採血
採血針の選択
ゲージ(G) | 針の太さ(外径)→ゲージ数によって色分け |
インチ | 針の長さ |
刃先角度 | 鋭角のregular bevel(RB)→皮下注、筋注 鈍角のshort bevel(SB)→静注、動脈穿刺 |
https://www.kango-roo.com/learning/2686/
採血部位
採血を避ける場所 | 炎症や感染のある部位 |
透析シャント部位 | |
輸液使用時の中枢側 | |
乳房切除を受けた側の腕 | |
前腕で避ける場所 | オレンジ色の部分を第一選択で採血しない。もし行う場合は、 ①痛み、痺れがないか確認し、痛みがある場合は直ちに抜去すること ②何度も穿刺しない、深く穿刺しない ③トラブルがあった場合はカルテに記載する |
【前腕の場合】
肘正中皮静脈の走行のやや深層には正中神経が存在し、穿刺が深過ぎた場合神経損傷をきたすことがあるため注意。
【手背の場合】
橈骨神経浅枝は橈側皮静脈での末梢静脈路確保を実施する際に損傷しやすく、茎状突起から12cm中枢までの部位での穿刺は神経損傷リスクが高く、行うべきではないという法的根拠(判例)がある。
採血の順番(シリンジ採血)
第9凝固因子(Ca)を不活性化するため、抗凝固薬(抗凝固作用:EDTA>クエン酸Na)を採血管に入れて採血する。
分注する順番は「ぎょう(凝固)さん(血算)とれる(糖)→その他」で覚える。
採血管の色 | 検査内容 |
①黒:凝固能検査 | クエン酸(液体)入り。分注量が少ないとクエン酸の比率が高くなり、凝固時間が延長するため最初に採血し、分量ぴったりに分注する。 クエン酸はCaをマイルドにブロックし、その後Caを添加して凝固時間を検査する |
②紫:血算 | EDTA(粉末)入り ※EDTAはクエン酸と比べて強力にCaをキレートする |
③灰:血糖値 | 解糖阻止剤のフッ化Na+EDTA入り |
④茶:生化学検査 | 寒天状の血清分離薬入り |
⑤血ガス分析 | pHを変化させないヘパリン入り |
https://www.kango-roo.com/work/9216/
注射部位の種類
効果発現速度 | 持続時間 | 穿刺部位 | |
皮内注射 | 遅い | 長い | 前腕屈側 |
皮下注射 | ↓ | ↑ | 上腕伸側、三角筋上部 |
筋肉内注射 | ↓ | ↑ | 三角筋、大腿四頭筋、中殿筋 |
静脈内注射 | 早い | 遅い | 橈側皮静脈、尺側皮静脈等の表層を走る静脈 |
検体の保存方法
検体 | 例 | |
冷蔵保存 | 常在菌が存在する検体 | 尿、便、喀痰、胸水 |
常温保存 | 通常無菌な検体 | 血液、髄液 |
冷凍保存可 | PT、アルブミン |
パニック値
パニック値:生命が危ぶまれるほど危険な状態にある異常値。施設ごとに規定されている。
Na | K | 血糖値 | WBC | Hb | 血小板 | PT-INR | |
上限 | 160 | 6 | 350 | 5万 | 17 | 100万 | 4 |
下限 | 120 | 2.5 | 50 | 500 | 5 | 2万 |
血液・骨髄検査
①末梢血塗抹標本 | 採血して塗抹標本を作成。 疾患を疑う場合は②を行う。 |
②骨髄血塗抹標本 | 上後腸骨棘から骨髄穿刺して髄液を吸引して塗抹標本を作成。腫瘍細胞の浸潤を確認、もしくは骨髄穿刺できなかった場合(dry tap)は③を行う。 |
③骨髄生検 | 骨髄穿刺よりも太い針を用いて上後腸骨棘から骨髄組織を採取して標本を作成。 |
炎症マーカー
基準値 | 臨床的意義 | |
