循環器総論(心不全、不整脈、虚血性心疾患)

循環器

心不全 HF:Heart failure

病態 心不全は、心臓に器質的 or 機能的異常が生じて心臓のポンプ機能が低下し(収縮不全・拡張不全)、代償機構(交感神経系↑やエンドセリン↑して後負荷↑、RAA系↑やバソプレシン↑して前負荷↑)ではカバーできなくなり、臓器が必要な血液量を供給できない状態を指す。
上記の結果、前負荷・後負荷の増大を改善しようと、
・心筋が肥大して適応しようとする(心筋リモデリング)
・心房からANP、心室からBNPが分泌されNa利尿+血管拡張しようとする
【心不全の原因】
①心筋機能低下:心筋症、心筋梗塞、心筋炎など
②心筋への負荷増大:高血圧、弁膜症など
③心膜疾患による心筋の拡張障害:心タンポナーデ、収縮性心膜炎
【左室駆出率(LVEF)による分類】
ヘフレフ(HFreducedEF):左室の収縮不全で起こる心不全(左室駆出率40%未満
ヘフペフ(HFpresevedEF):左室の拡張不全で起こる心不全(左室駆出率50%以上)
※after load mismatch:EFは正常に保たれたまま血圧が上昇して心不全が生じた状態
【進行速度による分類】
急性心不全、慢性心不全
【心拍出量による分類】
低拍出性心不全:虚血性心疾患、弁膜症、拡張型心筋症、肺高血圧症など
高拍出性心不全:重症貧血・甲状腺機能亢進症(酸素需要↑)、動静脈シャント・脚気心(末梢血管抵抗↑)
【障害部位による分類】
左心不全、右心不全
うっ血性心不全:心臓に戻れなくなった血液が臓器で溢れ返っている状態
増悪
因子
F(Forgot):薬を飲み忘れた
A(Arrhythmia & Anemia):不整脈(頻脈・徐脈)、貧血(高拍出性)
I(Ischemia & Infection):虚血、感染症
L(Lifestyle):塩分過剰摂取アルコール、脱水、ストレスなど
U(Upregulators):甲状腺機能亢進症や妊娠
R(Rheumatic):リウマチ性のものを含めた弁膜疾患
E(Embolism):肺塞栓
血流
低下
症状
①全身:倦怠感・易疲労感(骨格筋の酸素不足により嫌気性解糖が進み乳酸が蓄積する)、四肢冷感・チアノーゼ(末梢循環不全)、冷汗、食欲不振
②心:動悸
③脳:頭痛、意識障害
④腎:尿量減少(夜間尿、乏尿)
⑤肺:Cheyne-Stokes呼吸(重症心不全)
左心
不全
症状
左心不全:左室拡張末期圧の上昇によって、左房圧↑や肺うっ血(肺水腫)をきたした状態
呼吸困難:肺水腫によって肺胞の中が水浸しになるため拡散障害が起こりPaO2低下により過換気となる。特に夜間は臥位で静脈還流が増加するため、喘鳴を伴うこともある(心臓喘息)。
起坐呼吸:初期は労作時呼吸困難だが、進行すると安静時呼吸困難=起坐呼吸となる。
ピンク色泡沫状痰+咳:肺うっ血が高度になり毛細血管が破綻すると喀出され、咳を伴う。聴診で吸気時に水泡音が聴こえる。
④胸水:漏出性に生じる
右心
不全
症状
右心不全:右室拡張末期圧の上昇によって、右房圧↑や体循環うっ血をきたした状態(多くは左心不全に続発)
【症状】
浮腫(pitting edema):主に下腿
頸静脈怒張:内頸Vには静脈弁がないため右房圧上昇を直接反映する。
③腹部膨満感:肝うっ血による肝腫大のため。
体重増加:通常2〜3kg増加する。体液貯留の指標となる。
消化器症状:消化管粘膜のうっ血により食欲不振・悪心嘔吐・便秘などを呈する。
⑥腹水、心嚢液貯留:漏出性に生じる
検査 【身体検査】
聴診:心尖部でⅢ音・Ⅳ音→奔馬調律(左心不全)、右心不全でⅡp亢進、全肺野に呼吸気時のcoarse crackles、進行して細気管支浮腫によってwheeze(呼気性の喘鳴)
【画像検査】
胸部X線:心胸郭比(CTR)増加、上肺野の血管陰影増強、肺水腫によるすりガラス陰影、葉間胸水によるカーリーB線・vanishing tumor、胸水貯留でCP角dull、重症では肺門部を中心としたbutterfly shadow
心エコー:LVEF低下、左房圧の推定(E/e’)、IVC径拡大、
心カテ:PAWP上昇、左室拡張末期圧の上昇、を確認
【血液検査】
BNP↑:心室負荷に比例して分泌される。心不全の重症度に相関+予後予測
AST優位↑:Pickの偽肝硬変

心不全の評価とステージ

心不全の多くは急性心不全として発症し、その後代償化され慢性心不全に移行する。その後、急性増悪による非代償性急性心不全を反復し、最終的に難治化して死に至る。

AHA心不全ステージ分類
(American Heart Association)
病期をステージAからステージDまでの4期に分類し、適切な治療介入を行うことを目的とする心不全の病期の進行に関する分類
※心不全は無症候であってもリスク因子があれば、発症前から治療介入を行うことが重要!
<無症候期>
①ステージA:器質的心疾患ないが、リスク因子あり
②ステージB:器質的心疾患もリスク因子もあり
<心不全症候出現>
③ステージC:器質的心疾患あり、心不全症候あり
④ステージD:治療抵抗性心不全
NYHA重症度分類
(New York Heart Association)
種々の身体労作により生じる自覚症状のみに基づいて判定される心不全の重症度分類
①NYHA Ⅰ度:心疾患はあるが、症状はなし
②NYHA Ⅱ度:坂道や階段を歩いて登ると息切れが出る
③NYHA Ⅲ度:平地歩行をするだけでも息切れが出る
④NYHA Ⅳ度:安静にしていても息切れが出る
初期対応に使用される分類
(クリニカルシナリオ分類)
①CS1:収縮期血圧140以上+後負荷急増による肺水腫⇨酸素投与(NPPV)、硝酸薬
②CS2:収縮期血圧100以上+主に体循環うっ血=全身性浮腫⇨利尿薬(フロセミド)
③CS3:収縮期血圧100未満の低還流で末梢循環不全⇨強心薬(ドブタミン、ドパミン、ミルリノン)、輸液、IABP
④CS4:急性冠症候群
⑤CS5:右心不全のみで全身性浮腫(肺塞栓症など)
うっ血所見と低灌流量所見に基づいた分類
Nohria -Stevemson分類
臨床所見から、末梢循環不全の有無(warm or cold)とうっ血所見の有無(dry or wet)を基準に4つに区切って分類する。
うっ血所見:水泡音聴診、起座呼吸、頸静脈怒張、浮腫、胸水・腹水、肝頸静脈逆流
末梢循環不全所見:脈圧の低下、四肢冷感、傾眠傾向、低Na血症、腎機能悪化

急性心不全(非代償期)

