整形外科(非外傷性)

整形外科

脊椎側湾症

病態 脊椎が側弯する疾患で、特発性(80%)と症候性(20%)に分類される。
【特発性】
思春期側弯症が最多で女子に好発し(85%)、右凸胸椎側弯が多い。成長が止まると側弯の進行も止まるため、若年発症のものほど進行する。
【症候性】
Duchenne型筋ジストロフィーvon Recklinghausen病、脳性麻痺などに続発する。
症状 側弯が強い場合、拘束性換気障害や心肺機能低下を伴う。
脊柱側弯により傍脊柱筋の過緊張が生じており、安静により症状が改善する傾向がある。
【学校検診】
両肩の高さの左右差
片方の肩甲骨の突出
ウエストラインの非対称
前屈時に背部の肋骨隆起(rib hump)を確認。
検査 【画像検査】
単純X線:Cobb法を用いて側弯度を評価。腸骨稜の骨端核の状態から骨成熟度を評価し、成長の余地がある場合は側弯も進行する可能性があるとわかる(Risser sign)。
治療 Cobb角が20〜50度の場合:安静、装具療法
Cobb角が大きい場合:金属内固定による矯正手術

上肢の疾患

野球肘(肘離断性骨軟骨炎)

病態 野球で肘を酷使し、同じ部位に繰り返し力が加わると小外傷や血流障害によって上腕骨側顆の軟骨下骨が部分的に壊死する疾患。関節軟骨の一部が剥離脱落して関節内に遊離する場合もある(遊離体を関節ねずみという)。透亮期→分離期→遊離期の順に進行する。
症状 ①運動時+運動後の関節痛
②遊離体を生じると関節の可動域制限、関節水腫、激痛
【合併】
尺骨神経麻痺、内側側副靭帯損傷を伴う場合もある
検査 【画像検査】
単純X線:軟骨下骨に限局性の骨透亮像、関節内の遊離体
治療 6ヵ月から1年の投球禁止し、安静により治癒。関節ねずみがある場合は除去手術。

テニス肘・ゴルフ肘

  テニス肘(上腕骨側上顆炎) ゴルフ肘(上腕骨側上顆炎)
病態 外側上顆に付着する回外筋や手指伸筋群が繰り返し刺激され、腱に炎症が生じる疾患。 内側上顆に付着する円回内筋や手指屈筋群が繰り返し刺激され、腱に炎症が生じる疾患。
症状 上腕骨外側上顆の圧痛(腱付着部)
肘屈曲で疼痛増強
手関節背屈時の抵抗痛
握力低下
上腕骨内側上顆の圧痛(腱付着部)
肘屈曲で疼痛増強
検査 【画像検査】
単純X線:異常なし
【疼痛誘発テスト】
外側上顆周辺に痛みを生じる
 【画像検査】
単純X線:異常なし
【疼痛誘発テスト】
内側上顆周辺に痛みを生じる
治療 安静 安静

de Quervain病(橈骨茎状突起炎)

疫学 女性(特に授乳中)に多い
病態 繰り返し手を使用することによる機械的刺激によって、長母指外転筋腱、短母指伸筋腱が通る第1コンパートメントの狭窄性腱鞘炎が生じる疾患。
症状
検査 Eichhoff(アイヒホッフ)テスト:母指を中にして手を握り、手首を尺屈すると手関節の橈側に激痛が生じると陽性
治療 安静、湿布、ステロイド局注。難治性の場合は狭窄部位の腱鞘切開術。

ガングリオン

病態 靱帯、腱鞘、関節包から生じる良性の嚢腫状腫瘤。嚢腫内容物は無色透明のゼリー状物質で嚢腫壁は極めて薄い。発生部位によっては絞扼性神経障害が起こる。若年女性の手関節背側に好発する。
症状 手関節背側または掌側に小指頭大で弾性軟〜硬の腫瘤
検査 穿刺前にエコーで内容物が液体であることを確認し、穿刺内容物がゼリー状であればガングリオンと確定診断する。
治療 自然消退することがあるので症状がなければ経過観察。
気になるようであれば注射器で吸引するが再発することが多い