プロカルシトニン (PCT) | 0.05 ng/mL以下 ※CRPより早期に上昇 |
細菌・真菌感染症、敗血症で上昇(ウイルス性は基準値内)。炎症性サイトカインが産生されると、肝細胞や筋細胞などでPCTが合成される(作用は不明)。 臨床上は0.5以上で細菌感染・敗血症を疑う!! |
CRP | 0.3mg/dL以下 ※赤沈より早期に上昇 |
2〜3日前の炎症・組織崩壊の指標。CRPよりWBCの変動の方が早い。貧血、ネフローゼ症候群、ウイルス感染症、良性腫瘍では赤沈のみ陽性となる場合がある。 【原理】 マクロファージが活性化し、IL-6が産生されると、肝臓でCRPが合成され、補体の活性化や好中球の貪食促進を行う。CRP産生開始まで4時間、CRPピークまで2〜3日かかる。肝硬変があってもCRP産生は低下しないことが多い。 【上昇の原因】 ・細菌感染症(20mg/dL以上になる場合あり) ・膠原病 ・悪性腫瘍 |
赤沈 (ESR) (BSR) |
<1時間値> 男:10 mm/hr以下 女:15 mm/hr以下 <2時間値> 男:25 mm/hr以下 女:40 mm/hr以下 |
【原理】 赤血球は負に帯電しており、正に帯電したフィブリノゲンやγグロブリンが増加すると、両者が引き合い赤血球の沈降速度が亢進する。また、負に帯電するAlbが減少しても亢進する。 【亢進】 ①γグロブリン増加:感染症、炎症性疾患、MM ②Alb減少:肝硬変、ネフローゼ症候群 ③RBC減少:重症貧血 ④フィブリノゲン増加:妊娠、心筋梗塞、感染症、炎症性疾患 【遅延】 ①フィブリノゲン減少:DIC ②RBC増加:赤血球増多症 |
腫瘍マーカー
臨床的意義 | |
CA15-3 | 乳癌 |
AFP | 肝細胞癌、肝芽腫、卵黄囊腫瘍で上昇 |
AFPレクチン | 肝細胞癌で上昇 |
CEA | 大腸癌、胃癌などで上昇。喫煙、糖尿病、便秘などでも上昇! |
CA19-9 | 膵癌、胆道癌などで上昇 |
SPan-1抗原 | 膵癌などで上昇 |
DUPAN-2 | 膵癌、肝細胞癌、胆道癌などで上昇 |
PIVKA-Ⅱ | 肝細胞癌で上昇、ビタミンK不足でも上昇 |
SLX | 肺腺癌など腺癌で上昇 |
NSE | 肺小細胞癌、神経芽細胞腫などで上昇 |
Pro GRP | 肺小細胞癌で上昇 |
SCC | 子宮頸癌、食道癌など扁平上皮癌で上昇 |
シフラ | 肺扁平上皮癌、肺腺癌で上昇 |
PAP | 前立腺癌で上昇 |
PSA | 前立腺癌で上昇 |
CA125 | 卵巣癌で上昇 |
呼吸機能検査
基準値 | 臨床的意義 | |
呼気CO2濃度 | 4% | |
EtCO2 | 40mmHg | |
DLco | 25mL/min/Torr |
腎機能検査
基準値 | 臨床的意義 | |
BUN (尿素窒素) |
8〜20 mg/dL (20以上で異常) | 蛋白質が分解されて生じた尿素は糸球体濾過され、一部が再吸収される。下記の疾患があると上昇する。 【腎前性】 消化管出血、脱水、悪性腫瘍・火傷(組織崩壊) 【腎性・腎後性】 腎不全 ・尿路閉鎖性疾患(糸球体濾過低下↓) |
Cre (クレアチニン) |
0.16〜0.79 mg/dL (1.0以上で異常) |
【原理】 CKにより筋クレアチンリン酸からCreが生じ、Creは糸球体濾過される。Cre値は非蛋白のため食事などの外的因子の影響を受けず、筋肉量に比例する。 糸球体濾過量(GFR)低下によりCreの排泄が低下するとCre値が徐々に上昇する。一方、GFRが改善してもCrは上昇し続けて、しばらく経過してから低下し始める。 |