病態 心機能が急速に低下し、代償機構を行う時間的余裕がない状態を指す。
原因は慢性心不全の急性増悪、急性冠症候群など
症状 左心不全症状、悪化すると右心不全症状
検査 【Forrester分類】←侵襲的なSGカテーテル検査が必要なので近年行われない!
末梢循環維持に必要な心係数2.2(縦軸)、肺うっ血の生じる圧である肺動脈楔入圧(PAWP)18mmHg(横軸)を基準に4つに区切って分類する。
治療 【Forrester分類による治療(ICUで治療)】β遮断薬は禁忌!
②の場合:血管拡張薬+利尿薬(硝酸薬で静脈を拡張+フロセミドやhANPで静脈還流量を減らし前負荷を軽減し、PAWPを低下させる)
③の場合:強心薬で心拍出量を増加させ②へ持っていき、その後②の治療。
④の場合:輸液+強心薬(体液貯留がないことを確認し、輸液を行い、強心薬を投与)
【補助循環(薬物投与で改善しない場合)】
①大動脈内バルーンパンピング(IABP):補助増加率約15%
カテーテルを大腿Aから挿入し、胸部下行大動脈で拡張期にバルーン膨張させる。その結果、拡張期血圧↑して冠動脈血流↑、収縮期血圧↓して心拍出量↑となる。
VA-ECMO、旧PCPS(経皮的心肺補助装置):補助増加率50〜80%
カニューレを大腿Vから挿入し、右房から脱血して膜型人工肺で酸素化した後、大腿Aに送血し、ポンプを使って全身に送る(開胸不要)。
③心室補助人工心臓(VAS)=人工心肺:補助増加率100%
開胸時、右房から脱血して膜型人工肺で酸素化した後、大Aに送血し、ポンプを使って全身に送る。

慢性心不全(代償期)

病態 心機能が低下しているが、代償機構によって安静時はほぼ無症状な状態を指す。
症状 NYHA分類を参照
検査 MIBG心筋シンチグラフィ:心不全の重症度評価
HFr EF
治療
【薬物療法】左室リモデリング抑制のためにFantastic4!
①β遮断薬:心筋酸素消費量↓
・カルベジロール
・ビソプロロール
②ARNI:Na再吸収抑制して前負荷↓+血管拡張して後負荷↓+心筋リモデリング抑制
・サクビトリルバルサルタン
③MRA:Na再吸収抑制して前負荷↓
・スピロノラクトン
・エプレレノン
④SGLT2阻害薬:糖尿病の有無に関わらず心不全の悪化抑制のため
・ダパグリクロジン
・エンパグリフロジン
⑤うっ血に対して利尿薬
・フロセミド
・サイアザイド
・トルバプタン
⑥不整脈:VT・VFの予防にアミオダロン・β遮断薬、AFにジギタリス
【非薬物療法】
①植え込み型除細動器(ICD)
②心臓再同期療法(CRT)
③呼吸補助療法(CPAP、ASV)
心臓移植:末期重症心不全で行われる
HFpEF
治療
①原疾患に対する治療
②利尿薬を中心とした負担軽減療法
生活 塩分制限:RAA系↑してNa再吸収↑により体液過剰になるため(基本水分制限不要)
低K血症予防:野菜・果実摂取
適度な運動:ADL低下+静脈血栓予防(運動禁忌の場合もあるので注意)

不整脈 Arrhythmia

不整脈とは正常な洞調律が妨げられた状態を指す。
洞調律とは、洞結節からの自発的興奮が心臓全体を支配するペースメーカーとして機能している場合を指す。洞結節の機能が低下し比較的高度の徐脈になると、房室結節やプルキンエ線維の興奮(異所性興奮)が現れ、調律を行う(接合部補充調律 or 心室補充調律)。

頻脈性不整脈 心拍数:110以上 心拍数180以上になると拡張期が減るため心拍出量は低下し始め、次第に拍出できなくなる。
徐脈性不整脈 心拍数:60未満 下がりすぎても失神する。

【興奮伝導異常の機序】

ブロック 刺激伝導系の途中で伝導がブロックされたもの。ブロックの存在部位によって洞房ブロック、房室ブロック、脚ブロックなどにわかれる。
②早期興奮症候群 洞結節が直接固有心筋に刺激を送り通常より速く興奮するもの。WPW症候群が代表例。
リエントリー 心筋組織内に異常な電気回路が形成され、その中を興奮がぐるぐると伝導し続けるもの。頻脈性不整脈の主な原因。

【抗不整脈薬】

抗不整脈薬を参照。

期外収縮 Extrasystole(早期収縮 Premature beat)

異所性興奮の刺激が洞結節の刺激より早期に起こり、早期収縮(期外収縮)を起こす。

上室性期外収縮(SVPC) 心室性期外収縮(PVC)
病態 別名、心房期外収縮(PAC)。
心房内のどこか、もしくは房室結節で異所性興奮が起こる。洞結節由来と異所性由来の興奮が近いと、絶対不応期のため直後のQRS波は欠如する。
心室のどこかで異所性興奮が起こり、通常とは違うルートを通る。
・間入性PCV:通常の収縮の間にPCVが入り込むもの
・代償性休止期を伴うPCV:通常の収縮が一定の休止期をおいて出現するもの
症状 無症状。稀に動悸。 無症状。稀に動悸。ただし、連続して起こると心室頻拍を起こす。
検査 ホルター心電図(健常人の約70%に出現)
①予測より早い変形P波出現
②Narrow QRS(房室結節が不応期の場合はブロックされQRS脱落の場合もある
ホルター心電図(健常人の約50%に出現)
①予測より早いP波欠如したWide QRS
②陰性T波
③PP間隔整
治療 経過観察。動悸はストレス回避で改善することが多い。 経過観察。運動負荷で増悪する場合は精査が必要。

【期外収縮の機序】

①異常自動能 虚血、アシドーシス、高K血症などで静止膜電位が浅くなると、脱分極しやすくなった固有心筋が自動能を持ち、異常に興奮して頻脈性不整脈を起こす。
②撃発活動 相対不応期に新たな刺激が加わり興奮することで、以下の2種類がある。
早期後脱分極(EAD)第3相のとき、何らかの理由でCaチャネルやNaチャネルが再び開き脱分極すること。EADは活動電位持続時間が長いほど起こりやすい(QT延長を来たす病態でみられる)。
遅延後脱分極(DAD)第4相のとき、細胞内に過剰のCaが蓄積していると、3Na-Ca交換系の働きでNaが細胞内に多く流入し脱分極すること。

【特殊なSVPC】

非伝導性SVPC 正常のQRS不応期が残っている時にSVPCが起こったため変形P波のみ出現する。直前のT波に変形P波が重ねっている
心室内変行伝導を伴うSVPC 心室内に不応期が残っている時、SVPCが起こり、伝導が心室に入ると心室伝導は遷延しWide QRS(多くは右脚ブロック様)となる。

【特殊なPCV】

二段脈 通常の収縮と期外収縮が交互に出現する脈(Narrow QRS ⇄ Wide QRSの交互出現)
三段脈 2回通常の収縮が出現した後、1回期外収縮が出現するのを繰り返す脈
連発 期外収縮が2回連続するものを二連発、3回連続なら三連発、それ以上はShort runという
R on T 先行するT波の頂上付近に出現するPCVで、心室頻拍やVFを生じやすく危険な脈!

