顔面CTの見方

救急医学

顔面骨骨折の総論

顔面CTの見方

頭蓋内出血の否定 頭蓋内出血があれば、まず脳神経外科にコンサルト
3D再構成 まず、大まかにどの部分に骨折があるか確認する、ルフォー骨折の場合は気道の狭小・閉塞を確認する
受傷部位 受傷部位をくまなく見る
皮下の異常所見 皮下血腫や脂肪織濃度上昇を認める場合はその周囲をくまなく見る
③副鼻腔・乳突蜂巣 下から順に上顎洞(前壁・後外側壁・内側壁・鼻涙管)→蝶形骨洞→篩骨洞→前頭洞、最後に乳突蜂巣をみる。液貯留があればその周囲で骨折を認めることがあるためくまなく見る
④鼻骨 鼻骨、鼻中隔、鼻粘膜を確認
⑤眼窩壁 冠状断で眼窩底、眼窩内側壁、眼窩外側壁を確認
⑥篩板 篩板の骨折を確認
⑦頬骨 頬骨弓を確認
視神経管 視神経眼動脈が走行する
上眼窩裂 動眼神経滑車神経三叉神経の第1枝(V1)外転神経上眼静脈が走行しており、上眼窩裂は海綿静脈洞と連続するためCCFの際に上眼窩裂を走行する上眼静脈に拡張を認めることがある
下眼窩裂 三叉神経の第2枝(V2)の枝である眼窩下神経眼窩下動静脈が走行しており、中枢側では翼口蓋窩に連続している
正円孔 海綿静脈洞部-翼口蓋窩を繋ぐ孔で、三叉神経第2枝(V2:上顎神経)上顎動静脈が走行する
卵円孔 三叉神経第3枝(V3:下顎神経)下顎動静脈(副中硬膜動脈)が走行する。卵円孔は上下方向にあり、上咽頭近傍の病変が頭蓋内へ進展するルートとなる

【三叉神経と関係】
棘孔 卵円孔をすぐ外側にあり、中硬膜動脈が走行する
頸動脈管 内頸動脈が走行する
上中下鼻道

顔面CTでよく見られる所見

眼球癆(ろう)

概要 眼球癆とは、過去の外傷や、出血、感染による眼球障害の終末像を指す
画像 CTで眼球に異栄養性の石灰化を伴う眼球の変形、萎縮、壁の不整な肥厚として認める

副鼻腔骨腫

概要 副鼻腔骨壁に沿った境界明瞭・辺縁平滑な高濃度を示す結節性構造を示す良性の骨形成腫瘤で、頭部CTで偶発的に認めることがある。前頭洞や篩骨洞に好発する。症状がない場合は経過観察で良い。
画像

貯留嚢胞

概要 貯留嚢胞は、洞粘膜の粘液腺の開口部が閉塞し、粘液が溜まって風船状に膨らんだ良性の嚢胞。上顎洞の下極に多く、可動性あり。重力方向に移動する。
画像 CTで内容は均一な低吸収、壁は菲薄で造影されない。洞全体を占拠することもあるが、辺縁部に空気の残存するスペースが残っていることが多く、これを認めると粘液瘤(mucocele)との鑑別が可能。

副鼻腔炎

概要 副鼻腔の自然口の閉塞と分泌排泄低下により副鼻腔の換気障害が生じる。その結果、細菌増殖や粘膜肥厚が増悪する。多くは片側性、アレルギー性の場合は両側性。副鼻腔炎は臨床診断されるが、症状が強い・治療反応性が悪い・合併症が疑われる場合はCTを撮像する。
画像 【急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎の急性増悪】
滲出液や膿汁による液面形成、②air-bubble、③片側性の洞粘膜肥厚
造影CTでは、骨→粘膜下浮腫→造影される粘膜→液体貯留による層状構造となる
【慢性副鼻腔炎】
左右差のある骨肥厚を認める場合がある、②片側性の洞粘膜肥厚(副鼻腔炎の中に高吸収を認める場合は真菌性の慢性副鼻腔炎を疑う)

篩骨紙様板偏倚

概要 先天的理由または陳旧性眼窩吹き抜け骨折のため、眼窩内側壁である紙様板の骨壁内側偏倚している状態で、頭部CTで偶発的に認めることがある。
画像 眼窩内側壁が篩骨洞に突出している像を認める

甲状舌管嚢胞(正中頸嚢胞)

概要 甲状腺原基は舌付近から頸部正中部線を下降するが、この通り道を甲状舌管という。通常、消失するが、一部残存して先天性の嚢胞性病変をきしたものが甲状舌管嚢胞。多くは舌骨・舌骨下レベルに出現する。舌骨下はしばしば傍正中に存在する。
画像 嚢胞内が感染すると高い吸収値を示す

第2鰓裂嚢胞

概要 鰓裂嚢胞とは、甲状舌管嚢胞に次いで比較的よく見られる先天性嚢胞。第1〜4鰓裂嚢胞まであるが、第2鰓裂嚢胞が最多。第2鰓裂嚢胞は通常、無痛性で可動性のある腫瘤として側頸部に認められる。感染の合併により増大や疼痛を認めるため、これを契機に成人以降で診断されることが多い。
画像 典型的には、胸鎖乳突筋前縁・頸動脈鞘側方・顎下線後方に境界明瞭な単房性嚢胞性病変として描出され、感染を伴うと壁肥厚や壁の不整および造影効果を示す

