ステロイド薬・皮膚科薬

薬理学

塗り薬の概要

【吸収経路】

外用薬は表皮〜真皮浅層まで作用し、真皮深層〜皮下組織へは作用しにくい。

経表皮経路 表皮は多くの脂質が存在するため疏水性物質の方が吸収率が高い。
角層が薄いほど吸収されやすくなる。ただし、炎症がある場合は角層が部分的に破壊されて細胞間隙も広がるため吸収率が上昇する。
経付属器官経路 角層を介さず真皮に直接移行できるため経表皮経路より吸収されやすい。しかし、面積は角層と比較して小さいため、薬の経皮吸収には主に経表皮経路が寄与していると考えられている

【主剤と基剤】

主剤 治療に用いる薬剤、乳剤性>油脂性>水溶性の順に経皮吸収されやすい
基剤 主剤の有効性が高まるように添加するもの(軟膏、クリーム、ローションなど)

【剤形の種類】

  基材の特徴 使用時の特徴 乾燥面 湿潤面
軟膏 油脂性
白色ワセリンを汎用
◎保湿性、乾燥病巣、低刺激
×べたつきあり、有毛部
クリーム 乳剤
i/o型とo/i型がある
◎べたつき少ない、湿潤病巣
×刺激性のためびらん・潰瘍にはNG
×
ローション 薬剤を水に溶かしたもの
乳剤性ローションが多い
◎有毛部、ストマ周囲
×刺激性
×
テープ 基剤なし
ステロイド使用を想定→
◎密封により主剤の吸収が促進
×皮膚萎縮などの副作用でやすい
×

【塗り薬と化粧品の塗布順】

洗顔後に化粧水やセラミド美容液をつける。
乳液やクリームをつける。
処方された保湿剤をつける。
処方されたステロイド外用薬をつける。
赤み・痒み・ガザガザしている部分まで塗り広げる。
重症の場合、Very strongのステロイドを下塗りし、悪い部分にStrongestのステロイドをポイントで塗る。

ステロイドの概要

ステロイドとは、ステロイド骨格を持った物質の総称である。代表例として、コレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン+性腺ホルモン)などがある。

ステロイドホルモンの生成・分布

詳細は内分泌疾患を参照。

生成ホルモンの種類 産生部位 血中結合タンパク質
鉱質コルチコイド(アルドステロン) 球状層 アルブミン、CBG
糖質コルチコイド(コルチゾール) 束状層 コルチコステロイド結合グロブリン(CBG)
副腎アンドロゲン 網状層

ステロイドの作用と副作用

弱いながらも鉱質コルチコイド作用も持っている(合成ステロイドは除く)。
ステロイド急に中止するとフィードバック機構がまだ働いているため血圧低下などのステロイド離脱症候群を引き起こす。

