心電図 ECG:Electrocardiogram

循環器

心電図の概要

心電図:細胞外に設置したセンサーで、心筋細胞全体の電気的変化の総和を記録したもの

心電図の付け方

胸部誘導の電極の付け方⇨あきみちゃん国試頑張って!で覚える。
V1(赤) 右第4肋間の胸骨付け根(鎖骨直下を第1肋骨とし、4つ下に電極をつける!
V2(黄) 左第4肋間の胸骨付け根
V3(緑) V2とV4の中間点
V4(茶) 鎖骨中線と第5肋間の交点
V5(黒) 第5肋間と前腋窩線の交点
V6(紫) 第5肋間と中腋窩線の交点

心電図記録(波形)の意味

心筋細胞が次々に脱分極する=プラスの電気が移動する。この流れがセンサーに向かってくる場合は上向きの波として記録、遠ざかっていく場合は下向きの波として記録される。

Q/R/S波の定義

P波 QRS波 T波
心房の興奮 心室の興奮 心室の再分極
Q波の定義 R波の定義 S波の定義
最初の陰性波 最初の陽性波 R波のあとの陰性波

四肢誘導(Carbrera誘導)

Ⅰ誘導 P/QRS/Tのすべて下向きの場合、左右電極の付け間違いの可能性あり
aVR P/QRS/Tのすべて下向きであることを確認

胸部誘導

V1〜V3 右室が近いため、先に上向きの右室興奮が来て、その後に左室興奮が来る
移行帯
V4〜V6 移行帯を過ぎると、左室興奮の後に右室興奮が来る

四肢+胸部誘導

aVL、Ⅲ、V1は心臓のベクトルの総和から外れるため様々な形をとる!!

心電図の読み方

必ず過去の心電図と比較し、変化した部分を探す。

①洞調律か?

洞調律 &Ⅱ誘導で、P波とQRS波が対応、かつどちらも陽性P波なら洞調律
異常 ・Ⅰ&Ⅱ誘導いずれかが陰性P波なら異所性心房調律の可能性

②心拍数は?

正常 RR間隔:3〜6マス(100〜50回/分)なら正常
見方 ※太い目盛=5mm(0.2秒)にR波が1つなら心拍数は60÷0.2=300回/分

③電気軸は正常か?

見方 Ⅰ・Ⅱ・aVFの3つに注目する。
正常 Ⅰ・aVfが陽性なら電気軸が正常範囲(−30°〜+90°の範囲にある)
右軸偏位 右軸偏位Ⅰ誘導が陰性
解剖学的原因:①肺気腫に伴う滴状心(病的意義薄い)、②右室肥大
時間的原因:①左脚後枝ブロック(束枝のブロック単独ではQRS幅ほぼ正常)
※右心は心筋量が少ないため右脚ブロック単独では軸偏位を起こさない
左軸偏位 左軸偏位aVF(or Ⅱ誘導)が陰性
解剖学的原因:①横位心(病的意義薄い)、②左室肥大
時間的原因:①左脚前枝ブロック(束枝のブロック単独ではQRS幅ほぼ正常)

④P波の形は正常か?

正常 Ⅱ誘導で波高2.5mV(2.5mm)未満・幅3mm未満、V1で波高0.2mV(2mm)未満
異常 右房負荷Ⅱ誘導やV1でP波が尖鋭化するがP波幅は広がらないことが特徴
肺性P波(Ⅱ、Ⅲ、aVF)=右心房からの負荷
例:COPDなどの肺疾患で見られる。心臓の傾きが垂直(滴状心)になると、心房興奮の電気軸が垂直になるためⅡ、Ⅲ、aVFでP波が増高する。
右心性P波(V1、V2)=右心房からの負荷
例:右心不全や肺高血圧など血行動態としての右心系の負荷増大で見られる。右房拡大は前方に拡大するためV1やV2でP波が増高する。
左房負荷Ⅱ誘導でP波幅の延長と二峰性、V1で二相性P波となることが特徴
例:MR、心筋症、高血圧などの左心不全やAFによる左房リモデリングで左房拡大で見られる。左房拡大によりP波の後半成分が遅れてⅡ誘導のP波幅が3mm以上に延長し、右房と左房の興奮のズレのため二峰性となる。また、左後方に拡大するためV1やV2で前半は陽性、後半は陰性の二相性P波となる。

⑤PQ時間は正常か?

意義 PQ時間=心房から心室への伝導時間
正常 P波の立ち上がりからQRSの立ち上がりまで3〜5mm(1マス未満)
異常 ●PQ短縮(3mm未満):PQ短縮+デルタ波があればWPW症候群疑い
●PQ延長(5mm以上):房室ブロック疑い

⑥QRS幅は正常か?