Dupuytren拘縮(デュピュイトラン拘縮)

疫学 白人、特に北欧系人種に圧倒的に多い。日本人を含む東洋人には比較的まれ。
中年以降の男性に多く、糖尿病患者が多い。
病態 手掌腱膜が線維化して肥厚・収縮して指の屈曲拘縮をきたす原因不明の進行性疾患。
症状 多くは両側の手指、特に小指・環指屈曲拘縮
検査 【身体検査】
屈曲は他動運動によっても可動域制限がある
治療 軽症例は弾性副子装用、ステロイド局所注入。進行例は手掌腱膜の切開・切除。

胸郭出口症候群

病態 胸郭出口は鎖骨・第1肋骨・周囲の筋肉で形成される。頸肋(C7の横突起が伸びたもの)、猫背、なで肩、マッチョな筋肉によって腕神経叢や鎖骨下動脈が圧迫される疾患。
症状 上肢の運動障害、知覚障害(しびれ、疼痛)
検査 Morleyテスト、Adsonテスト、Wrightテスト、Edenテスト
治療 しびれの原因となる作業の中止

頚肩腕症候群

疫学 20〜30代女性に多い
病態 長時間の反復作業や同一の姿勢によって、頸部/肩部/上肢に痛み・凝り・だるさなどの症状を生じる病態。パソコン操作などのVDT作業など持続的に手指を使う作業に従事することが多い。作業内容だけでなく作業環境や心理的要因も発症に関係する。
症状 頚・肩・腕手指の痛み・こり・だるさ、自律神経失調や睡眠障害などの精神症状
検査 X線、MRIで異常なし
治療 作業状況の改善、対症療法

手の神経障害(絞扼性末梢神経障害)

狭窄部位を通る末梢神経が慢性的に圧迫されるために生じるニューロパチー。主に太い有髄線維が侵されるため、運動神経障害が目立つ。

わしゃ加藤まさき!(鷲手・尺骨N → 下垂手・橈骨N → 正中N・猿手・祈祷手)

  正中神経 橈骨神経 尺骨神経
運動神経 母指〜中指の屈曲:橈側手根屈筋=母指の対立運動障害
母指の外転内転:母指球筋群(低位麻痺により②の筋が萎縮→猿手
回内:前骨間神経支配の回内筋(高位麻痺により指屈曲時に①〜③が×→祈祷手
高位の後骨間神経という深枝が運動神経
指の伸展:後骨間神経支配の母指伸筋(低位麻痺により①×→下垂指のみ)
手の背屈:手根伸筋
肘関節屈曲:腕橈骨筋(高位麻痺により①〜③が×→下垂手
親指の内転母指内転筋(低位麻痺により→Froment徴候陽性)
指の間を開閉:骨間筋
小指環指の屈曲:尺側手根屈筋+小指球筋(高位麻痺により指伸展時に①〜③が×→鷲手
感覚神経 手の母指側(母指〜中指手掌
×→支配領域の感覚障害
手の背側(母指〜中指手背
肘より末梢の浅枝が感覚神経
×→支配領域の感覚障害
手の尺側(小指環指の手背手掌
×→支配領域の感覚障害
障害の
原因
手根管症候群(低位)
回内筋症候群(高位)
上腕骨顆上骨折(高位)
腕枕、松葉杖で腋窩圧迫
回外筋症候群
上腕骨骨幹部/顆上骨折
肘部管症候群(高位)
Guyon管症候群(低位)
上腕骨顆上骨折

手根管症候群(正中神経低位麻痺)

