精神保健福祉法
| 精神障害者 | 統合失調症、薬物中毒・依存、知的障害などの精神疾患を有するもの。精神障害者は障害者総合支援法により、通院医療に係る自立支援医療費の支給(患者1割負担)を受けることができる。受診する医療機関や調剤薬局などを登録し、受給者証に記載する必要がある。 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神障害者はの申請は市町村で行い、精神保健福祉センターで判定され、都道府県知事が交付する(2年毎更新)。1〜3級に分類。 |
| 精神保健福祉センター | 精神保健の向上と精神障害者の福祉の増進を図るための機関で、都道府県単位で設置する。 【業務】 ①精神医療審査会に関する事務 ②精神障害者福祉手帳の障害等級(1級〜3級の3区分)の判定 ③精神保健福祉に関する知識の普及 ※精神保健福祉の第一線機関は保健所であり、訪問指導は保健所が行う |
| 精神医療審査会 | 都道府県の精神保健福祉センターに設置され、強制入院患者の医療が適正に進められているか否かを審査する機関。 |
精神科の入院形態
| 入院 形態 |
任意入院 | 医療保護入院 | 措置入院 (緊急時:緊急措置入院) |
| 入院 要因 |
本人の同意必要 | 本人の同意が得らない場合 (家族の同意必要) |
衝動に駆られ自傷他害のおそれ (家族の同意は不要) |
| 診察 | 医師 | 精神保健指定医1名 | 指定医2名(緊急:指定医1名) |
| 入院 期限 |
ー | 90日以上は退院支援委員会の審議を通過する必要あり | (緊急措置入院の場合は72時間、以降はに他の措置に切り替え) |
| 特徴 | 患者の自由意志で入退院できる | 病院長が強制入院させ、保健所を経て知事に届ける | 知事が強制入院させる (公費負担) |
【行動制限】
| 制限されること | 外出制限・面会制限・電話制限(医師なら指示可) 隔離・拘束(指定医のみ可) |
| 制限できないこと | ①信書の発信・受信 ②代理人である弁護士、人権を擁護する行政職員との面会や電話 ③都道府県が設置している精神医療審査会への退院請求・処遇改善請求 |
【精神保健指定医(指定医)】
臨床経験5年以上、精神科3年以上などの要件を満たした医師の中から厚生労働大臣が指定し、上記の強制入院の手続きを行う(精神保健福祉法)。
精神科の診察順序
①身体疾患を除外する
| 1 | 精神障害の多くは若年発症のため、中高年の初回の精神症状は身体疾患を疑う。 |
| 2 | 産後は精神障害が発症しやすいが、下垂体機能低下などもきたす。 |
| 3 | 身体疾患の併存、薬剤・アルコール・ドラッグなどの使用を確認する。 |
| 4 | 不随意運動など、神経症状がある場合は身体疾患を疑う。 |
| 5 | 体重減少や食事の嗜好変化はビタミン・ミネラル不足、認知症などでも生じる。 |
| 6 | 頭部外傷の既往は、種々の精神症状に関係している。 |
| 7 | ハンチントン舞踏病など遺伝性疾患の家族歴を確認。 |
| 8 | 意識レベルの変動や幻視は身体疾患で多く見られる。 |
| 9 | 適切な治療にもかかわらず精神症状が改善しない場合は身体疾患を疑う。 |
| 10 | 認知機能低下は身体疾患を疑う。 |
| 11 | 併存の身体疾患で説明できない血液検査の異常値は身体疾患を疑う。 |
| 12 | ストレス→精神症状の出現/悪化を安易に心因性とせず、身体疾患を疑う。 |
【外因性精神障害(身体因性精神障害)】
外因性精神障害は、急性期には意識障害を伴いやすく、慢性疾患では認知機能低下・記憶障害・人格水準低下をきたしやすい特徴がある。基礎疾患の治癒とともに症状は消失する。
| 器質性精神病 | 脳の病変から生じる精神障害 |
| 神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄小脳変性症) | |
| 脱髄疾患(多発性硬化症など) | |
| てんかん、脳腫瘍、脳血管障害 | |
| 脳炎(感染性脳炎、自己免疫性脳炎、抗NMDA受容体脳炎) | |
| 認知症 | |
| 頭部外傷 | |
