抗ヘルペスウイルス薬
潜伏感染しているヘルペスウイルスは増殖しておらず薬で排除できない!
抗ヘルペスウイルス薬の作用機序
| 作用機序 | |
| アシクロビル ペンシクロビル |
ヌクレオシド類似体のアシクロビルやペンシクロビルは、ウイルスのチミジンキナーゼによってリン酸化された後、ウイルスのDNA鎖に取り込まれて伸長反応の停止を起こす。 |
| ビダラビン | ウイルスDNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。 |
| アメナメビル | ウイルスDNAヘリカーゼを阻害し、ウイルスDNAの複製を阻害する。 |
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| アシクロビル | ゾビラックス | HSV-1・2、CMVの増殖抑制作用 |
| バラシクロビル | バルトレックス | アシクロビルのプロドラッグ。経口での吸収効率UP! |
| ファムシクロビル | ファムビル | ペンシクロビルのプロドラッグ。 HSV-1・2、CMVの増殖抑制作用 。 |
| ビダラビン | アラセナA軟膏 アラセナA点滴静注 |
HSVだけでなく、CMV、VZV、アデノウイルス等のDNAウイルスに対しても増殖抑制作用を有する。 アシクロビル耐性にも有効。 |
| アメナメビル | アメナリーフ | HSV-1、CMVの増殖抑制作用。 |
抗サイトメガロウイルス薬
サイトメガロウイルスにはヘルペスウイルスにあるチミジンキナーゼがない!
抗サイトメガロウイルス薬の作用機序
| 作用機序 | どれもDNAポリメラーゼ阻害薬! |
| ガンシクロビル バルガンシクロビル |
ヌクレオシド類似体のガンシクロビルは、ウイルス由来のプロテインキナーゼによってリン酸化された後、ウイルスのDNA鎖に取り込まれて伸長反応の停止を引き起こす。 |
| ホスカルネット | ピロリン酸類似体のホルカルネットは、ウイルスDNAポリメラーゼのピロリン酸結合部に結合しDNA合成を阻害する。 |
| レテルモビル | ウイルスのDNAターミナーゼ複合体を阻害し、ウイルスの複製を阻害する。 |
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| ガンシクロビル | デノシン点滴静注 | CMVのみに有効。 【欠点】骨髄抑制の副作用あり。 |
| バルガンシクロビル | バリキサ錠/DS | ガンシクロビルのプロドラッグ。経口での吸収効率UP! |
| ホスカルネット | ホスカビル点滴静注 | ガンシクロビル耐性に対して使用することが多い。 CMV・HHV-6に有効。 【欠点】腎毒性が強い。 |
| レテルモビル | プレバイミス | CMVのみに有効。 |
抗インフエンザウイルス薬
| 作用機序 | A型・B型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害し、鼻咽頭の粘膜細胞から出芽を防ぐことでウイルスの増殖を抑制する。 |
| 注意点 | ①異常行動:小児は発熱から2日間は転落等の事故に対する防止策を講じること。 ②インフルエンザ脳炎:痙攣・意識障害・異常行動があれば救急受診すること。 ③発症後5日間(初日は0日目)かつ平熱に戻った翌日から2日間経過したら外出可。 |
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| オセルタミビル | タミフルCP | 発熱48時間以降に服用しても効果は薄い。ただし、免疫力が弱い人には48時間以降でもできるだけ使用する。 【副作用】 血便・吐血・不正出血など出血症状が出たら服用中止。 【用法用量】 治療:1日2回5日間内服 予防:1日1回7〜10日間内服 【ADME】 腎排泄型:CCr30以下の場合は投与量変更 |
| ザナミビル | リレンザ吸入 | オセルタミビル耐性ウイルスにも有効。 耐性株がオセルタミビルよりでにくいといわれている。 |
| ペラミビル | ラピアクタ点滴静注 | NA阻害薬で唯一の静注薬(15分)。 オセルタミビル耐性ウイルスに交差耐性あり。 |
| ラニナミビル | イナビル吸入 | 1回吸入で良いためコンプライアンス向上。 オセルタミビル耐性ウイルスにも有効。 ザナミビルの改良型。 |
| ファビピラビル | アビガン | 催奇形性や精液中への移行性があるため妊娠希望の男女に禁忌。パンデミックインフルエンザに使用予定。 核酸アナログでウイルスRNAポリメラーゼを阻害し増殖抑制。 |
| バロキサビル | ゾフルーザ | 1回内服で良いためコンプライアンス向上。 耐性ウイルス出現あり。 Capエンドヌクレアーゼを阻害し増殖抑制。 |
抗RSウイルス薬