口囲皮膚炎、酒さ様皮膚炎、尋常性乾癬、感染症がある場合、外用・内服を問わずステロイド投与は禁忌となる。

  主作用 副作用(可逆性で薬剤中止により改善)
血液 【免疫抑制作用】
①Th細胞のIL-2産生を抑制し、CTLの分化が抑制される(細胞性免疫↓)。
②好中球増加するため白血球数も増加するが、好酸球・リンパ球は減少する。
③アラキドン酸カスケードを抑制する。
【抗炎症作用】
①転写因子(AP-1、NF-κBなど)を阻害して炎症に関与する遺伝子の発現を減少させ、炎症性メディエーターの産生を抑制する。
②白血球が血管に付着する分子の産生を抑制し、白血球の血管外への遊走を抑制するため、炎症が起こらない。
③血管収縮作用によって真皮浅層の毛細血管透過性を低下させる。
易感染性(白血球の遊走を抑制するため)
消化性潰瘍(PG産生↓のため)
白血球増加・好中球増加(骨髄から好中球の放出を増加させ、さらに接着分子を阻害することで血管内皮と好中球の結合を阻害し、白血球の遊走を抑制され、末梢血から出られないため)
好酸球減少(好酸球への分化を促すIL-5の産生を抑制するため)
リンパ球減少(リンパ節や脾臓から出られないため)
血栓傾向(原因不明)
中枢神経 【向精神作用】
ストレスによりコルチゾールの分泌促進
過剰:精神不安定、不眠、抑うつ、多幸感、記名力低下
欠乏:易疲労感、脱力感
【骨代謝抑制作用】
腸管からCa吸収抑制・腎からCa再吸収抑制(尿中Ca↑)し、PTHの分泌を促進させる。
骨症状(骨形成不足→続発性骨粗鬆症、大腿骨頭壊死)
尿路結石(尿中Ca↑のため)
筋・結合組織 【蛋白質分解促進】
糖新生亢進により蛋白質分解促進する。
表皮・線維芽細胞の増殖抑制作用もある→ケロイド治療に有効
筋肉症状(四肢の筋萎縮、筋力低下)
皮膚症状(皮膚萎縮して赤色皮膚線条、ステロイド中止により毛細血管拡張による酒さ様皮膚炎、血管が破綻して皮下出血が起こりステロイド紫斑となる)
脂肪組織 【脂質分解+合成促進作用】
糖新生亢進で糖が使えないため、四肢の脂肪が分解され、血中遊離脂肪酸↑
インスリンの作用により脂肪合成が促進され、体幹の脂肪が増加する(再分布)。
脂質異常症
中心性肥満・満月様顔貌・水牛様肩(長期服用で顔・体幹・内臓に脂肪が蓄積)
皮膚症状(ステロイド痤瘡、多毛
肝臓 血糖上昇作用
糖新生亢進により蛋白質→糖が促進され血糖値上昇。その結果、インスリンが分泌されるが、コルチゾールによりインスリン抵抗性も増加するため、細胞内に糖が取り込まれず血糖値上昇がさらに促進する。
代謝症状(高血糖
ステロイド内服により内因性コルチゾールの分泌が低下し、空腹時血糖が上昇しにくい。そのため、食後、特にステロイドを朝に服用する場合は昼食・夕食後に著しい高血糖を呈する。
腎臓 【鉱質コルチコイド作用】
Na再吸収促進に伴い水分も再吸収される。また、ステロイドのfeedbackによってCRH↓し、ADH分泌↑されるため水分のみが再吸収されて低Na血症になる。
循環症状(高血圧・浮腫、心不全)
緑内障・白内障

糖質コルチコイド関連薬

経口ステロイドの効力比

一般名 商品名 抗炎症作用 Na貯留作用 作用時間
コルチゾール
ヒドロコルチゾン
コートリル錠20㎎ 1 1 短(12時間)
コルチゾン コートン錠25㎎ 0.8 1.6 短(12時間)
フルドロコルチゾン フロリネフ錠0.1㎎ 10 125 中(1~2日)
プレドニゾロン(PSL) プレドニン錠5㎎ 4 0.8 中(1~2日)
メチルプレドニゾロン メドロール錠4㎎ 5 0 中(1~2日)
トリアムシノロン レダコート錠4㎎ 5 0 中(1~2日)
ベタメタゾン リンデロン錠0.5㎎ 25 0 長(2~3日)
デキサメタゾン デカドロン錠0.5㎎ 25 0 長(2~3日)

経口ステロイド

一般名 先発名 特徴
コルチゾン酢酸エステル コートン錠  
ヒドロコルチゾン コートリル錠  
フルドロコルチゾン酢酸エステル フロリネフ錠  
プレドニゾロン プレドニン錠  
メチルプレドニゾロン メドロール錠  
トリアムシノロン レダコート錠  
トリアムシノロン アセトニド ケナコルトA  
デキサメタゾン デカドロン錠  
デキサメタゾン レナデックス錠 多発性骨髄腫に使用
ベタメタゾン リンデロン  
クロルフェニラミン
+ベタメタゾン
セレスタミン配合錠
GE:ベタセレミン配合錠
 

外用ステロイド

【外用ステロイドの作用機序】

表皮から真皮レベルで炎症を起こす各種メディエーターや好中球の遊走を抑制し、抗炎症作用を示す。但し、蕁麻疹は真皮上層の浮腫であり炎症ではないため使用しない。

①基剤の特徴、②部位による経皮吸収の差、③外用ステロイドの強さ、以上の3点を考慮して投与する。主な適応疾患として湿疹・痒疹、虫刺症、多形滲出性紅斑、薬疹・中毒疹、Ⅰ度〜Ⅱ度浅在性熱傷などがある。ステロイド外用は赤みや痒みがなくなっても、硬さがなくなるまで数日間は続けていた方が、再発しにくい

