精神科各論

精神科

精神疾患の原因を鑑別する順序

外因性→内因性→心因性

外因性精神障害(身体因性精神障害)

外因性精神障害は、急性期には意識障害を伴いやすく、慢性疾患では認知機能低下・記憶障害・人格水準低下をきたしやすい特徴がある。基礎疾患の治癒とともに症状は消失する。

器質性精神病 脳の病変から生じる精神障害
  神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄小脳変性症)
  脱髄疾患(多発性硬化症など)
  てんかん、脳腫瘍、脳血管障害
  脳炎(感染性脳炎、自己免疫性脳炎、抗NMDA受容体脳炎)
  認知症
  頭部外傷
症候性精神病 脳以外の全身性疾患から生じる精神障害
  ①内分泌疾患による精神障害
甲状腺機能障害、副甲状腺機能障害、副腎皮質機能障害、副腎髄質機能障害、副腎髄質腫瘍、性腺機能低下症、膵臓機能障害、下垂体機能障害、女性のライフステージに伴う月経・妊娠による精神障害)
  ②代謝障害による精神障害
(ウィルソン病、肝性脳症、尿毒症性脳症、透析による精神病、フェニルケトン尿症、リピドーシス、ポルフィリン症、ペラグラ、ビタミンB1欠乏症、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、電解質代謝異常)
  ③膠原病
SLE、ベーチェット病など
  ④医原性による精神障害(術後せん妄、ステロイド・IFNなどの薬剤)
  ⑤悪性腫瘍
  ⑥感染症
インフルエンザ、敗血症、肺炎
中毒性精神病  
  化学物質中毒による精神障害(CO、Hg、H2S、HCN、Pb、農薬)
  アルコール依存症麻薬・覚せい剤依存症

内因性精神障害

統合失調症 Schizophrenia(シゾ)

疫学 主に10代後半〜20代後半に好発。有病率:約1%
遺伝的要因があり、親や兄弟姉妹に罹患者いる場合の罹患率は約10%
予後良好因子:高年齢、女性、急性発症、病前の社会適応能力高い、知能指数が高い、循環気質、緊張型、陽性症状が主体、発病に誘因がある
病態 何らか先天的要因にストレスが加わった結果、中脳辺縁系ドパミン経路の亢進(陽性症状出現)や中脳皮質系ドパミン経路の低下(陰性症状出現)を起こす特有の症候群である。
症状 一般に前駆期があり以下の症状が徐々に発症する(急性発症の場合もある)
急性期は陽性症状が、慢性期には陰性症状が顕著となる。治療によって完全に回復する場合もあれば、再発と寛解を繰り返す場合もあり、進行すると荒廃状態となる。
【陽性症状:普段ない症状がある】
シュナイダーの1級症状(統合失調症に特異的な陽性症状)
妄想知覚被害妄想、関係妄想、注視妄想など
②幻聴:考想化声、対話形式の幻聴自分の行為を批判する幻聴など
③自我障害(させられ体験):考想伝播、考想奪取、身体被影響体験(電気を流される)
シュナイダーさん、ダッシュさせられ幻聴と妄想を声で伝える:考想奪取身体影響体験、幻聴妄想知覚、考想化、考想
●シュナイダーの1級症状以外の陽性症状
①一次妄想&二次妄想
②強迫的飲水:血漿の浸透圧が低下し、肺や脳に浮腫が出現
【陰性症状:普段あるべき感情や行動がない】
ブロイラー4A:基本症状
連合弛緩、感情鈍麻、自閉、両価性
●その他の陰性症状
思考滅裂、思考途絶、言語新作、意欲低下、抑うつ気分、社会的引きこもり
検査 簡易精神症状評価尺度(BPRS)
治療 【薬物治療】
①非定型抗精神病薬の単剤を低用量から開始し、慎重に増量する。
フェノチアジン系:主に鎮静作用
ブチロフェノン系:主に抗幻覚作用
寛解後もしばらく服薬継続する。難治性はクロザピンを投与。
※患者は病識を欠くため服薬アドヒアランスが悪い
【非薬物療法】
修正型電気けいれん療法(mECT)は緊張病症候群に有効