BUN/Cre比 | 10~11 (15以上で増加、7以下で減少) |
BUN/Crは中等度以上の腎障害があるときに比較すると有用である。 【BUN/Cr 15以上を示す代表的病態】 →腎外性因子を考慮 ①蛋白摂取過剰 ②消化管出血(鉄欠乏性貧血の有無を確認) ③蛋白異化亢進(発熱、熱傷、ステロイド投与) ④尿路の不完全閉塞 ⑤脱水:尿細管流量↓して尿素の尿細管再吸収率↑ 【BUN/Cr 7以下を示す代表的病態】 →腎性因子を考慮 ①嘔吐・下痢による尿素喪失、低蛋白血症(腎不全食) ②妊娠 ③重症肝不全(尿素合成能低下) ④横紋筋融解 ⑤透析後 |
GFR (糸球体濾過量) | 100〜120mL/分 (100未満で異常) | 24時間の蓄尿を行い、投与したイヌリンもしくは体内のクレアチニンの量からクリアランスを評価する。※クレアチニンは若干尿細管分泌されるためGFRより大きくなる傾向がある。 GFRは40歳台以降加齢により徐々に低下する。 クリアランス(mL/分)=尿中濃度×尿量/血中濃度 |
eGFR (推定GFR) | 90mL/分/1.73㎡ | GFRの簡易版。血清Cre値・年齢・性別によって算出する |
シスタチンCを用いたeGFR (推定GFR) | 新たなGFRの簡易版。血清シスタチンC値・年齢・性別によって算出する シスタチンCは近位尿細管で99%再吸収された後、分解されるため、血清濃度上昇は腎機能低下を反映する。また、筋肉量の影響を受けないため利点もある。しかし、妊娠、HIV感染、甲状腺機能障害、ステロイドなどの影響を受ける。 |
|
RPF (腎血漿流量) | GFRの約5倍 | パラアミノ馬尿酸は全て糸球体濾過+尿細管分泌されるため腎血流量が評価できる。 |
CCr(クレアチニンクリアランス) | ||
血中活性化VD3 | 慢性腎不全で低下する。 | |
血中EPO | 8〜30 mIU/mL | GFR30以下の腎障害で低下。 |
【尿検査】
基準値 | 臨床的意義 | |
FENa (尿中Na排泄率) | FENa=尿中Na濃度×血中Cre/血中Na濃度×尿中Cre | |
尿中NAG (N-アセチルグルコサミニダーゼ) | 0.7~11.2 IU/L | 主に近位尿細管の上皮細胞に存在し、糸球体では濾過されない酵素。近位尿細管障害があると上昇する(逸脱酵素)。 |
尿中アルブミン | 22.0 mg/日以下 | 試験紙法で検出されない微量の尿中Albを定量。糸球体障害、特に糖尿病性腎症の早期発見に有用。 |
肝機能検査
基準値 | 臨床的意義 | |
AST (旧GOT) |
10〜40 (IU/L/37℃) |
肝細胞以外にも存在する。 【増加の原因】 アルコール性肝障害(SAKE) 【減少の原因】 ビタミンB6欠乏:透析、高齢者動脈硬化 |
ALT (旧GPT) |
5〜45 (IU/L/37℃) |
肝細胞のみに存在する。 【増加の原因】 <軽度傷害:120未満> 肝硬変、脂肪蓄積性肝炎、胆汁うっ滞性肝炎、脂肪肝、肝臓癌など <中等度傷害:120〜500> ウイルス性、薬剤性、自己免疫性、アルコール性 <高度傷害:500〜20000> 急性ウイルス性、中毒性、薬剤性、虚血性、肝うっ血 【減少の原因】 ビタミンB6欠乏:透析、高齢者動脈硬化 |
