形成外科 Common diseases(骨髄炎)

皮膚科

骨髄炎の診断

①症状・身体所見

病期 第1期:骨髄内の炎症。局所の痛み・圧痛・発熱を伴う。
第2期:骨髄の中に膿が貯まる。炎症は骨膜下まで及ぶ。
第3期:炎症が周囲軟部組織まで及ぶ。
症状 ①感染部疼痛・腫脹:感染巣である骨髄内圧上昇による(→血流障害、骨壊死を起こす)
②仮性麻痺:疼痛のため患肢の不動が見られる
③発熱、全身倦怠感:炎症による、敗血症の可能性もあり
※成人の骨髄炎は慢性経過で出現するものが多く全身症状も少ないことが多い
所見 視診:創部の骨露出、褥瘡や糖尿病の創部が改善しない
触診:ゾンデが骨に触れる

②感染経路別の病態

骨折などの外傷、異物、血流障害、大量の菌の存在があると骨組織に感染が成立する

血行性急性 病原微生物が血行性に骨に移行し感染を起こす。主に小児で生じる。成人では、透析患者・糖尿病・静注薬物使用者に多く見られ、椎体が侵されるのが一般的。たいていは単一菌で、黄色ブドウ球菌>腸内細菌の順に頻度が高い。
直接進達性急性
(局所性急性)
病原微生物が局所の皮膚軟部組織感染から骨皮質・骨髄に直接到達し感染を起こす。成人の骨髄炎は直接進達性が多く、糖尿病やLEADによる足壊疽、褥瘡、皮膚潰瘍、骨折などの外傷や手術操作で骨に達する場合などが背景にある。黄色ブドウ球菌が最多だが、レンサ球菌、グラム陰性菌、嫌気性菌の混合感染も多い。動物咬傷ではパスツレラ属も考慮する。
慢性 多くは急性から慢性に移行する。慢性骨髄炎のほとんどが直接進達性である。急性よりも症状が乏しく疼痛や発熱もないことがよくある。

③分類

急性骨髄炎 3週間経過していないもの
慢性骨髄炎 3週間以上経過(腐骨形成すると難治化、再燃しやすく長期治療が必要)

※腐骨:骨組織が壊死し、健常な骨から分離した骨片のこと

骨髄炎の検査

①X線・CT

※骨柩(こつきゅう):腐骨の周りに新しく作られる異常な硬い骨

概要 急性骨髄炎の診断には有用ではないが、慢性骨髄炎の病変描出→最低10日間、長い時は8週間から見られる(骨膜反応、骨びらん、骨硬化像、腐骨、骨柩、軟部組織の腫脹など)やガス(嫌気性菌や腸内細菌科細菌の混合感染)・異物・骨折・腫瘍などの描出が可能
画像 軟部組織の腫脹、骨膜反応、腐骨など様々な所見がみられる

②MRI(必須)

概要 骨髄炎の診断や治療効果の指標として有用(MRIで骨髄の異常がなければその時点で骨髄炎の否定はできるが、遅れて異常所見が出現することもあるため経時的に評価が必要)
画像 【急性骨髄炎】
T1WIでは病変部は黒く低信号、T2WIやSTIRでは白く高信号となる。また造影剤を使用すると、増強効果を認め、炎症の激しい血管豊富な組織と周囲の膿瘍を区別するのに有用である。加療後もこれらの信号は残ることが多いので注意。
【慢性骨髄炎】
T1WI・T2WIともに不整な低信号を示す骨硬化性変化が見られるようになる。ただし、慢性骨髄炎の中に活動性の病巣があれば、そこは急性期と同じ信号パターンを示す。

③血液検査

WBC 急性ではWBC上昇、慢性では通常WBCは正常範囲内である
赤沈 亢進していることが多い
CRP 亢進していることが多い(治療効果の目安として使用しても良い)

④培養検査

創部培養 軟部組織感染が先行している場合に採取。それがない場合、表面や瘻孔からのスワブだとコンタミのリスクが高く、黄色ブドウ球菌を除き、検出されても原因菌として判断する信頼性が低い(黄色ブドウ球菌が検出されなくても真の原因菌として黄色ブドウ球菌を否定はできない)。
生検検体の培養 手術的に骨や周囲軟部組織を採取し、得られた検体は好気・嫌気性菌、真菌、抗酸菌の塗沫・培養・遺伝子検査と病理組織診断に提出する。検体採取にあたっては潰瘍部位を避け、健常な皮膚経由で穿刺して汚染を防ぐ。
血液培養 血培陽性の場合で特に黄色ブドウ球菌やレンサ球菌では常に感染性心内膜炎の合併を考慮する。

⑤超音波検査

敗血症を疑う場合は感染性心内膜炎の有無を確認

骨髄炎の治療

血行性急性骨髄炎の治療

多くは小児であり、割愛。椎体病変は整形外科コンサルト。

直接進達性急性骨髄炎の治療

概要 まず外科的ドレナージ・デブリし、その後6〜8週間抗菌薬を継続する(デブリ後、骨が血管に富んだ軟部組織に包まれるまでの期間)。特に、踵骨など血流の乏しい部位の骨髄炎では通常より長めに治療し、必要に応じて12週間まで延長する。軟部組織感染が先行しており起因菌が同定されている場合を除き、病態が安定していれば経験的治療は避けて培養結果を待つ。病態が不安定な場合、経験的治療を行い、抗菌薬は黄色ブドウ球菌・グラム陰性菌・嫌気性菌をカバーするスペクトラム抗菌薬からの開始が望ましい。
詳細
手術 生命に危険のある感染症を認めた場合、四肢病変の場合は感染のコントロール、壊死などの問題が解決できない場合には切断・リハビリの方がQOLを向上させる。感染組織を残さず根治的な切断が行われた場合、抗菌薬の投与は2〜5日間で良いかもしれない。

慢性骨髄炎の治療

概要 抗菌薬のみでは治癒は困難。デブリードマン後、4〜6週間静注+さらに8週間以上経口、計3ヶ月以上の長期の抗菌薬治療が必要。そのため安易に抗菌薬を開始せず、原因菌の同定に努める(表面スワブではなく、深部からの組織培養を行う)。原因菌を同定のうえ確定診断をしたら、急性骨髄炎の準じた治療開始する。糖尿病、血管障害、緑膿菌感染では治癒が難しく再発が多い。
手術 外科的処置によりプレートなど異物、腐骨の除去や切除が必要であることが少なくない。十分なデブリ後は大きな死腔が残るため、種々の有茎・無茎皮弁の使用、抗菌薬入りビーズ、自骨の移植などを行う。
その他 感染足に体重をかけないこと、フェルトなどで局所の圧を逃す

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