【①基剤の特徴】

塗り薬の概要を参照。

【②部位による経皮吸収の差】

顔面、頸部、腋窩、陰部は角層が薄く毛穴も多いため吸収率が高くミディアム以下の外用を選択、または塗布回数を減らす。乳幼児、小児は経皮吸収率が高いため注意。

  吸収率
前腕内側 1.0
頭皮 3.5
腋窩=わきの下 3.6
頸部=首 6.0
頬部=顔(毛穴が多く吸収↑) 13.0
陰嚢(構造が粘膜に近く吸収↑) 42.0

【③外用ステロイドの強さ】

基本最初の1ヶ月は1日2回(朝・入浴後)、炎症が落ち着いたら1日1回、2ヶ月後は2日1回、3ヶ月後は3日1回、4〜6ヶ月は週2回と漸減していく。ステロイドを塗らない日はヒルドイドを塗る。

  一般名 先発名 配合品・後発品
最も強力
Strongest
クロベタゾール プロピオン酸エステル デルモベート軟膏/Cr/スカルプLo
※コムクロシャンプー
【GE】グリジール
  ジフロラゾン 酢酸エステル ダイアコート軟膏/Cr
ジフラール軟膏/Cr
 
かなり強力
Very strong
ベタメタゾン ジプロピオン酸エステル リンデロンDP軟膏/Cr/ゾル 【配合】ドボベット:カルシポトリオール配合
【GE】デルモゾールDP
  ジフルプレドナート マイザー軟膏/Cr  
  フルオシノニド トプシム軟膏/Cr/E-Cr/Lo/スプレー  
  ジフルコルトロン 吉草酸エステル テクスメテン軟膏/Cr
ネリゾナ軟膏/Cr/液
【配合】ネリプロクト軟膏/坐剤:リドカイン配合
  アムシノニド ビスダーム軟膏/Cr  
  酪酸プロピオン酸 ヒドロコルチゾン パンデル軟膏/Cr/Lo  
  ベタメタゾン 酪酸プロピオン酸エステル  アンテベート軟膏/Cr/Lo 【配合】マーデュオックス軟膏:マキサカルシトール配合
【GE】サレックス軟膏
  モメタゾン フランカルボン酸エステル フルメタ軟膏/Cr/Lo  
強力
Strong
デプロドン プロピオン酸エステル エクラー軟膏/Cr/Lo/プラスター  
  デキサメタゾン プロピオン酸エステル メサデルム軟膏/Cr/Lo  
  デキサメタゾン 吉草酸エステル ボアラ軟膏/Cr  
  ハルシノニド アドコルチン軟膏  
  ベタメタゾン 吉草酸エステル ベトネベート軟膏/Cr
リンデロンV軟膏/Cr/Lo
【配合】ベトネベートN:フラジオマイシン配合、リンデロンVG:ゲンタマイシン配合
【GE】ルリクールVGなど
  フルオシノロン アセトニド フルコート軟膏/Cr/外用液/スプレー 【配合】フルコートF:フラジオマイシン配合
中程度
Medium
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル リドメックス軟膏/Cr/Lo 【GE】スピラゾン
  トリアムシノロン アセトニド レダコート軟膏/Cr 【GE】ノギロン
  アルクロメタゾン プロピオン酸エステル アルメタ軟膏  
  クロベタゾン 酪酸エステル キンダベート軟膏  
  ヒドロコルチゾン 酪酸エステル ロコイド軟膏/Cr  
  デキサメタゾン 【配合】グリメサゾン軟膏:脱脂大豆乾留タール配合
【GE】オイラゾンCr
  フルドロキシコルチド ドレニゾンテープ  
弱い
Weak
メチルプレドニゾロン 【配合】ネオメドロールEE軟膏:フラジオマイシン配合
  プレドニゾロン プレドニゾロンCr  
  ヒドロコルチゾン 【配合】テラ・コートリル軟膏:オキシテトラサイクリン配合、エキザルベ軟膏:混合死菌浮遊液配合、オイラックスH:クロタミトン配合

【※注意点】

コムクロシャンプー 【適応】
頭部の乾癬・湿疹
【使い方】
①入浴前の乾いた頭皮に500円玉3つ分手に広げ、患部中心に塗布。
②15分待つ(浴室内でもOKだが、薬液が目に入らないように注意)
③お湯をかけてシャンプーとして使用。
(他のシャンプーやリンスを使用したい場合は使っても良い)
④目に入らないよう洗髪する。
   