AST/ALT | 【AST>ALT】肝小葉中心が障害されるとAST(センター)>ALTとなる。 ①重症肝障害、肝硬変:ASTはミトコンドリアに80%、細胞質に20%存在し、肝細胞が全体的に強く傷害されている。 ②アルコール性肝障害(AST/ALT=約2):ビタミンB6欠乏によりALT低下するため。 ③虚血性障害:虚血が解除されると速やかに戻る 【AST<ALT】門脈域(肝小葉辺縁)が障害されるとAST<ALT(Local)となる。 ①慢性肝炎:ウイルス性肝炎の活動期、脂肪肝など軽度〜中等度の肝細胞傷害がある |
|
LDH/AST | 高値(10〜25):悪性腫瘍、溶血性疾患の可能性 中等度:感染症、肝臓以外の実質性臓器障害の可能性 低値:肝疾患の可能性 |
|
T-BIL(総ビリルビン) | 0.2〜1.2 mg/dL | 2.0を超えると黄疸が出現(主に眼球結膜) |
D-BIL(直接ビリルビン) | 0〜0.2 mg/dL | 肝細胞障害、胆道閉塞 |
I-BIL(間接ビリルビン) | 0.2〜1.0 mg/dL | 溶血 |
胆管・胆道機能検査
基準値 | 臨床的意義 | |
ALP (アルカリホスファターゼ) |
100〜325 (IU/L/37℃) |
細胞膜に広く存在し、特定の刺激(例:胆汁うっ滞)で産生が誘導される。 【増加の原因】 ①胆管上皮細胞・細胆管細胞由来 ALP1:閉塞性黄疸、細胆道炎 ALP2:薬物誘導性肝障害、細胆道炎 ②骨由来 ALP3:骨代謝疾患 ③胎盤由来 ALP4:妊娠時や稀に悪性腫瘍(肺癌、卵巣癌) ④小腸由来 ALP5:B型やO型で脂肪食摂取後に生理的分泌 ⑤ALP結合性免疫グロブリン ALP6:潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患 |
γ-GTP | 男:80以下 女:30以下 (IU/L/37℃) |
肝小胞体でグルタチオン生成に関与する酵素。胆汁うっ滞、特定の薬物、アルコールによって誘導される 。 【増加の原因】 胆汁うっ滞、アルコール過剰摂取、薬剤性肝障害で上昇する。禁酒で速やかに数値改善する。 |
心臓機能検査
基準値 | 臨床的意義 | |
ANP | 43.0 pg/mL以下 | 心房負荷により分泌される。 |
BNP | 18.4 pg/mL以下 | 心室負荷により分泌される。腎臓から排泄されるため腎機能低下で血中濃度が上昇する。 |
NT-proBNP | 55.0 pg/mL以下 (BNPの3〜5倍) |
BNP前駆体のN末端。BNPと意義は同じ。 腎臓から排泄されるため腎機能低下で血中濃度が上昇する。 |
算出する検査値
血漿浸透圧 | 2×(Na+K)+ BUN/2.8+ 血糖値BS/18 (何!?文二はブスがいっぱい) 血漿浸透圧の基準値:280~290mOsm/kgH2O |
LDL-C | T-Chol ー HDL-C ー TG/5 |
HOMA-R | 空腹時血糖×空腹時インスリン/405(正常1.6以下、インスリン抵抗性2.5以上) |
Ccr | Ccr=(140-年齢)×体重(kg)/72×血清Cr値 |
推定1日食塩摂取量(g/日) | =1日蓄尿量(L)×尿中Na濃度(mEq/L)/17 ※食塩(NaCl)1g=Na 17mEq |
血算
血球化学検査
基準値 | 臨床的意義 | |
WBC (白血球) |
3500〜9000 /μL | 血液疾患・炎症性疾患で↑ 細菌感染症の初期や重症例では低下 ステロイド投与 |
好中球 | 桿状核球:0〜5% 分葉核球:40〜70% |
<核の左方移動> 桿状が15%以上になった状態。発症後12〜24時間以降、骨髄から幼弱な好中球が供給され、左方移動が生じる。 ・細菌感染症(好中球数増加) ※重症感染症では供給不足で好中球数が減少して危険な状態 ※感染性心内膜炎、細菌性髄膜炎、膿瘍では左方移動が起こらない ・ウイルス感染症(好中球数減少) ・無顆粒球症(好中球数減少) |