| 症候性精神病 | 脳以外の全身性疾患から生じる精神障害 |
| ①内分泌疾患による精神障害 (甲状腺機能障害、副甲状腺機能障害、副腎皮質機能障害、副腎髄質機能障害、副腎髄質腫瘍、性腺機能低下症、膵臓機能障害、下垂体機能障害、女性のライフステージに伴う月経・妊娠による精神障害) |
|
| ②代謝障害による精神障害 (ウィルソン病、肝性脳症、尿毒症性脳症、透析による精神病、フェニルケトン尿症、リピドーシス、ポルフィリン症、ペラグラ、ビタミンB1欠乏症、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、電解質代謝異常) |
|
| ③膠原病 SLE、ベーチェット病など |
|
| ④医原性による精神障害(術後せん妄、ステロイド・IFNなどの薬剤) | |
| ⑤悪性腫瘍 | |
| ⑥感染症 インフルエンザ、敗血症、肺炎 |
|
| 中毒性精神病 | |
| 化学物質中毒による精神障害(CO、Hg、H2S、HCN、Pb、農薬) | |
| アルコール依存症 | |
| 麻薬・覚せい剤依存症 |
②症状から疾患の方向性を判断
| ①幻覚・妄想 | 統合失調症、妄想性障害 |
| ②躁・抑うつ | 双極症、うつ病、適応障害 |
| ③不安・恐怖・強迫 | 不安症、PTSD、強迫症 |
| ④解離・転換・離人感 | 解離症 |
| ⑤検査で異常のない症状 | 身体症状症 |
| ⑥特有の個性 | 神経発達症、パーソナリティ症、摂食症 |
③症状の経過を確認
精神疾患は以下のような経過をとることが多いが、知的障害、精神発達遅滞、ASD、虐待やネグレクトなど小児期の逆境体験、いじめなどがあると症状を認めやすく非典型的になってくる。
| 急性経過 | 慢性経過 |
| 6つの方向性 ↕︎ 幻覚妄想状態 ↕︎ 興奮状態 ↕︎ 緊張病状態 ↕︎ 昏迷状態 |
6つの方向性 ↕︎ 幻覚妄想状態 ↕︎ 認知症症状 |
| 症状は激しく動くが回復もしやすい | 症状は激しくないが回復もしづらい |
精神機能と症候
| 精神機能 | 精神症状 |
| 意識 | 意識混濁、意識狭窄(もうろう状態など)、意識変容(せん妄など) |
| 知覚 | 錯覚、幻覚(幻視、幻聴、幻味・幻嗅、体感幻覚) |
| 思考 | ①思考過程の異常(観念奔逸、思考制止、思考途絶、滅裂思考、連合弛緩、言葉のサラダ、保続、迂遠) ②思考の体験様式の異常(強迫観念、作為思考) ③思考内容の異常(一次妄想、二次妄想) |
| 感情 | ①気分の異常(うつ状態、躁状態、多幸症) ②感情の興奮性の異常(情動麻痺、感情鈍麻) ③感情調節障害(感情失禁) ④病的感情(不安・恐怖、両価性) |
| 意欲と行動 | ①欲動の量的障害(興奮状態、制止、昏迷) ②個々の欲動の障害(食欲の障害、自傷・自殺、性欲の異常) |
| 記憶 | 記銘力の障害、記憶の保持再生の障害、健忘 |
意識障害
意識障害の詳細は救急科を参照。
知覚の異常
知覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の異常として錯覚、幻覚が重要である。
| 錯覚 | 実在するものを誤って別のものとして知覚(見間違い、聞き間違い) 健常者でも不注意、不安・恐怖などの感情要因によっても生じうる |
| 幻覚 | 実在しないものを実在するかのように知覚(幻視、幻聴、体感幻覚など) 幻視は意識障害があると出現しやすい ①幻視:振戦せん妄の小動物幻視、レビー小体型の小人幻視、術後せん妄の幻視 ②幻聴:考想化声、会話形式の幻聴 ③幻味・幻嗅、体感幻覚:統合失調症でよく見られる |
思考の異常
思考過程の異常(思路障害)
| 観念奔逸 | 躁状態の際に、次々に考えが浮かぶため、思考過程がどんどん脇道にそれるため、全体としてまとまりがなくなった状態。 |
| 思考制止 | うつ状態の際に、考えが思うように浮かばず、思考過程が停滞してしまう状態。観念奔逸とは真逆の状態。 |
| 思考滅裂 連合弛緩 |
統合失調症に見られる。個々の考えの間に意味の結びつきが乏しくなり、何を言っているのかわからなくなった状態。軽症の場合は大意をとることは可能で連合弛緩といい、重症の場合は言葉のサラダといい、無関係な単語の羅列となる。 |