外用ステロイドの副作用

【局所性副作用(塗った部分に生じる)】

①皮膚萎縮・線条
(出現頻度高い)
表皮の増殖抑制により皮膚が萎縮して線条が見られる。
その結果、真皮の毛細血管が浮き出て見える(ステロイド潮紅)。
②ステロイド紫斑 血管が弱くなり、少しの外力で容易に出血する。
③酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎 真皮の毛細血管の浮き出て赤ら顔になり、しばしばニキビ様の皮疹を伴う。皮疹が口周囲で悪化したものを口囲皮膚炎という。
④ステロイド痤瘡 脂腺や毛包の働きが変調して痤瘡ができる。
⑤多毛 ステロイド塗布部位に一致して毛が濃くなる。
⑥皮膚の表在性感染症 白癬や伝染性膿痂疹などに罹患することがある。
⑦緑内障 眼の周囲に長期に使用すると眼圧が上昇する。

【全身性副作用】

以下の1日量を超えると全身性の副作用が生じる可能性のある。

  小児 成人 プレドニゾロン換算
ストロンゲスト群 5g/日 10g/日 プレドニゾロン5mg/日に相当
ベリーストロング群 10g/日 20g/日 同上
ストロング群以下 15g/日 40g/日 同上

注射ステロイド

ステロイドパルス療法の適応疾患には、アナフィラキシー、重症薬疹、膠原病、血管炎、自己免疫性水疱症などがある。

一般名 先発名 特徴
ヒドロコルチゾンリン酸エステルNa 水溶性ハイドロコートン注射液  
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa ソル・コーテフ注射用  
プレドニゾロンコハク酸エステルNa 水溶性プレドニン注  
メチルプレドニゾロン酢酸エステル デポ・メドロール水懸注  
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルNa ソル・メドロール静注用  
デキサメタゾンリン酸エステルNa オルガドロン注射液、デカドロン注射液  
デキサメタゾンパルミチン酸エステル リメタゾン静注  

その他の皮膚科薬

アトピー性皮膚炎治療薬

一般名 先発名 特徴
タクロリムス プロトピック軟膏 【特徴】角質が薄い顔面や頸部の皮疹に高い適応がある。0.1%軟膏=ステロイドのstrongに相当
【利点】
皮膚萎縮作用・毛細血管拡張作用がない
分子量が大きいためバリア機能が正常化した皮膚からは吸収されず病変部のみ吸収されるため局所性副作用が少ない(びらん・潰瘍に使用すると血中濃度が高くなり腎障害などの副作用が出やすくなるため、その部位に使用しない)。
副腎機能抑制もないため、中止後のリバウンドの心配がない。
【適応】中等症以下のアトピー性皮膚炎
【使用方法】
①1日1〜2回、患部に塗布する。体重10kgあたり1回1g以内、1回Max5gまで。テープなどで密封はしないこと。
外用開始時、一過性のピリピリ感やほてり感が出現するが、皮疹の改善とともに発現しにくくなる。
③塗布後は日光に長時間当たらないように注意。どうしても長時間屋外にいる場合、その日の朝の使用は控える。また、紫外線療法は禁忌で、日焼けサロンも避けること。
シクロスポリン ネオーラルCP 【適応】16歳以上の最重症のアトピー性皮膚炎
【使用方法】
①間欠的に使用:服用して症状改善したら中止し、悪化したら再開する。
②8週間使用しても効果がないときは中止する。
③定期的な検査
デルゴシチニブ コレクチム軟膏 JAK1,2,3及びTyk2キナーゼ活性を阻害し、種々のサイトカインシグナル伝達を抑制。その結果、サイトカインにより引き起こされる皮膚炎症や掻痒感を抑制。
【使用方法】①1日2回患部に塗布。
ジファミラスト モイゼルト軟膏 PDE4を阻害し、炎症細胞内のcAMP↑させ、サイトカイン産生を抑制。その結果、皮膚の炎症を抑制。
アブロシチニブ サイバインコ錠 JAK阻害薬
ネモリズマブ ミチーガ皮下注 抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体
バリシチニブ オルミエント錠 JAK阻害薬
ウパダシチニブ リンヴォック錠 JAK阻害薬
デュピルマブ デュピクセント皮下注 300mgペン ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体抗体
Th2から放出されるIL-4/13に結合し、炎症や痒みを抑制。
【適応】
①strong以上 or タクロリムス外用による治療を6ヶ月以上行なっても効果不十分なアトピー性皮膚炎患者
②難治性気管支喘息
③鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
【使用方法】2週間に1回、合計16週、腹部or上腕部or大腿部に皮下注する。

