更年期障害、早発卵巣不全

産婦人科

更年期障害 climacteric disturbance

閉経 閉経:特に器質的異常を伴わずに12ヶ月間の無月経を認めた場合(通常40〜50歳代)
病態 卵巣機能の低下によるエストロゲン低下と、それに伴うゴナドトロピン増加によって自律神経失調症状や精神神経症状などの不定愁訴を呈する一連の症候群で、器質的疾患は認めない。
症状 更年期症状は閉経前後の5年に現れ、特異的な症状はないため訴えが漠然としている
①月経不順:閉経前に機能性出血がみられる
②自律神経症状:発汗、ほてり、ホットフラッシュ、動悸、足腰の冷え
③精神症状:易怒性、抑うつ、不安感、不眠、頭痛、めまい
④神経症状:手足の痺れ、耳鳴
⑤運動器症状:易疲労感、腰痛、肩こり、関節痛
⑥性交痛:エストラジオール(E2)の低下により膣の萎縮と乾燥を起こすため
検査 【血液検査】
E2↓、FSH↑(30mIU/mL以上)、LDL↑、TSH不変(甲状腺機能異常を除外)
治療 【ホルモン補充療法(HRT)】
エストロゲン・黄体ホルモン併用療法(EPT):E・Pを併用
※E単独投与は子宮体癌のリスク↑のためP併用(子宮摘除後の患者はE単独投与)
・メリット:HRTによって症状緩和だけでなく、脂質代謝改善、骨粗鬆症や萎縮性膣炎の予防も行える
・デメリット:エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳癌・子宮体癌)、血栓症・冠動脈疾患・脳卒中の既往、妊娠疑いにはE投与禁忌
※経皮投与では直接全身循環系に入るため、経口剤と比較して中性脂肪の上昇作用がなく、心血管イベントの危険が少ないとされる。
投与 アドヒアランスを考慮し、経皮持続的投与をする場合が多い

早発卵巣不全 POF:Premature Ovarian Failure(早発閉経)

病態 40歳までに閉経期と同じ内分泌動態となり、続発無月経を生じる疾患。
原因は早期卵胞喪失とゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群に分類できる。
症状 低エストロゲン症状:無月経、不妊、更年期症状、萎縮性膣炎、骨粗鬆症、脂質異常症
検査 【画像検査】
経膣エコー:卵胞が認められない
治療 エストロゲン+ゲスターゲン投与

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