形成外科 Common disease(頭部・顔面軟部組織損傷)

救急医学

顔面軟部組織損傷の診察

①ガーゼで圧迫止血
②全身状態確認 ABCDE確認、必要なら顔面創は圧迫止血のままにして救命処置する
③麻酔 麻酔前に顔面の表情運動させて顔面神経損傷部位を確認
眉毛挙上:前頭枝、目を強く閉じる:頬骨枝、口を尖らせる:頬枝、口角を下に引く:下顎縁枝・頚枝
④記録 写真撮影
⑤止血 出血点を明確にして血管のみ止血操作を行う。神経などの二次損傷の恐れがあるため出血部位を大きく把持結紮や凝固止血してはいけない。
⑥洗浄 創内を生食で洗浄しつつ展開し、損傷を確認するととも異物を除去する

頭皮の処置修復

解剖 表層から、皮膚→浅筋膜帽状腱膜→疎性結合組織→骨膜→頭蓋骨の順
特徴 浅筋膜内は血流豊富で出血に注意:浅筋膜内は動静脈が走行しており、頭皮から出血多量の場合は画像検査に先行して止血目的のため粗に頭皮縫合する場合がある。
帽状腱膜の裂創は修復する必要あり:裂創から深部の疎性結合組織へ細菌感染する場合や水平方向の裂創は前頭筋が落ち込むことで顔貌に歪みが出る可能性がある。
処置 ①最小限の範囲で頭髪をハサミで切る(剃毛は正常皮膚を傷つけるためしない)
②27G針2.5mLロック付きシリンジで局所麻酔し、創部洗浄して創部を観察
③デブリは最小限にする(頭皮は緊張がかかっているため)
④動脈性出血はバイポーラーで焼却止血する
【縫合する場合】
①帽状腱膜の縫合と皮膚・皮下組織の縫合を別々に行う場合
皮膚・皮下組織の縫合は3-0ナイロン、帽状腱膜の縫合は3-0/4-0モノフィラメント吸収糸を使用する。

②帽状腱膜の縫合と皮膚・皮下組織の縫合を一括で行う場合
5号弾機付きの角針+3-0ナイロン切り糸を使用して一括縫合するが、死腔のないよう強い力で結紮するため、単純縫合を選んだ場合は創縁の内反に、垂直マットレスを選んだ場合は創縁の外反にならないよう注意して縫合する。

【ステープラーで閉創する場合】
創が浅く止血されている場合(後頭部は睡眠時に枕に当たって痛いため縫合する)
【髪の毛を結んで閉創する場合(HAT)】
3〜5cmの直線状の創で、浅く止血されている場合(主に小児に行う)

a)裂創の両側の5本の毛髪を鉗子で挟み、毛束をねじって束にする
b)鉗子を用いて束を交差させ創縁を合わせる
c)毛束同士を180度さらに一度ねじり、そこにダーマボンドを垂らして固定する
経過 縫合の場合、処置当日は飲酒や入浴は控え、翌日に感染徴候がなければ洗髪可。抜糸は基本7日後に行うが、縫合数が多かったり創に緊張がかかっていると判断した場合は2回に分けて抜糸し、1回目と2回目の間隔は翌日〜1週間後に行う。
ステープラーの場合、
HATの場合、2日目から洗髪可能、ボンドは2週間以内に徐々に落ちる

顔面・前額部の処置修復

解剖
特徴 耳下腺損傷の有無:皮下1.5cmの深さの耳下腺損傷で創部から唾液、または、口腔内に血性の唾液を認めることがある(あれば耳鼻科コンサルト?)
顔面神経の枝の損傷の有無:特に前頭部の深い創は側頭枝を損傷している可能性があるため、麻酔処置前に額にシワがよるか確認する(麻痺あれば後日フォロー)
処置 ①皮下深部縫合:吸収糸(4-0PDSなど)
②皮膚縫合:5-0ナイロン、垂直マットレスは基本的に行わない

眼とその周囲の処置修復

解剖
特徴 ①最初に視力対光反射を確認(腫れて閉じた眼瞼を無理やりでも開く)
※用手的に難しければ開瞼器とベノキシール点眼麻酔薬を使用
②次に眼球運動前房出血の有無を確認(異常があればすぐに眼科コンサルト)
眉毛外側の衝撃は視神経管骨折の可能性あるためSwinging Flashling testを行う
Marcus Gunn瞳孔を認めたら脳神経外科と眼科にコンサルトする
処置 【眼瞼の裂創】
①27G針2.5mLロック付きシリンジで局所麻酔し、創部洗浄して創部を観察
②表層のみの単純裂創の場合、以下の単純縫合を行う
【眼瞼縁にかかる裂創】
洗浄のみを行い、眼科や形成外科に速やかにコンサルト

※涙小管の断裂を認めた場合、3-0ナイロンなど留置して閉塞を防止してコンサルト

耳介の処置修復

麻酔 耳介ブロック
特徴 耳介血腫の確認:耳介血腫とは耳介に鈍的な外力が加わり、軟骨から軟骨膜が剥離され、軟骨膜下に血腫を生じたもの。吸引による血腫の除去や切開ドレナージを行った後に耳介の圧迫固定を行わないと容易に再発する。そのため耳介前後にロールガーゼを当てて、耳介に糸を貫通させて前後から圧迫する。
処置 【耳介軟骨に達していない場合】
5-0以上のナイロンで丁寧に1-2mmバイトで単純縫合する
【耳介軟骨に達している場合】
基本的に軟骨を縫合する必要はなく、皮膚縫合により軟骨が元の位置に戻る

鼻の処置修復

解剖
特徴 ①多量の鼻出血は経口気管挿管
②髄液鼻漏の確認のためダブルリングサインを確認
③鼻尖部の欠損を伴う場合は洗浄止血してワセリンガーゼで形成コンサルト
処置 ①27G針2.5mLロック付きシリンジで局所麻酔し、創部洗浄して創部を観察
※鼻尖部は疼痛が強いため下眼窩神経ブロックを補足的に行っておく
【鼻尖部の処置】
【鼻尖部の欠損創】
【鼻尖部の皮弁創】
【鼻翼の欠損創】

口唇の処置修復

解剖
特徴 ①赤唇線を正確に合わせて縫合(一生段違いの唇となるため)
②貫通してそうな場合はゾンデで探る
③貫通創の場合、皮膚側のみ創閉鎖し、粘膜側は開放(閉鎖で膿瘍のリスク↑のため)
処置 ①赤唇線のマーキング→その後局所麻酔(逆になると赤唇線がわからなくなる)
※マーキングしない場合、下眼窩神経ブロックやオトガイ神経ブロック
②創部洗浄

③口唇内の口輪筋は吸収糸(4-0PDSなど)で縫合(創が皮下組織までなら④へ)
④まず、赤唇線を正確に合わせて5-0ナイロン以上で縫合
⑤皮膚部分を5-0ナイロン以上で縫合
経過 ①4〜5日目に抜糸(縫合糸痕がつかないように)
②貫通創がある場合、食後は毎回口をゆすぐ、小さい塊が入らないよう指導

舌の処置修復

特徴 ①舌からの出血が多く気道が保てない場合、経口気管挿管して処置①②まで行う
②舌からの出血が多くないが大きく避けている場合、オペ室の全身麻酔下で処置
処置
①舌先部に牽引用の0号ナイロンなど太い糸をかけ、ペアンで把持する
②舌中隔に沿って舌下面から舌背にかけて2-0以上の糸を通して縫縮止血する
③筋層を吸収糸で縫合
④粘膜面を吸収糸(3-0/4-0バイクリル)で粗く縫合

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