原因 女性に多い
病態 手根管を通る正中神経が何らかの原因で圧迫されて生じる絞扼性神経障害。
原因は手の過度の使用、血液透析(アミロイド沈着)、妊娠による浮腫、骨折後変形、ガングリオンなどによる圧迫、関節リウマチなどによる腱鞘滑膜炎など。
症状 正中神経領域(母指〜中指)の感覚障害:しびれ。特に夜間・早朝に多い。
母指球筋の萎縮:筋力低下して猿手になる。
検査 【身体検査】
Phalenテスト:手関節掌屈位を1分間持続し、しびれ感が増強すると陽性
perfect Oテスト陰性:正中神経の運動枝である前骨間神経麻痺により母指IP関節と示指DIP関節が屈曲困難となるため涙滴型のtear drop signを呈する
Tinel様徴候:障害部位を叩打すると手首より遠位部の支配領域に放散痛が生じる
【末梢神経伝導検査】
正中神経の伝導速度遅延(確定診断)
治療 Tinel徴候・知覚異常のみ:①安静、②手関節固定装具の着用、③ステロイド局所注射
筋力低下・萎縮:④手根管開放術などの除圧手術

肘部管症候群(尺骨神経高位麻痺)

病態 尺骨神経が肘部管内で何らかの原因で圧迫されて生じる絞扼性神経障害。
原因は肘の酷使、変形などあるが特発性である場合も多い。
症状 尺骨神経領域の感覚障害:小指〜環指のしびれ。
尺骨神経領域の運動障害(筋力低下):鷲手
検査 【身体検査】
Froment徴候:紙を引っ張るとき母指が内転できないため屈曲する
Tinel様徴候:障害部位を叩打すると支配領域に放散痛が生じる
【末梢神経伝導検査】
尺骨神経の伝導速度遅延(確定診断)
治療 多くは進行性であり、早期に手術を施行

下肢の疼痛やしびれ

腰部脊柱管狭窄症 LSS:lumbar spinal stenosis

疫学 50歳以上の男性に好発
病態 何らかの原因で脊柱管や椎間孔が狭窄され、馬尾や神経根の絞扼性障害をきたす疾患。寛解と増悪を繰り返し、時には自然治癒も期待できる予後良好な疾患なため、保存療法が第一選択となる。狭窄の原因は、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症(骨棘)、脊椎すべり症、後縦靭帯骨化症などがある。
分類 ①神経根型、②馬尾型(中心型圧迫)、③混合型
症状 間欠性跛行:立位保持や歩行で臀部〜下肢の疼痛やしびれ出現、休息・座位・前屈で改善
※疼痛やしびれの範囲は歩行により移動や拡大することがある
神経根圧迫側性の臀部〜下肢の疼痛やしびれ
※L2-4領域:大腿神経痛、L4-S1領域:坐骨神経痛、S2以下:会陰部痛
馬尾神経圧迫側性の臀部〜下肢の疼痛やしびれ(背屈で悪化)、筋力低下、膀胱直腸障害・会陰部の異常感覚など
※腰痛はあってもなくてもよく、診断の助けにならない
検査 【身体所見】
Kemp test:神経根型の場合、疼痛側へ後側屈で疼痛やしびれが誘発される場合あり
SLR test&FNS test:陰性のことが多い
Patric test:変形性股関節症を否定
足背動脈:触知できる(血管性間欠性跛行を否定)
ABI:四肢の血圧に左右差がない(血管性間欠性跛行を否定)
【画像検査】
腹部X線:正面+側面像で脊椎変性すべり症、変性側湾、圧迫骨折、靱帯骨化など鑑別
腰椎MRI:脊柱管狭窄の程度や高位を確認(狭窄ありでも症状ない場合もある
脊髄腔造影および造影後CT:ペースメーカー装着患者などMRIできない場合
治療 【保存療法】
運動療法:腰痛体操
前屈位の保持:杖やシルバーカーを使用
  【薬物療法】
消炎鎮痛剤:アセトアミノフェン、NSAIDs、トラマドール
循環改善薬:リマプロスト(PGE1誘導体)
神経障害性疼痛治療薬:プレガバリン、ミノガバリン、デュロキセチン
  【手術】下肢症状が強い重症例や膀胱直腸障害がある場合
除圧術(椎弓切除術・開窓術)、除圧固定術、低侵襲性脊椎手術