| 思考途絶 | 統合失調症に見られる。思考が途中で突然停止する状態。よって話の途中で急に黙り込み、しばらくしてから話を再開する。 |
| 保続 | 脳器質障害(前頭葉障害が多い)に特徴的な所見。一度浮かんだ考えが脳裏を離れず直前の反応を切り換えられないため思考過程が前に進まない状態。「名前は何ですか?小林。ここはどこですか?小林。好きな色は?小林。」 |
| 迂遠 (うえん) |
老化、脳器質障害(てんかんなど)に見られる。細部にまでこだわるため話が回りくどく、冗長になった状態。 |
思考体験様式の異常
| 強迫思考 強迫観念 恐怖症 |
強迫性障害、統合失調症、うつ病などの多くの疾患に見られる。自分自身ではそれが無意味であるとわかっているものの、ある考えが反復して出現して、考えることを止められない現象を強迫思考という。強迫思考を別の行動で中和しようとする(強迫行為)。 恐怖症は強迫観念が主に情緒面に現れた現象。高所恐怖、閉所恐怖などがある。 |
| 作為思考 させられ思考 |
統合失調症に見られる。自分の考えであるのに、他人によって考えさせられているという体験をする現象。自分が行なっているという意識の希薄化によって現れる。他人に考えを吹き込まれる現象を考想吹入、自分の考えを抜き取られる現象を考想奪取、自分の考えを他人に操られる現象を考想干渉、自分の考えが他人に伝わる現象を考想伝播、自分の考えが他人に見抜かれてしまう現象を考想察知、自分の考えが他人の声として聞こえてくる現象を考想化声いう(幻聴の一種)。 |
| 支配観念 優格観念 |
ある感情がすべての考えに優先して脳裏を支配し、長時間持続的に保たれている状態。例:近親者の死にあって、悲しい思い出が頭をずっと離れない。 |
思考内容の異常
| 妄想 | 異常な確信に支えられた訂正不能の考え。(訂正可能な考え=念慮) |
| 一次妄想 (原発性) |
なぜそのような考えが起こったか心理的に了解できないもので、統合失調症の主症状の1つである。一次妄想は3つに分類でき、妄想気分<妄想知覚<妄想着想の順に重症となると考えるとわかりやすい。 妄想気分:大きな事件が起こりそうな不気味な予感を持つに至った状態 例:「この世の終わりが来る」などと感じる(世界没落体験) 妄想知覚:突然ある知覚に対して特別な意味付けがされ、そのまま確信された状態 例:猫が通ったのを見て「〜が死んだ」と確信する 妄想着想:突然ある考えいを思いつき、そのまま確信された状態 例:突然理由もなく「自分は神だ」と確信する |
| 二次妄想 (続発性) |
なぜそのような考えが起こったか心理的に了解できるもの。二次妄想にはうつ病に多く見られる微小妄想、躁病に多い誇大妄想、統合失調症に多い被害妄想などがある。 微小妄想:自分を過小評価する内容で、貧困妄想、罪業妄想、心気妄想など。 誇大妄想:自分を過大評価する内容で、血統妄想、使命妄想など。 被害妄想:自分に危害や悪意を及ぼす内容で、注察妄想(自分が見られていると考える)、迫害妄想、嫉妬妄想など(嫉妬妄想はアルコール依存症に多い)。 |
感情の異常
感情=情動(一時的な激しい心の動き)+気分(比較的長く続く心の動き)
| 気分の異常 | ①うつ状態:気分が落ち込み、何もかもつまらない状態 ②躁状態:気分が高揚した状態 ③多幸症:状況に関係なく上機嫌で、表面的で内容のない爽快気分 |
| 感情の興奮性の異常 | ①情動麻痺:激しい精神的ショックを受けた直後、一切の感情が麻痺した状態 ②感情鈍麻:感受性低下により感情表出が乏しい状態 ③易刺激性:些細なことでイライラする状態 |
| 感情調節の異常 | ①感情失禁:生じた喜怒哀楽の感情が簡単に漏れてしまう症状。 血管性認知症によく見られる。 |
| 病的感情 | ①不安:対象のない漠然とした恐れ ②恐怖:特定の対象のある恐れ ③両価性(アンビバレンス):1つの対象に対し、相反する感情(好きと嫌い)を同時に有する症状。 統合失調症、境界性パーソナリティー障害でよく見られる。 |
意欲の異常
意欲=意志+欲動(生命や生活の維持に必要な行動を起こす力)
欲動の量的障害
