婦人科(腫瘍)・乳腺外科

産婦人科

婦人科腫瘍総論

※エストロゲン依存性の腫瘍

類腫瘍病変・良性腫瘍 前癌病変・悪性腫瘍
卵管 ・卵管癌
卵巣 ・子宮内膜症(チョコレート囊胞)※
・卵巣良性腫瘍
・卵巣境界悪性腫瘍
・卵巣悪性腫瘍
子宮体部 ・子宮筋腫※
・子宮腺筋症※
・子宮内膜ポリープ
・子宮内膜増殖症※
・子宮体癌(子宮内膜癌)※
・子宮肉腫
子宮頸部 ・子宮筋腫
・子宮頸管ポリープ
・子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)
・子宮頸癌
・Gartner管嚢胞 ・膣上皮内腫瘍(VAIN)
・膣癌
外陰 ・バルトリン腺嚢胞
・尖圭コンジローマ
・外陰上皮内腫瘍(VIN)
・外陰癌 ・外陰Paget病

子宮全摘術

単純子宮全摘出術 準広汎子宮全摘出術 広汎子宮全摘出術
子宮頸癌 上皮内癌、ⅠA1期 ⅠA1期、ⅠA2期 ⅠA2期、ⅠB期、Ⅱ期
子宮体癌 体部限局 体部限局〜頸部間質浸潤 頸部間質浸潤以上
特徴 子宮のみ摘出
子宮頸部付近で靭帯切断
子宮+子宮傍組織+膣上部を摘出
子宮頸部から少し離れた部位で靭帯切断
子宮+子宮傍組織+膣中部を摘出
骨盤壁付近で靭帯切断

子宮の腫瘍

★★子宮内膜症 endometriosis

疫学 20〜40歳代に好発
病態 エストロゲン依存性に子宮内膜が異所性(腹膜、卵巣、Douglas窩、仙骨子宮靭帯)に発生し、接着・増殖を繰り返し、炎症・癒着を引き起こす疾患。
卵巣病変はチョコレート嚢胞といい、経血がDouglas窩に溜まる(圧↑・癒着)。45歳以上、4cm以上は悪性化して卵巣癌(明細胞癌・類内膜癌)となる可能性があるため注意(約1%)。
症状 ①月経痛:月経を重ねるごとに痛みが増強、経血で腹圧↑
②月経時以外の下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛:出血による癒着
不妊(約20%):骨盤内炎症による卵子の質の低下、癒着による卵管機能↓
検査 【身体検査】
内診(双合診):子宮後屈子宮可動性不良、卵巣病変があれば有痛性の嚢胞を触れる
直腸診:Douglas窩に圧痛を伴う硬結を触れる
【画像診断】
エコー:卵巣腫大、腫瘤内部に高輝度のびまん性点状エコーを確認
MRI:T1で高信号の卵巣腫大(=血腫)、Douglas窩閉塞を確認
腹腔鏡検査:blueberry spotなどの腹膜病変を確認
【血液検査】
CA125の軽度上昇を認めることがある
治療 【薬物療法】
低用量ピル、黄体ホルモン(偽妊娠療法):子宮内膜の増殖を抑制
効果なければGnRHアゴニスト(偽閉経療法):服薬を中止すれば妊娠は可能
→E・Pのフィードバック、またはダウンレギュレーションによりGnRH↓FSH↓LH↓となり、卵胞が発育せずE分泌↓(排卵しないため妊娠はしない)
【手術】
挙児希望腹腔鏡下で病巣除去癒着剥離
挙児希望なし:単純子宮全摘出術+両側付属器摘出術

【Kaufmann療法と偽妊娠療法の違い】

目的 投与法
Kaufmann療法 無月経の治療 月経5日目よりE10日間→E・P10日間服用
偽妊娠療法 子宮内膜症増殖の抑制 月経5日目よりE・P(低用量ピル)を連日服用

【チョコレート嚢胞と鑑別が必要な出血性黄体囊胞】

病態 排卵に伴って断裂した血管から出血し、血液が黄体内に貯留して血腫を形成して囊胞化した卵巣出血。
症状 排卵後しばらくしてから下腹部痛
検査 【画像検査】エコー:卵巣内に内部がクモの巣状の嚢胞
治療 経過観察