意義 QRS幅=全心室興奮時間
正常 Ⅱ誘導でnarrow QRS(3mm)未満なら正常
延長 ●wide QRS(3mm以上):心室内の伝導遅延(形で脚ブロックなど判断する)
ブロック 右脚ブロックV1で幅の広いR’波+陰性T波V5-6で幅の広いS波
左脚ブロックV1で幅の広いS波V6で増高(二峰性)R波+陰性T波
QRS幅:0.10-0.12秒なら不完全、0.12秒以上なら完全脚ブロックと言う
特殊形① Masquerading BBB:右脚も左脚も広範囲に障害されている。前胸部誘導は右脚ブロックパターン、四肢誘導は完全左脚ブロックパターンを示す
特殊形② 交代性脚ブロック:右脚も左脚も障害されており、完全房室ブロックに移行するリスクが高い。心拍ごとに左脚ブロックと右脚ブロックを認める
特殊形③ ●非特異的心室内伝導障害:広範囲な心筋障害をきたしている。QRS幅が正常範囲より延長していいるものの、右脚ブロックとも左脚ブロックとも言えない形をしている

⑦QRSの形は正常か?

正常 胸部誘導でV1→V6の順にR波の増高するなら正常(R progression)
低電位 全ての四肢誘導でQRS電位が0.5mV未満あるいは全ての胸部誘導で1mV未満
低電位の鑑別:心嚢液貯留、重症心筋梗塞後、心アミロイドーシス、甲状腺機能低下症
高電位 V1のS波+V5/6のR波が3.5mV以上、またはV5/6のR波が2.6mV以上
高電位の鑑別:左室肥大、左室拡大、痩せ型(左室の胸壁が近い)
①左室肥大(高血圧、ASなど):主にV5/6でVAT延長+ストレイン型のST低下
※キャリブレーションバーの高さを必ず確認
②左室拡大:主にV5/6で尖鋭化T波が見られるが高度になると陰性T波になる
③痩せ型:左室高電位はあるものの、ストレイン型のST低下がない
異常Q波 異常Q波とは、深さがR波の高さの1/4以上のもの(V1/aVR/Ⅲ/aVLの単独はOK)
V1-4、Ⅰ/aVL/V5-6、Ⅱ/Ⅲ/aVFで隣り合う誘導で認めれれば異常と判断
異常Q波の鑑別:陳旧性心筋梗塞、非虚血性心筋症の心筋壊死
増高不良 poor r progressionとは、V1-3にかけてr波の高さがずっとV1から増高しないもの
poor r progressionの鑑別:前壁梗塞、痩せ型、COPDの滴状心

⑧STとT波は正常か?

意義 ST-Tは心室筋再分極過程を表す(ST=心筋活動電位第2相、T波=第3相に対応)
定義 基線:T波の終わりからP波を結んだ線
ST上昇 QRSが終わりS波の最初の湾曲点(J点)が基線より1mm以上V2、V3は2mm)上昇している場合を指す。解剖学的に連続した2つ以上の誘導でST偏位を認める場合を虚血性変化と判断し(例外:V2・V3は正常でも軽度ST上昇していることが多い)、虚血部位の対側ではST低下を認める(reciprocal change)。
ST上昇の形はConcave型、Straight型、Convex型に分類される
①Concave型の鑑別:早期再分極、急性心筋炎など
②Straight型・Convex型の鑑別:虚血性心疾患、たこつぼ症候群、心筋炎など
急性心膜炎:広範囲な下に凹型ST上昇+PR低下(aVRではST低下+PR上昇)
早期再分極下に凹型のST上昇+J点にnotchが特徴、病的意義はない
ST低下 解剖学的に連続した2つ以上の誘導のJ点で0.5mm以上の低下で有意と判断する。鏡面変化がないことを確認し、なければ虚血を考慮する(V4〜V6 or Ⅱ・Ⅲ・aVfでST低下を認めることが多い、ただし、V1〜V3のST低下は後壁梗塞を考慮
※Ⅲ・aVL・aVF・V1など陰性T波があっても良い誘導は軽度ST低下が単独である。
ST低下の形はUp-sloping型、Horizontal型、Down-sloping型に分類される
①Up-sloping型の鑑別:病的意義乏しい(De Winter ECG patternを除く)
②Horizontal型・Down-sloping型の鑑別:虚血性心疾患
T波 T波の高さは12mm未満かつR波の1/10以上が正常

②T波はⅢ・aVL・aVF・V1以外は陽性が正常
心筋に異常があればT波の異常が見られる(イオンチャネルの異常は除く)。
左右非対称の陰性T波:strain patternは左室肥大
左右対称の陰性T波:冠性T波
※若年成人では正常でもV2・V3に陰性T波見られる。

⑨QT時間は正常か?

①T波の終点がRR間隔の1/2を超えていればQT延長
QT時間はQRSの始まりからT波の終わりまでを指し、心筋の収縮時間を意味する。aVL・Ⅰ誘導で観察しやすい。

⑩U波は正常か?

陰性U波・T波より高いU波があれば異常
U波はT波の後ろにあり、成因は不明。U波は陽性であり(V1〜V3は常に陽性なことが多い)、T波の半分以下の高さが正常。
陰性U波はLAD領域の心筋虚血、著名な左室肥大で、V4〜V6で出現することが多い。

小児心電図の特徴

右軸偏位・右室肥大 新生児期は右室優位なため。学童期になると成人と同じになる。
V1〜V3で陰性T波 生後7日以降〜15歳頃までみられる。生後7日以降のV1の陽性T波は右室肥大と考える。

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