クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)

微生物学

クラミジア・トラコマティスの特徴

宿主の細胞にATPを依存している偏性細胞内寄生細菌(寄生細胞内でゆっくり増殖する)。そのため、発育には生きている細胞が必要、細胞内寄生しておりβラクタム系は細胞内移行性が悪いため無効。細胞内寄生菌。ペプチドグリカンを欠くためグラム染色できない。

性器クラミジア感染症

疫学 若年者・女性に多い。男性の場合、最大の感染源は風俗でのオーラルセックス。風俗嬢の咽頭からクラミジアや淋菌の検出率は高いにもかかわらず無症状、咽頭の異常所見も見られないため性器と咽頭を両方検査する必要がある。
病態 細胞内に寄生して増殖し症状を呈する。宿主細胞内に封入体を形成。
症状 【女性】
80%は無症状。性交渉から1~3週間後、
①尿道炎:排尿痛
子宮頚管炎漿液性の少量帯下増加、不正出血、性交痛
③上行して卵管炎:下腹部痛、卵管が細くなり卵管性不妊異所性妊娠の原因となる
※卵管閉塞すると滲出液が貯留(卵管留水症)・膿が貯留(卵管留膿症)が生じる
④さらに上行して骨盤内炎症疾患(PID):激しい上腹部痛
⑤まれに肝周囲まで炎症が及ぶ(Fitz-Hugh-Curtis症候群):激しい上腹部痛
<妊娠中の場合>
絨毛膜羊膜炎を起こし、流・早産の原因となる。クラミジア頸管炎を合併したまま経腟分娩をすると、新生児結膜炎や肺炎が起こる可能性がある(新生児クラミジア感染症)。
【男性】
50%は無症状。性交渉から1~3週間後、
外尿道口より漿液性分泌物を認める。尿道炎により軽い尿道掻痒感、不快感、排尿痛を呈する。炎症が上行すると精巣上体炎を呈する。
検査 【尿検査】PCRで確定診断
【画像検査】PIDの場合は感染を助長するため子宮卵管造影は禁忌!
治療 マクロライド系:アジスロマイシン1000㎎1日1回内服
テトラサイクリン系、ニューキノロン系(一部耐性菌がある)
根治しない場合は淋菌との混合感染を考える(淋菌との混合感染が20〜30%存在)

封入体性結膜炎

病態 クラミジア感染した性器を触った手で目をこすると結膜に感染する。
また、産道感染して新生児の結膜に感染する場合もある。
症状 ※新生児の場合はリンパ組織が未熟なため以下の症状はない
①片眼性の
濾胞性結膜炎
多量の膿性眼脂、結膜充血など
耳前リンパ節腫脹
検査 【血液検査】
抗原検査、PCR
【結膜擦過塗抹標本】
May-Giemsa染色:封入体を確認
治療 ニューキノロン系、なければマクロライド系を頻回点眼(1時間ごと)か眼軟膏を6週間

鼠径リンパ肉芽腫症(第四性病)

病態 トラコマティスのLymphogranuloma venereumによって生じる(その他上記疾患はトラコマティスのTrachomaで生じる)
症状  
検査  
治療  

コメント

  1. […] トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis) […]

タイトルとURLをコピーしました