下肢の疾患

特発性大腿骨頭壊死症

疫学 20〜40歳代に好発
リスク因子:①長期のアルコール多飲、②ステロイド大量投与
病態 原因不明で大腿骨頭の阻血性壊死が生じ、不可逆性の股関節の可動域制限が生じる疾患。大腿骨頭前上部(荷重部)に好発し、側性が多い。進行すると壊死部が陥没し、変形性股関節症となる。
※症候性大腿骨頭壊死症の原因には、大腿骨頸部骨折などの外傷、減圧症(潜水病)による空気塞栓、放射線照射などがある。
症状 ①動作時に荷重部の股関節痛(安静時は疼痛軽快)
②主に内旋・外転の運動制限
検査 【画像検査】
単純X線:初期に壊死よる大腿骨頭帯状硬化像、関節面の不整、進行期に関節面の圧潰
MRI :T1で骨頭内に帯状低信号
治療 骨切り術、重症や高齢者は人工関節置換術

骨端症

若年者に多く見られる原因不明の骨端の壊死の総称。骨新生によって自然治癒する。

Perthes病

疫学 5〜10歳の男児に好発
病態 大腿骨近位骨端部の原因不明の血行障害により大腿骨頭の虚血性壊死が生じ、側性・可逆性の股関節の可動域制限が生じる疾患。壊死部分は修復されるが、変形により変形性股関節症が生じることがある。発症年齢が低いほど、また壊死範囲が狭いほど予後良好である。
症状 ①跛行、運動時の軽度股関節痛
②外旋位拘縮:股関節の開排制限や内旋障害による
検査 【画像検査】
MRI:T1で骨頭内に低信号(壊死)を確認
単純X線:初期は変化なし。進行期は大腿骨頭の骨透亮像、関節裂隙の拡大
治療 【保存療法】安静、股関節を外転かつ内旋位に保つ免荷装具を数年着用
【手術】広範囲壊死、高度変形は骨切り術

Osgood-Schlatter病(オズグッド・シュレッター病)

疫学 10〜15歳のスポーツを活発を行う男子に好発
病態 膝伸展のため大腿四頭筋が収縮すると膝蓋腱を介して脛骨粗面を牽引する。その牽引力が膝蓋腱が付着する成長軟骨板に負荷を与え、脛骨粗面から膝蓋腱が剥離する。
症状 運動時の圧痛、腫張
検査 【画像検査】
治療 大腿四頭筋増強訓練、膝サポーター保護

大腿骨頭すべり症

疫学 10〜17歳の男児に好発(成長スピードが早いため)
病態 成長期に成長軟骨板の脆弱化や力学的負荷(肥満)により大腿骨頭が頚部に対して後下方にすべり落ちる疾患。外傷を契機に生じる急性型(30%)と徐々に生じる慢性型(70%)がある。半数弱が両側性。
症状 ①膝関節痛が初期に多い(慢性型は必ずしも疼痛を訴えない)
②股関節の可動域制限(特に外旋位拘縮と跛行)
③歩行不能:急性型は股関節部の疼痛が著明なため
検査 奴隷をとれず滑る!
【身体検査】
Drehmann徴候:仰臥位で患側の股関節を他動的に屈曲させると徐々に外転・外旋して開排する
【画像検査】
単純X線:大腿骨頭頸部外側縁の延長線が骨頭を横切らない(Trethowan徴候
治療 スクリューで転子部と骨頭を内固定したり骨切り術を行ったりして骨頭を安定化する。
患肢は免荷し、健側は予防的に治療することもある。

変形性股関節症

病態 主に二次性に股関節の可動域制限が起こる疾患。
主な原因は寛骨臼蓋形成不全発育性股関節形成不全が多く、その他にPerthes病、大腿骨頭壊死などがあり若年者にも見られる。
症状 股関節の疼痛、股関節可動域制限、跛行
検査 【身体検査】
Patrickテスト:仰臥位で患側足部を健側膝上に置き、股関節を屈曲させたまま外転・外旋させると大腿三角に痛みが出る。
Thomasテスト:屈曲拘縮を伴う場合に行う。詳細は割愛。
【画像検査】
単純X線:関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の骨硬化像、骨棘形成、代償反応性の骨嚢胞、臼蓋の二重底が見られる(ただし、骨萎縮や骨びらんは見られない)。
治療 【保存療法】減量指導、杖使用、中殿筋を中心とした筋力訓練、疼痛増強時に鎮痛薬投与
【手術】若年者は骨切り術、高齢者は人工股関節置換術