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| パリビズマブ | シナジス筋注 | ヒト化モノクローナル抗体でウイルスを中和する。 RSウイルス感染ハイリスク児に流行期に月1回予防的投与。 |
亜急性硬化性脳炎(SSPE)予防・治療薬
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| イノシンプラノベクス | イソプリノシン | 免疫賦活作用を有し抗体産生を増強。高濃度でSSPEウイルスの増殖抑制。 |
抗HIVウイルス薬
3剤以上服用し耐性変異株の出現を抑制する(HAART)。

核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)=ヌクレオシド類似体
NRTIの作用機序:dNTPの代わりにHIVの逆転写酵素に取り込まれ伸長反応を抑制する。
| 一般名 | 先発名 | 特徴 |
| ジドブジン | レトロビル | 骨髄抑制の恐れがあるため、 頻回に血液検査を行うこと。 |
| ラミブジン | エピビル | |
| アバカビル | ザイアジェン | HLA-B5701を持つものはABC過敏症に注意 |
| テノホビル | ビリアード | |
| エムトリシタビン | エムトリバ | |
| NRTI同士の合剤 | ツルバダ | エムトリシタビン+テノホビルジソプロキシル |
| NRTI同士の合剤 | デシコビ | エムトリシタビン+テノホビルアラフェナミド |
| NRTI同士の合剤 | コンビビル | ジドブジン+ラミブジン |
| NRTI同士の合剤 | エプジコム | ラミブジン+アバカビル |
非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)=逆転写酵素の活性抑制
NNRTIの作用機序:逆転写酵素の活性中心付近に結合し酵素活性を失活させる。
| 一般名 | 先発薬品名 | 特徴 |
| ネビラピン | ビラミューン | 可逆的に結合するため殺菌的に働かない |
| エファビレンツ | ストックリン | 不可逆的に結合 |
| エトラビリン | インテレンス | |
| リルピビリン | エジュラント | |
| NNRTI+INSTI | ジャルカ | ドルテグラビル+リルピビリンの合剤 |
タンパク質分解酵素阻害薬(PI)
PIの作用機序:HIVのプロテアーゼの活性中心に結合しウイルスタンパクの加水分解を抑制する。その結果、ウイルス粒子の成熟を阻害する。
| 一般名 | 先発薬品名 | 特徴 |
| リトナビル | ノービア | CYP3A4阻害によって他のPIの血中濃度を上げる意味合いが大きい。 |
| ネルフィナビル | ビラセプト | |
| ホスアンプレナビル | レクシヴァ | |
| アタザナビル | レイアタッツ | |
| ダルナビル | プリジスタ | ウイルスのアミノ酸変異による耐性株が出現しにくい |
| PI+作用増強薬 | カレトラ | ロピナビル(PI)+ルトナビル (CYP3A4阻害) の合剤 |
| PI+作用増強薬 | プレジコビックス | ダルナビル(PI)+コビシスタット(CYP3A4阻害)の合剤 |
インテグラーゼ阻害薬(INSTI)
INSTIの作用機序:HIVのプロウイルスのDNAの宿主細胞染色体への組み込みを阻害する。
| 一般名 | 先発薬品名 | 特徴 |
| ラルテグラビル | アインセントレス | CYP3A4による代謝を受けないため薬物相互作用も少ない |
| ドルテグラビル | テビケイ |
侵入阻害薬(CCR5受容体拮抗薬)
CCR5阻害剤の作用機序:HIVの共受容体であるCCR5との結合を阻害する。ただし、CCR5指向性(マクロファージ指向性)のHIVに対してのみ有効。
| 一般名 | 先発薬品名 | 特徴 |
| マラビロク | シーエルセントリ | 使用前にはウイルス指向性を検査する |
配合剤
| 先発名 | 特徴 |
| スタリビルド | エルビテグラビル(PI)+コビシスタット(CYP3A4阻害)+エムトリシタビン(NRTI)+テノホビル ジソプロキシル(NRTI) |
| ゲンボイヤ | エルビテグラビル(PI)+コビシスタット(CYP3A4阻害)+テノホビル アラフェナミド(NRTI) |
| トリーメク | ドルテグラビル(INSTI)+アバカビル(NRTI)+ラミブジン(NRTI) |
| ビクタルビ | ビクテグラビル(PI)+エムトリシタビン(NRTI)+テノホビル アラフェナミド(NRTI) |
| シムツーザ | ダナミビル(PI)+コビシスタット(CYP3A4阻害)+エムトリシタビン(NRTI)+テノホビル アラフェナミド(NRTI) |


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