| 制止 | 意志の発動が障害され、思考・行動が遅くなる(欲動は低下しない) 例:うつ病 |
| 昏迷 | 意識は清明だが、意志の発動が全く見られない(刺激に全く反応しない) 例:うつ病、緊張病、解離 |
| 興奮状態 | 感情の高揚と共に食欲・性欲が亢進する 例:躁病 |
個々の欲動の障害
食欲の障害、自傷・自殺、性欲の異常がある。
行動の異常
| カタレプシー | 受動的にとらされた不自然な姿勢をいつまでもとり続け、自分の意志で戻そうとしない症状。緊張病症状の一つ。 |
| 常同症 | 同じ身振り、行動、言語を意味もなく反復し、周囲の状況にそぐわない症状。 |
| 反響症状 | 他人の言語、動作、表情などを真似る症状 |
| 空笑、独語 | 空笑は不適切な感情の表現、独語は幻聴に対応する応答 |
自我意識の異常
自我意識とは文字通り自己に対する意識であり、能動性、単一性、同一性の3つから構成される。能動性は自分が認識して行動しているという意識、単一性は自分が1人であって2人でないという意識、同一性は過去の自分と現在の自分が同じ人間という意識である。
| 離人感 | 自我意識の能動性が失われたため、自分の身体・知覚・行動が自分のものでないような感じで、実感がなくなる状態。何を食べても砂のようだと訴えたり、生きている実感を得るためにリストカットしたりする。 統合失調症、うつ病、不安障害、境界型パーソナリティー障害などでみられる。 |
| 解離・転換 | 意識、記憶、思考、感情、知覚、行動などが分断されて体験される状態。 解離性同一性障害などでみられる。 |
記憶とは
10代後半が記憶力のピーク。高齢者は物忘れがあるのが普通で、ヒントがあれば思い出す。
【記憶の分類】
| 短期記憶 | 作業 記憶 |
(所謂、ワーキングメモリ) | 情報を一時的(1分以内)に置いておく記憶 | 前頭連合野 |
| 長期記憶 | 陳述 記憶 |
エピソード記憶 | 言葉で説明できる、体験や思い出 | 海馬、大脳連合野 |
| 意味記憶 | 言葉で説明できる、学習で得た知識 | 海馬、大脳連合野 | ||
| 非陳述 記憶 |
手続き記憶 | スポーツや運転など習慣で身に付くスキル | 小脳など |

記憶の異常
健忘
| 健忘 | ある特定の期間のことが追想できない症状で、特にエピソード記憶が障害される。 |
| 逆向健忘 | 発症以前の記憶を忘れること。原因に頭部外傷などがある。 |
| 前向健忘 | 発症以後の記憶を忘れること。原因に飲酒、睡眠薬、意識障害回復後などがある。 |
| 全生活史健忘 (心因性) |
いわゆる記憶喪失。自分の名前、仕事、家庭などの自己に対する記憶は全て忘れるが、社会的知識や一般的知識は保たれている(意味記憶や手続き記憶は障害されない)ため車の運転や仕事は可能。基本的には心因性であり、脳に器質的な異常はみられず、解離性障害の1つの症状と考えられている。 |
特殊な治療法
修正型電気けいれん療法(mECT)
| 概要 | 頭部に短時間通電し、精神疾患を治療する方法。麻酔薬と筋弛緩剤を併用する。 |
| 適応 | ・難治性うつ病、双極性障害 ・統合失調症 ・パーキンソン病 ・悪性症候群など |
| 用法 | 1クール:8〜15回の通電 |
| 合併症 | 可逆的な逆行性健忘、軽度の頭痛 |
心理学的検査
発達・知能検査
| 津守・稲毛式発達検査 | 対象0~7歳、母親(養育者)に乳幼児の発達状況をたずね、その結果から精神発達の診断をする。 |
| 田中・Binet式知能検査 | 対象2歳以上、下位項目なし。精神年齢/実年齢によってIQを算出する方法。IQが70%以下の場合は精神遅滞を考える。 |
| Wechsler児童知能検査 (WISC:ウィスク) |
対象5~15歳、下位項目あり。WAISの小児版。WAISと同様に発達障害の診断に有用。 |
| Wechsler成人用知能検査 (WAIS:ウェイス) |
対象16歳以上 、下位項目あり。苦手分野・得意分野がわかり、全体の知能構造(IQ算出)を評価できる。IQ70以下なら知能障害(+)。 |
人格検査
【質問紙法】