膝変形

2歳頃まで内反脚(O脚)、3〜5歳まで外反脚(X脚)は正常であり、また、小児の膝は生理的に反張膝であるが、いずれも成長とともに正常になる。

  内反脚(O脚) 外反脚(X脚) 反張膝
原因 ・くる病
・変形性膝関節症
・関節リウマチ
・成長期の外傷
・Marfan症候群
・Ehlers-Danlos症候群

膝蓋軟骨軟化症

疫学 10〜20歳の若年者やスポーツ選手に好発
病態 膝の裏の軟骨(=膝蓋軟骨)が減少する原因不明の疾患。
症状 運動時や階段昇降時の膝前面の疼痛
検査 膝蓋骨グラインディングテスト(膝蓋骨を下にグリグリ押し付けると痛みが生じる)
治療 大腿四頭筋増強訓練、膝に負担のかかる運動を避ける、関節鏡下損傷軟骨除去

変形性膝関節症

疫学 肥満、50歳以上の女性、O脚(内反変形)に好発
病態 原因不明の一次性と外傷や炎症などに続発する二次性に分類される。大部分は膝関節の軟骨がすり減ることで生じる一次性である。内側型関節症が多い。
症状 ①膝の疼痛(主に内側):動作開始時や長時間歩行で増悪
②関節可動域制限:正座は不能となり膝の内反変形(O脚)が進行
③膝関節液の貯留
④痛みのため患側の大腿四頭筋の廃用性筋萎縮
検査 【画像検査】
単純X線:側関節裂隙の狭小化、その周囲の骨硬化・骨棘形成、代償性の骨嚢胞(骨萎縮、骨びらんは認めない)。
治療 【保存療法】減量、杖使用、大腿四頭筋訓練(膝を伸展させ下肢を挙上)、O脚を治す足底板、ヒアルロン酸関節内注入、ステロイド関節内注入(全身投与は禁忌)、鎮痛薬投与
【手術】若年者には高位脛骨骨切り術(HTO)、高齢者には人工膝関節全置換術(TKA)

神経病性関節症(シャルコー関節)

病態 痛覚の感覚障害によって関節痛を自覚しにくく、関節を酷使してしまい関節が高度に破壊される疾患。原因は糖尿病、脊髄癆(梅毒)、脊髄空洞症などにより脊髄後索と後根が傷害され下半身の痛みを感じにくくなるためである。膝関節に多いが、糖尿病由来であれば足関節に多い。
症状 自覚症状なし、関節腫脹、熱感、変形
検査 【画像検査】
単純X線:高度な破壊像や骨硬化像
治療 装具治療、関節固定術

先天性内反足

疫学 男児に多い(2:1)
病態 距骨の先天性形態異常に起因する足の内反位拘縮である。
症状 後足部の内反、足関節の尖足、中足部の陥凹、前足部の内転
検査 【画像検査】単純X線:距骨と踵骨の長軸のなす角が10度以下
治療 生後早期:徒手矯正+ギプス矯正
幼少期:Denis-Browne装具、靴型装具

外反母趾

病態 母趾が外反・回内する変形。ハイヒールを長時間履く人、扁平足の人、家族が外反母趾の人はなりやすい。また、関節リウマチに合併することもある。
症状 母趾MP関節の疼痛
検査
治療 靴指導、鎮痛剤、筋力訓練、装具療法(足底板)。重症の場合は骨切り術。

内分泌

骨粗鬆症

【病態】

骨粗鬆症は骨量減少により骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である。遺伝的要因が50~75%と高い。80歳以上の女性の半数が骨粗鬆症と言われている。

