排尿障害(多飲多尿・頻尿・乏尿・尿失禁)

症候学

概念

無尿 1日尿量が100mL以下
乏尿 1日尿量が400mL以下
尿閉 膀胱に尿が充満しているにもかかわらず排尿できない状態
※無尿・乏尿は腎で尿の生成ができない状態
多尿 1日尿量が2500mL以上(40mL/kg体重/日)
頻尿 1日8回以上の排尿回数があるもの頻尿という。

尿失禁

尿失禁の種類と原因

病態 尿意
腹圧性
尿失禁
尿失禁の原因の約50%を占める。
骨盤底筋群の弛緩や尿道閉鎖機能の低下により、腹圧上昇時(咳・くしゃみなど)に少量の尿が漏れる。
【原因疾患】
妊娠、加齢、肥満、骨盤内手術など
【治療】
①骨盤底筋体操、β2刺激薬
②尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)
切迫性
尿失禁
通常、大脳は橋に排尿を抑制する命令を出している。しかし、パーキンソン病や脳血管障害などの脳疾患により、その抑制がかからず、膀胱が過敏状態にあり、突然強い尿意を感じ、耐えきれず失禁する。腹圧性尿失禁と合併しやすい(混合性尿失禁)。
【原因疾患】
神経因性膀胱(仙髄より上位の中枢神経障害)、加齢、尿路感染、過活動膀胱など
溢流性
尿失禁
末梢神経障害によって尿意を大脳に伝えられず、残尿量増加により膀胱内圧が上昇して尿道閉鎖圧を超えると少量ずつ失禁する。
【原因疾患】
神経因性膀胱(仙髄排尿中枢以下の末梢神経障害)、前立腺肥大症、高度の尿道狭窄など
反射性
尿失禁
脊髄に障害があると尿意を大脳に伝えられず、排尿筋の不随意収縮により失禁する。(脊髄・反射!
【原因疾患】
神経因性膀胱(仙髄排尿中枢より上位の脊髄障害)
機能性
尿失禁
日常生活動作(ADL)の障害によりトイレへの移動や排尿動作ができず失禁する。
【原因疾患】
認知症、歩行障害、脳血管障害後の麻痺
尿管性
尿失禁
尿管異所開口のある小児で認められる。
【原因疾患】
尿管異所開口
真性
尿失禁
括約筋の障害のため、膀胱に尿が貯留することなく持続的に尿が漏れる。
【原因疾患】
先天異常、外傷、骨盤内手術などの合併症

尿閉

尿閉:膀胱内の尿を排出できない状態(排尿障害)

膀胱 神経因性膀胱(排尿力低下)、膀胱癌(膀胱頸部の閉塞)
前立腺 前立腺肥大症、前立腺癌(尿道前立腺部の閉塞)
尿道 尿道外傷(尿道の閉塞、断裂)

頻尿

原因 病態 主な原因疾患
器質的膀胱容量の減少 膀胱の伸展性の低下
物理的な容量減少
放射線治療後、腫瘍や妊娠による膀胱の圧排
機能的膀胱容量の減少 尿排泄障害によって生じる残尿により、蓄尿できる容積が減少 下部尿路閉塞疾患、抗コリン薬、神経因性膀胱
過活動膀胱
膀胱粘膜の刺激 膀胱粘膜の刺激により、頻回に尿意を生じる 膀胱結石、膀胱炎、膀胱異物
多尿 尿量の増加に伴い、頻回の尿排泄を生じる 心因性多飲症、尿崩症、糖尿病

多飲・多尿をきたす疾患

低張尿多尿 等〜高張尿多尿
・心因性多飲症
・中枢性尿崩症
・腎性尿崩症:高Ca血症、低K血症
・糖尿病
・慢性腎不全

 

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