子宮腺筋症 adenomyosis uteri

疫学 30〜40歳代に好発
病態 出産や子宮内操作によって子宮内膜が損傷し、そこから子宮内膜が筋層内に浸潤してエストロゲン依存性に増殖する良性腫瘍。巨大化すると周辺臓器を圧迫する。子宮筋腫や子宮内膜症との合併多い。
症状 ①月経痛:月経を重ねるごとに痛みが増強、子宮内圧↑
月経過多:筋内に病相があると内膜が剥がれやすいため(子宮内膜症との相違点!)
③不正性器出血:同上
④不妊・流産:着床障害のため
⑤周辺臓器圧迫症状:頻尿など
検査 【身体検査】
内診(双合診):腫大化した弾性硬の子宮を触れ、圧痛を認める
【画像診断】
エコー:子宮筋層の肥厚を確認
MRI:T2強調で境界不明瞭の低信号領域に散在する点状の高信号(出血を反映)、内膜筋層境界(JZ:junctional zone)が不整・不明瞭化している(子宮筋腫との鑑別点)。
【血液検査】
CA125の上昇を認めることがある、Hb↓(月経過多のため)
治療 【薬物療法】※鎮痛薬の効果は乏しい
子宮内膜症と同じ。月経過多の場合は鉄剤追加
【手術】
挙児希望の場合は子宮腺筋症切除術、挙児希望のない場合は単純子宮全摘出術

★★子宮筋腫 uterine myoma

疫学 30〜40歳代に好発
病態 エストロゲン依存性に子宮平滑筋に発生する良性腫瘍。発生部位は①筋層内筋腫(70%)②漿膜下筋腫(20%)③粘膜下筋腫(10%)だが、7割は多発性。
巨大化すると周辺臓器を圧迫する。子宮内膜症や子宮腺筋症との合併多い。
症状 約半数が無症状で経過し、その他は以下の症状を呈する(粘膜下筋腫が最も症状強い)
①月経痛:月経を重ねるごとに痛みが増強、子宮内圧↑
②月経過多:筋内に病相があると内膜が剥がれやすい(特に粘膜下筋腫で顕著)
③不正性器出血:同上
④不妊:着床障害のため(特に粘膜下筋腫)
⑤急性腹症:漿膜下筋腫が茎捻転して激痛
検査 【身体検査】
内診(双合診):辺縁不整で腫大化した弾性硬の子宮を触れる(圧痛がない!
【画像診断】
エコー:骨盤内に充実性腫瘤を確認
MRI:T2強調で境界明瞭な低信号領域を確認
治療 【薬物療法】※鎮痛薬の効果は乏しい
閉経期前後の場合:GnRHアゴニスト(粘膜下筋腫に対しては投与後に一過性のゴナドトロピン分泌亢進相flare upによる大量出血の恐れがあり慎重投与)
【手術】挙児希望:筋腫核出術
挙児希望なし:単純子宮全摘術、粘膜下筋腫に対しては子宮鏡下筋腫摘出術

★★★子宮頸癌 cervical cancer

ウイルスのHPVを参照

子宮内膜増殖症

病態 エストロゲン優位の内分泌環境により内膜腺が過剰に増殖し、不規則な形態を示したものである。腺細胞の異型の有無により、子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症に分類される。子宮内膜異型増殖症は前癌病変の性格を有しており、一部子宮体癌へ進行する
症状 ①不正性器出血
検査 【画像検査】
経膣エコー:子宮内膜の肥厚
【生検(組織診)】
子宮内膜腺の過剰増殖を確認して確定診断
治療 子宮内膜増殖症:経過観察、自然治癒しなければ黄体ホルモン療法
子宮内膜異型増殖症:手術、挙児希望あれば内膜全面掻爬+黄体ホルモン療法