発作性頻拍 Paroxymal tachycardia

期外収縮が持続して洞結節の代わりにリズムを刻むものを発作性頻拍という。

発作性上室性頻拍(PSVT)

PSVTの原因は、①WPW症候群によるもの、②房室結節リエントリーによるものがある。

病態 PSVTの大半はリエントリーに起因し、その多くは房室リエントリー頻拍(AVRT)約70%と房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)約20%で占められている。
AVRTはほとんどが潜在性WPW症候群を伴って出現する。つまり、心房→房室結節→脚→心室→ケント束→再び心房にリエントリーを起こして心房頻拍を生じる。また、AVRTはWPW症候群にAFを合併したものにしばしば移行する。
AVNRTは先天異常によって房室結節付近に二重伝導路が存在する場合がある。その結果、心房で起こった期外収縮が房室結節内の不応期の短いα路を逆行してリエントリー起こし心房頻拍が起こる。
症状 動悸(必発)。心拍数は140〜240くらい(250以上になると心房粗動)で、180以上で血液が心室に充満する時間がなくなるため心拍出量が低下し、血圧低下、Adams-strokes症候群を来すことがある。
検査 【AVRTの心電図】
発作時=リエントリー中(非発作時はWPW症候群を参照)
①頻脈+Narrow QRS、RR間隔整
②V1でST部分に逆行性P’波(洞頻脈と異なり正常P波なく見えにくい逆行性P波
【AVNRTの心電図】
①頻脈+Narrow QRS、RR間隔整
②V1でQRS直後にノッチ(洞頻脈と異なりⅡ誘導で正常P波も逆行性P波もない
治療 【発作時】
AVRT・AVNRTどちらでも房室伝導を抑制して頻脈を止めれば良い!
Valsalva法息こらえで腹腔内圧を上昇させ副交感神経を興奮
②頸脈圧迫法:圧受容体を刺激し副交感神経を興奮(狭窄のある高齢者には不向き)
③ATP10mg急速静注(気管支喘息には禁忌
④ベラパミル静注
【根治療法】
カテーテルアブレーション:薬物療法で多くのPSVT発作は止まるが、しばしば再発するため、副伝導路やβ路を高周波電流で凝固壊死させてリエントリー回路を断ち切る。

心室頻拍 VT:Ventricular tachycardia

病態 【基礎心疾患持たないタイプ(特発性)】
左室下壁中隔側の変性したプルキンエ線維から異所性興奮が起こり右脚ブロック+左軸偏位が起こる。運動によって誘発され、右室流出路で異所性興奮が起こり左脚ブロック+右軸偏位が起こるパターンもある。特発性VTの予後は良好で突然死のリスクは少ない。
【基礎心疾患を持つタイプ】
基礎心疾患(多くは陳旧性心筋梗塞、拡張型心筋症、心機能低下)が原因となって起こる。
症状 VTが10秒以上持続すると動悸。心拍数180以上で血液が心室に充満する時間がなくなるため心拍出量が低下し、血圧低下、Adams-strokes症候群を来すことがある。
検査 【心電図】
①頻脈+Wide QRS、RR間隔整
②Wide QRSの波形が刻々と変わる場合もある(多形性VT)
③多形性VTのうち、QT延長を伴う場合をトルサード・ポワンツ型VT(TdP型)という。
治療 【特発性VT】発作時は、左室起源の場合はβ遮断薬静注(ベラパミル静注も可)、右室起源の場合はベラパミル静注。発作予防にはカテーテルアブレーションを行う。
【虚血性心疾患を持つVT】発作時は、意識障害や血行動態が不安定な場合はカルディオバージョンを行い、それ以外の場合はアミオダロンなどを静注。発作予防は植え込み型除細動器(ICD)を用いて突然死を予防する。ICD移植しない場合はアミオダロンなど内服。

QT延長症候群 LQTS:Long QT Syndrome

QT時間の延長が原因となって心室頻拍心室細動を生じ、失神突然死を来たす一連の疾患で、先天性と二次性に分けられる。先天性の場合があるため家族歴は要確認。

先天性 【聾を伴わないRomano-Ward症候群】
常染色体優性遺伝し、原因遺伝子はKv7.1(IKs/KCNQ1)>Kv11.1(IKr/KCNH2/hERG)>Nav1.5(SCN5A)の順に多い。これらの電位依存性Na or Kチャネルに機能的異常があると再分極が遅れQT延長を起こす。
【聾を伴うJervell-Lange Nielsen症候群】
非常に稀な疾患。常染色体劣性遺伝し、原因遺伝子はKCNQ1、KCNE1である。
二次性 ①薬剤性:Ia群、Ⅲ群、抗精神病薬、抗うつ薬、マクロライド系、ニューキノロン系、一部の抗アレルギー薬など
②電解質異常(低K・低Ca・低Mg)
③高度な徐脈
症状 繰り返す失神:多形性心室頻拍によるAdams-strokes症候群のため
※先天性は運動など交感神経興奮が発作を誘発する。
突然死:多形性心室頻拍(トルサード・ポワンツ型VT)からVFに移行するため
検査 【心電図】
TdP:QT延長+QRS波形と振幅が1拍ごとに変化する多形性VT。先天性LQTSはT波異常を伴う(V2-V3で二相性T波)。
【Schwartスコア】
4点以上はLQTS確実、2〜3点はLQTS疑い
治療 【急性期(TdP発生時)】
先天性:硫酸Mg静注 or β遮断薬、徐脈の場合は一時ペーシング
二次性:硫酸Mg静注、原因薬剤を中止+電解質補正、徐脈の場合は緊急ペーシング
【予防】
先天性β遮断薬(交感神経刺激が頻拍発作の誘因となるため)、薬剤抵抗性の場合は植え込み型除細動器(ICD)を用いる。
二次性:K補正(下痢、利尿薬、甘草などが原因の低K血症)、徐脈の場合は一時ペーシングを行う(徐脈がQT延長を増悪し心室性不整脈の誘因となるためβ遮断薬禁忌)。