  骨量減少が起こる機序
加齢性変化 腎機能低下によるビタミンD吸収低下や食事からのCa摂取減少により血中Ca濃度が低下するためPTH↑し骨吸収が促進する。また骨芽細胞の減少や機能低下により骨形成が低下する。(骨吸収>骨形成)
閉経性変化 エストロゲン欠乏により破骨細胞が活性化し骨吸収が促進する。

【診断基準】YAM:Young Adult Mean

脆弱骨折あり 椎体骨折(尻もち、身長減少)または大腿骨近位部骨折(手をつかず転倒)があり、骨密度によらず全例骨粗鬆症。椎体骨折は胸腰椎移行部に多い。
椎体骨折により腰痛が生じるが、骨折により脊柱管内へ突出があると脊髄圧迫を生じ両下肢麻痺や膀胱直腸障害を発症することがある(遅発性脊髄麻痺)。
  橈骨遠位端(Colles骨折:転倒で手をつく)や上腕骨近位部(肩から転倒)などの脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満
脆弱骨折なし 骨密度がYAMの70%以下もしくはTスコア-2.5 SD以下。

【検査】骨代謝マーカー(現在の骨折危険度や治療効果判定に用いる)

骨形成マーカー BAP、totalP1NP
骨吸収マーカー NTX、TRACP-5b
骨マトリックスマーカー ucOC(ビタミンKの充足状態を反映)
単純X線・MRI 椎体の圧迫骨折で楔形・平坦形・魚椎形に変形する。X線で骨折が明らかでない場合はMRIが有用である。
叩打痛の有無 脊椎の新鮮圧迫骨折で陽性

【治療】

運動療法 タンパク質を多く摂取して筋肉を増やすことで転倒骨折を防止。
食事療法 Ca、ビタミンD、ビタミンKの多い食事を選択し骨形成を促進する。また、P、Na、カフェイン、アルコールの摂取を控えることによりCaの尿中排泄を遅らせる。
薬物療法 第一選択薬はビスホスホネート系(重症度が高い場合はPTH製剤)。ビスホスホネート系が使いにくい場合、閉経後早期の人にはSERMを、ビタミンD不足の人には活性化VD3製剤を使用する。効果不十分または副作用が強い場合は抗RANKL抗体やPTH製剤を使用する。詳細はこちらを参照。

感染症

化膿性関節炎

病態 ①感染巣から血行性に関節に侵入、②軟部組織・骨に生じた感染が関節内に波及、③外傷、関節手術、関節内注射で直接関節内に侵入、3つのパターンから細菌感染する疾患。化膿性関節炎は致死率が高く、関節予後に関わるため早期診断が重要となる。
【罹患関節】
膝(45%)>股関節(15%)>足(9%)>肘(8%)>手首(6%)>肩(5%)
原因 若年者:淋菌に注意
高齢者:黄色ブドウ球菌>レンサ球菌>大腸菌や緑膿菌などのGNR
症状 関節痛
検査 ①関節穿刺(関節痛を参照)
②血液培養(淋菌疑いはチョコレート寒天培地)
③X線
④淋菌疑いは咽頭や尿のPCRを提出
※結晶性関節炎との鑑別が難しい場合も多く、結晶が検出されても5%は化膿性関節炎を合併している場合もあり、化膿性関節炎の疑いがある場合は抗生剤治療を行う
治療 【抗生剤】
淋菌:セフトリアキソン2g/24hr 7日間
非淋菌(免疫抑制のない若年者):セファゾリン2g/8hr
非淋菌(免疫抑制あり or 高齢者):タゾピペ4.5g/6-8hr
※MRSAのリスクあればバンコマイシン追加する
【関節鏡】
関節洗浄

【化膿性関節炎に対する関節液の診断性能(JAMA,2007)】

WBC 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
25000以上 60〜90% 60〜80% 1.7〜4.0 0.2〜0.5
50000以上 50〜70% 75〜95% 2.2〜19 0.3〜0.6
10万以上 13〜40% 93〜100% 4.7〜42 0.7〜0.8
多核球90%以上 60〜90% 70〜80% 1.7〜4 0.1〜0.6