子宮体癌 endometrial cancer

疫学 閉経前後の40〜70歳代に好発
リスク↑(相対的エストロゲン↑):未経産婦、肥満、高血圧、糖尿病、癌家系、PCOS、エストロゲン製剤、タモキシフェン
リスク↓:経産婦、低用量ピル服用、プロゲステロン、運動
病態 子宮体部の内膜から発生した腺癌(95%以上)で、主にリンパ行性に転移する。腺癌の中では類内膜癌が最多(約80%)。
エストロゲン依存性のⅠ型(約90%、予後比較的良好):子宮内膜異型増殖症を経て発症することがほとんどで、PCOSやエストロゲン産生腫瘍はリスク因子となる
エストロゲン非依存型のⅡ型(約10%、予後不良):子宮内膜異型増殖症を介さず癌化する(de novo癌)。
症状 不正性器出血(特に閉経後):初期症状として重要
②腰痛:骨盤内組織に浸潤
検査 【①経膣エコー】
辺縁不整の高エコー域があり、内膜肥厚あり(閉経前20mm以上、閉経後5mm以上)
【②子宮内膜細胞診】
核の増大や大小不同などの悪性所見
【③生検(子宮組織診)】
ゾンデキュレットで内腔を掻爬し、確定診断
【④ヒステロスコープ(子宮鏡)】
病巣の形態や広がりを確認し、頸管浸潤の有無をみる(Ⅰ期とⅡ期の鑑別)
【⑤MRI】
筋層浸潤を確認。T2強調で正常内膜より低信号、正常筋層より高信号を示す。
【血液検査】
CA125、CA19-9が上昇することがある
治療 【進行度別治療】
Ⅰ期(子宮体部に限局):単純子宮全摘出術 or 準広汎子宮全摘出術+付属器摘出
Ⅱ期(頸部間質浸潤あり):広汎子宮全摘出術+付属器摘出
Ⅲ期・Ⅳ期(子宮外に転移):子宮全摘術(出血コントロールのため)+ケモ or ラジ(ただし、感受性低い)

★外陰癌

HPVを参照。

卵巣の腫瘍

★★★卵巣癌(卵巣腫瘍)

疫学 近年増加傾向!生涯発生率は1%
リスク因子:未産、肥満、排卵誘発剤の使用、ホルモン療法
リスク↓:妊娠、低用量ピル(排卵抑えられ上皮破れないため)
病態 卵巣が細胞分裂が盛んであり多種多様な腫瘍が発生し、その起源によって主に①上皮性(約70%)、②卵胞 or 黄体→性索間質性(約20%)、③卵子→胚細胞(約10%)に分類される。また、性質により良性、境界悪性、悪性に分けられる。
卵巣は腹腔に露出しており、腹膜播種をきたす。また、リンパ行性転移も多い(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節に好発)。
【遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)】
がん抑制遺伝子のBRCA遺伝子の変異によって乳癌・卵巣癌が家系内で多発する症候群
【転移性卵巣癌】
卵巣癌の約5%で、転移性卵巣癌の約80%は胃癌、約10%は大腸癌から転移する。
症状 初期はほぼ無症状、進行して症状出る(発見時には約50%が進行癌)
①腹部膨満感・悪心:腫瘍増大で腹水貯留
②茎捻転で突然の下腹部痛
検査 【画像診断】←生検できないため!
MRI:組織型の推定、浸潤の有無。上皮性はSolid in cyst(囊胞の中に充実部がある)、胚細胞性腫瘍や顆粒膜細胞腫瘍はCyst in solid(充実腫瘤の中に囊胞部分がある)。
CT:リンパ節転移、遠隔転移の有無
【血液検査】
上皮性:CA125(漿液性)、CA19-9・CEA(粘液性)
性索間質性:エストラジオール(顆粒膜細胞腫)、アンドロゲン(間質細胞腫瘍)
胚細胞:SCC(成熟奇形腫の悪性転化)、AFP(胚細胞腫瘍:特に卵黄囊腫瘍)
転移性:CEA(Krukenberg腫瘍:胃癌など消化管腫瘍が原発)
治療 【卵巣癌】→術後切除の組織とリンパ節で確定診断
Ⅰ期(卵巣に限局):子宮・付属器・大網切除+リンパ節郭清+術後化学療法(TC療法
Ⅱ期(骨盤内伸展あり):ケースバイケース?
Ⅲ期・Ⅳ期(骨盤外へ転移):化学療法
【遺伝性乳癌卵巣癌症候群】
PRAP阻害薬(オラパリブ)投与