心房細動 AF:Atrial fibrillation

疫学 有病率:0.5〜1%、60歳以上では2〜4%
病態 AFは複数の興奮波(マイクロリエントリー)によって心房が細かく震え、心房全体として収縮できない状態である。
【分類】
①発作性AF(PAF):7日以内に洞調律に戻るもの
②持続性AF:7日以上の持続するが、薬剤・直流通電で停止するもの
③永続性AF:薬剤・直流通電が無効なもの(心不全、高血圧、DMなどが背景)
PAF→持続性AF→永続性AFという経過をたどる。AFの約70%は基礎疾患があり、残り約30%は基礎疾患を持たないAF(孤立性AF)である。
原因 <AFの原因となる基礎疾患>
①心房負荷となるMS・MR・ASD、②高血圧、③高齢、④糖尿病、⑤甲状腺機能亢進症、⑥虚血性心疾患・心不全、⑦収縮性心膜炎、拡張型心筋症、肥大型心筋症、⑧WPW症候群、⑨肥満、⑩睡眠時無呼吸症候群
症状 症状は無症状のこともある
動悸:自覚することが多い
②めまい:Adams-strokes症候群のため
③その他:胸痛、倦怠感
【合併症】
塞栓症:AFが3日間以上続くと高率に心房内血栓を生じ、脳梗塞、急性腸管膜動脈塞栓、腎梗塞、四肢塞栓を引き起こす。
検査 【身体検査】
頻脈+脈不整はAFと考えて良い。脈拍欠損(心拍数>脈拍数)となり心拍数と脈拍数が一致しにくい(頻脈で1回拍出量が少なくなると脈拍が弱くなるため)
【心電図】
誘導でP波が消失
V1 or 誘導で多数のf波(基線の揺れ)が出現
RR間隔不整:心房の興奮がランダムに伝導されるため。完全房室ブロックがある場合は心室補充調律となるためRR間隔整となる
【画像検査】
造影CT:左心耳内血栓の検索
経食道心エコー:造影CTで血栓を否定できない場合、除細動開始前
治療 AFが数時間以上続く場合、電気的・薬物的除細動を行う。
ただし、発作から48時間以内であれば心房内血栓はないとしてヘパリン+薬理的除細動を行うが、48時間以上の場合は抗凝固療法を3週間以上行った上で除細動する(抗凝固療法を行う前に抗不整脈薬投与やカルディオバージョンを行うと心原性脳塞栓を起こす可能性があるため)。
【PAF、持続性AF】
①カルディオバージョン:薬物による除細動が無効の場合に行う。AF患者は意識があるため静脈麻酔+QRS波に同期させて通電させる。
Ia群(プロカインアミド or ジソピラミド):Naチャネル遮断により心房筋の細動を停止+副伝導路を抑制
ベラパミル・β遮断薬:房室結節不応期を延長させて房室伝導を抑制
③心機能低下ではジゴキシン静注
再発
予防
カテーテルアブレーション:肺静脈入口部を焼灼。WPW合併はKent束も焼灼。
②持続性AFの場合:Ia群投与(ただし、慢性心不全や陳旧性心筋梗塞に使うと死亡率を高めるため禁忌)。
【永続性AF】
抗凝固療法:心房内血栓予防のためワルファリンやDOAC内服(抗血小板薬は有効性低い)。脳梗塞発症リスクの評価の指標としてCHADS2スコアを用いる。

CHADS2スコア(心原性塞栓症の発生リスク評価)

1点以上でDOAC推奨、ワルファリン考慮。MSに伴うAF、人工弁に伴うAFの場合にはワルファリン推奨(INR 2.0〜3.0)。

危険因子 点数
C うっ血性心不全、左心機能不全 1
H 高血圧 1
A 75歳以上 1
D 糖尿病 1
S2 脳梗塞またはTIA既往 2

心房粗動 AFL:Atrial flutter

病態 三尖弁周囲のリエントリーによって心房が毎分約300回と高頻度で規則的に収縮するが、AFと異なり心房は収縮する。心房粗動の多くは心房細動と同じく基礎心疾患を持つ。
心房が毎分300回興奮してもそのまま心室に伝わるわけではなく、多くの場合2:1伝導・4:1伝導となる。2:1伝導の場合は半分が心室に伝わるため心拍数は150回、4:1伝導の場合は75回となる。
症状 4:1伝導の場合、ほとんどが無症状。
2:1伝導の場合、動悸や胸部不快感を訴える。
検査 【心電図】
①Ⅱ誘導でP波欠如
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導鋸歯状F波下壁誘導のF波は基線に戻らない。(2:1伝導では2回のF波で1回QRS出現。4:1伝導では4回のF波で1回QRS出現。いずれも1回はT波とF波が重なっている!)
③RR間隔整(2:1伝導は心拍数150回程度)、Narrow QRS
治療 2:1伝導が続いて頻脈になっている場合は、AFと同様にジギタリス・Ca拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)・β遮断薬を投与して房室伝導を抑制する。
1:1伝導などの緊急事態はカルディオバージョンを行う。他にも一時ペーシング(心房ペーシングや食道ペーシング)によって洞調律に戻す方法もある。薬物による洞調律化はIa群やIc群を投与するが成功率はAFほど高くない。
根治するにはカテーテルアブレーション(三尖弁輪と下大静脈の間を焼灼)

心室細動 VF:Ventricular fibrillation

病態 VFは虚血性心疾患(特に陳旧性心筋梗塞)、拡張型心筋症、重篤な弁膜症、QT延長症候群、低体温などの基礎疾患が原因となって心室が局所的に脱分極・再分極を起こし、心室全体として収縮できない状態。つまり、心停止と同じ状態なので数分以内に治療をしないと確実に死亡する致死的不整脈である。
心臓震盪
前胸部に野球のボールが当たった際などに、構造的損傷を伴わずに発生する心停止。心室細動が多く子供の突然死の原因として注目されている。相対不応期(受攻期)の心室期外収縮(R on T:ball on T)による心室細動と同様の機序で生じる。
症状 心停止状態のため、数秒間で脳虚血によるめまいを訴え、速やかにAdams-strokes症候群を来たして意識消失する。
検査 【心電図】
①Wide QRS、RR間隔不整→実際は心電図見ている暇はない
②基線が不規則に揺れている
治療 発作時は心肺蘇生(CPR)と並行して電気的除細動(二相性では120~200J)を行い、無効な場合はアドレナリン静注する。発作予防には植え込み式除細動器(ICD)を装着する。

★Brugada症候群(ぽっくり病)

疫学 40歳前後の男性に好発し、1/3に家族歴がある(Naチャネルの異常が最多
病態 Naチャネル遺伝子の異常などの原因で、反復して多形性心室頻拍やVFを起こし、放置すれば突然死を起こす可能性が高い疾患。
症状 繰り返す失神(飲酒や発熱などの迷走神経刺激、夜間や安静時など副交感神経亢進時に発作が起こりやすい
①心室細動を生じ失神→AEDで除細動されて意識回復
②心室細動が自然停止→一過性の失神で意識回復
検査 【心電図】
非発作時にV1~V3誘導で、右脚ブロック様のrsR型+このR部分=ST上昇(通常上に凸のSTから陰性T波になるコブド型。上に凸のSTから陽性T波の場合は馬の鞍に似たサドルバック型。初期のST上昇部分はJ波という)。
治療 治療はVFと同じ。
発作既往歴があれば植え込み式除細動器(ICD)を入れる、その後は予後良好。