統合失調症に隣接する症候群

  妄想性障害(パラフレニア) 緊張病症候群
病態
症状
1ヶ月以上持続する奇異ではない妄想が唯一の症状。中高年で好発する。統合失調症を思わせる精神症状はない。病識を欠いているため精神科に行くことに抵抗し、また、服薬アドヒラランスも低い。再燃の可能性がある。 ①and/or②の意志発動障害を呈する症候群。
①緊張病性興奮:了解不能な運動暴発が認められる、②緊張病性昏迷:無言・無動、カタレプシー、拒絶、常同症、空笑などが認められる。統合失調症だけでなく、双極性障害や脳器質疾患でも起こる。
治療 精神療法+抗精神病薬 BZ系、mECT

うつ病 Major depressive disorders

疫学 生涯有病率:約10%、性に多い(2:1)、遺伝的要因はあり
病前性格:執着気質(几帳面で責任感強い)、メランコリー(極度に気を遣う)
病態 うつ病はストレスが誘因で発症することは多いがストレスを除去してもあまり良くならない特徴がある。
疑い 【2項目問診法(うつ病の診断精度:感度97%、特異度67%)】
①ここ1ヵ月何をしても楽しくないと感じますか?(興味減退)
②ここ1ヵ月気分が落ちこんだり,憂うつな気分になりましたか?(抑うつ気分)
1項目以上陽性になるようであればPHQ-9を評価すべき
症状 ①〜⑨の抑うつエピソードが5つ以上かつ2週間以上継続する
【中核症状】

抑うつ気分
(心のエネルギーが枯れ果てた感じ)
興味・喜びの喪失
【周辺症状】
③体重減少←食欲減退
④睡眠障害(早朝覚醒、中途覚醒、入眠障害)
⑤思考制止(頭が回らない、仮性認知症)→活動性減少
⑥疲労感(全てがおっくう)
⑦微小妄想(貧困妄想罪業妄想:自分の失敗で皆に迷惑をかけてすまない心気妄想:回復できないほど大きな病気に罹った
⑧集中力減退
⑨希死念慮(病初期と回復期に多く、約15%が自殺企図に至る)
検査 Hamiltonうつ病評価尺度(HRS-D)
Beckのうつ病自己評価尺度(BDI)
老年期うつ病評価尺度(GDS15)
治療 【患者と約束する事】
①重要な決定は保留する(離婚、転職、退職、財産の処分など)
②自殺しないよう約束すること→拒否する場合は医療保護入院を検討
③治る病気であ離、心身の休養が必要なことを説明(励まし・気晴らしの誘いは逆効果)
【薬物療法】
①抗うつ薬を単独投与(第一選択はSSRI)
②BZ系睡眠薬・抗不安薬:不眠・不安が顕著な場合は①と併用するが、漫然とした使用は避ける。
※正常に回復しても、抗うつ薬は半年以上、再発予防のために継続する不安感・焦燥感抑うつ気分意欲の順に症状が良くなることが多い。
【非薬物療法】
薬物療法が不十分な場合、修正型電気けいれん療法(mECT)を検討する。

双極性障害(躁うつ病)

疫学 生涯有病率:Ⅰ型は約1%、Ⅱ型は約5%、男女比は1:1、遺伝的要因あり
10代後半〜20代後半に好発(うつ病と診断した後も注意が必要)
病前性格:循環気質(肥満体系で社交的な反面、一人になると寂しがる)
病態 双極性Ⅰ型障害:うつ状態(必須ではない)+1回でも激しい躁状態があった場合
双極性Ⅱ型障害:うつ状態(必須)1回でも軽い躁状態があった場合
Ⅰ型は5年間で90%以上が再発する。認知症に移行するリスクもある。
症状 【躁状態】
①観念奔逸:
②気分高揚:
③誇大妄想:
④その他:食欲・性欲↑、衝動性↑、活動性↑、睡眠量↓、多弁が1週間以上持続
検査 Hamiltonうつ病評価尺度(HRS-D)
Beckのうつ病自己評価尺度(BDI)
治療 ①気分安定薬の単剤投与
主に抗躁効果:炭酸リチウムバルプロ酸カルバマゼピン
主に抗うつ効果:ラモトリギン
※三環系抗うつ薬・SSRI単剤は躁転のリスクが増加するため禁忌!
②非定形抗精神病薬:躁状態が中程度以上の場合に①と併用
主に抗躁効果:オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール(保険外だがリスペリドン、アセナピン)
オランザピン・クエチアピンは糖尿病に禁忌オラオラ食え食え→過食)
【非薬物療法】
薬物療法が不十分な場合、修正型電気けいれん療法(mECT)を検討する。

うつ病と鑑別が必要な疾患(二次性うつ病)

