失神

症候学

失神

意識障害 外部刺激に対する反応が低下ないし失われた状態。
てんかん発作で一過性に意識障害をきたすものを欠神といい、けいれんを伴う。
失神 意識障害のうち、脳全体の一過性の虚血によって可逆的な意識障害が生じ、姿勢保持ができなくなるもの。ただし、TIAや過換気など脳局所の虚血は失神に含めない。
失神のうち、不整脈によるものをAdams-Stroke症候群という。
収縮期血圧60以下になると失神に至る。

失神の病歴聴取のポイント

O 発症様式 <何をしている時に失神したか?>
立ち上がった時→起立性低血圧?
臥位:不整脈?
労作時:器質的心疾患?
排尿時:排尿失神?
P 増悪・寛解因子 <前駆症状があったか>
呼吸苦・胸痛:虚血性心疾患?肺塞栓?
咽頭部痛:排尿失神?
吐血:上部消化管出血
頭痛:頭蓋内病変?
発汗・嘔気:血管迷走神経反射?
Q 性質・ひどさ
R 部位、放散痛 突然死の家族歴はあるか?
S 随伴症状
T 時間経過 発作状況、持続時間

失神の身体所見

失神の鑑別

①心原性(Adams-Stroke症候群)

頻脈 発作性上室頻拍(PSVT)、心房細動(AF)、心室頻拍(VT)
徐脈 洞不全症候群(SSS)、房室ブロック(2度のMobitzⅡ型または3度)
無脈 心室頻拍(VT)、心室粗動(VF)、心静止

②心原性(心拍出量低下)

原因 疾患 特徴
①左室流出路の閉塞 AS
HOCM 遺伝性
左房粘液腫によるMS
②右室流出路の閉塞 肺血栓塞栓症
原発性肺高血圧症
③ポンプ失調 心タンポナーデ
急性心筋梗塞

③心原性以外

原因 特徴
①神経調節性失神 血管迷走神経反射 長時間の起立、感情ストレス(採血・注射など)により交感神経緊張状態から急に副交感神経亢進して徐脈・血管拡張して低血圧となる。
状況失神 吹奏楽器、重量挙げ、排便・排尿、咳嗽など胸腔内圧亢進し、静脈環流量が減少し、心拍出量が減少する。
頸動脈洞性失神 頸動脈洞マッサージや頸部回旋・伸展により徐脈になる。
眼球迷走神経反射 眼球圧迫によりにより副交感神経が亢進して徐脈・血管拡張して低血圧となる。
②起立性低血圧 自律神経障害 糖尿病、アミロイドーシス、Parkinson病、Shy-drager症候群による自律神経障害があり、血管運動反射が不十分となり下半身に血液が貯留し、静脈環流が減少して心拍出量が低下する。
循環血液量低下 出血、下痢、褐色細胞腫、Addison病によって循環血液量が減少して低血圧となる。
③総頸動脈閉塞 高安病 大動脈弓の炎症が左総頸動脈に及んで脳虚血を生じる。
急性大動脈解離 総頸動脈が解離して脳虚血を生じる。
④その他 意識障害を参照 低血糖、脳卒中など

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