抗不安薬、睡眠薬

薬理学

抗不安薬

ベンゾジアゼピン系

作用機序 こちらを参照
禁忌 重症筋無力症、閉塞隅角緑内障、呼吸機能が高度に低下している患者
副作用  

短時間型

一般名 先発名 特徴
クロチアゼパム リーゼ錠  
エチゾラム デパス錠 頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛における不安・筋緊張の適用があり汎用される。抗不安作用が強い。
フルタゾラム コレミナール  

中間型

一般名 先発名 特徴
ロラゼパム ワイパックス 【利点】抗不安作用が強い。
【ADME】CYP代謝ではなくグルクロン酸抱合代謝されるため、肝機能低下患者や高齢者に使用しやすい。
アルプラゾラム コンスタン
ソラナックス
【利点】抗不安作用が強く、抗うつ作用もある。
【欠点】鎮静作用が強い。
【ADME】HIVプロテアーゼ阻害薬と併用禁忌
ブロマゼパム レキソタン
セニラン
【利点】抗不安作用が強い。
【欠点】鎮静作用が強い。

長時間型

一般名 先発名 特徴
ジアゼパム セルシン
ホリゾン
抗不安作用、鎮静作用・抗痙攣作用を併せ持つ。
【ADME】リトナビルと併用禁忌
クロキサゾラム セパゾン ジアゼパムより強力な抗不安作用を持つ。
フルジアゼパム エリスパン  
クロルジアゼポキシド コントール
バランス
 
オキサゾラム セレナール  
メダゼパム レスミット  
メキサゾラム メレックス  
クロラゼプ酸 メンドン 【ADME】リトナビルと併用禁忌

超長時間型

一般名 先発名 特徴
ロフラゼプ酸 メイラックス  
フルトプラゼパム レスタス  

セロトニン1A部分作動薬

作用機序 大脳辺縁系に局在するシナプス後膜5-HT1A受容体に作用し、亢進しているセロトニン神経活動を抑制することにより選択的に抗不安作用を示す。
禁忌  
一般名 先発名 特徴
タンドスピロン セディール 【利点】ベンゾジアゼピン系と比べて、依存形成や鎮静・筋弛緩などの副作用が少ない。禁忌がないため使いやすい。
【欠点】効果発現に2週間以上かかる。SSRIやSNRIとの併用によりセロトニン症候群が現れる可能性がある。

睡眠薬

バルビツール酸系睡眠薬(BB系)

利点 強い催眠鎮静作用があるため不穏・興奮状態の患者の緊急的な鎮静に用いることができる。
欠点 安全性が低く、大量服用で呼吸抑制となり致死的な危険性がある。また、耐性や依存が生じやすいため短期的な使用に限られる。非バルビツール酸系も同様である。
一般名 先発名 特徴
ペントバルビタール ラボナ  
アモバルビタール イソミタール  
セコバルビタール アイオナール  

非バルビツール酸系睡眠薬

一般名 先発名 特徴
ブロモバレリル尿素 ブロバリン  
トリクロホス トリクロリール  
抱水クロラール エスクレ  

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZ系)

どの薬も約30分以内に効果発現する。

作用機序 こちらを参照
禁忌 重症筋無力症、閉塞隅角緑内障(エスタゾラムを除く)、呼吸機能が高度に低下している患者
共通の副作用 半減期の短い薬剤を高力価で投与、またはアルコールを併用すると健忘が起こりやすい(少量から投与すべし)。CYP3A4で代謝される薬が多いので、CYP3A4誘導・阻害薬との併用に注意する。

【不眠症のタイプにより推奨される睡眠薬】

  入眠障害 中途覚醒、早朝覚醒
神経症的傾向が弱い場合
脱力・ふらつきがある場合
ゾルピデム
ゾピクロン
エスゾピクロン
ラメルテオン
クアゼパム
神経症的傾向が強い場合
肩こりなどを伴う場合
トリアゾラム
ブロチゾラム
エチゾラム
フルニトラゼパム
ニトラゼパム
エスタゾラムなど
腎機能・肝機能障害がある場合 ロルメタゼパム ロラゼパム