化膿性股関節炎

病態 骨髄炎などからの波及から細菌が股関節に侵入し、乳児は免疫力が弱く安静で軽快しない。原因菌は黄色ブドウ球菌が最多で、他にレンサ球菌、インフルエンザ桿菌の場合もある。進行すると関節包内の滲出液貯留のため、大腿骨頭は外下方へ亜脱臼をきたす。放置すると成長軟骨が損傷されるため将来関節変形をきたす。
症状 ①発熱
②股関節痛(オムツ交換時に泣く)、疼痛による患肢の不動
検査 【血液検査】
WBC↑、赤沈↑、CRP(+)
【関節穿刺】膿(+)
【画像検査】X線:初期には異常なし→発症後10日ころに局所の骨萎縮、骨膜反応
治療 緊急切開排膿+関節内持続洗浄、抗菌薬静注、下肢介達牽引

化膿性骨髄炎

疫学 成長期の男児の下肢骨に多い
病態 【急性化膿性脊髄炎】
扁桃炎や上気道炎などの一次感染巣から血行性に、または近接する化膿巣から直接脊髄に感染する疾患で、しばしば敗血症を合併する。原因菌は黄色ブドウ球菌が多い。小児では病変が成長軟骨板を超えず骨幹端部に広がる。
【慢性化膿性脊髄炎】
多くは急性から慢性に移行する。最初から慢性経過を辿るBrondie骨膿瘍型もある。
症状 ①感染部疼痛・腫脹:骨髄内圧上昇による。
②仮性麻痺:疼痛のため患肢の不動が見られる。
【合併症】
敗血症:発熱、全身倦怠感
検査 【血液検査】
WBC↑赤沈↑CRP↑
【画像検査】
単純X線:初期には異常を認めず、発症10日前後で骨萎縮・骨膜反応
心エコー:敗血症を疑う場合は感染性心内膜炎の有無を確認
治療 急性:第1世代セフェム静注
慢性:骨病巣の掻爬+持続洗浄→骨移植

化膿性脊椎炎

疫学 腹部手術、糖尿病や肝硬変などの基礎疾患を有する中年以降に好発
病態 椎体終板の軟骨下骨部への血行性感染による炎症。原因は黄色ブドウ球菌が最多。
症状 発熱、持続性の腰背部痛、著名な脊柱前屈制限
【合併症】
腸腰筋膿瘍:下腹部痛、殿部痛、股関節の屈曲拘縮
検査 【画像検査】
単純X線:椎間板腔の狭小化、椎体の骨破壊、周囲に2ヶ月以降より骨硬化・骨棘形成
MRI:骨破壊像を確認
心エコー:敗血症を疑う場合は感染性心内膜炎の有無を確認
【脊椎穿刺】
起炎菌を同定
治療 第1世代セフェム投与、変形が著しく進行性の麻痺がある場合は前方侵入で病巣郭清後に前方固定術

結核性脊椎炎、関節結核

結核菌を参照。

腸腰筋膿瘍

疫学 糖尿病など基礎疾患があり免疫力が低下している人に多い
病態 腸腰筋にうみ(膿瘍)ができる疾患。腸腰筋膿瘍は増悪すると脊椎や股関節内にまで波及し、化膿性椎間板炎や化膿性股関節炎となり重篤な状態に陥ることがある。
①両側性:黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌による血行感染が多い
②片側性:隣接する臓器からの波及が多い(大腸菌など)
症状 ①発熱、腰痛
仰臥位で股関節屈曲をとり、股関節伸展で激痛となる(腸腰筋は股関節の屈曲に働く)
検査 【画像検査】
造影CT・MRI:腸腰筋に低吸収域
治療 ドレナージ(CTガイド下で放射線科医が行う)+抗菌薬投与

 

コメント

  1. […] 整形外科の各論を参照。 […]

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