①悪性腫瘍 体重減少の有無を確認
②電解質異常 Na、Ca、Mg
薬剤性 ①インターフェロン製剤
②ステロイド
③レセルピン、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬など
④栄養 ビタミンB12、葉酸
⑤パーキンソニズム Parkinson病、Huntington病
⑥脳血管疾患 脳卒中後うつ病
⑦中枢神経障害 多発性硬化症、髄膜炎・脳炎
⑧中毒 アルコール依存、違法薬物
⑨別の精神疾患 双極性障害:うつ病に潜む双極性障害を見つける手がかりとして、うつ病の発症年齢が若い、3回以上転職や離婚を繰り返す、発揚気分、循環気質、賦活化症候群がある。
②適応障害:適応障害はストレスが原因で発症し、ストレスを除去すると速やかに回復する(うつ病はストレスを除去しても改善しない)。うつ病と適応障害を初診時に鑑別することは難しい。そのため内因性であるうつ病の治療を優先して行う。

心因性精神障害

神経症

神経症とは、心因(ストレス)によって精神症状をきたす機能性疾患である。大多数の人はストレスを適切に処理できているため、神経症の人はストレスの処理が苦手な人がなりやすいと言える。

不安障害群

<パニック発作>

パニック発作とは、突然生じる急激な不安の高まりで、動悸、発汗、頻脈、胸痛、震え、息苦しさ、めまいなどの自律神経症状、今にも死んでしまうのではないかという恐怖などを生じる症状。症状は10〜20分で治る。パニック発作はパニック症だけでなく、他の不安障害群でも起こる

  病態・症状 対処法
パニック症 何の前触れもなく突然予期しないパニック発作反復して生じる病態。再びパニック発作が起こるのではないかという予期不安を抱く。
広場恐怖症を合併しやすい。
①SSRI単剤
②必要に応じて抗不安薬
③認知行動療法:不安状況に曝露させ、時間と共に軽快することを学ばせる。
広場恐怖症 すぐに逃げ出すことや助けを求めることができない状況や場所に恐怖を感じてパニック発作が生じる病態。そのような状況や場所を回避するようになる。パニック症を合併しやすい。 同上
社交不安症
(=対人恐怖)
所謂、極度のあがり症。
低い自己評価+恥をかくことに対する恐怖があり、そのような状況を回避する病態。青年期に好発し、赤面、発汗、震えなどを生じる。
①SSRI
②認知行動療法:あがる状況に暴露させ、恥をかくわけではないことを認知させる。
限局性恐怖症 特定の状況や対象(高所、閉所、昆虫など)に対し、著しく恐怖を感じ、回避行動をとる病態。 ①認知行動療法:恐怖状況に曝露させ、怖くないことを認知させる。
全般性不安障害 色々なことが過剰に心配になり、それがほぼ毎日6ヶ月以上続く病態。不安の対象は、他の不安症のように限定されない。うつ病などの他の精神疾患を合併しやすい。
女性に多い。
①SSRI
②必要に応じて抗不安薬
③認知行動療法:不安状況を客観的に評価し、認知を改善させる。
選択性緘黙 特定の生活領域のみ自発的な発話が困難になる状態。3歳前後から発症する。 ①非言語的療法:箱庭療法、絵画療法、遊戯療法など

解離性(転換性)障害、身体表現性障害

  病態・症状 対処法
解離性(転換性)障害 トラウマが意識障害健忘(トラウマ部分のみ忘れる)、遁走(現実から逃避しいなくなる)、多重人格(解離性同一性障害))として出現したものを解離性、身体症状(失立失歩、失声、けいれん、らせん状視野狭窄)として出現したものを転換性という。
病状により周囲からの援助を受けられる疾病利得があるため、患者は病気に対して深刻に捉えていない。
精神療法
身体表現性障害 検査所見は陰性であるにもかかわらず、さまざまな身体症状を訴え、医学的検索を執拗に要求する病態。周囲の注意を引こうと演技的な行動を認めることがあり、納得しないとドクターショッピングをする傾向がある。 精神療法

強迫性障害及び関連障害群

  病態・症状 対処法
強迫性障害 強迫観念・強迫行為が存在し、そのために時間の浪費や社会的機能の障害を生じる病態。うつ病やTourette症候群を合併する場合もある。 ①SSRI
②認知行動療法:不安状況に曝露させ、曝露に慣れさせる。
醜形恐怖症 自身の容貌上の欠点に囚われる病態 SSRI+認知行動療法
ため込み症 ため込んだ物を捨てるのが苦痛に思う病態 認知行動療法
抜毛症 主に頭髪を抜くことをやめられず苦痛を感じる。
利き腕側に偏って脱毛、手の届きやすい前頭部に脱毛斑が多い、女性に多いという特徴がある
①認知行動療法