【各卵巣癌の特徴】

上皮性
(S in C)
漿液性癌 卵巣癌の約40%(最多)。CA125↑、p53遺伝子異常。
エコーで単房性嚢胞、卵巣腫大。病理で乳頭状増殖、砂粒体を形成。
粘液性癌 卵巣癌の約15%。エコーで多房性嚢胞、卵巣腫大。病理で粘液貯留。
消化器系などからの転移癌が多い(CEA↑CA19-9↑イクーっと行って粘液出る
明細胞癌
類内膜癌
卵巣チョコレート嚢胞を高率に合併(CA125↑)
卵巣癌の各約20%。MRIで囊胞内に粗大な結節・隆起性病変が存在。病理で明細胞癌はHobnail細胞明るい細胞質をもつ細胞、類内膜腺癌は子宮内膜腺癌に類似した細胞。
性索間質性
(C in S)
顆粒膜細胞腫 境界悪性で、閉経前後に好発。エストロゲン産生し、不正性器出血や閉経後の再女性化を起こす。病理で微小な濾胞構造(Call-Exner小体)、coffee-bean様の核あり。
  セルトリ・間質細胞腫 20〜30歳代に好発。アンドロゲン産生し、若年女性の男性化、脱女性化を起こす。
胚細胞
(C in S)
成熟奇形腫 胚細胞腫瘍の中で最多。20〜30歳代に好発。ときに茎捻転を起こし急性腹症を合併することがある。CA19-9↑、悪性転化でSCC↑、エコーやMRIで毛髪(Hair ball)、骨・歯(高輝度エコー)、脂肪。MRIのT1で高信号、脂肪抑制T1で信号が消失(脂肪成分)が特徴。
  絨毛癌 hCG↑
  卵黄嚢腫瘍 AFP↑

絨毛性疾患

胎盤を形成する絨毛から発生する疾患。

胞状奇胎・侵入奇胎

疫学 全体としては20〜30歳代に多いが、40歳以上の妊娠では顕著に増加、東アジアに多い
病態 絨毛の栄養膜細胞の異常増殖と間質の浮腫をきたす疾患(水腫囊胞化)。胎児成分がないものを全胞状奇胎あるものを部分胞状奇胎という(胎児が一度確認されている)。
症状 妊娠初期より、
①無月経:hCGにより月経が来ないため
②不正性器出血:胞状奇胎が剥がれるため
③妊娠悪阻症状:悪心嘔吐
検査 【画像検査】
エコー:子宮腔内に小嚢胞を多数を確認、卵巣に黄体嚢胞(ルテイン嚢胞)
【尿・血液検査】
hCG↑(全胞状奇胎ではhCG↑↑)
p57Kip2抗体/TSSC3の抗体:全胞状奇胎は陰性部分胞状奇胎は陽性
治療 ①子宮内容除去術:子宮内容を掻爬で多くは治癒する
しかし、内容物が残存して子宮筋層に侵入すると侵入奇胎(胞状奇胎から20%、子宮内容除去術後6ヵ月以内に発生することが多い)、悪性化すると絨毛癌になるため、術後管理でhCG測定をする!
②侵入奇胎が確認されたら単剤化学療法(メトトレキサート、アクチノマイシンD)
【術後管理】
術後は一定期間(約3〜6ヵ月)の避妊は必須となる。

絨毛癌

疫学 リスク因子:経妊産婦、胞状奇胎の既往
病態 絨毛細胞が悪性化したもので、胞状奇胎と異なり絨毛形態が保たれていない。早期より多発血行性転移しやすい(肺転移が最多)。
【絨毛癌診断スコア(侵入奇胎との鑑別方法)】
5点以上で臨床的絨毛癌と診断する。
症状 ①胞状奇胎掻爬後hCGがカットオフ値以下に下降した後、再び上昇
②産後や流産後に不正性器出血が持続し、hCGが高値
③基礎体温は2相性
検査 【画像検査】
胸部X線:肺転移の有無
治療 挙児希望:多剤併用化学療法メトトレキサートアクチノマイシンDエトポシド
挙児希望なし:単純子宮全摘出術、転移あれば化学療法