白斑治療薬

一般名 先発名 特徴
メトキサレン オクソラレン錠/軟膏/Lo  

痤瘡治療薬(ニキビ治療薬)

一般名 先発名 特徴
ナジフロキサシン
(ニューキノロン系)
アクアチム軟膏/Cr/Lo 【適応】化膿性炎症を伴う尋常性痤瘡(赤ニキビ
【使用方法】1日2回、洗顔後に赤ニキビにポイントで塗布(塗り広げず、最後に塗布)
クリンダマイシン 1%
(リンコマイシン系)
ダラシンT Gel/Lo 【適応】化膿性炎症を伴う尋常性痤瘡(赤ニキビ
【使用方法】1日2回、洗顔後に赤ニキビにポイントで塗布(塗り広げず、最後に塗布)
オゼノキサシン
(キノロン系)
ゼビアックス油性Cr/Lo 【適応】化膿性炎症を伴う尋常性痤瘡(赤ニキビ
【使用方法】1日1回、洗顔後に赤ニキビにポイントで塗布(塗り広げず、最後に塗布)
アダパレン 0.1% ディフェリンGel 【作用】アダパレンはビタミンA誘導体で、顆粒細胞→角質細胞の分化抑制し、角化を抑制することで毛穴の詰まりを防ぐ。
【欠点】催奇形性のため妊婦は禁忌、使用時に授乳は避ける。副作用は皮膚剥脱、痒み、紅斑、乾燥。
【適応】尋常性痤瘡
【使用方法】
①1日1回就寝前、洗顔後に患部に適量塗布する。刺激を避けるため、点で置いて塗り広げる。口唇、粘膜、傷口には使用しないこと。
②開始後2週間以内に皮膚剥脱、痒み、紅斑、乾燥などが出ることがあるが、通常は軽度で一過性。
③塗布後は日光に長時間当たらないように注意。紫外線療法や日焼けサロンも避けること。
④効果は約2ヶ月後から出てくる。
過酸化ベンゾイル 2.5% ベピオGel 【作用】①フリーラジカルによるアクネ菌などの細菌に対する抗菌作用②角層剥離作用(毛穴の詰まりを防ぐ)
【欠点】副作用は皮膚剥脱、刺激感、紅斑、乾燥。
【適応】軽症〜中等症の炎症性皮疹のある尋常性痤瘡、レーザー治療中の痤瘡予防
【使用方法】
①1日1回、洗顔後に患部に適量塗布する。刺激を避けるため、点で置いて塗り広げる。口唇、粘膜、傷口には使用しないこと。
②漂白作用があるため、毛髪や衣服に付着しないよう注意し、使用後は手を洗う。
③塗布後は日光に長時間当たらないように注意。紫外線療法や日焼けサロンも避けること。
④使用後は25℃以下の冷所で保管する。
クリンダマイシン 1%+
過酸化ベンゾイル 3%
デュアック配合Gel 【欠点】副作用は皮膚剥脱、刺激感、紅斑など
【適応】中等症〜重症の炎症性皮疹のある尋常性痤瘡(RXMなどの抗生剤と併用することもある)
【使用方法】
①1日1回、洗顔後に顔全体に2FTU塗布する。初回は赤い所だけ塗り、刺激がなければ点で置いて徐々に塗り広げる。口唇、粘膜、傷口には使用しないこと。
②漂白作用があるため、毛髪や衣服に付着しないよう注意し、使用後は手を洗う。
③塗布後は日光に長時間当たらないように注意。紫外線療法や日焼けサロンも避けること。
④使用後は2〜8℃の冷所で保管する。
⑤耐性菌を防ぐため長期投与しない(Max12週)。
⑥次回は2週間後を目安に受診。
アダパレン 0.1%+
過酸化ベンゾイル 2.5%
エピデュオGel 【欠点】催奇形性のため妊婦は禁忌、使用時に授乳は避ける。副作用は皮膚剥脱、刺激感、紅斑など。
【適応】中等症〜重症の炎症性皮疹のある尋常性痤瘡、皮脂の多い若年者の痤瘡、毛包性苔癬(腕の赤いブツブツ)
【使用方法】
①1日1回入浴後に患部に適量塗布する。初回は狭い範囲で試し、刺激がなければ点で置いて徐々に塗り広げる。口唇、粘膜、傷口には使用しないこと。
②漂白作用があるため、毛髪や衣服に付着しないよう注意し、使用後は手を洗う。
③塗布後は日光に長時間当たらないように注意。紫外線療法や日焼けサロンも避けること。