リンパ球 | 20〜50 % | ウイルス感染で比率が↑ 末梢血リンパ球の約80%はT細胞 |
単球 | 2〜10 % | |
好酸球 | 1〜5% | アレルギー・寄生虫感染で↑ |
好塩基球 | 0〜1% | 慢性骨髄性白血病で↑ |
RBC (赤血球) |
男:400〜550万/μL 女:350〜500万/μL (400〜500万/μL) |
貧血で↓、脱水・多血症で↑。 |
Hb (ヘモグロビン) |
男:14〜18 g/dL 女:12〜16 g/dL (12g/dL以上) |
酸素運搬物質(Fe含む)。高地に住むと↑ Hb13未満(女性は12未満)で貧血。 9.5g/dL未満:眼瞼結膜は貧血様(蒼白) 7.5g/dL未満:収縮期駆出性雑音 【Hb減少の原因】 ①骨髄におけるRBC産生低下 ②血管内におけるRBC破壊 ③出血 |
Ht (ヘマトクリット) |
男:40〜52 % 女:35〜45 % (35〜50%) |
血中に占めるRBCの全容積の割合=45% 貧血で↓、脱水・多血症で↑ |
MCV (平均赤血球容積) |
80〜100 fL MCV=Ht×10/RBC |
RBC1個あたりの大きさ。 <小球性:80以下> ・鉄欠乏性貧血(慢性出血を含む) ・慢性炎症 ・グロビン合成異常 <正球性:80〜100> ・急性出血(一過性BUN↑、Cre正常) ・溶血(K上昇することは稀) <大球性:100以上> ・葉酸 or VB12不足(120以上) ・銅やセルロプラスミン不足 ・肝細胞障害(肝細胞再生に葉酸が必要のため、100〜120が多い) ・MCVの大きな網赤血球増加(急性出血や溶血の一部) |
MCH (平均赤血球色素量) |
28〜34 pg MCH=Hb×10/RBC |
RBC1個あたりのHb量。 MCHは現在あまり使われない。 |
MCHC (平均赤血球Hb濃度) |
30〜35 % MCHC=Hb×100/Ht |
1HtあたりのHb量。 低色素:30未満、正色素:30〜35 |
RDW (赤血球分布幅) |
赤血球の大きさのばらつきの程度。 RDW大きい:鉄欠乏、ビタミン欠乏、MDS RDW正常:慢性疾患に伴う貧血など |
|
Ret (網赤血球) |
0.1〜2.0% 4〜6万/μL |
骨髄でのRBC産生状態を反映。 【増加の原因(造血亢進)】 <10万/μL以上> ・急性出血 ・溶血 【減少の原因(造血低下)】 |
ハプトグロビン | ?? | 遊離Hb結合蛋白。 【減少の原因】 ・血中遊離Hb上昇(溶血) ・肝障害(肝臓で合成されるため) |
フェリチン | ?? | 貯蔵鉄。 フェリチン著増:①Still病、②血球貪食症候群、③ヘモクロマトーシス |
PLT (血小板) |
15〜35万/μL | 【減少の原因】 <骨髄における産生低下> ・癌の骨転移、骨髄線維症 ・放射線照射、抗癌剤投与 <血小板破壊亢進> ・全身の血管内で凝固亢進:DIC、敗血症、高サイトカイン血症、感染性心内膜炎など ・出血 ・血栓塞栓症(フィブリノゲン減少なし) |
凝固・線溶系検査
基準値 | 臨床的意義 | |
出血時間 | 7分以下 | 人工的に皮膚を切開し、自然に止血するまでの時間。血小板による止血を確認。 |
PT-INR PT時間 PT活性 |
INR:0.9〜1.1 10〜14 秒 70〜100 % |