WPW症候群

病態 先天性に副伝導路(Naチャネル依存性)があり、早期に心室が興奮する早期興奮症候群の代表例である。
①顕性WPW症候群=副伝導路を順行伝導
WPWの副伝導路はKent束といい、左房と左室を結ぶ僧帽弁輪にあるA型(右脚ブロックあり)と、右房と右室を結ぶ三尖弁輪にあるB型がある。WPWの興奮は心房→Kent束→心室の順で早期興奮を起こす。
②AVRT(潜在性WPW症候群=副伝導路を逆行伝導)
発生の詳細はAVRTを参照。
③偽性VT(WPW症候群に伴うAF=副伝導路を順行伝導)
AVRTにより心房筋に過剰な負荷がかかりAFが生じる。心房で生じたマイクロリエントリーが、Kent束を順行して心室を興奮させ、VT様になり(偽性VT)、T波の時に心房の興奮が伝わるとR on TとなりVFへ移行することもある。
症状 通常、無症状。
AVRTやAFになると動悸や胸部不快感を生じる。
検査 【心電図】
洞調律・非発作時
PQ時間短縮:Kent束を通るため、PQ時間は3mm未満(0.5マス未満)に短縮する。
デルタ波+Wide QRS:Kent束由来の刺激が心室筋の一部を興奮させてデルタ波が形成される。また、QRSはP波の直後から始まるためWide QRSとなる。デルタ波はV4-V6で検出しやすい。
V1で、A型はQRSが上向き、B型はQRSが下向きとなる(QRSが下向きでr波がなくQS型はC型、※P波をr波と間違えないこと!)。
④ST-T異常:QRSの後、2次性ST-T変化としてQRS波と逆向きのST-T変化を生じる。
AVRT発作時
AVRTを参照(デルタ波は認めず
AF合併=偽性心室頻拍発作時
デルタ波のあるWide QRSが多数の心室頻拍に見える(偽性VT)
②頻脈+RR間隔不整(Kent束からマイクロリエントリが不規則に入るため)
③P波欠如
治療 無症状のWPWは経過観察。
<発作時>
AVRT発作時:当該ページ参照。
AF発作時:Ia群(プロカインアミド、ジソピラミド)の静注し、無効の場合はカルディオバージョンを行う(ジギタリス・Ca拮抗薬・β遮断薬投与は房室伝導を抑制し、Kent束不応期を短縮させてWPW症候群を伴うAFをVFに移行させることがあるため禁忌)。
<根治療法>
カテーテルアブレーションでKent束を焼灼する。

洞不全症候群 SSS:Sick sinus syndrome

疫学 高齢者に好発
病態 洞結節の障害によって洞性徐脈、洞停止・洞房ブロック、徐脈頻脈症候群のいずれかを来たした疾患。多くは原因不明の特発性だが、薬剤性(抗不整脈薬の副作用など)、RCA閉塞による虚血性心疾患心筋症高血圧性心疾患などの場合もある。
洞性徐脈(Ⅰ型):洞結節の興奮が緩徐で心拍数60未満のもの。
洞停止or洞房ブロック(Ⅱ型):一過性or持続性の洞停止or洞房ブロックにより、P波がぬけてQRS波も抜ける。補充調律で代償する。
徐脈頻脈症候群(Ⅲ型):徐脈と頻脈を繰り返す。発作性AFやAFLの頻脈停止直後に長い心停止がよくみられる。
症状 軽症は無症状。3秒以上心停止があるとめまいやAdams-strokes症候群を来たす。また、心拍出量低下により易疲労感、息切れを訴える。
検査 【心電図】SSSを疑ったらホルター心電図!
洞徐脈:①HR60未満、他は正常
洞停止・洞房ブロック:①P波欠如してRR間隔3秒以上(15マス以上)続く
治療 【緊急時】
一時ペーシングし、抗不整脈薬中止して様子をみる
②イソプロテレノール・アトロピン静注
【根治治療】
ペースメーカーを右房・右室に留置(徐脈+徐脈に起因する脳虚血症状がある場合)。根治するまで運転は控えるよう指導!

★房室ブロック AV block:Atrioventricular block

病態 心房の刺激が心室に伝わりにくくなった状態である。房室ブロックは障害の程度によって第1度~第3度まで分けられる。また、急に房室ブロックが見られるものを発作性房室ブロックという。
●第1度房室ブロック
興奮伝導が遅くなっただけで、心房からの刺激は全て心室に伝わる状態。多くは迷走神経の過緊張による機能的障害で生じる(健常者でもみられる)。聴診でⅠ音減弱
●第2度房室ブロック
①Wenckebach型(MobitzⅠ型)
洞結節→心房はOKのためP波はあるが、房室→ヒス束は×のためQRSが欠如する(AVブロック)。ブロック後に房室伝導時間が徐々に回復するためPQ時間が徐々に延長する。多くは迷走神経の過緊張による機能的障害で生じる(健常者でもみられる)。
②MobitzⅡ型
洞結節→心房はOKのためP波はあるが、ヒス束→心室は×のためQRSが欠如する(HVブロック)。原因は器質的疾患(RCA閉塞による虚血性心疾患 、心筋症、心筋炎、心サルコイドーシス、心アミロイドーシス)による。
③2:1房室ブロック
房室伝導比が2:1で、Wenckebach型、MobitzⅡ型の区別がつかない。
●第3度房室ブロック(完全房室ブロック)
心房の刺激が心室に全く伝わらなくなった状態。心室は補充調律によって独立して興奮するためP波とQRS波が無関係にリズムを刻む。P波とQRS波(補充調律)が偶然重なった場合、心音のⅠ音は大きく聴取される(巨大な大砲音)。原因は房室結節周囲に変性を起こす特発性、心アミロイドーシス、下壁梗塞、心サルコイドーシス、心筋炎などによる。
症状 第1~2度房室ブロックはほぼ無症状だが、第3度房室ブロックはAdams-strokes症候群、易疲労感、息切れを引き起こす。
検査 【His束心電図:HBE】
右心カテーテルの要領で電極を三尖弁に置いてHis束を通過する電気的変化を記録。ブロック部位がHis束より上か下か鑑別できる。
【心電図】
●第1度房室ブロック
PQ時間延長(0.2秒以上=0.5マス以上)するが、PP間隔一定
②全てのP波にQRSが伴う(QRS脱落なし)、T波に重なりP波が見えない場合もある
●Wenckebach型
①PQ時間が徐々に延長し、P波に続くQRSが間欠的欠落(ブロック直前直後の2つのPQ時間を比較して、直後PQ時間が直前PQ時間より短ければOK
●MobitzⅡ型
①PQ時間一定で、P波に続くQRSが間欠的欠落
●2:1AVブロック
①P波一つおきにQRSが欠落、PP間隔・PR間隔は一定
●高度AVブロック
①P波に続くQRSが2個以上連続して欠落、RR間隔不整
●完全AVブロック
①P波とQRSが無関係に出現、PP間隔・RR間隔一定(PP間隔<RR間隔)
治療 第1度房室ブロック・Wenckebach型は経過観察。運動負荷を行なって房室伝導が回復することを確認しておけば確実。
MobitzⅡ型・第3度房室ブロックは突然死を来たす可能性があるためペースメーカーを植え込む。緊急時はアトロピン静注→イソプロテレノール点滴静注でつなぐ。
(アトロピンはムスカリン受容体を遮断して房室結節の伝導を増すため)