角化症・乾癬外用薬

表皮増殖を抑制し、皮膚の分化を正常化する。

一般名 先発名 特徴
タカルシトール ボンアルファ軟膏/Cr/Lo
ボンアルファハイ軟膏/Lo
活性型VD3
カルシポトリオール ドボネックス軟膏 活性型VD3
マキサカルシトール オキサロール軟膏/Lo 活性型VD3
【イボ(尋常性疣贅)の使用法】
①入浴後にイボを削る
②イボ中心部にオキサロール軟膏を塗る
③スピール膏をイボサイズに切り貼る
④その上から防水絆創膏を貼る
⑤絆創膏が剥がれる場合はテーピング
カルシポトリオール+
プロピオン酸ベタメタゾン
ドボベット軟膏/Gel/フォーム  
マキサカルシトール+
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン
マーデュオックス軟膏  

角化症外用薬

一般名 先発名 特徴
尿素 ケラチナミンCr
ウレパールCr/Lo
パスタロンソフト軟膏/Cr/Lo
【欠点】亀裂部に塗ると刺激を伴う場合がある
サリチル酸 スピール膏M  

NSAIDs外用剤

一般名 先発名 特徴
イブプロフェンピコール ベシカム軟膏/Cr
スタデルム軟膏/Cr
 
スプロフェン スルプロチン軟膏
スレンダム軟膏
トパルジック軟膏
 
ベンダザック ジルダザック軟膏  
ウフェナマート フエナゾール軟膏/Cr
コンベック軟膏/Cr
 
グリチルレチン酸 デルマクリン軟膏/Cr
ハイデルマートCr
 

鎮痒薬

一般名 先発名 特徴
クロタミトン オイラックスC オイラックスH:ヒドロコルチゾン配合

脱毛治療薬

一般名 先発名 特徴
カルプロニウム 【GE】フロジン外用液 5% 局所血管拡張作用:投与後AChとなり血管を拡張させる。
【使用方法】
①入浴後と起床時、髪を乾かして頭皮のほてりがなくなった後に塗布する。
②その他に塗る薬があれば塗布する。
タマサキツヅラフジ抽出アルカロイド セファランチン錠 1mg  
フィナステリド プロペシア錠 5α還元酵素Ⅱ型阻害薬
デュタステリド ザガーロCP 5α還元酵素Ⅰ型+Ⅱ型阻害薬

ハンセン病治療薬

一般名 先発名 特徴
ジアフェニルスルホン
(DDS)
レクチゾール錠
プロトゲン錠
好中球における活性酸素種の産生低下などの機序により皮膚の炎症を抑制する。
【欠点】メトヘモグロビン血症の副作用
クロファミジン ランプレンCP  

皮膚潰瘍治療薬

一般名 先発名 特徴
アズレン アズノール軟膏  
スルファジアジン銀 ゲーベンCr  
ブロメライン ブロメライン軟膏  
トレチノイントコフェリル オルセノン軟膏  
ブクラデシンNa アクトシン軟膏  
幼牛血液抽出物 ソルコセリル軟膏  
白糖+ポビドンヨード ユーパスタ軟膏
ソアナース軟膏
 
