精神科(ASD・ADHD)

精神科

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害:ASD)

疫学 男性に多い(有病率:男性2〜3%、女性1%)
病態 対人関係の苦手さ、強いこだわりといった特徴をもつ発達障害で、原因は遺伝的な要因で生まれつきの脳機能異常が生じるためと考えられている。成人ASDは幼少期のエピソードを聞いて診断する。
症状 ①社会性の障害
視線が合わない、合っても共感的でない
人見知りしない、親の後追いをしない
一人遊びが多い、ごっこ遊びを好まない
抱っこや触られるのを嫌がる
言葉の表面的な意味にとらわれやすいコミュニケーションの質的な障害
内側前頭前野の働きが弱いため、相手の表情の微妙な違い・目線・声色といった非言語情報を読み取りづらく、言葉の内容などの言語情報から相手の判断をする傾向がある。そのため、皮肉や冗談の意図を直感的に汲み取れず、不安や恐怖といった脅威的な感情が増加する。
③他人と社会的な場面で相互関係を持つことの障害
所謂KY、話が噛み合わない、話が逸れる、自分のことばかり話す
独特な考え方や反復的な行動パターンをもつ
<自閉症のみ(Asperger症候群ではみられない)>→3歳までに三主徴の揃う
言語発達の遅れ・知的発達障害が多い、反響言語(おうむ返し)
感覚過敏、聴覚過敏、触覚過敏など様々
⑦常同性:同じ遊びに熱中する、同じ道を通る
合併症 ADHD(約50%)、知的障害(約50%)、チック障害(約25%)、運動系の遅れ(約70%)、2次障害で睡眠障害(約70%)、不安症・うつ病(約50%)
検査 WAIS-Ⅲ、AQ、PARS-TRを用いることもある
治療 【心理社会的治療】
療育:短期間で到達可能な目標を設定し、本人の力を引き出してできることを少しずつ増やす。
環境調整:ASDの子は視覚情報が得意であるため、言葉だけでなくイラスト・文字・色分けをして「見える化」することで理解を助ける。感覚過敏に対してはイヤーマフをする。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

疫学 有病率:約5%、5:1で男児に多い
病態 脳内のドーパミン・ノルアドレナリンの受容体への結合能低下により報酬系の障害が起こり、自分の情動や行動をうまく調節できないため不注意・多動・衝動性といった行動障害が起こると考えられている。
症状 ①多動性:立ち歩いてしまう、手足をそわそわ動かす
②衝動性:順番を待てない、質問が終わる前に答える
③不注意:ケアレスミスが多い、忘れ物や遅刻が多い、優先順位をつけれない
④その他:手先の不器用さが目立つ
合併症 チック障害(約10%)、叱られることばかりで自尊心が低下し、社会不適応感から不安や不満が増加する。その結果、2次障害として不登校や反抗的になる。
治療 【心理社会的治療】
親が子供を理解し、好ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らす技術を親が習得する。本人が適応しやすい環境を整えたり、本人のスキルを上げたりする。
【薬物療法】どれが効くか試す
メチルフェニデート徐放錠、アトモキセチン、グアンファシン

神経発達症(ASD・ADHD)

神経発達症の概要

①ASDとADHDの鑑別

ADHD ASD
子供の頃 落ち着きがなく片付けや整理が苦手 周りの雰囲気に合わせられない(KY)
大人になって 仕事・家事・育児が上手くこなせない パートナーや子供の気持ちの理解が苦手
会話 思ったことをすぐに話す 冗談・比喩が通じず額面通り受け取る

②引き起こされやすいトラブルとその対応(ADHD)

②引き起こされやすいトラブルとその対応(ASD)

③心理社会的療法を活用する

ペアレントトレーニング 親の接し方が適切になると、本人と親の心理的負担が軽減され、良い結果に結びつく可能性がある
ペアレントメンター 神経発達症の子供を育てた経験のある両親が診断を受けて間もない親などに対して助言を行う人
TEACCHプログラム 各児童に個別の構造化した環境を提供し、安心した生活を送れるように技法を教育する
その他 当事者会(日本自閉症協会)、社会支援(発達障害者支援法)

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