脚ブロック BBB:Bundle branch block

右脚ブロック(RBBB) 左脚ブロック(LBBB)
病態 右脚に障害があり右室の興奮が遅れる。左脚ブロックに比べて障害される頻度が多いが、器質的疾患をもたないケースが多数あり左脚ブロックより予後が良い。
完全右脚ブロックはQRS時間が3mm以上あるもので、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、先天性心疾患術後などが原因。
不完全右脚ブロックはQRS時間が2.5mm〜3mmのもので、右室に容量負荷がかかる病態が原因。
左脚に障害があり左室の興奮が遅れる。ほとんどが左脚前枝ブロック(LAH)である。
左脚ブロックはWide QRSとなり、何らかの基礎心疾患(虚血性心疾患、心筋症、大動脈弁疾患など)が原因。ただし、前枝ブロックの場合、興奮は後枝→前枝と逆行性に伝達されWide QRSにはならない。
ヘミブロックは前枝もしくは後枝どちらか一方が障害されているもの。
他覚
所見
【聴診】
病的分裂
【聴診】
Ⅱ音の奇異性分裂
検査 【心電図】
①V1誘導でrsR’型(ノッチ)+陰性T波:中隔r波→左室S波→右室に遅れてきた興奮がR’波をつくる。その後、2次性ST-T変化としてR’波と逆向きの陰性T波を生じる。
②Ⅰ・aVL・V5・V6幅広いS波+陽性T波:右室に遅れてきた興奮が電極から遠ざかる。その後、2次性ST-T変化としてS波と逆向きの陽性T波を生じる。
③aVRでQR型の幅広いR波:右室に遅れてきた興奮が幅広いR波をつくる。
【心電図】
①V1でrS型+陽性T増高:心室中隔の興奮がないためr波欠如、左室に遅れてきた興奮が深く幅広いS波をつくる。その後、2次性ST-T変化としてS波と逆向きの陽性T波を生じる。
②Ⅰ・aVL・V5・V6でq波欠如+二峰性R波(WideQRS)+幅広い陰性T波:心室中隔の興奮がないためq波欠如、右室と左室の興奮が同時に記録されR波分裂(ノッチ)をつくる。その後、2次性ST-T変化としてR波と逆向きの幅広い陰性T波を生じる。
③前枝ブロックの場合、左軸偏位Ⅱ・Ⅲ・aVFrS型:左軸偏位ベクトルに最も並行な順に(Ⅲ>aVF>Ⅱ)深いS波となる。
治療 基礎疾患がなく、Brugada型症候群でなければ治療は不要。 基礎心疾患の治療を行う。

【特別な脚ブロック】

2枝ブロック 【病態】
完全右脚ブロック、左脚前枝ブロック、左脚後枝ブロックのうち2つの伝導障害が合併。
【心電図】
完全右脚ブロック著名な左軸偏位(もしくは右軸偏位)
左脚ブロック+著名な左軸偏位(もしくは右軸偏位)
3枝ブロック 【病態】
完全右脚ブロック+左脚前枝ブロック+1度房室ブロック
【心電図】
完全右脚ブロック著名な左軸偏位PQ間隔延長
両脚ブロック
交代性脚ブロック
【病態】
数分あるいは数日の間に右脚ブロックと左脚ブロックが交互に出現する現象。臨床的には稀な心室内伝導障害。

その他心電図所見の用語

洞頻脈 【心電図】
①HR100/分以上、他は正常
心房頻拍(AT) 【心電図】
変形P波(陰性P波など)、②等電位線がある、③RR間隔整
変行伝導 【病態】
不応期のため生じた機能的な脚ブロック
房室接合部調律

促進性房室接合部調律

等頻度房室解離
【病態】
房室ブロックなどの理由で房室結節以下に伝わる刺激頻度が減少すると補充調律によって房室結節とヒス束の間の調律が生じる。生じた興奮は心房には逆行性に、心室には順行性に伝播する。
HRが40〜60/分房室接合部調律、60〜100/分は促進性房室接合部調律と分類される。また、洞結節の興奮頻度と房室接合部調律の出現頻度がぼぼ等しい場合を等頻度房室解離という。
【心電図】
正常P波消失(陰性P波、QRSに埋もれてP波消失、QRS後の逆行性P波
②Narrow QRS、RR間隔整
心室固有調律

促進性心室固有調律(AIVR)

【病態】
房室ブロックなどの理由でヒス束以下の部位で刺激伝導系が途絶し、心室由来の補充調律が生じる。HRが20〜60/分は心室固有調律、60〜100/分は促進性心室固有調律(AIVR)と分類される。
【心電図】
①Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導で陰性Wide QRS(心室期外収縮似)
②Wide QRS、RR間隔整
心房停止(AS) 【病態】
心房の一部または全部に電気的および機械的活動を認めない状態。
【心電図】
①全ての誘導でP波・f波・F波なく、房室接合部調律となる。
異所性心房調律 【病態】
洞結節以外の心房が調律となり、左房調律や冠静脈洞調律が含まれる。
【心電図】
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導の全てで陰性P波=冠静脈洞調律
②V6誘導で陰性P波(V1も陰性P波のことが多い)=左房調律
移動性ペースメーカー 【病態】
調律の刺激発生部位が洞結節や心房の他の部位の間でときどきあるいは頻繁に入れ替わる病態。
【心電図】
ある期間とある期間でP波の形が変化(PP間隔・PQ間隔も変化)
LGL症候群

