抗てんかん薬

薬理学

てんかんの約70%が薬物コントロール可能で、約30%が難治性で薬物治療が無効。単剤治療が原則で、数剤試しても効果がなければ異なる薬理作用を持つ多剤併用を行う。多剤併用が無効な場合は外科治療を検討する。

てんかんの薬剤選択

  第1選択(全部バカ 第2選択
部分発作 カルバマゼピン フェニトイン、ゾニサミド、バルプロ酸
欠神発作 バルプロ酸 エトスクシミド
ミオクロニー発作 バルプロ酸 クロナゼパム
強直間代発作 バルプロ酸 フェノバルビタール、クロバザム、フェニトイン
てんかん重積発作 ジアゼパム(静注) ロラゼパム(静注)

薬理作用による分類

電位依存性イオンチャネル遮断薬 Naチャネル遮断薬、Caチャネル遮断薬
GABA抑制系増強薬 バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系
グルタミン酸・アスパラギン酸興奮系抑制薬 AMPA受容体拮抗薬
多様な薬理作用を持つ薬  

バルビツール酸系

バルビツール酸系の作用機序と副作用はこちらを参照。

一般名 先発名 特徴
フェノバルビタール:PB フェノバール 長時間型睡眠薬としても使用される。
【ADME】CYP3A4誘導。定常状態に達するまでの日数と半減期が長い。
フェノバルビタールNa ノーベルバール
ワコビタール坐剤
ルピアール坐剤
小児に対して経口投与困難な場合に使用。
プリミドン:PRM 【利点】併用禁忌薬剤なし
【ADME】一部フェノバルビタールに変化する。

ベンゾジアゼピン系

ベンゾジアゼピン系の作用機序と副作用はこちらを参照。

一般名 先発名 特徴
クロナゼパム:CZP リボトリール錠/細粒
ランドセン
自律神経発作にも使用される。
ジアゼパム:DZP ダイアップ坐剤 小児に対して経口投与困難な場合に使用。
てんかん痙攣発作:発作時に使用?
【熱性痙攣予防の使い方】
37.5度以上になったら1回目を使用
②熱が下がらなかったら8時間後に2回目を使用(2回使用で血中濃度24時間維持)※3回目以降は熱が続いても使用しない!
③他の坐薬と併用する場合は前後30分あける
④箱に入れ30度以下保管なら1年間使用可能
クロバザム:CLB マイスタン 他の抗てんかん薬との併用療法のみ使用できる。
【ADME】CYP3A4で代謝。
ミダゾラム ミダフレッサ  
ロラゼパム ロラピタ  

電位依存性Naチャネル遮断薬

作用機序 神経細胞の電位依存性Naチャネルの活動を抑制し、過剰な興奮を抑制する。
   
一般名 先発名 特徴
フェニトイン:PHT アレビアチン
ヒダントール
【欠点】強直間代発作が悪化。進行性ミオクローヌスてんかん症候群で服用すると小脳失調が顕著に悪化。
服用2〜6週間後に薬疹(DIHS)を起こすことがある。
【ADME】非線形
ホスフェニトイン ホストイン フェニトインの血管痛,血管炎,組織壊死を軽減できる薬剤
エトトイン:EHT アクセノン  
カルバマゼピン:CBZ テグレトール
(ノバルティス)
三叉神経痛に使用される。
【欠点】ミオクロニー発作を悪化させる。服用2〜6週間後に薬疹(DIHS)を起こすことがある。
ラモトリギン:LTG ラミクタール
(グラクソ)
グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質遊離抑制作用も持つ。部分発作・強直間代発作・定型欠神発作・Lennox -gastaut症候群の全般発作に有効。
【ADME】グルクロン酸抱合され尿中に排出される。
ラコサミド ビムパット
(第一三共)
電位依存性Naチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進して過剰興奮を抑制する。他の抗てんかん薬との併用療法のみ使用できる。

電位依存性Caチャネル遮断薬

一般名 先発名 特徴
エトスクシミド:ESM エピレオプチマル
ザロンチン
 

Na/Caチャネル遮断薬

一般名 先発名 特徴
ゾニサミド:ZNS エクセグラン  
トピラマート:TPM トピナ錠/細粒
(キリン)
難治性部分発作に有効。

複合作用の抗てんかん薬

一般名 先発名 特徴
バルプロ酸:VPA デパケン 電位依存性Naチャネル遮断+GABA分解阻害
バルプロ酸徐放錠 デパケンR
セレニカR
服用開始初期は悪心嘔吐など消化器症状出やすい。
眠気やふらつきが出ることがある。
【欠点】催奇形性や児のIQ低下のため挙児希望や妊婦に禁忌
ガバペンチン:GBP ガバペン 電位依存性Caチャネル遮断+脳内GABA量増加。部分発作に使用。他の抗てんかん薬との併用療法のみ使用できる。
【利点】薬物相互作用がほぼない
【欠点】ミオクロニー発作や欠神発作を悪化させる可能性
【ADME】腎排泄型

SV2A結合

作用機序 シナプス小胞のSV2A(シナプス小胞蛋白2A)と結合する。
   
一般名 先発名 特徴
レベチラセタム イーケプラ
(大塚)
腎機能による投与量・投与間隔の調整が必要。部分発作・強直間代発作に有効。

AMPA受容体拮抗薬

作用機序 AMPA型グルタミン酸受容体を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過剰興奮を抑制する。
用法用量 1日1回就寝前投与
副作用  
一般名 先発名 特徴
ペランパネル フィコンパ
(エーザイ)
他の抗てんかん薬との併用療法のみ使用できる。部分発作・強直間代発作に有効。
【ADME】半減期長い

その他の抗てんかん薬

一般名 先発名 特徴
トリメタジオン ミノアレ  
スルチアム オスポロット  
アセチルフェネトライド:APT クランポール  

Dravet症候群治療薬

一般名 先発名 特徴
スチリペントール ディアコミット  
ルフィナミド イノベロン  
ビガバトリン サブリル  

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