外因系の凝固活性の指標。第Ⅲ因子を血漿に添加してフィブリン析出するまでの時間。 PT延長・PT活性低下:血を固める時間が長く、血を固める力が弱くなっていることを意味する。 【INR延長の原因】 <凝固亢進に伴う1,2,5,7,10の消費> ・DIC、血栓症、敗血症、血管炎症候群 ・高サイトカイン血症 <肝臓での1,2,5,7,10の産生低下> ・肝機能障害による凝固因子合成低下 ・VK欠乏症(抗菌薬による腸内細菌↓など) <薬剤性> ・ワルファリン内服 |
APTT時間 APTT活性 |
25〜36 秒 80〜130 % |
内因系の凝固活性の指標。APTT試薬を血漿に添加してフィブリン析出するまでの時間。 【APTT延長の原因】 <凝固亢進に伴う1,2,5,8-13の消費> ・DIC、血栓症、敗血症、血管炎症候群 ・高サイトカイン血症 <肝臓での1,2,5,8-13の産生低下> ・肝機能障害による凝固因子合成低下 ・VK欠乏症(抗菌薬による腸内細菌↓など) <薬剤性> ・ヘパリン使用 |
フィブリノゲン | ?? | 【低下の原因】 フィブリノゲン低下は凝固亢進を意味する。 <凝固亢進に伴う1の消費> ・DIC、血栓症、敗血症、血管炎症候群 ・高サイトカイン血症 <肝臓での1の産生低下> ・肝機能障害による凝固因子合成低下 【増加の原因】 急性期蛋白のフィブリンはCRPと同じメカニズムで上昇する。 |
血中FDP | 5.0 μg/mL未満 | 線溶系亢進で上昇。 |
D-ダイマー | 0.72 μg/mL以下 | 二次線溶系亢進で上昇。 |
アンチトロンビンⅢ(ATⅢ) | 15〜31 mg/dL | 凝固亢進で低下 |
アンチプラスミン活性(α2PI) | 85〜118 % | 線溶系活性度の指標。線溶系を抑制する蛋白質。 |
生化学
栄養状態 | 肝臓で合成されるAlb、T-Chol、ChEの値が1つでも基準範囲内であれば、数日前まで食事が十分に摂取できていたと判断できる。 |
全身状態 | Alb(疾患活動性上昇で低下)、血小板(血管内炎症で低下)が基準範囲内に戻れば回復を意味する。 |
蛋白
基準値 | 臨床的意義 | |
TP(総蛋白) | 6.7〜8.3g/dL (6〜8) |
栄養状態と肝腎機能の指標。 TPを電気泳動→+極からAlb/α1/α2/β/γ |
Alb(アルブミン) | 3.8〜5.3g/dL (4〜5) |
TPの約60%はAlbが占める。半減期が約20日のため、採血検査は週1で良い。 【Alb低下の原因】 <Alb産生低下> ・蛋白摂取不足:食事、吸収障害 ・合成障害:肝硬変、肝炎 <Alb消費亢進> ・体外喪失:ネフローゼ、出血など ・異化亢進:炎症性疾患、悪性腫瘍、手術など ・体腔内漏出:腹水、胸水 |
血中β2MG (β2ミクログロブリン) |
1.0~1.9 mg/L | β2MGは全身の有核細胞に存在する低分子蛋白質で、糸球体濾過された後、近位尿細管でほぼ再吸収される。そのため近位尿細管障害があると尿中β2MGが上昇し、糸球体障害があると血中β2MGが上昇する。 |
SP-D(肺サーファクタントプロテインD) | 110ng/mL未満 | |
KL-6 | 500U/mL未満 | 肺胞障害で増加。Ⅱ型肺胞上皮細胞が産生。 【高値】 間質性肺炎。線維化を伴わない細菌性肺炎では上昇しないが、レジオネラ肺炎、肺結核、ニューモシスチス肺炎などで上昇する。 |
尿中トランスフェリン | 1.0mg/g・Cr以下 | |
血中ミオグロビン | 男:28〜72ng/mL 女:25〜58ng/mL |
酵素低分子化合物
基準値 | 臨床的意義 | |
