腸末端から吸収される
分布 血中でトランスコバラミンと結合され、余ったものが通常約2mgが肝臓、さらに約2mgがその他の部位に貯蔵されている。1日消費量は1〜4μgであるため胃全摘後約3年から遅くとも13年で貧血を発症する。
代謝  
排泄  

葉酸

作用 葉酸も肝臓に蓄えられている貯蔵量は約5mgであるが,1日当たりの消費量は50〜100μgと多いため,食物などから葉酸が全く摂取できない場合は遅くとも3〜4ヵ月で枯渇してしまう
過剰 水溶性のためなし
不足 巨赤芽球性貧血、胎児の神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症)
食材 緑の野菜、レバー

パントテン酸(ビタミンB5)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 なし
食材 魚介、肉、納豆

ビオチン(ビタミンH)

作用  
過剰 水溶性のためなし
不足 乾いた鱗状の皮膚炎、脱毛
食材 魚介、肉、卵

ビタミンC(アスコルビン酸)

作用 コラーゲンの合成に必須
過剰 水溶性のためなし
不足 皮膚や歯肉から出血する壊血病、成長軟骨板の阻害、骨石灰化の障害
食材 緑黄色野菜、果実

必須ミネラル

ナトリウム

作用  
過剰 高血圧、胃癌
不足  
食材  

カリウム

作用  
過剰  
不足 高血圧
食材  

カルシウム

作用  
過剰 尿管結石
不足 幼児の骨の発達障害、骨粗鬆症
食材  

リン P

作用  
過剰 腎機能低下、低Ca血症
不足 くる病
食材  

マグネシウム

作用  
過剰 一過性下痢
不足 テタニー、けいれん、不整脈、虚血性心疾患(慢性)
食材  

鉄 Fe

作用 鉄は1日の食事中に平均10mg含まれており、そのうち約1mgが十二指腸(一部は空腸上部)より体内に吸収される。具体的には、食事中の非ヘム鉄(Fe3+)がビタミンCによってFe2+に還元され十二指腸で吸収される。体内総鉄量は3〜4gである。
ヒトには、能動的に鉄を排泄する機能がなく、消化管や皮膚の上皮細胞の脱落や汗によって鉄を喪失(約1mg/日)しているのみであるが、これによって吸収量とのバランスをとっている。
過剰 活性酸素が発生し、細胞・組織障害を引き起こす。
不足 鉄欠乏性貧血。健康小児では牛乳過剰摂取によりCa・Pの過剰摂取による鉄の吸収低下が起こり鉄欠乏性貧血を起こす。
食材 動物性食品:ヘム鉄(吸収効率良い)
植物性食品:非ヘム鉄(吸収効率悪い)

【ADME】

吸収 十二指腸〜空腸上部
分布 約3/4はヘモグロビン鉄、1/4約は肝の貯蔵鉄として分布している。
トランスフェリンと結合し輸送され、細胞内でフェリチンと結合して貯蔵される(体内総鉄貯蔵量:3〜5g)
代謝 脾臓で破壊
排泄 微量が(1〜2mg/日)が消化管や皮膚の上皮細胞の脱落、汗から排出される

銅 Cu

作用 セルロプラスミンが銅を輸送する。セルロプラスミンが低下する疾患にはWilson病とMenkes病がある.Wilson病は体内に銅が蓄積し,Menkes病は銅の吸収障害(銅欠乏)をきたす.
過剰  
不足 造血障害(貧血)、毛髪異常、神経障害、銅欠乏性脊髄障害(後索・側索)
食材  

亜鉛 Zn

作用  
過剰 長期服用で銅欠乏性貧血
不足 創傷治癒遅延、成長障害、口・眼のびらん、四肢末端の紅斑やびらん、味覚障害
食材  

ヨウ素 I

作用  
過剰 甲状腺機能低下症:大量の昆布を毎日食するとWolff-Chaikoff効果に基づく甲状腺ホルモンの合成が抑制される。また、ヨード含有うがい薬の過剰な使用にも注意。
不足 甲状腺機能低下症、クレチン症
食材 海藻(昆布1g当たりヨード1〜3mg)

マンガン Mn

作用  
過剰  
不足 骨の形成不全
食材  

セレン Se

作用  
過剰  
不足 克山病(心筋障害)
食材  

クロム

作用  
過剰  
不足 耐糖能低下
食材  

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