質問紙法:MY 峰子ちゃん、気分はびっくり状態(MPI、Y-G性格検査、Minnesota多面人格検査、Cornell medical index、Zungのうつ病評価尺度、気分プロフィール検査、Beckのうつ病評価尺度、状態特性不安検査)
| Minnesota多面人格検査 (MMPI)(自記式) |
質問紙法による人格検査。質問を550問yes、noで答えさせ人格特徴を表す検査。所要時間は1時間。 |
| 矢田部ギルフォード検査 (YG検査)(自記式) |
日常の行動傾向や態度に関する120問回答し12個の性格に分ける。所要時間は約20分。 |
| コーネル・メディカルインデックス(CMI)(自記式) | 身体・精神的自覚症状について200問ずつ回答する。所要時間は約20分。 |
【投影法】
Throw Shadow:Th(TAT)row(Rorschach) Shadow(SCT)
| Rorschachテスト | 投影法による人格検査。インクのシミでできた有彩色と無彩色の図を合計10枚被験者に見せ、何に見えるか答えさせ、その応答を分析することで人格を検査する。所要時間は1~2時間。 |
| 主題統覚検査(TAT) | 人物を含む絵を見て自由に物語を空想させる検査。 |
| 文章完成法(SCT)(自記式) | 投影法による人格検査。未完成の短い文章を与え、自分の言葉で文章を完成させる。 |
| P-Fスタディ(自記式) | 24の欲求不満場面に対する回答をする。 |
| バウム・テスト(自記式) | 1本の木を書いて心理状態を判断する。臨床で頻用する。 |
【作業能力検査】
| 内田・クレペリン連続加算テスト(自記式) | 1桁の数字の加算をさせ、作業量の変化と誤答から能力と性格を総合的に評価。 |
| ベンダー・ゲシュタルトテスト(BGT)(自記式) | 全体としてまとまりの9枚の図形を見せて、正確に模写させる。主に脳機能障害のスクリーニングに使用。 |
神経心理学的検査
記憶検査
| 三宅式記銘力テスト | 有関係対語(マッチ・タバコ)と無関係対語(少量・畳)を被験者に記銘させ、あとで想起させる検査 |
| Wechsler記憶検査 | 包括的な記憶検査。Wechsler成人知能検査(WAIS-Ⅲ)の記憶検査版で、認知症をはじめとする認知機能評価に有用。 |
| Rivermead行動記憶検査 (RBMT) |
日常生活における近時記憶の検査で、実際の生活場面に近い課題を使用することが特徴。 |
前頭葉検査
| 前頭葉機能検査(FAB) | 検査者が類似性の理解や語の流暢性など6種類の課題を出して評価する。10分程度でできる認知機能評価法。 |
| Wisconsinカード分類テスト (WCST) |
4種類の色・形のカードを用いて、概念の変換やワーキングメモリに関する能力を検討し、脳卒中や頭部外傷などによる遂行機能障害の評価をする。 |
精神症状評価尺度
認知症評価スケール
これらは全て医療者が評価する。
| Mini-Mental State Examination(MMSE) | 30点満点、23点以下で認知症の疑い。 |
| 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) | 30点満点、20点以下で認知症の疑い。 |
| Clinical Dementia Rating(CDR) | 重症度評価法。0~3点、3点は重度認知症。 |
| Altheimer’s Disease Assessment Scale(ADAS-Jcog) | 記憶を中心とした重症度評価法。 |
統合失調症評価スケール
| 簡易精神症状評価尺度(BPRS) | 全ての精神疾患、特に統合失調症症状を医師が評価する他覚的評価尺度。18症状の項目を7段階評価し、高得点ほど重症。 |
症状評価スケール
| 状態・特性不安検査(STAI) | 状態不安(現在の不安)と特性不安(普段から感じている不安と性格傾向としての不安)を測定(自記式)。所要時間は約10分。神経症性障害やストレス関連障害などの不安のスクリーニングに有用で、高得点ほど不安が強い。 |


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