早期興奮症候群

【病態】
房室結節の伝導促進、房室結節の一部又は全部をバイパスする副伝導路の存在によってPQ時間が短縮する病態。
WPW症候群やLGL症候群のようにPQ時間が短縮するものを総じて早期興奮症候群という。
【心電図】
PQ短縮のみ(0.5マス未満)、他正常
非特異的心室内伝導障害(IVCD) 【病態】
プルキンエ線維や心室筋レベルでの広範なブロックによってWide QRSだが左脚ブロックでも右脚ブロックでもない伝導障害が見られる。
【心電図】
①Wide QRS+脚ブロックの特徴なし
不整脈原性右室心筋症(ARVC) 【心電図】
①QRS直後に小さなノッチ(イプシロン波)を認める
②右室肥大(右軸偏位+V1でRs型など)
低電位差 【心電図】
四肢誘導でQRS振幅和が全てで0.5mV未満(1マス未満)
胸部誘導でQRS振幅和が全てで1mV未満(2マス未満)
低体温 【病態】
手術で全身低体温または心臓冷却法を用いると心室内伝導遅延が生じる。
【心電図】
①V3〜V4誘導で、J波(QRSとSTの接合部に凸波形)
②シバリングのため筋電図混入
左房拡大 【心電図】
Ⅱ誘導で幅3mm以上(0.5マス以上)となり二峰性
②V1誘導でP波の一部が陰性化して二相性
右房拡大 【心電図】
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でP波増高(0.25mV以上+0.5マス未満
②V1・V2誘導でP波増高(右房に近い誘導のため)
※左房拡大所見+右房拡大所見=両房拡大
左室高電位
左室肥大(LVH)
左室拡大
【病態】
左室高電位は、左室側壁誘導であるⅠ・aVL・V5・V6のR波増高(26mm以上)がある場合を指す。
左室肥大・拡大は、左室高電位+Wide QRSやST-T変化のある場合を指す。
【心電図】
V5・V6のR波増高(26mm以上)V1のS波が深くなる。
Wide QRS(肥大または拡大)
③ST-T変化:
求心性肥大(圧負荷)による心筋虚血により、V5・V6でST低下T波平坦or陰性化Strain pattern=前半がなだらかな下り坂、後半が急な上り坂)+q波減少または消失を認める場合がある。
遠心性肥大(容量負荷)では、V5・V6でST軽度上昇+T波増高+深いq波を認める場合がある。
右室肥大(RVH) 【病態】
右室の慢性的な圧負荷によって右室肥大となる。
【心電図】
V1〜V3誘導でRs型(R波>S波、上向き棘波)+ST低下(Strain pattern)
②多くは右軸偏位を伴う
Ⅰ・aVL・V5・V6で深いS波
④多くは右房負荷を伴うためⅡ誘導でP波増高(肺性P)
S1S2S3パターン 【病態】
正常心電図のnormal variant。右室の肥大(大血管転移症、Fallot四徴症、心室中隔欠損症) 肺気腫、肺塞栓、自然気胸、漏斗胸の場合もある。
【心電図】
①Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ誘導全てでR≦Sとなっている。
著しい右軸偏位
右胸心
(右むねに心臓が位置するもの)
【病態】
全内臓逆位(第Ⅰ型右胸心)、内臓逆位は伴わないが心臓のみ逆位(第Ⅱ型右胸心)、心臓は右側にあるが逆位ではない(第Ⅲ型右胸心)がある。
【心電図】
誘導はP波を含めて正負が逆になる(Ⅰ誘導でQS型)+強い右軸偏位
②ⅡとⅢ、aVRとaVLが入れ替わる
③V1からV6に向かうにつれQRSが小さくなる(胸部誘導でR波増高不良)。
④右側胸部の記録が、正常人の左側胸部誘導と同じ形になる。
以上が見られたら、Ⅰ&Ⅱ型右胸心と考えられ、上肢・下肢の電極を入れ替え、V1〜V6を左右逆につけた形で測定する。
急性肺性心 【病態】
急性肺血栓塞栓症などによって肺血管抵抗が急激に上昇して右心室の後負荷が増大する病態。
【心電図】
①洞性頻脈
②Ⅰ誘導で著名なS波+Ⅲ誘導で明瞭なQ波と陰性T波(SⅠQⅢTⅢ)
③V1〜V3のR波減高+T波陰転化(Strain pattern)
高K血症 【心電図】
①初期はテント状T波(幅が狭く左右対称の尖鋭化したT波)(Kが立つ
②進行するとP波減少 or 消失(心房筋興奮↓)+wideQRS(心室筋興奮↓)
③末期には洞結節が脱分極できなくなり心停止
洞室調律 【病態】
高K血症に伴いP波が消失した調律。
【心電図】
①全ての誘導でP波はない(心房筋は高Kに弱いため)
②HRは正常(洞結節は高Kに強いため)
③テント状T波
低K血症 【心電図】
T波平坦化もしくは陰転化+U波出現!
QT-U時間延長:重篤な不整脈が生じやすくなる(Kが寝る
ST-T低下
高Ca血症 【心電図】
QT時間短縮:細胞外Ca濃度が高いため第2相が短縮
低Ca血症 【心電図】
QT時間延長:第2相が延長し、重篤な不整脈が生じやすい(Caが寝る
②Narrow QRS
ジギタリス効果 【病態】
有効治療域のジギタリス療法中の心電図所見はジギタリス効果と呼ばれる。
【心電図】
①QT時間短縮
②ST-T低下:お盆状または右下がり(Down-sloping)のST-T低下を示す
早期再分極 【病態】
若い男性に多い無症候性の主にV3〜V6誘導のST上昇のこと
【心電図】
①上に凹型のST上昇
早期再分極症候群 【心電図】
①下壁誘導または側壁誘導に2誘導以上のJ波を認める
時計方向回転 胸部誘導のR波増高がなかなか進まず移行帯がV5付近にある状態。
反時計方向回転 胸部誘導の移行帯がV1〜V2付近にあり、R>Sの状態。
接触不良
ドリフト
交流障害
接触不良:正常洞調律の途中に断続的な周期の短いスパイク様波形(ノイズ)
ドリフト:呼吸変動などにより基線全体が上下に変動する
交流障害:スパイク様波形のノイズのみで正常波形が見られない

虚血性心疾患 IHD:Ischemic heart disease

IHDは冠動脈の閉塞によって心筋虚血となり、心機能低下や心筋壊死をきたす病態の総称。
心筋虚血冠動脈の酸素供給量心筋の酸素需要量のバランスが崩れて生じる。

酸素供給量の不足 ①器質的狭窄病変:主に動脈硬化によってプラークが形成され血管内腔狭窄
②冠動脈攣縮:NO産生低下によって血管収縮
いずれも75%以上狭窄で労作時、90%以上狭窄で安静時酸素供給不足となる
酸素需要量の過剰 心筋の仕事量増加(心拍数↑、心収縮力↑、後負荷↑)
リスク因子 ①加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
冠動脈疾患の家族歴
③喫煙習慣
④高血圧(140/90以上)
⑤肥満(BMI 25以上かつ腹囲が男性85cm/女性90cm以上)
⑥耐糖能異常(境界型および糖尿病型)
⑦脂質異常(LDL以上・TG150以上・HDL40未満)
⑧メタボリックシンドローム
⑨ストレス(精神的,肉体的)

★★狭心症 AP:Angina Pectoris

労作性AP ≒ 器質性AP 安静時AP ≒ 冠攣縮性AP ≒ 異型AP
病態 安定プラークにより狭窄が75%を超えると労作時に酸素供給不足となり心筋虚血症状を呈する。 冠攣縮により狭窄が90%を超えると安静時でも酸素供給不足となり心筋虚血症状を呈する。冠攣縮性APの大部分はST上昇を認める(=異型AP)。
症状 ①労作時に前胸部絞扼感・呼吸困難、漠然とした胸部不快感が数分間持続(20分以内)
②左肩、左腕、頸部への放散痛
③交感神経亢進症状:冷汗、不安感
①主に夜間・早朝に労作性AP①同様の狭心痛。労作性A②や③も同様。
④動悸、めまい、失神:刺激伝導系の虚血により不整脈が生じる
検査 【心電図】
発作時・運動負荷心電図でST低下※
【画像検査】
心エコー:発作時は壁運動異常
冠動脈造影:狭窄部位確認して確定診断
アデノシン負荷心筋シンチSPECT:虚血部位の201Tl集積↓
【心電図】
Holter心電図で発作時にST上昇※
ST上昇とT波が融合した単相曲線型となる。
【画像検査】
冠動脈造影:ACh注入 or 過換気負荷で誘発して狭窄部位確認
※心筋逸脱酵素上昇を伴うことは少ない
治療 【発作時】
硝酸薬の舌下投与
【非発作時】
β遮断薬:心筋酸素需要↓
抗血小板薬:血栓予防
脂質異常症患者:スタチン系
【非薬物療法】
PCI(経皮的冠動脈インターベンション)
CABG(冠動脈バイパス術)
【発作時】
硝酸薬の舌下投与
【非発作時】
就寝前に長時間型硝酸薬、Ca拮抗薬投与
β遮断薬単独投与禁忌:α作用を相対的に増幅させ、攣縮誘発のため)
【非薬物療法】
PCIは行われない!