乳腺疾患

乳腺症 乳腺線維腺腫 乳がん 乳房Paget病 乳管内乳頭腫 葉状腫瘍
頻度 最多 多い 多い
発生部位 両側性 片/両側性 片側性 片側性 片側性 片側性
多発 主に単発 単発 単発 単発 単発
表面 陥凹、えくぼ症状 乳頭が湿疹様 急速に増大する腫瘍
圧痛 多い(月経前に増悪) 軽度圧痛 まれ まれ
可動性 〜+ 腫瘤なし
好発年齢 30〜50歳 20〜30歳 40〜60歳 40〜60歳 40〜60歳 30〜50歳
乳頭分泌 乳汁様 なし 血性多い ときに血性 血性多い
マンモ 両側・びまん性の辺縁不整な豹紋状陰影 卵殻状石灰化、境界明瞭でな円形の腫瘤陰影 微小石灰化、辺縁不整、Spicula+腫瘤陰影 乳輪皮膚肥厚、微小石灰化 エコー:拡張した乳管内に腫瘤 境界明瞭で辺縁平滑な分葉状の腫瘤陰影
境界 不明瞭 明瞭 不明瞭 腫瘤なし 明瞭 明瞭
治療 経過観察 経過観察
増大傾向なら切除検討
外科的切除 外科的切除 経過観察
鑑別不能なら切除検討
外科的切除(約25%は悪性)

※葉状腫瘍と乳腺線維腺腫は似た特徴を有し、両者の鑑別は困難であるため、病理組織学診断により確定する。

★★★乳癌 BC:Breast Cancer

疫学 40〜60歳の閉経前後女性に好発、生涯発生率は8%
リスク因子:高E期間(未産、高齢出産、早い初経、遅い閉経、閉経後の肥満)、運動不足
遺伝性乳癌は約10%(そのうち、癌抑制遺伝子であるBRCA遺伝子の変異がある乳癌をHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌)といい、変異があれば約半数以上が乳癌を発症する)
病態 乳腺内の乳管や小葉の上皮が悪性化したもので、乳管由来の浸潤性乳管癌が最多。
部位は乳房の外上部(C領域)が最多。
症状 ①硬い無痛性腫瘤(しこり)
②血性乳頭分泌
【転移】
肺やに転移しやすい。骨転移:高Ca血症症状、脊髄圧迫症状
検査 【身体検査】
視触診:仰臥位・座位で行い、乳頭偏位、乳頭陥没、橙皮様皮膚、えくぼ徴候(乳房のCooper靱帯が乳癌に引き込まれるため)
【画像検査】
マンモ:不整形で高濃度の腫瘤陰影、辺縁のspicula、微小石灰化の集簇
エコー:不整形で低〜等輝度の腫瘤、内部は微小石灰化を示す高輝度の点状エコー
【経皮的針生検】
③画像検査で乳癌の可能性がある場合、穿刺吸引細胞診 or 組織診により確定診断
治療 【集学的治療(手術+放射線+薬物療法)】
乳房温存療法部分切除+残存乳房に放射線):腫瘍径3cm以下
乳房切除術(全摘+希望があれば乳房再建):術後薬物療法
腋窩センチネルリンパ節生検に転移あればリンパ節郭清+放射線を追加
【薬物療法】
腫瘍の大きさ、ER(PgR)、HER2を見て判断!遠隔転移あれば手術せず薬物療法のみ
①腫瘍が大きく、リンパ節転移あり:化学療法(アントラサイクリン系、タキサン系)
②ER(PgR)陽性:ホルモン療法(抗エストロゲン薬のタモキシフェン投与、さらに閉経前はGnRHアゴニスト、閉経後はアロマターゼ阻害薬を追加)
③HER2陽性:分子標的薬(トラスツズマブなど)
予防 対策型がん検診としてマンモグラフィが行われている

乳房Paget病

疫学 40〜60歳女性に多い(乳癌と同じ)
病態 乳管原発で乳管内進展し、その後、乳頭や乳輪の表皮内浸潤する腺癌。
症状 乳頭・乳輪に発赤・湿疹様びらん、片側性が多い(湿疹なら掻痒があり両側性が多い)
※乳房内に腫瘤を触知しない(乳癌との鑑別)
検査 【生検】
PAS染色:明るく大型のPaget細胞(確定診断)
治療 乳房切除術

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