LeFort骨折(ルフォー骨折、上顎骨骨折)

病態 外力が正面から顔面中央部に作用した場合、鼻骨のみでは外力を吸収することができず上顎骨や側方にある頬骨にも波及したことによる骨折をルフォー骨折という。純粋なルフォー骨折は稀で、片側性であったり、片側2種のルフォー骨折が混在してあったり、左右で分類が異なるものなど多彩であることが多い。
分類 Le FortⅢ型骨折:頭蓋骨と顔面骨が分離する(上顎骨骨折+鼻骨骨折+頬骨骨折)
Le FortⅡ型骨折:上顎骨と鼻骨の逆V字状の骨折(上顎骨骨折+鼻骨骨折)
Le FortⅠ型骨折:上顎骨下部の横断骨折(上顎骨単独の骨折)
外力の強さも重篤性もⅢ>Ⅱ>Ⅰの順に大きいとされ、いずれも翼状突起の骨折を含む
症状 咬合障害:歯槽突起全体が後方へ偏移し、反対咬合を呈する。また、歯槽突起が上下左右方向にも偏移すると開咬や交叉咬合を生じる。
※歯槽突起への外力によって上顎歯に破損や脱臼が生じる。歯牙の気管内への脱落に注意!
眼球運動障害:ルフォーⅡ・Ⅲ型では眼窩壁の骨折によって外眼筋が損傷される。骨折による壁欠損や頬骨の偏移により眼窩容積の拡大が生じ、眼球陥没を呈する。
皮膚知覚異常:ルフォーⅡ・Ⅲ型では眼窩下溝にも骨折が波及するためV2障害により末梢側の感覚障害が生じる
嗅覚脱失:ルフォーⅡ・Ⅲ型では篩骨洞の天蓋を形成する篩板損傷とその中を通っている嗅神経損傷も念頭に置く。
髄液鼻漏:ルフォーⅡ・Ⅲ型では神経を包む髄膜の損傷も生じるため
検査 【身体所見】
視診:ルフォーⅡ・Ⅲ型では顔面の著しい変形
【画像所見】
頭部CT:
気道の狭窄・閉塞:上顎骨の後方への偏移による気道の狭小化、顎動脈からの出血塊、中下咽頭の腫脹によって生じることがある→確認したら気管挿管を検討
②頭蓋内気腫が観察される場合は篩板損傷を疑う
治療 【Le FortⅠ型骨折】
【Le FortⅡ・Ⅲ型骨折】

頬骨弓骨折

病態 頬骨隆起への直達外力により頬骨弓(頬骨側頭縫合)に骨折が起こったものを頬骨弓骨折と言い、眼窩下縁(前頭頬骨縫合)・上顎洞の後外側壁(頬骨上顎縫合)・眼窩外側壁(頬骨蝶形骨縫合)にも骨折が起こったものをZMC骨折という。
症状 ①開口障害:頬骨弓が内側凹状に骨折し、直下の側頭筋の伸延障害をきたすため
検査
治療 ZMC骨折を参照

頬骨上顎複合骨折(ZMC骨折、頬骨体部骨折)

病態 頬骨隆起への直達外力により、①眼窩下縁(前頭頬骨縫合)、②頬骨弓(頬骨側頭縫合)、③上顎洞の後外側壁(頬骨上顎縫合)、④眼窩外側壁(頬骨蝶形骨縫合)に骨折が起こったものをZMC骨折といい、頬骨の4つの縫合が離解することによって生じる。骨折部は顔面骨から遊離し、上顎洞の容積が縮小する点が特徴。
症状 眼球運動障害:眼窩底骨折により下直筋が陥入するため
複視:眼窩外側壁の内側偏位により外直筋の圧迫が生じる、または下直筋を含む眼窩内容が上顎洞へ逸脱することで生じる
開口障害:頬骨弓が内側凹状に骨折し、直下の側頭筋の腫脹と伸延障害をきたすため
顔面感覚障害:眼窩下溝を含む骨折ではV2障害により末梢側の感覚障害が生じる
偽性咬合障害:上顎骨の頬骨下稜の骨折により上歯槽神経を傷害するため
⑥その他:外傷性副鼻腔炎、眼球破裂、硬膜外血腫などの頭蓋内合併症
検査 【身体所見】
頬部・眼部の腫脹:数日で消退するが、時に血腫や瘢痕で維持されることがある
頬部の扁平化:頬部体部の陥没のため
眼球陥没:眼窩底骨折による眼窩内容の逸脱、頬骨偏位による眼窩容積拡大
外眼角下垂:外眼角靭帯が付着する頬骨前頭突起の尾側偏位のため
頬骨皮下出血:2週間くらいで消退する
【画像検査】
顔面CT:頬骨の4つの縫合の離解の程度、鼻骨・篩骨・前頭洞など周囲の骨折など確認
治療

 

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