LDH (乳酸脱水素酵素) |
120〜240 (IU/L/37℃) |
解糖系の酵素。臓器が損傷すると逸脱酵素となり上昇する。 溶血による偽高値になる場合がある→CK、ASTも確認! 運動の影響を受けるため、採血前に激しい運動は避ける。 【アイソザイム】 LDH1/2:心臓・血液疾患 LDH3:悪性腫瘍 LDH4/5:肝疾患 |
ChE (コリンエステラーゼ) |
男:234〜493 女:200〜452 (IU/L/37℃) |
【低下の原因】 <産生低下> ・食事摂取低下、消化吸収障害 ・肝細胞障害:慢性肝炎、肝硬変 <消費亢進> ・妊娠、循環血液量の増加 ・炎症などで蛋白異化の亢進 ・有機リン中毒、サリン中毒 |
CK (クレアチンキナーゼ) |
男:60〜270 女:40〜150 (IU/L/37℃) |
【高値】骨格筋・心筋の破壊 |
AMY (アミラーゼ) |
血清40〜122 (120以下) (IU/L/37℃ ) |
逸脱酵素。急性膵炎、耳下腺炎で増加。 |
PG (ペプシノゲン) |
||
UA (尿酸) |
男:3.8〜7.0 女:2.5〜7.0 (7.0以下) (mg/dL ) |
|
シスタチンC | 0.5〜0.9 (mg/L) |
|
アンモニア | 30〜86 (μg/dL) |
糖質・糖代謝
基準値 | 臨床的意義 | |
GLU(血糖値) | 70〜109 mg/dL (70〜110未満) |
50mg/dL程度ではCNSエネルギー不足により頭痛、目のかすみ、空腹感、生あくび・眠気 50mg/dL以下では意識障害、異常行動、痙攣 |
GA(グリコアルブミン) | 11〜16 % | 過去2〜3週の平均血糖値を反映 HbA1cは貧血などで変化するためGAを使う |
HbA1c | NGSP値:4.6〜6.2% (6.5以上) |
過去1〜2ヵ月の平均血糖値を反映 HbA1c低値傾向:RBC寿命が短縮する貧血(溶血性、腎性、出血、貧血回復期) HbA1c高値傾向:RBC延長する貧血(鉄欠乏性、ビタミンB12欠乏性) |
1,5-AG(アンヒドログルシトール) | 14 μg/mL以上 | |
抗GAD抗体 | 1.5 U/mL未満 |
脂質
基準値 | 臨床的意義 | |
TG (中性脂肪) |
30〜149 mg/dL (150未満) |
|
TC (総コレステロール) |
120〜219 mg/dL (220未満) |
【低下の原因】 <産生低下> ・食事摂取低下、消化吸収障害 ・肝細胞障害:慢性肝炎、肝硬変 <消費亢進> ・IL-6↑TNFα↑など高値で強い炎症あり |
HDL-C | 男:40〜85 mg/dL 女:40〜95 mg/dL (40以上) |
|
LDL-C | 65〜139 mg/dL (140未満) |
|
リポ蛋白分画 | ||
リン脂質 | 150〜280 mg/dL | |
リパーゼ | 5〜35 IU/L/37℃ | |
RLP-C | 7.5 mg/dL以下 |
電解質・ミネラル
基準値 | 臨床的意義 | |
Na | 137〜147 mEq/L (140前後) |
|
K | 3.5〜5.0 mEq/L (4前後) |
|
Cl | 98〜108 mEq/L (100前後) |
|
Ca | 8.4〜10.4 mEq/L (8〜10) |
血中Alb値が4g/dL以下の場合、Albと結合していたCaが血中から骨などに移動し血中Ca濃度が低下する。 ※Albが4g/dL未満の場合 補正血中Ca濃度=実測血中Ca濃度+4ー血清Alb値 |