心身症

病態 身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与して器質的または機能的障害が認められる病態。
代表疾患 呼吸器:喘息、過換気症候群、神経性咳嗽
循環器:高血圧、起立性低血圧、PVST、冠動脈疾患
消化器:消化性潰瘍、機能性ディスペプシア、IBS、潰瘍性大腸炎
内分泌:糖尿病、甲状腺機能亢進症、心因性多飲症、原発性肥満
神経:偏頭痛、緊張性頭痛、慢性疼痛性障害
皮膚:アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、円形脱毛症
膠原病:関節リウマチ
治療 ①身体疾患に対する原因療法
②心身医学的療法:カウンセリング、自律訓練法、認知行動療法など

PTSD・ASD・適応障害

  病態・症状 対処法
PTSD
(心的外傷後ストレス障害)
生命を脅かすような極限状態を直接体験または目撃し、1ヶ月以上の潜伏期間を経て発症する。症状は①再体験(フラッシュバック・侵入的回想、悪夢)②回避③感情麻痺(離人感)④過覚醒(不眠、集中困難)が1ヶ月以上続く。自殺企図も多いため注意。 認知行動療法(PE療法)
眼球運動による脱感作・再処理法(EMDR)
ASD(急性ストレス障害) 出来事の直後(通常3日以内)より生じ、1ヶ月以内に改善する。改善しない場合はPTSDに移行する。 通常48時間程度で自然軽快
適応障害 日常よく遭遇するストレス要因に曝露されて3ヶ月以内に発症し、要因を除去して6ヶ月以内に症状が消失する病態。症状は抑うつ気分、不安、欠勤・不登校、粗暴行為、悪質なイタズラなど。
背景に発達障害や知的障害があり、そもそも生きづらさがある場合がある。
ストレス要因のない生活環境の調節
認知行動療法

パーソナリティ障害

●クラスターA群:統合失調症っぽい、奇妙で風変わりな群

  • 猜疑性(妄想性)パーソナリティ障害
  • 総合失調質(スキゾイド)パーソナリティ障害
  • 統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害

●クラスターB群:気分障害っぽい、演技的・情緒的で移り気な群

  • 反社会性パーソナリティ障害
  • 境界性パーソナリティー障害
  • 演技性パーソナリティ障害
  • 自己愛性パーソナリティ障害

●クラスターC群:不安になりやすい人達

  • 回避性パーソナリティ障害
  • 依存性パーソナリティ障害
  • 強迫性パーソナリティ障害

摂食障害

神経性やせ症(AN:アノレキ・拒食症)、神経性大食症(BN:グリミア)

疫学 若年女性に好発、ANの死亡率は約10%(カーペンターズはANで死亡)
病態 別名、神経性食思不振症、神経性無食欲症。
やせ願望、肥満恐怖による食行動の障害。背後に愛着障害がある。うつ病の合併が多い。
ANはBMIが18.5未満、BNはBMIが18.5〜30であり、病態に違い大きなはない。
症状 【AN】
低体重(必須)活動性亢進病識欠如低血圧徐脈、低体温、第二度無月経、浮腫(Alb↓からの膠質浸透圧の低下)、産毛増加・腋毛脱落なし(男性ホルモン優位)
【BN】
過食(必須)+自己誘発性嘔吐・下剤利尿薬の乱用、病識あることが多い、指の吐きだこ、う歯、乏尿、結石、痔核、腎機能障害
検査 【AN】
低下:FT3↓、貧血、低K血症などの電解質異常など
増加:血糖維持のためコルチゾール↑GH↑高Chol血症
【BN】
低K血症、代謝性アルカローシス、偽性Bartter症候群、血清アミラーゼ↑、CK↑
治療 ①支持的精神療法+認知行動療法
②経口・経腸で少量から再栄養を行う(Refeeding症候群の予防)
③P、Mg、Zn、ビタミンB1を補充。
ANに対して体重増加目的にオランザピン、クエチアピンを処方することがある。
Refeeding症候群(再栄養症候群)
長期にわたり著しい低栄養が続いた体へ急激に糖質が流入すると、ATP産生によって大量のリンが消費され、大量のリンが消費され重篤な低P血症となる。その結果、電解質異常(P↓Mg↓K↓)→QT延長→死となる。

