頭部外傷

救急医学

頭部外傷の概要

脳損傷の分類

一次性脳損傷 外力によって不可逆的に脳実質が直接損傷(介入不可
二次性脳損傷 受傷後、様々な因子で生じ、適切な処置で軽減可能(介入可
二次性脳損傷には頭蓋内因子と頭蓋外因子がある
頭蓋内因子 血腫などによる圧迫、脳虚血、脳浮腫、けいれん、感染など※
頭蓋外因子 低酸素血症低血圧、低血糖、貧血など(初期治療で実施)

※頭部外傷後、来院時には話ができる程度の軽い意識障害の患者が、その後に急激な意識障害をきたすことがある。これは高齢者に多く、脳浮腫や遅発性外傷性脳内血腫の進展で急変する

画像所見を含めた分類

分類 小分類 詳細
頭蓋骨骨折 線状骨折、陥没骨折、縫合離解を生じる
円蓋部骨折 ①骨折線が血管溝と交差:急性硬膜外血腫のリスク
②開放陥没骨折:1cmを超える陥没、髄液流出
③陥没骨折による静脈洞圧迫:緊急手術
頭蓋底骨折 眼周囲や耳介後部の皮下出血斑、鼻出血、耳出血
脳神経麻痺:神経診察で所見
血管損傷:
気脳症:髄液漏や逆行性の頭蓋内感染に注意
局所性脳損傷 脳ヘルニアをきたす場合は手術が必要
脳挫傷 脳実質損傷のことで、実質組織の破壊と微小血管の破綻により、脳浮腫と小出血が混在する。
急性硬膜外血腫 頭蓋骨骨折により硬膜上の硬膜動脈や静脈洞から出血し硬膜外に血腫をつくる。意識清明期があり、CTで凸レンズ型の高吸収が特徴。
急性硬膜下血腫 脳表の架橋動脈や脳実質から出血し、硬膜下に血腫をつくる。CTで硬膜とくも膜の間に三日月状の高吸収が特徴。
外傷性脳内血腫 脳挫傷による小出血が癒合し、脳内血腫に進展して形成されることが多い(多くは72時間以内)
びまん性脳損傷 一般的に手術適応なく、対症療法
脳振盪 形態的な損傷を伴わず、一過性の神経機能異常を呈するもの。受傷直後〜6時間以内の意識消失を伴う古典的脳振盪と、意識消失はないが、一過性の神経兆候(記憶障害、平衡障害など)を呈する軽度脳振盪がある。
びまん性軸索損傷 受傷直後より遷延する意識障害があるが、頭蓋内占拠性病変がみられないもの。MRIでは損傷部位がT2強調で急性期から高信号として描出される。
外傷性SAH 脳底槽のくも膜下出血はびまん性脳損傷の間接的初見とも言われている。脳血管攣縮を合併することもある。
びまん性脳腫脹 一次性脳損傷に加え、受傷早期の低血圧、低酸素血症、高二酸化炭素血症などによる二次性脳損傷が加わりびまん性脳腫脹が生じると考えられている。
その他 頭蓋内血管損傷 受傷時に動脈の血管内皮が損傷し、時間が経過してから動脈解離による脳梗塞や仮性動脈瘤の破裂による出血をきたす。
穿通性脳損傷 穿通したものは抜去せず脳外科にコンサルトする。
外傷性てんかん 早期発症は急性症候性発作であり治療を要する。

頭部外傷の診療

①ABC

AB 外傷に伴い一過性に呼吸停止する場合がある
C 血圧低下:頭部外傷単独では低血圧にはならない、外液合併する出血性損傷を考慮しつつ、脊髄損傷、心挫創、心タンポ、緊張性気胸なども考慮する
D 以下の切迫するDを評価し、いずれかを認めた場合はすぐ脳外科にコンサルト
①GCS8点以下
②経過中にGCS2点以上低下
③意識障害あり瞳孔不同、片麻痺、血圧上昇+徐脈(Cushing現象)

②重症度分類

転帰
軽症 GCS 14〜15 観察入院
中等症 GCS9〜13 中等症以上の外傷は脳外科にコンサルト
重症 GCS8以下(昏睡) 外科的処置や頭蓋内モニターが前提

③身体所見

問診 頭痛、視力障害、複視、聴力障害、咬合の不具合を聴取
視診 頭皮顔面の外表創、外耳孔・鼻孔・口腔内からの出血を確認
※外耳孔・鼻孔から流出する血液が水分が多くサラサラの場合ダブルリング試験を行う
触診 頭部全体を触診し圧痛や陥没骨折を確認

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