※ST低下・ST上昇の原理

軽度虚血
(ST低下)
心内膜側心筋が虚血となる(冠動脈は心筋表面から内部に入るため心内膜側から順に虚血になる)。虚血になると、ATPポンプが作動せず心筋細胞の静止膜電位は浅くなる。その結果、電位の高い虚血部位から電位の低い周囲の健常部位に向かって電流が流れるため(傷害電流)、心内膜側→心外膜へ電流が流れ、電流は観測電極へ近づいて基線が上昇する。収縮期は虚血部位の静止膜電位が浅く活動電位も低くなるため、R波は減高し、電流は観測電極から遠ざかるため相対的にST低下となる。
※心筋梗塞と同様に、ST低下の誘導から責任冠動脈を診断することは難しい。なぜならLAD、LCX、RCAいずれの狭窄であってもV4〜V6を中心にしばしばⅡ・Ⅲ・aVFもST低下を示すため。
高度虚血
(ST上昇)
心筋全層が虚血となる。電位の高い虚血部位から周囲の電位の低い周囲の健常部位に向かって電流が流れるため(傷害電流)、電流は観測電極から遠ざかり基線が低下する。収縮期は虚血部位の静止膜電位が浅く活動電位も低くなるため、電流は観測電極へ近づくため相対的にST上昇となる。
ST上昇と低下を同時に認める場合は、上昇所見を優位にとる!!

★急性冠症候群 ACS:Acute Coronary Syndrome

病態 冠動脈のプラークの急激な破綻と、それに伴う血栓形成に起因して急性心筋梗塞を生じる症候群であり、不安定APと急性心筋梗塞の総称である。
【不安定狭心症】
不安定APのプラークは薄い線維性被膜で覆われており(不安定プラーク)、しばしば破綻して血栓を形成し、冠動脈が完全に閉塞すると急性心筋梗塞に至る。
ちなみに、安定APのプラークは頑丈な線維性被膜で覆われており(安定プラーク)、基本的に破綻するリスクは高くないが、大きく成長して血管を狭窄させる=器質性AP。
症状 悪心嘔吐、下痢などの消化器症状(副交感神経亢進症状)
②冷汗などの交感神経亢進症状
③20分以上持続する狭心痛
検査 冠動脈造影で確定診断、運動負荷試験は禁忌
治療 即入院して狭心症治療を施行

★★★急性心筋梗塞 AMI:Acute Myocardinal Infarction

病態 冠動脈の閉塞により、その血流域の心筋が壊死した状態。
閉塞の原因は、冠動脈のアテローム崩壊に伴う冠動脈内血栓形成、冠攣縮が主
【合併症】
①急性期
●虚血に伴う不整脈:心室期外収縮→VF・VT、洞性徐脈・房室ブロック(下壁梗塞に合併)、脚ブロック(広範囲前壁梗塞に合併)
②2週未満
●下壁梗塞→後乳頭筋断裂→MR(MVP)→急性左心不全→肺うっ血
●心破裂(自由壁破裂)→心タンポナーデ→心原性ショック
●前壁中隔梗塞→心室中隔穿孔→急性左心不全→肺うっ血
③2週以降
●血栓塞栓症:心室瘤内で生じた乱流により血栓が生じる
左心室瘤:心筋リモデリングで形成(陳旧性心筋梗塞の所見、異常Q波伴うST上昇)
Dressler症候群:壊死心筋の炎症が心膜に波及し、発熱、胸痛を伴い発症する心膜炎
●肩手症候群
●梗塞後狭心症
症状 ①20分以上続く狭心痛(硝酸薬無効)、左肩への放散痛
検査 【血液検査】
①H-FABP(心臓型脂肪酸結合蛋白):1-2hr↑、24hrで正常化
②血清ミオグロビン:1-2hr↑、2日で正常化
③WBC:2-3hr↑、7日で正常化
トロポニンT(or I):3-4hr↑2-3週間で正常化
⑤CK-MB:4-6hr↑、3-7日で正常化
⑥心筋ミオシン軽鎖:4-6hr↑、1-2週間で正常化
⑦AST:6-12hr↑、3-7日で正常化
【心電図】
欄外に記載
【画像検査】
心エコー:虚血部位の壁運動異常、EF測定
冠動脈造影(CAG):狭窄部位確認
CTアンギオ:狭窄部位確認
SPECT:虚血部位の201Tl集積↓
治療 【初期治療:MONA
安静+静脈路からMONA投与(モルヒネ・酸素・硝酸薬・アスピリン)+ヘパリン静注
※その他:モルヒネは鎮痛・抗不安作用により呼吸数、心拍数が低下、心負荷が軽減される。一方、静脈拡張作用により左室前負荷を軽減させ心不全改善効果が得られる。
【再灌流療法】
血栓溶解療法:発症3時間以内であればt-PA投与
PCI:緊急カテーテル検査→バルーン拡張+薬剤溶出性ステント留置
CABG:①LMT狭窄、②3枝高度狭窄に適応。内胸A、橈骨A、右胃大網A、大伏在Vをグラフトとして用いる。
【再灌流療法の合併症】
再灌流性不整脈 or 心破裂:再灌流によって壊死した心筋へCa流入が起こり、心室期外収縮や心破裂(乳頭筋断裂、自由壁破裂、心室中隔欠損)が起こる。
【開心術】
心破裂(乳頭筋断裂、自由壁破裂、心室中隔欠損)の場合、IABPを挿入して手術
【予後改善】
β遮断薬:心筋酸素需要量↓、抗不整脈作用、心破裂予防作用
ARB・ACE阻害薬:心筋リモデリング抑制作用
アスピリン:血小板凝固抑制
スタチン系:アテローム性動脈硬化を予防

【心電図による梗塞部位】

心電図ST変化 支配領域 閉塞血管 結節支配
Ⅱ、Ⅲ、aVF
(V3R、V4R)
右房・右室(V3R、V4R)+
左室下壁+心室中隔の後1/3
RCA
右冠動脈
洞結節(45%)+
房室結節(95%)
V1〜V4 左室前壁心室中隔の前2/3
(V1は右室を表すこともある)
LAD
左前下行枝
I、aVL、V5、V6 左房+
左室側壁後壁
LCX
左回旋枝
洞結節(55%)

【心電図所見】

STEMI 発作時にST上昇するものをSTEMIといいという。
ST低下を見たら対側のST上昇を疑うこと!(ST低下ない場合もある)
NonSTEMI 発作時にST上昇しないものをNonSTEMIといい、不完全閉塞を示す。
NonSTEMIの場合、異常Q波も認めない(冠性T波またはR波減高はある)。
NonSTEMIは心電図異常はなく、トロポニンなどが上昇している。
急性 ①発症直後:T波増高→ST上昇(対側誘導でST低下)、後壁梗塞はV1〜V3でST低下
2〜6時間:異常Q波出現(壊死すると反対側の心筋の脱分極が反映されるため)、後壁梗塞はV1〜V3でST低下したままR波増高
③2〜3日後:T波終末部から陰転化(心室瘤は除く)、異常Q波
亜急性 1〜4週間以内:ST復帰→冠性T波(左右対称な陰性T波)+異常Q波、後壁梗塞はV1〜V3でST復帰してT波増高
陳旧性 ⑤1年後:異常Q波残存、冠性T波は陽転化することもある

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