レーザー治療の概要
レーザーの原理
標的組織を選択的に加熱・破壊して効果的に治療する。波長が長くなればなるほど皮膚深達性は高くなる。
| 光熱的作用 | 熱エネルギーで病変を破壊する作用 |
| 光機械的作用 | 衝撃波により病変を破壊する作用 |

| 赤色の疾患 | 【保険適用】 毛細血管奇形(単純性血管腫)、乳児血管腫(苺状血管腫)、毛細血管拡張症、照射回数に制限はない、治療期間3ヶ月以上あけて照射(PIH改善して行う) 【保険外】 瘢痕やケロイドの赤み |
| 使用機器 | 【ダイレーザー(色素レーザー)】 Vbeam®:波長595nm、パルス幅は可変 |
| 原理 | 酸化Hbの吸収ピークは418nm・542nm・577nmであるが、医療現場の色素レーザーは深達度の高い585〜595nmの波長が利用されている。酸化Hbにレーザーが吸収されることで赤血球が熱破壊され、周囲の血管内皮を損傷し、拡張した異常血管が減少する。日本で市販されている色素レーザーの多くは皮膚冷却装置が備わっている。 |
| 青・茶色の疾患 | 【保険適用】 太田母斑・異所性蒙古斑・外傷性刺青(同部位5回まで)、扁平母斑(同部位2回まで)、いずれも治療期間3ヶ月以上あけて照射 【保険外】 日光黒子(シミ)、雀卵斑(そばかす)、老人性色素斑、装飾刺青、伊藤母斑、粘膜の色素斑 |
| 使用機器 | 【Qスイッチレーザー】 ①ルビーレザー:波長694nm、パルス幅20〜40nsec ②アレキサンドライトレーザー:波長755nm、パルス幅50nsec ③Nd:YAGレーザー:波長532nm or 1064nm、パルス幅3〜10nsec 機種によって皮膚への深達度、メラニンなど標的物質への吸収効率、ピークパワーの強さが異なるため、治療対象と深さを診断した上で機種を選択する。 |
| 原理 | メラニン色素は400〜600nmの可視光域で吸収が強く、メラニンを含む細胞や組織が破壊され、治療効果を得ることができる。 |
| 使用時 | 照射すると皮膚が一瞬にして白くなる現象(IWP)が生じ、数分持続して消退する。これはメラノソームが衝撃波により破壊されたことを意味し、IWPが生じなければ照射出力が低いか機械故障を疑う。 |
| 黒色の疾患 | 【保険外】 色素細胞性母斑(ほくろ)、脂漏性角化症(イボ)など |
| 使用機器 | 【CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)】 波長10600nm |
| 原理 | 水は赤外領域において吸収が急増する。炭酸ガスレーザー照射により細胞間質液の消失および細胞内水分の膨張が生じ、細胞が破壊され消滅する(蒸散)。その結果、水分の多い皮膚組織に対して蒸散による精密な組織除去ができる。 |
| 使用時 | focused beamとdefocused beamの2つの照射方法がある。レーザーは肉眼的に無色であるため、ガイド光を利用する。照射部位が眼の近傍の場合はゴーグルを装着する、またはコンタクトレンズタイプの保護具を用いる。眼から少し離れていれば濡れガーゼで眼を被覆する。疣贅など感染性病変の場合は蒸散により吸入してしてしまう可能性があるため、吸引器を用いて蒸散時の飛散物質の除去と施術者の保護メガネ使用が推奨されている。 |
| 白色の疾患 | 例:ニキビ跡の凹み、傷痕 |
| 使用機器 | フラクショナルレーザー(組織を蒸散するAFL、組織を凝固するNAFL) |
| 原理 | 小孔を多数開けることで創治癒に伴う瘢痕形成を回避し、皮膚深部まで達する熱作用により皮膚のリモデリングを期待できる。 |
レーザーの設定
レーザーによる組織破壊から周辺組織を保護するために5つの因子を設定する
| ①波長(nm) | 組織によって吸収しやすい波長が異なるため治療に適した波長を選択 |
| ②パルス幅(秒) | レーザー照射時間。標的組織の熱緩和時間(=熱の半減期)より短く設定 |
| ③フルーエンス | 標的組織を熱するために必要な1cm2あたりのエネルギー量(J/cm2) |
| ④スポットサイズ | 照射面積(cm2)。サイズが大きくなると深達度も深くなる |
| ⑤反復率(Hz) | 1秒あたりの照射回数 |
合併症と対策
| 合併症 | 熱傷、水疱、びらん・潰瘍、瘢痕、ケロイド、色素沈着、脱色素 |
| 合併症対策 | 照射の際に皮膚を冷却 |
| 疼痛対策 | 照射前に麻酔テープ貼付 |


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