小児の診察の概要
①待合の様子 | 耳を澄ませて、元気そうか?咳は? |
②母子手帳 | ・低出生体重など疾患の重症化に関わるリスク因子 ・発達歴など、本人の病歴や身体所見の信頼度に関わる情報 ・VK2シロップ投与や予防接種によるリスク軽減の度合い ・身長体重曲線 |
③聴取 | ・まず、母親の話から受診理由などを聞く。5歳頃から本人にも聴取可能。 ・時系列、sick contactは必ず聴取 ・周産期の異常、成長発達の異常、予防接種、家族構成は確認 |
④重症度 | ・2食以上続けて食事できているか? ・よく寝ているか? ・遊べているか? 親がいつもと何か違うと言う場合は超注意 |
⑤診断 | 虐待を疑うケースは養育者が嘘をついている可能性があるため、その証拠を揃える |
身体診察
トリアージ
A:Appearance | 【TICLS】 T(筋緊張):動いているか?ぐったりしてるか? I(周囲への反応):おもちゃで遊んだり周囲に興味へ示すか? C(精神的安定):あやすと落ち着きを取り戻すか? L(視線・追視):視線が合うか?ぼんやりしてないか? S(会話・啼泣):こもった、かすれた声をしてないか? |
B:Breathing | ・呼吸回数:速い場合はアシドーシスを代償している可能性 ・呼吸音・咳嗽:喘鳴、犬吠様咳嗽 ・呼吸様式:姿勢、鼻翼呼吸、努力呼吸、陥没呼吸 |
C:circulation to skin | ・皮膚の色:顔色不良、チアノーゼはないか? ・CRT2秒以内 |
バイタルサイン | バイタルサインが正常値の±2SDは超緊急、±1SDは緊急 |
【バイタルサイン】※新生児・乳児のHRは聴診、それ以上は橈骨Aで測定が確実
上RR/下HR | −2SD | −1SD | 正常 | 1SD | 2SD |
3ヶ月未満 | 10-20/ 40-65 |
20-30/ 65-90 |
30-60/ 90-180 |
60-70/ 180-205 |
70-80/ 205-230 |
3〜5ヶ月 | 10-20/ 40-63 |
20-30/ 63-80 |
30-60/ 80-160 |
60-70/ 160-180 |
70-80/ 180-210 |
6〜11ヶ月 | 10-17/ 40-60 |
17-25/ 60-80 |
25-45/ 80-140 |
45-55/ 140-160 |
55-60/ 160-180 |
1歳〜2歳 | 10-15/ 40-58 |
15-20/ 58-75 |
20-30/ 75-130 |
30-35/ 130-145 |
35-40/ 145-165 |
3歳〜5歳 | 8-12/ 40-55 |
12-16/ 55-70 |
16-24/ 70-110 |
24-28/ 110-125 |
28-32/ 125-140 |
6歳〜9歳 | 8-10/ 30-45 |
10-14/ 45-60 |
14-20/ 60-90 |
20-24/ 90-105 |
24-26/ 105-120 |
【血圧】
新生児 | 乳児 | 幼児 | 学童期 | |
sBP/dBP | 60-90/20-60 | 80-100/30-60 | 90-100/60-65 | 100-110/60-70 |
新生児・乳児の場合
大泉門・胸部(特に心音)→腹部→頭頸部(咽頭、眼、鼓膜)の順に診察する。
大泉門は啼泣時膨隆し、脳圧亢進症状と誤る可能性があるので最初にみる。ずっと機嫌が悪い、すぐに寝てしまう、啼泣が弱いなどの場合は重症を示唆する。
不機嫌・なんとなく元気がない
Must rule out
尿路感染症 | |
細菌性髄膜炎 | |
腸重積 | |
頭蓋内出血、骨折 | |
心不全、呼吸不全 | |
ターニケット症候群 | 末梢の浮腫・発赤 |
血液疾患、代謝疾患 |
※ターニケット症候群:身体の先端部に髪の毛などが巻きつき生じる循環不全症候群
頻度の高い疾患
中耳炎 | |
便秘症 | |
皮膚炎 | |
乳児臍疝痛 | 毎日ほぼ決まった時間に啼泣、その時間以外は全く異常ない |
非特異的な不機嫌 | |
注意を引くための泣き |
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