ヨウ素 カデックス軟膏
ヨードコート軟膏
 
アルプロスタジルα プロスタンディン軟膏 PGE1軟膏で潰瘍部位の局所血流を改善し肉芽形成及び表皮形成を促進
トラフェルミン フィブラストスプレー  

皮膚保湿剤

入浴後、乾燥しないうちに出来るだけ早く・少し多めに塗布する。広い範囲を塗る場合は手のひらを使って優しく塗る。

一般名 先発名 特徴
ヘパリンNa ヘパリンZ軟膏  
ヘパリン類似物質 ヒルドイドC/ローション/ゲル/フォーム
ヒルドイドソフト軟膏
 
白色ワセリン プロペト  
亜鉛華軟膏
酸化Zn20%含有
亜鉛華軟膏
【GE】ボチシート貼付剤
酸化Zn含有量が多く白色ワセリンも含むため、分泌物が多い場合に適す
【作用】
①浸出液の吸収および分泌抑制により、 創面又は潰瘍面などを乾燥させる。
②皮膚の蛋白質と結合して被膜を形成し、収れん・消炎・保護作用を示す。
亜鉛華軟膏
酸化Zn10%含有
【GE】サトウザルベ軟膏 ステロイド軟膏と重層法で使用する場合に適す(ステロイド→Zn軟膏の順に塗布)。
【作用】
①皮膚の蛋白質と結合して被膜を形成し、収れん・消炎・保護作用を示す。
【使用方法】
①入浴後、または就寝前に清潔なバターナイフなどで患部に塗る
②ガーゼなどで覆いテープで固定
③基本24時間塗布
④オリーブオイルや泡の石鹸でとる(少し残っても気にしない)

その他の外用薬

一般名 先発名 特徴
ビマプロスト グラッシュビスタ外用液 睫毛の成長期延長作用により長さ太さを改善
トコフェロール ユベラ軟膏  
ビタミンA ザーネ軟膏  
フェノトリン スミスリンローション  
イミキモド ベセルナC  
プロプラノロール ヘマンジオルシロップ 乳児血管腫
ソフピロニウム エクロックゲル 5% エクリン腺のM3を阻害。
【欠点】閉塞隅角緑内障、前立腺肥大による排尿困難には禁忌。ワキガには効果ない。
【適応】原発性腋窩多汗症
【使用方法】
①1日1回両脇に塗布。入浴後、脇の水分をよく拭き取った後、アプリケーターの上面に薬液を出し、それを脇に塗り広げる(夜忘れたら朝塗っても良い)。
②塗布後、脇が乾くまでは寝具や衣服に付着しないよう注意する。
③使用後、アプリケーター上の薬液はティッシュできれいに拭き取流。
④薬液が手についた場合は、絶対に顔や目に触らず、すぐに水で洗い流す。
⑤効果は薬液が残っている間だけ持続する。また、効果出現には個人差があるためすぐに効果が出る人もいれば数週間かかる人もいる。使用者の約7割が効果が出ると言われている。
⑥皮膚炎などの皮膚症状、口渇・羞明など抗コリン作用が出たら使用中止する。
⑦併用皮膚薬がある場合は、先に併用薬を塗り、最後にエクロックを塗る。
⑧運動などする場合、発汗抑制により体温上昇することがある。熱中症を疑う症状がある場合は涼しいところに行き、体温を下げ、水分補給する。
グリコピロニウム ラピフォートワイプ 2.5% エクリン腺のM3を阻害。
【欠点】閉塞隅角緑内障、前立腺肥大による排尿困難には禁忌。ワキガには効果ない。
【適応】原発性腋窩多汗症
【使用方法】
①1日1回両脇に塗布。入浴後、脇の水分をよく拭き取った後、ワイプ1枚を広げて脇に塗り広げる(夜忘れたら朝塗っても良い)。
②ワイプは一拭きするだけで良く、ゴシゴシ何度も擦らないこと!
③使用後は、絶対に顔や目に触らず、すぐに水で洗い流す。
④塗布後、脇が乾くまでは寝具や衣服に付着しないよう注意する。
⑤効果は薬液が残っている間だけ持続する。また、効果出現には個人差があるためすぐに効果が出る人もいれば数週間かかる人もいる。使用者の約7割が効果が出ると言われている。
⑥皮膚炎などの皮膚症状、口渇・羞明など抗コリン作用が出たら使用中止する。
⑦併用皮膚薬がある場合は、先にラピフォートを使用し、次に併用薬を塗布する。
⑧運動などする場合、発汗抑制により体温上昇することがある。熱中症を疑う症状がある場合は涼しいところに行き、体温を下げ、水分補給する。
塩化Al溶液 (自家製剤) 収斂作用により毛穴を閉じ発汗抑制+殺菌作用
【欠点】皮膚炎の副作用
【適応】多汗症
【使用方法】
①1日1回就寝前に患部に塗布し、翌朝水洗いするか濡れたタオルで拭き取る。

コメント

  1. […] ステロイド薬を参照 […]

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