ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)

微生物学

H.ピロリ菌感染(萎縮性胃炎、胃潰瘍、胃癌など)

病態 尿素をウレアーゼによって分解し、アンモニアを産生することで胃酸の中で生存することができる菌。この菌が免疫応答を起こす結果、粘膜障害をきたす。
例えば、胃癌MALTリンパ腫胃・十二指腸胃過成ポリープ免疫性血小板減少性斑病(ITP)慢性胃炎萎縮性胃炎などと関連する。
ピロリ除菌で、 胃がんが マルっと 解 決したなんて 言えん
症状 無症状
検査 【画像検査(内視鏡)】
迅速ウレアーゼ試験:菌の有するウレアーゼにより尿素から生じるアンモニアによって黄色→赤色(フェノールレッド色)に変化する
②胃粘膜生検組織を鏡検:フェノールレッド染色して直接観察
【非侵襲性試験】
尿素呼気試験(感度と特異度が高く除菌効果判定に推奨):C13で標識した尿素服用前と服用後のCO2を比較し、菌が存在するとウレアーゼによってC13尿素→NH3+CO2に分解され、呼気中のC13含有CO2が増加する
血中IgG抗体測定:除菌後の抗体低下には時間がかかるため、除菌6ヵ月以降の抗体価が除菌前の半分以下を除菌成功として判定する
便中抗原測定(感度と特異度が高く除菌効果判定に推奨)
1つでも陽性の結果が得られていれば感染診断とし、除菌前に上部消化管内視鏡をする!
治療 ①H.ピロリ感染胃炎
②胃十二指腸潰瘍
③胃MALTリンパ腫
④免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)
⑤早期胃癌
⑥H.ピロリ関連ディスペプシア
⑦胃過形成性ポリープ
⑧鉄欠乏性貧血
はHP除菌を勧められる。半年以内の内視鏡検査で問題なければ3剤併用療法
PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシン(またはメトロニダゾール)
除菌判定は除菌後1ヵ月以上経ってから尿素呼気試験、便中抗原を用いて行う。
※除菌後も1年毎に内視鏡検査を行い胃癌が発生していないか確認する

 

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