小児精神科

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害:ASD)

疫学 男性に多い(有病率:男性2〜3%、女性1%)
病態 対人関係の苦手さ、強いこだわりといった特徴をもつ発達障害で、原因は遺伝的な要因で生まれつきの脳機能異常が生じるためと考えられている。成人ASDは幼少期のエピソードを聞いて診断する。
症状 ①社会性の障害
視線が合わない、合っても共感的でない
人見知りしない、親の後追いをしない
一人遊びが多い、ごっこ遊びを好まない
抱っこや触られるのを嫌がる
言葉の表面的な意味にとらわれやすいコミュニケーションの質的な障害
内側前頭前野の働きが弱いため、相手の表情の微妙な違い・目線・声色といった非言語情報を読み取りづらく、言葉の内容などの言語情報から相手の判断をする傾向がある。そのため、皮肉や冗談の意図を直感的に汲み取れず、不安や恐怖といった脅威的な感情が増加する。
③他人と社会的な場面で相互関係を持つことの障害
所謂KY、話が噛み合わない、話が逸れる、自分のことばかり話す
独特な考え方や反復的な行動パターンをもつ
<自閉症のみ(Asperger症候群ではみられない)>→3歳までに三主徴の揃う
言語発達の遅れ・知的発達障害が多い、反響言語(おうむ返し)
感覚過敏、聴覚過敏、触覚過敏など様々
⑦常同性:同じ遊びに熱中する、同じ道を通る
合併症 ADHD(約50%)、知的障害(約50%)、チック障害(約25%)、運動系の遅れ(約70%)、2次障害で睡眠障害(約70%)、不安症・うつ病(約50%)
検査 WAIS-Ⅲ、AQ、PARS-TRを用いることもある
治療 【心理社会的治療】
療育:短期間で到達可能な目標を設定し、本人の力を引き出してできることを少しずつ増やす。
環境調整:ASDの子は視覚情報が得意であるため、言葉だけでなくイラスト・文字・色分けをして「見える化」することで理解を助ける。感覚過敏に対してはイヤーマフをする。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

疫学 有病率:約5%、5:1で男児に多い
病態 脳内のドーパミン・ノルアドレナリンの受容体への結合能低下により報酬系の障害が起こり、自分の情動や行動をうまく調節できないため不注意・多動・衝動性といった行動障害が起こると考えられている。
症状 ①多動性:立ち歩いてしまう、手足をそわそわ動かす
②衝動性:順番を待てない、質問が終わる前に答える
③不注意:ケアレスミスが多い、忘れ物や遅刻が多い、優先順位をつけれない
④その他:手先の不器用さが目立つ
合併症 チック障害(約10%)、叱られることばかりで自尊心が低下し、社会不適応感から不安や不満が増加する。その結果、2次障害として不登校や反抗的になる。
治療 【心理社会的治療】
親が子供を理解し、好ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らす技術を親が習得する。本人が適応しやすい環境を整えたり、本人のスキルを上げたりする。
【薬物療法】どれが効くか試す
メチルフェニデート徐放錠、アトモキセチン、グアンファシン

学習障害 LD

疫学 有病率:約5%、男児に多い
病態 知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの特定の能力の習得と仕様に著しい困難を示す。
症状  
検査  
治療 心理社会的治療

選択緘黙(かんもく)

病態 会話能力があるにもかかわらず、特定の場面では言葉がなくなってしまう障害。
幼児期(3歳前後)から発症することが多い。
症状 特定の生活領域のみで自発的な発語が困難になる
検査
治療 無理に発語を促さず心理社会的治療を行う

チック症候群(Tourette症候群:チック症の最重症タイプ)

疫学 学童期の男児に好発
病態 チックは反復して生じる突発的、急速、非律動的な運動または発声である。不随意運動であるが、短時間ならば抑制可能。リラックスで出現し、ストレスで増強、逆に作業に集中している時や睡眠中には目立たない。大脳基底核のドパミン受容体の過感受性があり、それが緊張などの環境因子が修飾すると考えられている。
症状 運動チック:瞬き、首を振る、肩をピクっとさせる、顔をしかめる
音声チック:舌打ち、咳払い、屎尿や性器に関する言葉を叫ぶ(汚言おげん)
【合併症】
トゥレット症:ADHD(約50%)、強迫性障害(約30%)
検査 神経学的な異常はない(脳波異常はない)
治療 成長と共に自然寛解、難治性の場合は抗精神病薬
症状を指摘するのは禁忌(注意されることにより増悪する)

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