手術用具
鑷子(セッシ)
鑷子は組織を把持する器具。つかむ対象により先端の形状を選択する。
名称 | 先端 | 特徴 |
有鉤セッシ | 鉤あり | 皮膚・皮下組織を把持 |
無鉤セッシ | 鉤なし | 腹腔内・胸腔内組織を把持、把持力は弱い |
アドソン | 有鉤、無鉤 | 皮膚・皮下組織を把持、先端が細くピンポイントで把持 |
ダイヤモンド | 腹腔内・胸腔内組織を優しく把持 | |
ドベーキー | 腹腔内・胸腔内組織を優しく把持 | |
マッカンドー | 有鉤、無鉤 | 軟部組織を把持 |
ラミネク | 有鉤、無鉤 | 筋層・靭帯を把持 |
剪刀(せんとう、ハサミ)
切る、組織を剥離する。
名称 | 切断対象 | 特徴 |
直剪刀 | 糸、テープ、ドレーンなど術野外 | |
クーパー | 筋膜、靭帯など比較的硬い組織 | |
メイヨー | 同上 | クーパーより細い |
メッツェンバーム | 血管周囲、リンパ管周囲 |
鉗子(カンシ)
柄の部分に把持を維持するための鉤(ラチェット)がついている。
名称 | 先端 | 特徴 |
ペアン | 無鉤、横溝 | 柔らかい組織の把持 |
コッヘル | 有鉤、横溝 | 硬いものの把持 |
モスキート | 有鉤、無鉤 | ペアン、コッヘルの小さい版 |
ケリー | 無鉤 | |
ミクリッツ | 有鉤 | |
リスター | 無鉤 |
糸
メリット | デメリット | ||
素材 | 自然素材 | 感染しやすい | |
合成素材 | 感染しにくい | ||
形状 | 単糸 | 張力に強く、細菌も付着しにくい | 結び目がほどけやすい |
編糸 | 結び目がほどけにくい | 感染源になりやすい | |
機能 | 吸収糸 | 加水分解される | |
非吸収糸 | |||
太さ | 3-0〜7-0 | 3-0は太い | 7-0は細く切れやすい |
【代表的な合成素材糸の商品名】
吸収糸 | 非吸収糸 | |
単糸 | PDS、モノクリル | プロリーン、エチロン、ネスピレン |
編糸 | バイクリル | サージロン、エチポンド |
皮膚縫合
死腔をつくらず、層と層を合わせる。
表皮縫合 | 真皮縫合 | 脂肪層 |
そっと合わさるように縫う | 強く引き合わせるように縫う | 軽く合わさるように縫う |
埋没縫合(皮下縫合、真皮縫合)
真皮縫合術後1〜3ヶ月で平坦になる。必ず抜糸後3ヶ月〜半年、縫合部位を観察する。
縫合部位 | 隆起の高さ |
顔面・頸部 | 0〜3mm |
四肢体幹 | 5〜1mm |
ケロイドになる可能性が高い・緊張が強い箇所 | 10〜15mm |
ドレッシング材
縫合創の創縁に血餅が固着しないよう、滲出液を吸収する被覆材を貼る(もしくはワセリンなどを塗布してガーゼを置く)。
抜糸
真皮縫合した部位 | 抜糸時期 |
顔面 | 術後4日目 |
四肢体幹 | 術後7日目 |
指や関節の伸側、下肢 | 術後10日目 |
消化管手術の術後合併症
①術後出血 | 症状:血圧低下、頻脈、尿量減少 検査:ドレーン排液が血性、血液検査でHb低下、エコーで貯留血液あり |
②縫合不全 | 症状:術後数日〜10日の間で発熱、腹痛、炎症反応の増悪 検査:CTで吻合部周囲のairや液体貯留、膿瘍の有無を確認 |
③イレウス | 症状:腹部膨満感、悪心嘔吐 検査:腹部X線 |
④術後感染症 | 手術部位感染(SSI):術後30日以内に手術操作部位に生じる感染 →SSI予防のため術直前、術後3時間に抗菌薬投与する 遠隔部位感染(RI):手術操作に直接関係しない部位に生じる感染 |
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