オピオイドの作用機序と副作用

薬理学

作用機序

シナプス前オピオイド受容体に結合し、電位依存性Caチャネルの活性化を抑制し、興奮性神経伝達物質の遊離を減少させる。また、シナプス後オピオイド受容体に結合し、Kチャネルを活性化してKの流出を増加させシナプス後膜を過分極させる。以上の結果、神経発火と神経伝達物質の遊離を抑制し、神経伝達を減少させる。

薬理作用 機序
鎮痛作用 脊髄後角・一次知覚神経のμ1・δ・κ受容体を刺激し脊髄レベルの痛みの閾値を低下させる。耐性は形成される。
鎮静作用 <3大副作用の1つ>
眠気(出現率約20%)、めまい、せん妄(高Ca血症や低アルブミン血症ででやすい)。3~5日で耐性が形成される。
→食事中や会話中に眠るようであれば減量を考慮したほうが良い。
消化管運動抑制作用 <3大副作用の1つ>
腸神経叢のμ1受容体に結合し消化管の平滑筋を収縮させ、
蠕動運動の減少、分節運動の増加を引き起こすため強力な便秘となる。耐性は形成されない。またOddi筋を収縮、膀胱の緊張増加で排尿困難を起こす。
→緩下剤(酸化Mgなど)、刺激性下剤(センノシド)を継続的に投与する
催吐作用 <3大副作用の1つ>
延髄CTZを刺激し悪心嘔吐を引き起こすが、通常1~2週間で耐性が形成される。出現頻度は30%程度。
呼吸抑制作用 μ2受容体を刺激し延髄呼吸中枢に作用し、CO2分圧上昇による呼吸中枢の反応性を低下させる。
反復投与により急速に耐性が形成される。
鎮咳作用 延髄孤束核への咳反射を抑制する。
縮瞳作用 中脳の動眼神経核μ1受容体を刺激し、副交感神経刺激が増強し、瞳孔括約筋が収縮する。耐性はできない。
掻痒誘発作用 モルヒネの静注により肥満細胞からヒスタミンが放出され、皮膚血管拡張や痒みを引き起こすことがある。ヒスタミンにより気管支収縮するため喘息患者には禁忌
多幸感 μ1受容体に結合し、腹側被蓋野のGABA介在ニューロンの活性を抑制し、間接的に中脳辺縁ドパミン系(報酬系)を活性化させ、多幸感を与える。
κ受容体刺激では報酬系で生じた快感を打ち消す作用がある。疼痛時にオピオイドを使用しても依存は形成されないが、これは疼痛によって分泌された内因性モルヒネ様物質がκ受容体に作用し快感を打ち消すためだと考えられている。

副作用

呼吸抑制、縮瞳といった副交感神経亢進症状が主に現れる。

退薬徴候

離脱症状は1週間程度自律神経症状の嵐(交感神経刺激症状と類似)となり、その後無気力が続く。

徐々に減量し、服用中止4日目に何もなければ問題なく退薬できたと判断する。

早期に頻脈・異常発汗・嘔吐、次にせん妄が退薬症状としてよく見られる。退薬症状がみられたらとりあえずレスキューを投与する。

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