P(無機リン) | 2.5〜4.5 mEq/L (3〜4) |
|
Fe (血清鉄) |
男:50〜200 mEq/L 女:40〜180 mEq/L (約100前後) |
鉄の代謝は血液内科を参照。 |
TIBC (総鉄結合能) |
男:270〜425 μg/dL 女:270〜440 μg/dL (約300前後) |
TIBC:鉄が結合できるTfの総量 UIBC:鉄と結合してないTfの量(不飽和鉄結合能) TIBC=UIBC+血清鉄 |
Zn | 64〜111 μg/dL | |
Mg | 1.9〜2.5 mg/dL |
尿検査
細菌検査のための採尿は表在菌の影響を排除するため中間尿を採取する。
糸球体障害 | 尿潜血と蛋白尿が同時に検出される |
尿細管上皮細胞傷害 | 尿沈渣で円柱が出現する |
基準値 | 臨床的意義 | |
pH | 5.0〜7.5 | 通常、不揮発酸を排出するため弱酸性6.0〜6.5となる |
尿浸透圧 | 300 Posm | |
尿比重 | 1.010〜1.030 | 1.030以上(高張尿):脱水症、造影剤の混入 1.010〜1.030(等張尿):1.025以上で尿濃縮力あり 1.010未満(低張尿):水分過剰摂取、尿崩症、利尿薬投与 |
尿中Bil | ||
尿中ケトン | ||
潜血 | 通常陰性 | 【血尿】赤血球+の尿。糸球体性と非糸球体性 【Hb尿】赤血球ーかつHb+の尿。糸球体性、尿細管性、生理的 【ミオグロビン尿】赤血球−かつミオグロビン+の尿。横紋筋融解症 |
ウロビリノーゲン | ||
尿中Na | 20mEq/L | 尿中Na量の約2.5倍が1日摂取Na量と等しい |
尿沈渣(尿を遠心分離して沈殿物を光顕で観察したもの)
基準値 (400倍視野) |
臨床的意義 | ||
細胞成分 | 赤血球 | 4個以下/HPF | 5個以上で血尿。 ただし、月経1週間は陽性となりうる。 |
白血球 | 4個以下/HPF | 5個以上で膿尿。尿路感染症を疑う。 | |
上皮細胞 | ? | 腎・尿路系の炎症を疑う。 | |
円柱成分 | 尿中円柱 | なし (1つでもあれば病的。硝子円柱は除く) |
尿中円柱は、Albを含む原尿に尿細管で分泌されるTamm-Horsfall蛋白が混ざると形成される。この硝子円柱に赤血球が入れば赤血球円柱、といった具合に様々な円柱が形成される。円柱形性には濃縮される必要があるため早朝尿で多く見られる。 |
析出成分 | ー | ー | 尿酸塩、シュウ酸Caなど |
円柱の種類
意義 | 考えられる疾患 | |
硝子円柱 | 細胞や顆粒成分を含まず、尿細管を流れる尿流が遅いと出来やすい。 | 健常者でも少量認められ、尿細管の一部閉塞で多数認められる。 |
赤血球円柱 | 赤血球を含み、糸球体疾患を考える。 | AGN、IgA腎症、FSGS、MPGN、SLEなど |
脂肪円柱 | 尿細管上皮から遊離した脂肪球を含み、高度蛋白尿でみられる。 | ネフローゼ症候群、高脂血症、糖尿病性糸球体硬化症 |
上皮円柱 | 変性・脱落した尿細管上皮を含み、尿細管障害を示す。 | 尿細管疾患(尿細管壊死)、活動性腎炎 |
顆粒円柱 | 様々な細胞由来の顆粒を含み、高度蛋白尿、腎実質の炎症を示す。 | 糸球体腎炎、間質性腎炎、腎盂腎炎、急性腎不全 |
白血球円柱 | 腎実質の炎症や感染でみられる。 | 腎盂腎炎、AGN |
ろう状円柱 | 腎機能高度障害でみられる。 | 慢性腎不全 |
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