淋菌(Neisseria gonorrhoeae)

微生物学

ナイセリア・ゴノレアの特徴

ソラマメを2つ併せたような形(双球菌)。

淋病

5類感染症。

疫学 男性の場合、最大の感染源は風俗でのオーラルセックス。風俗嬢の咽頭からクラミジアや淋菌の検出率は高いにもかかわらず無症状、咽頭の異常所見も見られないため性器と咽頭を両方検査する必要がある。
病態 性感染症で尿道、子宮頸部、直腸、咽頭、結膜などの円柱上皮粘膜に感染する。性器を触った手で目をこすると鼻涙管を介して咽頭感染する。
症状 【女性】
50%無症状。性交渉の2~7日後、
①尿道炎:尿道を潤すスキーン腺に淋菌が感染して排尿時初期痛を呈する
②外陰炎:膣を潤すバルトリン腺に淋菌が感染すると大陰唇周囲が腫れて痛む
子宮頚管炎:悪臭を伴う黄色の膿性帯下下腹部違和感不正性器出血
④上行して卵管炎:下腹部痛、卵管が細くなり卵管性不妊異所性妊娠の原因となる
※卵管閉塞すると滲出液が貯留(卵管留水症)・膿が貯留(卵管留膿症)が生じる
⑤さらに上行して骨盤内炎症疾患(PID):激しい上腹部痛
<妊娠中の場合>
絨毛膜羊膜炎、前期破水、早産、低出生体重児の原因となる。また、産道感染によって新生児に化膿性眼結膜炎を引き起こす(=新生児膿漏眼。現在では妊産婦管理がしっかりされているためほとんどみられない)
【男性】
性交渉の2~7日後、
尿道炎灼熱感のある排尿痛、外尿道口より黄色の膿性分泌物。炎症が強いため尿道狭窄を起こすことがある。
検査 【確定診断】男性は初尿のPCR、女性は子宮頸管スワブ検体のPCR
治療 ①セフトリアキソン静注(第一選択):1回1000mgを単回点滴
②スペクチノマイシン単回筋注(淋菌性咽頭感染症に対しては効果が少ない)
※ペニシリン、第三世代経口セフェム系、ニューキノロン系抗菌薬は近年耐性が増加!
●治療開始後は治癒判定まで性交中止
●3〜4週間後に治癒判定のPCR実施、陰性ならフォロー終了
●フォローで陽性なら治療中の性交確認後、再度抗生剤投与し治癒しない場合は紹介
●根治しない場合はクラミジアとの混合感染を考える(混合感染が20〜30%存在)

播種性淋菌感染症

疫学 日本では比較的稀
病態 淋菌の菌血症により血行性に全身にいき腱鞘炎、皮膚炎、多発性関節炎の3徴を生じる。
症状 ①腱鞘炎:主に手首、足首、手足の指に多く見られる
②皮膚炎:膿疱性皮疹が中心だが、しばしば無痛性
③多発性関節炎:移動性の関節炎が特徴で、通常は非対称性となる
④その他:発熱、全身倦怠感など
   

淋菌性結膜炎

病態 淋菌感染した性器を触った手で目をこすると結膜に感染する。
また、産道感染して新生児の結膜に感染する場合もある(新生児膿漏眼)が、出産時に抗菌薬の点眼を行っているため現在ではまれ。
症状 ①片眼性の濾胞性結膜炎:多量の膿性眼脂、結膜充血など
検査 淋病と同じ
治療 セフェム系点眼(セフメノキシム、セフトリアキソン)
セフェム系静注(セフトリアキソン、セフォジジム)
スペクチノマイシン筋注

コメント

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