概要
ヒトパピローマウイルスはがん遺伝子を有し、遺伝子産物がE2Fを恒常的に活性化し、細胞周期をS期にする。
尋常性疣贅(イボ)
病態 | 主にHPV2型によって生じる良性腫瘍。子供がプールで感染することが多い。 |
症状 | ①四肢末端に角化性小丘疹 ②自家感染で多発・増大して乳頭状増殖し、表面が疣状を呈する ③削ると柔らかく容易に出血点が現れる |
検査 | ? |
治療 | 液体窒素による凍結療法 多発例にはヨクイニン内服、難治例にはブレオマイシン局注 |
尖圭コンジローマ
5類感染症。
病態 | 主にHPV6・11型によるSTD(尖→六、圭→十ー)。 分娩時に産道感染することがあるが、妊娠の継続は可能。新生児に感染すると、乳児期に気道乳頭腫症(喉頭乳頭腫)をきたす。 |
症状 | 1〜8ヶ月(平均約3ヶ月)の潜伏期を経て、 ①外陰部・陰茎冠状溝・肛囲にカリフラワー(鶏冠)様の無痛性疣贅 ②外陰部違和感 |
検査 | 【コルポスコピー】 乳白色を呈する乳頭状の腫瘤がみられその内部に不規則に走行する血管を認める 【生検】 Papanicolaou染色でコイロサイトーシス(核周明庭perinuclear halo:核の周囲が明るい)が認められる。 |
治療 | 【薬物療法】 イミキモド外用 【薬物以外】 液体窒素による凍結療法、電気凝固、レーザー治療など |
予防 | 子宮頸癌ワクチン(4価:6・11・16・18)を接種すれば予防可能 ※ワクチンの副反応による複合性局所疼痛症候群によって、2013年に厚生労働省は本ワクチンの積極的勧奨を中止した。しかし、その後2021年に安全性について特段の懸念が認められないことがあらためて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、本ワクチンの積極的勧奨を再開した。 |
子宮頸癌
疫学 | 多産婦、30〜40歳代に好発 リスク因子:喫煙、経口避妊薬、低年齢での性体験、多数の性的パートナー、クラミジア感染など |
病態 | HPV(主に16・18型)が性行為などの接触により基底細胞に感染し、基底細胞から円柱上皮細胞に感染刺激を持続した結果、SCJの円柱上皮細胞領域に主に扁平上皮癌が発生する(近年は腺癌も増加中)。扁平上皮癌は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)という前癌病変を経て発生する。 |
症状 | 初期は無症状で、集団検診で発見されやすい ①性交時の接触出血などの不正性器出血:腫瘍が血管を巻き込んで増殖 ②疼痛(腰痛:水腎症や骨転移を推定) ③尿路障害:血尿、膀胱膣瘻 ④直腸障害:血便、直腸膣瘻 |
検査 | 【①頸部細胞診】←スクリーニング検査 Papanicolaou染色を行い、LSIL(コイロサイトーシスあり=軽度扁平上皮内病変)、HSIL(コイロサイトーシスなし=高度扁平上皮内病変)、SCC(扁平上皮癌)があれば②へ! 【②コルポスコピー(膣拡大鏡検査)】 白色上皮、赤色斑、白斑、モザイク(高度異形成、上皮内癌の所見)や樹根性の異型血管や肉眼的に確認できる腫瘍(浸潤癌の所見)があればその部分を生検する。 【③生検(狙い組織診)】 Papanicolaou染色でHPV感染を示す所見であるコイロサイトーシス(核周囲明庭perinuclear halo:核の周囲が明るい)や上皮1/3以内に異型細胞を認めらたらCIN1、2/3〜全層に異型細胞ならCIN3、基底膜を超えていれば浸潤癌となる。 【画像検査】 MRI:病変の広がりを評価し、T2強調で高信号の腫瘤として確認 排泄性尿路造影(DIP):水腎症の確認 |
治療 | 【CIN分類】 CIN1〜2は経過観察、CIN3は挙児希望は円錐切除、希望ければ単純子宮全摘術 【浸潤癌治療】 ⅠA期(子宮頸部に限局し肉眼的に見えない):CIN3と同様 ⅠB期(子宮頸部に限局し肉眼的に見える):広汎子宮全摘術+化学放射線療法 Ⅱ期(癌が骨盤壁or膣下1/3に達してない):同上 Ⅲ期・Ⅳ期(癌が骨盤壁or膣下1/3に達している):化学療法(シスプラチン+タキサン系+ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)+放射線療法(外部照射+30Gyの腔内照射) |
予防 | 子宮頸癌ワクチン(2価:16・18 型、4価:6・11・16・18)があり、3回に分けて接種 |
中咽頭癌
耳鼻咽喉科を参照。(中出しは子宮頸癌のリスク:中咽頭癌・子宮頸癌)
喉頭乳頭腫
耳鼻咽喉科を参照。
外陰癌
病態 |
ほとんどが扁平上皮癌で、HPV感染と関連すると考えられている。
多くは大陰唇に発生するが、小陰唇や陰核にも発生する場合がある。 進行すると所属リンパ節である鼠径リンパ節へ転移する。 |
症状 | 多くは無症状 腫瘤性病変となると、疼痛・出血などの症状が腫瘤触知とともに自覚される |
検査 | 【身体検査】 視診:外陰部の潰瘍 |
治療 | 切除など |
陰茎癌
泌尿器科を参照。
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