超短時間型(作用時間:数時間)

一般名 先発名 特徴
トリアゾラム ハルシオン錠 【利点】約15分で効果発現する。
【欠点】数日で耐性できる
ため頓服に限られる。
【ADME】CYP3A4阻害薬との併用禁忌。

短時間型(作用時間:7~10時間)

一般名 先発名 特徴
ブロチゾラム レンドルミン錠  
ロルメタゼパム ロラメット
エバミール
CYP代謝ではなくグルクロン酸抱合代謝されるため、肝機能低下患者や高齢者に使用しやすい。
リルマザホン リスミー錠  

中間型(作用時間:半日~1日)

一般名 先発名 特徴
フルニトラゼパム サイレース錠  
ニトラゼパム ベンザリン錠
ネルボン錠
筋弛緩作用・抗痙攣作用が強い。
エスタゾラム ユーロジン錠 【欠点】リトナビル併用は禁忌。

長時間型(作用時間:1日~3日)

一般名 先発名 特徴
クアゼパム ドラール錠 【利点】ω1選択性高い。
【欠点】睡眠時無呼吸症候群・リトナビル併用は禁忌。
【ADME】食後は血中濃度が増加するため、就寝前の空腹時に服用すること。
フルラゼパム ダルメートCP 【欠点】リトナビル併用は禁忌。
ハロキサゾラム ソメリン錠  

非ベンゾジアゼピン系(Z-drug系睡眠薬)

利点 ω1選択性が高いため、筋弛緩作用によるふらつき・転倒・呼吸抑制などの副作用が比較的少ない。
欠点 ω1選択性が高いため、不安感が強い人には不向き。

超短時間型

一般名 先発名 特徴
ゾルピデム マイスリー錠
【利点】ω1選択性高く、転倒のリスクが少ない。
【欠点】肝機能障害が比較的起こりやすいため、高度肝機能障害患者に禁忌。
ゾピクロン アモバン錠
【利点】ゾルピデムよりω1選択性が低いため、不安感が少しある人向け。
【欠点】翌朝まで残る苦味がある。
エスゾピクロン ルネスタ錠
【利点】ゾピクロンのS体で、ゾピクロンより少し作用時間が長い。(作用はゾピクロンと同じ。)
【ADME】食後は血中濃度が低下するため、就寝前の空腹時に服用すること。

メラトニン受容体作動薬

作用機序 メラトニン受容体に作用し、睡眠覚醒リズムを整え、入眠困難を改善する。
禁忌 フルボキサミン併用(本剤はCYP1A2で代謝されるため)、高度肝機能障害(本剤は肝臓で代謝されるため)
副作用 眠気、頭痛、倦怠感、浮動性めまい
一般名 先発名 特徴
ラメルテオン ロゼレム錠 【利点】鎮静作用による作用機序ではないため、安全性が高い。せん妄のある患者にも使える
【欠点】効果が出るまで2~4週間ほどかかる。べンゾジアゼピン系に比べ安全性は高いが、催眠作用は弱い
【ADME】食後は血中濃度が低下するため、就寝前の空腹時に服用すること。

オレキシン受容体拮抗薬

作用機序 オレキシンはレム睡眠を抑制して覚醒を維持する神経ペプチドである。オレキシン受容体を阻害することで、覚醒神経核を抑制し、レム睡眠を誘導する。
共通の副作用 眠気、頭痛、倦怠感、浮動性めまい、悪夢(レム睡眠が増えるため)
一般名 商品名 特徴
スボレキサント ベルソムラ錠 【利点】即効性もあり、せん妄のある患者にも使える。
【欠点】CPY3A4阻害薬との併用は禁忌。
【ADME】食後は血中濃度が低下するため、就寝前の空腹時に服用すること。
レンボレキサント デエビゴ錠 【利点】ベルソムラより催眠作用が強く、半減期も長い。一包化が可能。
【欠点】半減期が長くなるため眠気などの副作用も多い
【ADME】高度肝機能障害は禁忌(本剤は肝臓で代謝されるため)。食後は血中濃度が低下するため、就寝前の空腹時に服用すること。

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